今日はTK(宇宙論研)からお誘いがあったので、
久し振りにツーリングすることにしました。
道の駅八王子滝山で落ち合って奥多摩へ。
TKの車がセルシオからミラに変わっている…!?
遂に重税に耐え切れなくなったのか
と思いきや、セルシオはセルシオで維持しているそうで、
家のミラでMTを練習しているのだとか。
川井駅から脇道に逸れて山奥へ。
僕もTKも脇道に逸れるのが大好きなもので。
まあ、そういう人間でもないと
宇宙論なんてやろうとはなりませんね(偏見)
ここで昼食にします。
山間での釜飯は旅情がありますね。
中々良いお店を見付けた。
そのまま奥多摩駅までやって来ました。
一応、今回のツーリングはTKが研究会用に予約した
公民館やら宿やらの下見が目的なんだとか。
これが会場の宿だそうです。
法面に張り付くように建っており
それぞれ間取りの全く違う各階に2室ほど、
それが5階分も上に伸びています。
で、表玄関があるのは4階。
何という面白い構造…
僕もこんなところで研究会をやってみたかった。
そう言えば、奥多摩駅周辺では前々から
見てみたいと思っていたものがありました。
折角の機会なのでそちらも寄ってみましょう。
住宅街の中の細い町道を進んでいきます。
すぐに氷川集落の域を出て細い山道になる、
ここまでは何の変哲も無い山奥にありがちな町道ですが…
更に進んでいくと怪しげな施設が現れました。
奥多摩工業氷川工場です。
奥多摩・奥武蔵の名産、石灰石を加工する工場。
猫の額ほどの土地にギッチギチに詰まっています。
そもそもJR青梅線が奥多摩駅まで延びたのは
この工場から搬出される石灰を輸送する為です。
そして、町道はこの氷川工場の中を突っ切っていきます。
工場に不法侵入していないか?
と勘違いされそうですが、これでも立派な公道です。
その間接的な証拠として、
この道から分岐するあらゆる通路に
「これより先立入禁止」の看板が立っているんですね。
もし、今立っているこの道が工場敷地内の私道なら、
こんな間怠っこしい真似をしなくても
入口に一つドンと立入禁止の柵をしておけば良い訳で、
背理法によりここが公道であることを証明しているのです。
轟々と音を立てる工場。
土曜なのに稼働日なんですね。
稼働している工場をこんな間近に見られるのは貴重かも。
ここはちょっと紛らわしいですが右が公道です。
今日は左にトラックが停まっているので分かりやすいですね。
そして、曲がりなりにも続いていた舗装がここで途切れます。
工場を出ると一気にこれです。
ただ、法面には石垣が組まれていたりして、
ここが単なる作業道ではなく古道であることを示唆しています。
古の奥多摩に想いを馳せながら古道を進んでいくと、
大分時代が進んだ構造物が突如姿を表しました。
複線の鉄道路線です。
JR青梅線…と思ってしまいそうですが、
JR青梅線は東青梅駅より先が単線です。
これは採掘した石灰岩を搬出する貨物線、
奥多摩工業曳鉄線です。
氷川工場よりも直線距離で5km程山奥にある氷川鉱山から
石灰岩を運んできているのです。
セメント工業は典型的な原料指向型なのに何故…
鉱山周辺には十分な土地が確保出来なかったのでしょうか。
路線名の曳鉄というのは地名ではなく運行方式で、
その文字の通り車両を曳いて(引いて)動かしています。
その為、車両自体に動力は付いていません。
ケーブルカーと同じ原理ですね。
但し、ケーブルの両端に車両をくっ付けて往復させているのに対し、
この曳鉄線はトロッコが数珠の様に連なったケーブルがグルグルと回って
石灰岩を満載したトロッコがひたすらに流れていくという訳です。
まあ、今は停止していますが。
土砂災害を避ける為なのか、距離を短くしたいのか、
曳鉄線は殆ど地中を走っているので、
このように地上に出てきてその姿を拝めるのは
極一部の谷筋だけです。
あと、石灰岩を積んでいるトロッコと
空のトロッコの位置関係で気付きましたが、
右側通行になっているんですね。
古道周りには曳鉄線の他にも
みかんモノレールことモノラックも張り巡らされています。
大胆にも古道を横切っていますね。
そして、通行に支障を来さないようレールが着脱式になっている。
モノラックの踏切ってこんな風になるのか…
分岐器もありました。
これもレールを着脱してポイントを切り替えるようです。
レールがかなり綺麗ですが、
今も頻繁に使われているのでしょうか。
ガードレールが復活し、アスファルト舗装が戻ってきました。
除ヶ野集落です(除野、余ヶ野という表記もある)。
今通ってきた古道は、
嘗てこの集落への唯一のアクセス路でした。
現在では日原川を渡る女夫橋が東京都道204号に通じているので
全員がそちらを使っていますが。
日原川対岸の東京都道204号で戻ってきました。
こうして見ると氷川工場は異質な存在ですね…
そしてあの中を突っ切っている古道があるという驚き。
ついでに、TKの提案で
もう一つ奥多摩の珍しい交通機関を見に行きます。
奥多摩湖畔の川野駐車場へ。
ここは公式には奥多摩湖を眺める四阿や、
奥多摩周遊道路のゲート前の休憩所として機能していますが、
その景色の中にちょっと異質な物が混じっていることに
果たしてどれだけの人が気付いているでしょうか。
…僕は何度も通っておきながら完全にスルーしていました。
法面を注意深く見上げれば気付くかも知れません。
S2000の視界ではあんなに上を見上げることは不可能ですが。
もう少し近付いてみましょう。
落ち葉が積もって斜面になりつつある階段を登ります。
落書きだらけの廃墟が現れました。
法面の上にあるので
道路の管理施設か何かのようにも見えますが…
これはロープウェイ施設の跡地です。
この地には嘗て小河内観光開発が
奥多摩湖を横断するロープウェイを運行していました。
当時はこのロープウェイでしか
奥多摩湖を渡ることが出来なかったのですが、
その後奥多摩湖を渡る深山橋と三頭橋が開通して
車でも簡単にアクセスが出来るようになり、
昭和37年の開通から5年を待たずして運行を止めてしまったのです。
未だに正式廃止ではなく
あくまで運行休止という扱いのようですが、
内部も荒れ果ててしまっています。
まあ、小河内線(2014/10/19)も書類上は廃止じゃなくて休止だしな…
この後は奥多摩周遊道路で檜原村に抜け、
お蕎麦を食べてから帰りました。
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