(無題)

ライス大学滞在第46日目。
昨日は愛知県民としての禁断症状が出ましたが、
今度は半島民としての禁断症状が出てきました。
即ち、海が恋しい。
もし、当初の予定通りChicago(シカゴ)に行けていたら、
最寄りの海岸まで直線距離で約1,000km。
海を拝まずに一生を終える人が百万人
(千万人?)単位で居るであろう米国的な感覚で言えば、
Houston(ヒューストン)なんて海は目の前です。
ただ、一番近い海岸であるGalveston(ガルベストン)
海沿いのテーマパークがメインということから、
東海地方で言えば長島町みたいな感じなので、
海が見たい!と言って行くような場所とはちょっと違います。
もっと南知多町みたいな鄙びた海が見たい…


今日もまたBuc-ee’s(バッキーズ)から。
I-10(州間高速道路10号線)で東へと向かいます。
東へ向かう場合、これが最初で最後のBuc-ee’sです。
100mi(約160km)も行かない内に
Texas(テキサス州)を出てしまうからでしょうか。


その代わりにRest Area(休憩所)がありました。
森に囲まれた白木のロッジという
Texasらしからぬ雰囲気です。
今日は急に気温が下がったのでとっても爽やかです。


その73mi(約117km)先にあるこれまた爽やかなRest Area。
湿地帯の中の湖が綺麗です。
湿地帯が広がるこの場所はTexasではなく…


Louisiana(ルイジアナ州)です!
車で州境を越えてみました。
湿地とジャズとハリケーンの州。
今年の夏にもハリケーンで大きな被害を被っていました。


New Orleans(ニューオーリンズ)で
本場のジャズの演奏とか聴いてみたいですね…
New Orleansはここから更に240mi(約390km)もあるので
流石に日帰りは出来ませんが。


また、Louisianaと言えばミシシッピワニも有名です。
残念ながらワニは見当たりませんでした。
ちなみに、日本語ではどちらも「ワニ」になる
Alligator(アリゲーター)とCrocodile(クロコダイル)は、
後者の方が一般的に獰猛だそうです。
ミシシッピワニは前者なので安心?


Louisianaは州境付近にこれと言った見所が無いので、
Texasに蜻蛉返りしてきました。


でも、折角だからLouisianaっぽいものが食べたい!
ということで、お昼はCajun cuisine(ケイジャン料理)。
元々東海岸北部に住んでいたフランス系の住民が
イギリス軍によって追放されてLouisianaに移り住み、
そこで手に入る食材を使って作った料理のことで、
黒人奴隷が多かったということもあって、
西アフリカの影響を受けてスパイシーなものが多いです。
写真に写っているのは
左がエビやカキのフライをフランスパンに挟むPo’boy(ポーボーイ)で、
右はとろみのついたスパイシーな濃いスープのGumbo(ガンボ)。
エスニックな雰囲気なので身構えましたが、
パクチーは入っていませんでした。
ありがとうLouisiana。
親しみやすい味で美味しいです。


TexasとLouisianaの州境を成す
Sabine River(サビーン川)を下って
Port Arthur(ポートアーサー)の町にやって来ました。
道幅は滅茶苦茶広いのに車通りが全然無くてちょっと不気味…
嘗ては栄えていたのでしょうか。


この町の唯一と言って良い観光スポットの
Museum of the Gulf Coast(湾岸博物館)。
この地域の自然や歴史などについて展示しています。


割と気合が入っていますね。
大きな壁面にはPort Arthurの歴史を描いた壁画が。


Portが頭に付いているので
海運で栄えた町なのかと思いきや、
石油掘削で大賑わいした町なのだそうです。
(正確にはもう少し北のBeaumont(ボーモント)の領域。)
ただ、1901年に初の油井が完成して
僅か数年で殆ど掘り尽くしてしまったのだとか。
そんなに埋蔵量が多くなかったのかな?


いや、どう考えても掘り過ぎだろ…
アメリカ人は昔からアメリカ人ですね。
このオイルラッシュの最中に生まれたのが
Gulf Oil(ガルフ石油)とTexaco(テキサコ)です。
現在ではどちらもChevron(シェブロン)の一部になっています。
Gulf Oilは砂漠の夕方のような
色褪せた水色と橙色のガルフカラーが有名ですね。


それなのに、展示の説明で使われているのは
ガルフカラーのFord GT40(フォードGT40)じゃなくて
真紅のマツダ ロードスター(NA型)なのか…


残念ながらGT40はありませんでしたが、
Ford Model T(T型フォード)は置いてありました。
20世紀初頭に実に1500万台を売り上げ、
モータリゼーションを劇的に推し進めた世界初の大衆車として、
また現在に通じる大量生産の在り方を完成させた製品として、
歴史の授業で一度は習ったはずです。
実物は想像以上にずんぐりむっくりしていますね。


2階もありましたが、ここは地元の名士コーナーで
知らない歌手やスポーツ選手がズラーッと紹介されているだけでした。


さて、初心を忘れたわけではありません。
博物館で湾に対する思いを高めたら
いよいよ本物の湾へと向かいます。
今も操業を続ける製油所の中を縫って南へ。


真っ平らな湿地帯に定規で引いたかのような道路。
道幅も広いし、サロベツ原野より難易度が低いのでは…
ただ日本の県道相当である一般州道ながら、
何と制限速度は高速道路顔負けの75mph(約120km/h)です。
ということは、流れとしては80〜90mph(130〜145km/h)です。
HT(横山研)の運転練習には使えませんね…


Sabine River最下流部の町、Sabine Pass(サビーン・パス)。
あらゆる建物が高床式になっています。
それくらい高潮の被害が酷いのでしょうか。


これはMuseum of the Gulf Coastに展示されていた
洪水被害を受けたPort Arthurの写真。
呑気に記念撮影している様子を見るに、
これくらいの浸水は日常茶飯事なのでしょうか。
Port Arthurよりも更に下流のSabine Passともなれば
高床式にしているのも頷けます。

Sabine Passを過ぎると車通りが極端に減り、
0 to 60mph(0-100km/h加速)どころか
最高速テストも出来るんじゃなかろうかという
真っ平ら、一直線、車通りゼロの道になります。
Dodge Challenger R/T(ダッジ チャレンジャーR/T)で来たかった…
ガソリン代がとんでもないことになりそうですが。


海を求めて遂に辿り着きました、
Sea Rim State Park(シー・リム州立公園)です!
広い広いTexasの果ての果て。
電波が通じなくなってカードが使えないという、
受付からして辺境の地らしさを存分にアピールしています。


この州立公園はGulf of Mexico(メキシコ湾)沿いの
湿地帯を保存している公園。
盛夏は蚊が凄そうですが、もう秋になりつつあるので
涼しげな潮風が実に心地良いです。
こんな場所でテントを張って
のんびり過ごしたら最高だろうな…


一部の湿地には木道が設けられており、
潮を感じながら気持ち良い散策を楽しめます。
一番長いGambusia Nature Trail Boardwalk
(カダヤシ自然散策路)は残念ながら閉鎖中ですが。


入口に程近いDune Boardwalk(砂丘散策路)を歩いていくと…


Gulf of Mexicoに出ました!
何処までも続く遠浅の砂浜。
アクセスが良くないこともあって人が少ないので、
ただ波の音ばかりが聞こえます。
良い、実に良い…
ここまで来た甲斐があったなぁ…


砂の粒子が細かいからかかなり締まっており、
FF車で浜を走ることも出来ます。
アメリカ人は割とどんな砂浜でも
四駆のピックアップトラックで特攻していますが。


暫し時を忘れて海を感じます。
テントを持ってくれば良かったかな…


蟹獲りに興じている家族も居ました。
今夜のCajun cuisineの食材になるのでしょうか。
ワニは怖くないのかな…


振り返ると2本の長い飛行機雲が。
もう夕暮れか…


湿地のススキみたいな草が秋を感じさせます。
日が沈むまで佇んでいたいけど、
Houstonに帰らないといけないからな…


走行距離は335mi(539km)。
海と秋を感じられた実に良い一日でした。
これと言って特筆すべき何かがあるわけではないので、
Houstonに来たら是非ここも訪れて!とまでは言えませんが、
Houstonに長期滞在する機会があれば
疲れた時などに是非訪れてみて欲しいです。

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