実は、先週末僕の手元には那覇行きの航空券がありました。
今月末で有効期間を迎えるマイルがあったので
特典航空券に引き換えていたのです。
沖縄行きの特典航空券はとても人気があるので、
週末に空席があったのは年末まで見ても先週末だけでした。
何てラッキーなんだ!と思っていましたが、
先週末まるで狙い澄ましたかのように台風12号が来襲。
何てアンラッキーなんだ…
と思いましたが…
特典航空券というのは航空会社がお情け、
というか客寄せでやっているものなので、
正直言ってそれ自体はどう足掻いても赤字です。
なので、現時点で空席があったとしても、
後で普通にお金を払って予約してくれる人が
現れると期待される便については、
特典航空券は設定されません。
だから週末の特典航空券は異常に予約が取り辛い訳です。
しかし、そんな肩身の狭い特典航空券にも
一つだけ例外があります。
それは悪天候時の振り替えです。
空港で帰宅難民が大発生しても困るので、
この時ばかりは普通の航空券と同じ枠で
予約を取り直すことが許されます。
台風の影響を受けた僕の航空券も
この無条件振替の対象となりました。
そうしたら見付けてしまったんです、
元々は予定を入れそびれていて
折角の3連休なのに暇になりそうだと嘆いていた
今週末に空きがあったのを。
何てラッキーなんだ!
…と思っていたのに台風14号がまた来襲!?
何てアンラッキーなんだ…
人間万事塞翁が馬とは正にこのこと。
今回もまた振り替えが出来るので、
三度目の正直を願いつつ遠投します。
(実際には先週も今週も飛行機自体は飛んだらしくて
現代の航空技術には目を瞠るばかりですが、
お目当てのものが飛行機より遥かに風に弱いので…)
何だか今秋はあらゆる週末の予定が
天候不順で変更を余儀無くされている気がする。
さて、結局この三連休は予定が無くなってしまいました。
どうしようかな…
という訳で、あずさ3号で小淵沢駅へ。
昨夜調べたら朝の下りあずさの中で
唯一この列車に1席だけ空席があったので、
これも何かの縁と思って来てみました。
10:07発JR小海線普通小諸行きに乗り換え。
小淵沢の大カーブを上ります。
どうでも良い情報として、小海線は小淵沢→小諸の方向が
列車番号的に下り列車(奇数の番号)です。
こういう都市から郊外に延びる路線同士を結ぶ路線って
どういう基準で列車番号がつけられるのだろう。
ちなみに、山手線だと外回りが「下り」です。
2ヶ月前まで僕にとって敗北の象徴だった八ヶ岳。
今は晴れやかな気分で眺められます。
川上村のレタス畑。
嘗て野菜の輸送を貨物列車が担っていた頃は、
こういう畑のど真ん中に貨車を停めて
直にレタスを積み込んでいたのだとか。
北陸新幹線乗換駅の佐久平駅。
新幹線と在来線の交差で在来線がオーバークロスするのか…
こんな例って他にあったっけ?
八ヶ岳からバトンタッチされたように
浅間山が見えてきました。
甲州街道から中山道に移ってきた実感が湧きますね。
12:19、小諸駅に到着。
爽やかな風が吹き渡り高原らしさを感じさせます。
この風ってまさか遥か彼方の台風14号由来なんだろうか。
12:55発しなの鉄道普通長野行きに乗り換え。
今回は週末パスを使っているので
第三セクターのしなの鉄道も乗り放題です。
上田駅で13:20発上田電鉄別所線別所温泉行きに乗り換え。
これが今回のメインである上田電鉄です。
上田電鉄の象徴となっている真っ赤な千曲川橋梁。
令和元年の台風19号で落橋して長期不通になっていましたが、
2年を費やして去年3月に復旧。
その際、「被災した鉄橋だけを上下分離する
(鉄橋そのものは地元の上田市が保有し、
それを上田電鉄に貸して列車を運行させる)」
という異例のスキームが採用されて話題となりました。
黄金色に染まる田んぼの中を走ります。
13:47、別所温泉駅に到着。
何処と無くハイカラな駅舎です。
出雲大社前駅(2012/7/21)と共通点があるような…?
大正時代の電鉄特有の雰囲気なのでしょうか。
別所温泉は信州の鎌倉を自称する温泉街。
小京都とか小江戸は良く聞くけど、
ご当地鎌倉ってここ以外にあるんだろうか。
しかも、鎌倉って温泉の要素そんなに無くない?
鎌倉時代から室町時代に掛けて仏教文化が栄えた
というのが「信州の鎌倉」の由来だそうですが、
如何せんインフラ史以外の歴史に疎いので
順当に温泉だけ浸かっておきます。
良き哉。
遅めの昼食も摂ります。
駅前のイタリア料理屋に松茸の幟が掲げられていたので
松茸パスタにしてみました。
海老に鯛に松茸…にパスタという異色の組み合わせですが、
これが実に美味しい。
鯛のあら汁と土瓶蒸しの良いところを合わせたような。
…パスタにする必要性は良く分かりませんが。
15:11発上田電鉄別所線上田行きに乗車。
15:24、下之郷駅に到着。
上田丸子電鉄という耳慣れない名前を掲げた駅舎。
上田電鉄自体聞き慣れないとか言わない。
上田丸子電鉄は上田電鉄の前身で、
嘗てはここから丸子へ向かう西丸子線が分岐していました。
しかし、昭和36年の梅雨に被災してその2年後に廃止。
60年以上経った今では殆ど痕跡が残っていません。
その微かな残照を求めてやって来た…
と思われそうですが、別にそういう訳ではありません。
名前の響きだけで寄ってみました、生島足島神社です。
万物に生命力を与える生島大神と、
満足を与える足島大神を祀っているのだとか。
本殿は池で囲われた小島になっています。
地図で見付けた時は、
てっきりこの小島が生島足島という名前だと思っていました。
珍しいことに御神体は樹や岩ではなく、
この小島の中にある地面なのだそうです。
その意味では当たらずと雖も遠からず…なのでしょうか。
時間が余ったのでやっぱり西丸子線跡探しもします。
昭和27年の地形図と見比べるに、
どうやらこの道路が廃線跡のようですが…
これだけ平坦な地形だと鉄道の跡を見出すことは困難ですね。
西丸子線の跡は全然分かりませんでしたが、
収穫期を迎えた田んぼの眺めがとても好きだったので
現役の別所線の撮り鉄をしておきました。
やっぱり、徒歩10分くらいで水田がある場所に住みたいよなぁ…
16:52発上田電鉄別所線上田行きに乗車。
上田に戻って来ました。
今夜の宿は上田に取ってあるので
宿に荷物を置いて空身で散策します。
上田と言えば真田氏の上田城です。
で、この写真は上田城のお堀の跡に造られたケヤキ並木。
掘なのに水が無いの?
と思われるかも知れませんが、
上田氏は関ヶ原の戦いで西軍についた為
上田城の堀は徳川軍によって埋められてしまいました。
それが現在では遊歩道になっているという訳です。
現在では遊歩道ですが…
嘗ては鉄道に使われていました。
上田交通真田傍陽線です。
お堀に鉄道を通すのは名鉄瀬戸線の旧線と同じですね。
大雨の時とか水没しなかったのでしょうか。
そこはかとなく上田観光をしたら、
夜遅くなる前に最後の宿題を済ませておきます。
上田駅から18:22発しなの鉄道普通長野行きに乗車。
18:38、戸倉駅に到着。
ここは5年前(2017/7/25)に夏の学校が開かれた地。
これで長野県の鉄道は完全乗車しました!
東日本は終わりが見えてきたな…
上田に戻って焼き鳥屋で祝杯。
焼き鳥は串カツのような感じで
美味だれというニンニクの効いたタレに漬けるのが上田流。
ほろ酔いになった状態で地元の人達の雑談を
雑音と意味ある発話の中間くらいの音として聞き流しながら
焼き鳥を噛み締めるというのが何とも良い。
静寂とは真逆だけどこれも4分33秒の一種と言えるだろうか。
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