西武鉄道乗り潰し

昨日は無事に入社式をこなした訳ですが、
やはり
「ブログに迂闊な事を書くな」
と釘を刺されたので詳細は書きません。
当初の宣言通り休日のみの更新で行きます。

さて、今日は社会人になって初の週末。
社会人って週末に何をするんだろう…
と疑問でしたが、社会人である以前に僕は僕なのでさして変わりません。


一昨日先一昨日もちょっとお花見しましたが、
次の週末までには散っていそうなので今日も少しお花見することに。
都立小金井公園に来てみました。
桜のお花見需要を喚起した、
その名も「花」小金井という駅があるくらいなので、
よっぽど自信があるのでしょう。


…という説明は正確には誤認表示で、
花小金井駅が開業したのは小金井公園の開園より27年も早い昭和2年。
花小金井駅の「花」は元々玉川上水沿いの桜を指していたのです。


ただ、その後戦後のモータリゼーションに呼応した
東京都道7号の拡張工事に伴って玉川上水の桜は一部伐採され、
それを補う形で小金井公園への桜の植樹が進んだので、
花小金井駅と小金井公園は完全に無関係とまでは言えないかも知れません。


小金井公園は桜だけでなく、菜の花なんかも楽しめます。
淡い色合いの桜よりも春の暖かさを感じさせる鮮やかな菜の花が一面に…


みたいな雰囲気を頑張って出していますが、
実際には菜の花畑(花壇)の範囲はこれだけです。
上の写真を見て期待して行って裏切られた!と怒らないで下さい。


さて、お花見だけで一日を潰せるほど風流な人間ではないので、
ここまで来たついでに西武鉄道の錯綜地帯を乗り潰します。
花小金井駅から12:55発西武新宿線急行本川越行きに乗車。


東村山駅で13:10発西武西武園線各停西武園行きに乗り換え。
東村山-西武園の2.4kmを4両編成の電車が往復するだけの
途中駅も無い盲腸線です。
関西の私鉄には神社仏閣参拝向けのケーブルカーが良くありますが、
関東でそれに対応するのは娯楽施設への短距離盲腸線ですね。


13:13、西武園駅に到着。
西武園ゆうえんちへのアクセスを担うファンシーな駅…
と見せ掛けつつ、実の所は西武園競輪場への需要の方が多い俗な駅です。
ところでこの西武園駅、同じく西武鉄道の多摩湖駅と
近過ぎると感じた事は無いでしょうか。
直線距離にして僅か600m足らず。
というか、終点のこれら2駅だけでなく
小平-西武園と小平-多摩湖の路線は同じ鉄道会社なのに
全区間に渡って余りにも似通った経路を通っています。


実は昔はもっと近かったんです。
昭和26年までは何と200mと離れていない位置に
村山線(現在の西武園線)と多摩湖線の終点が置かれていたのです。
この地点は現在の西武園線と当時の村山線の経路が分岐する野口信号所跡。
しかも、更にややこしいことに当時の駅名は
村山貯水池前(→西武園)と村山貯水池(→多摩湖)。
自社の利益を毀損してでも乗客を混乱させんとするこの姿勢は
一体何を意味しているのでしょうか。


その種明かしは後程述べるとして、乗り潰しを続けます。
13:30発西武バス所18系統所沢駅西口行きに乗り換え。


所沢駅で一服します。
この辺りは狭山茶の産地なので抹茶を飲んでみました。
これからは半田に居た時に西尾茶を飲んだ感覚で狭山茶を飲めそうですね。
14:10発西武池袋線各停小手指行きに乗り換え。


西所沢駅で14:18発西武狭山線各停西武球場前行きに乗り換え。
西武狭山線も西武西武園線と同じく娯楽施設への短距離盲腸線ですが、
需要が全然違うのか西武園線が4両編成だったのに対して
こちらは何と豪華8両編成です。
列車本数も1時間に6本ととても多く…
…幾ら何でも多過ぎない?


14:24、西武球場前駅に到着。
何だこの人の多さは!
今日はプロ野球の試合があるのでしょうか?
しかし、客層がどうも野球観戦をしに行く感じには見えないような…


なるほど、アイドルマスターのイベントがあるのか…
この所為で西武狭山線には大量の臨時列車が充当されて、
普段の倍の運行本数かつ倍の車両数で
輸送力が4倍に増強されているようです。


恐らく、周りの乗客からは僕も仲間だと思われていたことでしょうが、
僕は見向きもされないこちらの出口に向かいます。


14:33発西武山口線各停多摩湖行きに乗り換え。
元々は「おとぎ電車」と呼ばれる遊戯施設、
つまりは西武園ゆうえんちのアトラクションの一つという扱いでしたが、
昭和60年に改修して他の西武線と同じ運賃体系に組み入れられました。


運賃体系は一体化したと言っても、
山口線は案内軌条式鉄道(AGT)と呼ばれる
ゴムタイヤを用いた特殊な形式の路線な為、
今でもちょっとアトラクション感のある特殊な路線です。
勿論、他路線からの直通運転は不可能です。


何故そんな特殊な方式を採用しているかというと、
ここは狭山丘陵の只中で起伏が激しいからです。
遊戯施設だった頃は経路が違ったので
所謂普通の鉄道(但しナローゲージ)だったそうですが。


全線通しても2.8kmしかないし、
乗客数も大したことなさそうだし、
多分単線で行ったり来たりしているのだろうと思っていたら
東中峯信号場で停車しました。
どうやら、アイドルマスターの影響で山口線も増発しているようです。
でも、AGTってどうやってポイントを切り替えるのかな?


そうこうしている内に対向列車がやって来ました。
…ポイント切り替わってるよね?


切り替わっていますね。
ついつい普通の鉄道の固定観念が抜けなくて
路盤ばかりを見てしまいましたが、
AGTは側壁にあるガイドレールで進行方向を決定しているそうです。
良く見ると壁が迫り出して対向列車を曲げています。


西武山口線唯一の途中駅西武園ゆうえんち駅。
去年3月までは遊園地西駅と呼ばれており、
現在の多摩湖駅が西武遊園地駅でした。
西武園駅と西武遊園地駅と遊園地西駅があった訳ですね。
こんなの混乱しない方がおかしい。


西武園ゆうえんち駅を出るとトンネルが連続するようになります。
ぐんぐん下っていって…


最後のトンネルを出切らない所で終点です。


14:40、多摩湖駅に到着。
昭和26年以前は西武園駅村山線(現在の西武園線)の終着駅と
あからさまに競合していた駅。
同一会社内で何故そんな事が生じていたのか?


単純な話で、嘗ては同一会社ではなかったからです。
実は、現在の多摩湖線に相当する路線を敷設したのは武蔵野鉄道という
当時の西武鉄道にとって宿敵とも言える会社でした。
昭和2年にこの地に村山貯水池(多摩湖)が完成すると
観光需要に目を付けた武蔵野鉄道が村山貯水池前駅まで延伸。
それに対抗する形で、西武鉄道も長い間ほったらかしだった
箱根ヶ崎への延伸計画を転用して村山貯水池駅を開業。
ところが、戦時中に国の圧力によって両者が合併し、
現在のようなややこしい状態が生まれるに至ったのです。


この話を聞いた時からずっと疑問でした。
2社がそこまでして観光需要を取り込みたかった村山貯水池とは
一体どれだけ凄い観光地なのか?
この堤体によって水を湛えているのがその村山貯水池ですが…


…奪い合うほどですかね?
当時の都民にとってはここでも挙って訪れるくらい
自然に飢えていたということなのでしょうか。


現在多摩湖観光の目玉(?)になっている取水塔。
写生している人達が居ました。


多摩湖駅は多摩湖や西武園ゆうえんちよりも
一段下がったところにあるので、
足腰の弱い方は気を付けましょう。


では、乗り潰しも最終局面です。
15:45発西武多摩湖線各停国分寺行きに乗車。


15:52、萩山駅に到着。
これでこの辺り一帯の西武鉄道の路線は乗り潰しました。


どちらへ行っても路線が二股に分かれるという
この付近の西武鉄道の錯綜っぷりを表すような駅です。
しかも、こういう駅が半径2.6km内に
あと3つ(小川、東村山、所沢)もあるのです。
カオスですね。


最後にもう一つだけ寄り道。
以前(2022/2/26)恋山形駅を訪問した際に
「『恋』の漢字を使っている駅はあと3つある」
と書きましたが、その内の一つの西武国分寺線恋ヶ窪駅です。
何かグッズでもあったりするだろうかと思って降りてみましたが…
何一つ無いですね。
西武としては縁結びは川越に行ってくれということでしょうか。

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