ダッジ チャレンジャーR/T

ライス大学滞在第6日目。
今日は月曜日。
新たな一週間の始まり…なのですが、
今日大学へ行っても誰も居ません。
今日はLabor Day(労働者の日)で祝日なのです。
先週金曜日に教えてもらわなかったら
知らずに大学へ行っているところでした。
さて、どうしようかな…
そう言えば、米国へ来たからには
絶対にやっておかねばならないことがあるんだった。

ということで、市電とバスを乗り継いで
William P. Hobby空港(ウイリアム・P・ホビー空港)へ。


巨大さこそ正義、力こそ正義!
米国の象徴アメリカンマッスルカーの名車、
Dodge Challenger R/T(ダッジ チャレンジャーR/T)です!
これをアメリカンと呼ばずして何と呼ぶ。
古典的な角張ったフォルムと言い、
間違い無く極悪な燃費と言い、
現代社会に存在を許されていること自体が
奇跡みたいなアメ車中のアメ車です。

愛知県だとホンダS2000を貸出したりしている
Budget Car Rental(バジェットレンタカー)が
ここ米国ではマッスルカーを貸出しているので、
これを逃す手は無いと借りてみました。
ちなみに、予約クラスはStandard Elite Coupeで、
主要空港の店舗で取扱いのあることが多いです。
予約時にはDodge Challenger R/Tを確約出来ず、
借りる際にDodge Challenger R/T、
Ford Mustang GT(フォード マスタングGT)、
Dodge Charger R/T(ダッジ チャージャーR/T)の中から
その時在庫のあるもので選びます。


アメリカ人によるアメリカ人の為の車なので、
当然距離はマイル表示、燃料はガロン表示です。


しかし、表示の単位などこの車では枝葉末節に過ぎません。
この車をこの車たらしめるのは何と言ってもこのエンジンです。
圧倒的な存在感と熱量を放つ5.7L V型8気筒。
世界にその名を轟かせるHemiエンジンです。
車そのものも然ることながら、米国がヤバいのは
これをPony Car(ポニーカー)という
「若造が入門編として乗る車」
のジャンルに入れていることでしょうか。
日本では2Lの車ですら持て余すと言われるのに…
ちなみに、一人前のアメリカ人が乗るのは
フルサイズのピックアップトラックです。

何はともあれ、早速運転してみましょう。
I-45(州間高速道路45号線)で南東へ。
米国基準の広い道でさえ狭く感じるほどの巨体です。
全幅1,923mmの全長5,022mmですよ?
日本でデカい車の代名詞的存在である
トヨタ アルファードの一番大きなモデルで
全幅1,850mm、全長4,950mmなのですから、
2人乗りの車として如何に規格外か推して知るべし。
その分、直進時の安定性は抜群です。
コーナリングはそもそもカーブが存在していないので良く分かりません。

さて、5.7L、375馬力のエンジンの力はどんなものなのか、
周囲に車がいなくなった瞬間を見計らって踏み込んでみると…
うおおぉ!
キックダウンすると8速から一気に4速まで落とされ、
AT車なのにガコン!とギアの入る音がします。
と同時にエンジンが咆哮して
まるで巨人に引っ張られたかのような強烈な加速を見せます。
Freeway(フリーウェイ)を降りて
前後に車がいない交差点で踏み込んでみたら、
いとも簡単にホイールスピンして草生える。
とんでもないトルクですね…


そんなこんなで海岸にやって来ました。
Gulf of Mexico(メキシコ湾)に面した保養地
Galveston(ガルベストン)です。


Houstonに最も近いビーチということで
多くの人が休日を過ごしに訪れています。
泳ぐというよりは日光浴がメインのようですが。
海底油田の掘削が盛んな地域ですからね…


向こうの方に見えるのはGalveston Island Historic Pleasure Pier
(ガルベストン島・ヒストリック・プレジャー・ピア)
という遊園地的な施設。
Galvestonで一番有名な観光地ですが、
駐車料金が高そうなのでパスします。


しかし、折角港町まで来たので
海鮮料理は食べておきたいと思います。
蟹道楽みたいな看板のお店へ。


Crab Cake(クラブケーキ、左奥)と
Crayfishのパスタ(右手前)。
Crayfishが何なのか良く分からずに注文したらザリガニでした。
どちらもアメリカ料理の定番です。
Crab Cakeが凄く美味しかったです。
ザリガニはエビの下位互換かな…


食後は飲み物の調達の為にWalmart(ウォルマート)へ。
DodgeでWalmartなんて
僕が考え得る最もアメリカンな行為の一つです。


お次はGalvestonの街中にある博物館へ。
これが何の博物館かと言うと…


Galveston Railroad Museum(ガルベストン鉄道博物館)です。
恐らくHoustonに最も近い鉄道博物館でしょう。


年表が1980年代で終わっているのが何とも哀しい。
Galvestonは19世紀に港湾都市として栄えましたが、
1900年に襲ったハリケーンにより壊滅。
貿易港の拠点は内海のHoustonに移り、
貨物列車の需要が減ったことで鉄道も先が絶たれました。


嘗てGalveston駅を発着していた
Chicago(シカゴ)行きTexas Chief号(テキサス・チーフ号)と
St. Louis(セントルイス)行きTexas Eagle号(テキサス・イーグル号)。
それぞれ1974年と1971年に廃止されました。
(現在存在している同名のTexas Eagle号は全くの別物。)
どっちもHoustonを通っているから、
これが今でも走っていたらなぁ…


展示車両の多くには自由に立ち入ることが出来ます。
広大な米国では運行距離も半端じゃないのか
運転席は三交代制を伺わせる造りです。


往時の駅舎は土産物売り場となっています。
立派な駅舎ですね。


嘗ては列車待ちの人々で賑わったのでしょうか。
今は石膏像しかありませんが…
…と思ったらお爺さんが交じっていてビビった。


次はGalvestonの自然も見てみようと
Galveston Island State Park
(ガルベストン島州立公園)に来てみました。
GalvestonはGalveston Bay(ガルベストン湾)を閉じる砂州で、
元々何処も彼処も沼地だらけでした。
そんな昔のままのGalvestonの姿を留めているのが
このGalveston Island State Parkです。


遊歩道もぐっちょぐちょですね…
油断していると泥濘に嵌まります。
気を付けていても嵌まりますが。


湿原の只中に展望台がありました。
上ってみます。


この展望台に上がったところで
大して見える景色が変わらない感じ、
サロベツ原野を思い出しますね…


Galvestonを満喫したところでそろそろ帰ります。


表示を弄っていたら発見したのですが、
この車0-60mph Timerが標準装備されています。
静止状態から発進して60mphに達するまでの時間を測るという
ドラッグレース用の機能です。
そんなものを標準装備するのか…
試しにやってみたら6秒フラットでした。
ビビってアクセルを緩めてしまった可能性はありますが、
前の人の記録も6.4秒なのでそんなものでしょう。
今時のスーパーカーは3秒を切るそうですが、
一般人からすると6秒でも変な声が出ます…


さあ、帰って来たらお待ちかねの給油の時間です。
ムキムキマッスルなChallenger君はどれだけ呑むのか。
…119miで6.898Gだから17.3MPGか。
単位で燃費を分かり難くするとは卑怯な。
えーっと、これをkm/Lに直すと…
7.33km/Lか。
超平坦な高速道路を走っていただけでこれ!?
Texasにそんなものは存在しないから試せないけど、
峠道とか走ったら3km/Lを切るのでは…
とにかくアメリカンの何たるかを教えてくれるお車でした。
楽しかったけど、日本では乗りたくないかな…

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