ミクロネシア旅行 第3日目

4:25、起床。
今日はGuam(グアム)を発ちます。
タクシーでAntonio B. Won Pat国際空港
(アントニオ・B・ウォン・パット国際空港)へ。
日の出前だというのに空港は大混雑です。


これから乗るのは1便だけなのですが、
チェックインすると搭乗券が5枚も吐き出されました。
僕がGuamに来たという時点で
勘の良い飛行機オタクは察していたかも知れませんが、
これから乗るのはユナイテッド航空の珍ルート
通称Island Hopper(アイランド・ホッパー)です!


Island Hopperとは、その名の通り
島々を飛び跳ねるようにして進んでいく航路のこと。
このUA155便はGuamとHonolulu(ホノルル)を起点に
途中5つもの島をホップするという、
立ち寄る島の数も総飛行距離も
世界最大のIsland Hopperとして名を轟かせています。
嘗て大型ジェット旅客機がまだ無かった時代は、
日本と米国西海岸を結ぶ航路等が航続距離の問題から
似たような経路を取って途中の島で給油していました。


しかし、今は太平洋も余裕で飛び越えられる時代。
航続距離が足りないから島々をホップするのではなく、
どれかの島単体に飛行機を飛ばしても
全然採算が取れないからという面が大きいです。
空の各駅停車と呼ばれることもありますが、
どちらかと言えば空の乗合タクシーでしょうか。
7:55発UA155便に搭乗。


少し飛ぶともう高度を下げ始めました。


左手の窓からは全く陸地が見えないまま
海面が迫ってきているけど…


あっ、滑走路だ!
大雨だからというのもあるのでしょうが、
余程有効長が短いのか乗り心地など一切度外視で、
手前ギリギリでズドンと接地させたら
頭が前の席にぶつかるくらい逆噴射全開で急減速します。
この便が立ち寄る空港は何処も難敵揃いなので、
機長には空軍上がりの操縦士が割り当てられるという噂も。
また、経由する空港がどれも僻地なので、
交代要員の機長と副機長、それに整備士まで
ビジネスクラスの最前席に座っています。

(以降、チューク時間UTC+10.0h)


9:50、Chuuk国際空港(チューク国際空港)に着陸。
まず1つ目の寄港地はミクロネシア連邦
Chuuk(チューク州)のWeno(ウエノ島)です。
ミクロネシア連邦の中では最大の人口を擁する島。
第一次世界大戦後から太平洋戦争集結までは日本領で、
日本名では「春島」と呼ばれていました。
コロナ禍前はニューギニア航空が成田から直行便
(というよりは、Port Moresby(ポートモレスビー)便の経由地)
を飛ばしていたこともあるなど、
日本とそれなりに関係のある島です。
ここで乗客の大半が降りていきました。


以前は寄港地で一時降機して
空港の待合室で再出発まで寛げたりしたそうなのですが、
今はコロナ禍の影響で機内に留め置かれます。
残念…
Pass Riderは降りられる的なことを言っていましたが、
Pass Riderが何なのかを含めて詳細は不明です。
機内に居る間に荷物確認が行われ、
持ち主不明の荷物は回収されます。


Chuukからの乗客を乗せたら再出発です。
ブレーキをかけたまま出力を全開にし、
一気にブレーキを解放して急加速するという
ドラッグレースのようなショートフィールド・テイクオフを使って、
滑走路端ギリギリで離陸します。


今度は先程よりもすぐに高度を下げ始めました。
飲み物で熱い紅茶なんか頼むんじゃなかった…
ただ、ユナイテッド航空側もそれは分かっているのか
紅茶やコーヒーはそんなに熱くありません。
50〜60℃くらい?


環礁の中には沢山の船が碇泊しています。

(以降、ポンペイ標準時UTC+11.0h)


12:39、Pohnpei国際空港(ポンペイ国際空港)に着陸。
2つ目の寄港地は同じくミクロネシア連邦
Pohnpei(ポンペイ州)のPohnpei(ポンペイ島)です。
ミクロネシア連邦の首都が置かれています。


空港からはSokehs Rock(ソケースロック)という
特徴的な形をした巨岩が良く見えます。
Pohnpeiのシンボルだそうです。


Pohnpeiからの乗客を乗せたら再出発です。
機内の乗客が段々減ってきたな…


今度は特に飛行時間が短いので、
客室乗務員は大慌てで飲み物を配っていました。


14:35、Kosrae国際空港(コスラエ国際空港)に着陸。
3つ目の寄港地はまたしてもミクロネシア連邦
Kosrae(コスラエ州)のKosrae(コスラエ島)です。
このIsland Hopperが寄る中では最も人口の少ない島で、
便によっては飛ばされたりします。


島には全く平地が無い為、中部国際空港のように
陸地から離れた埋立地に空港があります。
数人の乗客を乗せたら再出発。

これまでの島とは趣を異にする
人工物だらけの環礁が近付いてきました。

(以降、マーシャル諸島時間UTC+12.0h)

17:10、Bucholz空軍基地(バックホルツ空軍基地)に着陸。
4つ目の寄港地は国が変わってマーシャル諸島共和国の
Kwajalein Atoll(クワジェリン環礁)です。
表記揺れが激しく、クェゼリン環礁などとも呼ばれます。
何故写真が無いのかって?
駐機中の写真撮影が禁止だからです。
このKwajalein Atollは極めて特殊な島で、
島全体が米軍基地になっており一般人は立入禁止、
当然このIsland Hopperの乗客も
米軍から特別に許可を貰っていない限り降機出来ません。
じゃあ何故Island Hopperを着陸させるのだろう。

写真は撮れないのでせめて言葉で描写すると、
空港の周囲には白いレーザードームが何個もあり、
その他はどれもこれも白く塗られたコンクリート製の
直方体で味気無い建物ばかりです。
駐機場の舗装には珊瑚礁が使われているのかこれまた白く、
格子状に黒いヒビが走っています。
2人だけ居た降機客は
“Welcome to U.S. Army Garrison Kwajalein Atoll
A COMMUNITY OF EXCELLENCE”
と書かれた、平屋建てでターミナルにしては
かなり小さな建物に消えていきました。
その背後には背の高い椰子の木に囲まれた
茶色い三角屋根の建物があり、
普通ならそれが旅客ターミナルかと思うのですが…
右隣には3階建てのくたびれた管制塔がありました。

また、降りたのは2人だけでしたが、
乗ってきたのはガタイの良い男達を中心に40人程居り、
再出発時には殆ど満席になりました。
GuamとHonoluluに近いほど乗客が増えて
中間は閑散としている感じなんですね。
確かに、これだけ利用者が居るなら着陸させるよな。
軍人だけではなく近隣の島に住む人も
この空港を利用することが出来るようで、
僕の隣に座ったのはマーシャル諸島人の老夫婦でした。

このKwajalein Atollで米軍は何をしているのかと言うと、
California(カリフォルニア)から弾道ミサイルを射って
それを迎撃する実験を行っているのだとか。
流石米軍、やることの規模が違う。
でも、Hawaii(ハワイ)でやれば良くない?
ちなみに、かの有名なBikini Atoll(ビキニ環礁)も
この近くに存在していたりします。
国全体が米軍の実験場扱いなのでしょうか…


予定より長めに停まってから再出発。
民間人の住むEbeye(イバイ島)が見えました。
米軍基地で働く民間人はあの島に住んでいて、
船でKwajalein(クワジェリン島)に通勤するのだとか。


少し飛ぶと今度はとにかく細長い島が見えてきました。


結構な長さがあるのに何処まで行ってもこの細さ。
長さ対幅で言ったらFunafuti(フナフティ島2020/2/4-6)以上です。


18:50、Amata Kabua国際空港(アマタ・カブア国際空港)に到着。
5つ目の寄港地、マーシャル諸島共和国
Majuro Atoll(マジュロ環礁)です。
UA155便はまだHonoluluへと飛んでいきますが、
Hawaiiに行っても仕様が無いので勿論ここで降ります。


という訳で、この旅行最大の目的地の一つである
マーシャル諸島共和国に辿り着きました!
嘗ては大日本帝国南洋庁ヤルート支庁に属し、
歴史上日本領になったことのある土地の中で
最東端に位置する場所の一つです。
こんな場所まで日本だったとは想像が付きませんね…
コロナ禍の間は文字通り鎖国していた太平洋諸国ですが、
やっと観光客の受け入れを再開し始めました。
今ではワクチン接種証明書さえあれば陰性証明書も不要になり、
現実的に渡航可能なところまで来ました。
この機を逃す訳にはいきません。


旅客ターミナルには扉が無く冷房は効かないので、
シーリングファンが蒸し暑い潮風をかき混ぜています。
入国審査は南国らしく適当な感じで通過。
迎えの車に乗って宿に向かいます。


宿の近くに食堂は無いので、スーパーマーケットで買い出し。
意外に遅く(21:00)までやっています。


品揃えは良いとは言えませんが、
それでもそれなりに商品はあります。
日本製品も多いです。
醤油とかはグリーンランドの小さな集落(2017/8/4)でさえ
取り扱いがあったので今更驚きません。


が、生産者の顔が印刷された沢庵が
大量に陳列されていたのには驚きました。
マーシャル諸島の人も沢庵って食べるんだ…
日本が統治していた時代の名残なんですかね?


宿の部屋はこんな感じ。
この余白の広さは何なのだろう。
台所はオーブンまで完備していますが、
シャワーを含めどの蛇口からもお湯は出ません。
お湯を浴びるという概念自体が無いんだろうな…
暫くはマーシャル諸島のやり方に倣って行水で生きます。

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