今日は留学予定者向けのワクチン接種をしに行きます。
本当は朝日大学と藤田医科大学に希望を出していましたが、
枠が一杯になってしまったとかで
名古屋産業大学で受けることになりました。
名古屋なら近い?
と思ったら、所在地は尾張旭市でした。
東京の名の付く大学なのに野田市に行かされるよりはマシか。
尾張旭市なんてまず来ないので、
ついでに名鉄瀬戸線を尾張瀬戸駅まで乗っておきます。
瀬戸線は名鉄の中で孤立しているので
中々乗る機会がありません。
そんなこんなで名古屋産業大学へ。
地元の人達に交じってワクチンを接種します。
全然痛くないとか言っている人も居ますが、
普通の注射と同程度には痛かったです。
ただ、筋肉注射だと言っても
痛いのは皮膚の表面一瞬だけですね。
痛覚は皮膚にしかないのだから当然ですが。
アナフィラキシーショックを起こすこともなく、
1回目のワクチン接種は無事に終了しました。
何となく火照っているような気もするけど、
これは副作用か単なる興奮か…
ワクチン接種で興奮するとか変態か?
と思われてしまいそうですが、
実はこのワクチン接種にあたって、
乗り換えが多くて面倒臭い名鉄瀬戸線なら
車で行った方が楽じゃない?という考えの下で、
スポーツカーを借りて行ってみたのです。
スポーツカーにとっての至上命題。
それは、如何に速く、楽しく走れるかということ。
その為に、真っ当な車に須く求められる性能、
積載性、静粛性、燃費といったものをかなぐり捨てて
メーカーは様々な技術を注ぎ込むわけです。
超高回転まで吹け上がるエンジン、
地面に吸い付くようなスタイリング、
最適なパワー配分を実現する電子制御、
圧倒的な加速を実現するターボチャージャー…
しかし、ちょっと待って下さい。
脳筋素直な人ならきっとこう思うことでしょう。
「小細工なんかせずに、とにかくデカくて
馬力のあるエンジンを積めば良いのでは?」と。
そして、そんな安直な発想が大好きな
愛すべき馬鹿達によって成り立つ国が
この世には存在しています。
力こそ正義を体現したアメリカ合衆国からやって来た、
シボレー コルベット(C5型)。
エンジンでかい!→つよい!→はやい!
というアホ単純明快な思考回路の下作られた車。
(誤解かも知れませんが。)
では、ここで問題です。
この車のエンジンの排気量(≒大きさ)は
何Lあるでしょうか?
参考までに、軽自動車は0.66L、
コンパクトカーは1.0~1.5Lくらい、
高級セダンやミニバンが2.0~3.0Lくらいです。
分かりますか?
正解は5.7Lです。
換算ミスではありません。
軽自動車約9台分です。
名古屋市交通局の大型路線バス(いすゞ製)は
排気量5.2Lのエンジンで定員78人なので、
誤解を恐れずにざっくり言えば、
排気量5.7Lというのは然るべき設計をすれば
100人くらい運べる大きさのエンジンということです。
自動車税も軽自動車の8倍超えです。
それを2人乗りの車体に載せるという狂気。
こうしてアイドリングしているだけで
威圧的な熱気が押し寄せてきます。
正にアメリカンなV8エンジン。
アメ車なので当然マイル表示です。
「表示ではまだ100なのに、えらく速いなぁ」
とか言ってたら160km/hオーバーになります。
でも、mph表示で300まで切ってあるって、
480km/hも出るってこと?
と思ったら、km/h表示に切り替え出来ました。
アメ車はデカデカとmph表示があって、
km/h表示は契約書の注釈並みの小文字か
そもそも書いてないというイメージでしたが。
しかし、この目盛りの刻み方だと
mph表示では殆ど針が動かないのでは…
良く見たら油温計も摂氏表示になっているので、
日本(というか米国以外)向けの仕様になっているようですね。
こう見えて天井は取り外すことが可能で、
所謂タルガトップ型のオープンカーになっています。
欧米人はオープンカーが好きですね。
今日の天気の愛知県でオープンにしたら、
太陽とV8エンジンでこんがり焼かれてしまいますが。
あと、ボンネットは後ろから前に開くチルトボンネット。
嘗てボンネットキャッチの信頼性が低かった頃、
万が一走行中にロックが外れても風圧で開かないように
このような形式のボンネットが数多く採用されていたのですが、
現代ではほぼ絶滅したと言って良い方式です。
更に、このC5型は世界で最後の
リトラクタブルヘッドライト搭載車でもあります。
ありとあらゆる面に於いて
今日の(当時も)潮流に真っ向から抗う車ですね。
流石にこんな車を扱うレンタカー屋は無いので、
今回はカーシェアリングサービスを使ってみました。
こんな車をシェアしている人が居るというのは
流石は自動車王国愛知県。
シボレー コルベットは米国(嘗ては世界)最大手
ゼネラル・モーターズ(GM)が売り出す
フラグシップモデルのスポーツカー。
米国を代表するスポーツカーであり、
ということは即ちアメリカ人にとっては
世界の頂点に君臨するスポーツカーなわけです。
日欧の国土も肝っ玉も小さい人々は
直線番長だのすぐ壊れるだの酷評していますが、
それは単に素晴らしきアメ車に嫉妬しているだけ、
だとアメリカ人は言うわけですが、
果たして実際のところはどうなのか。
まず、この車は4速AT仕様車なのですが、
かなりマイルドな味付けに設定されているのか、
低速ではアメ車に良く言われる有り余るトルク、
みたいなものはそんなに感じません。
ちょっと踏んだらすぐホイールスピン、
とかは全くありません。
乗り心地はスポーツカーというよりも
トヨタ セルシオみたいなセダンの雰囲気ですね。
ただ、上り坂でサイドブレーキを引いていても
Dレンジにすると容赦無くクリーピングし出したり、
平坦な道で4速に入ると
アイドリングで50km/hまで勝手に加速したり、
秘めたる極太トルクを随所に窺わせます。
ペダルは若干ふわっとしていて
打てば響くような感じではなく、
ステアリングも少し重い程度で、
本気でサーキットを走ると超速い車というよりは、
数百マイルを軽々移動出来るGTカーを目指して
設計されているのでしょう。
この辺りもアメリカっぽさが滲み出ています。
お手本のようなロングノーズ・ショートデッキも
アメリカ人の嗜好を忠実に具現化しています。
巨大なV8エンジンが潜んでいるからか、
これまでのどの車よりもフロントが長いです。
しかも、前に落ち込みつつ尖っているものだから、
車体感覚を掴み難く前向き駐車でもヒヤヒヤします。
隣のプリウスと比較するとその差は歴然ですね。
では、後ろ向き駐車ならどうかと言えば、
こちらはより玄人仕様になっていて、
ホンダNSXにも引けを取らない
長大なリアオーバーハングも然ることながら、
ウインドウというよりも最早スリットに近い
絶望的な後方視界の無さが難度に拍車を掛けます。
オーナーの方が後付けでルームミラーを
一回り大きくしていますが、
それでもなおこの有様です。
市街地での使い易さ(難さ)を見た後は、
瀬戸市の奥にある雨沢峠で山道を走ります。
ギア比的には1速でも事足りそうですが、
余裕を持ってギアは2速固定で。
Dレンジで下道を穏やかに走っている分には
1,500rpmを超えることはほぼなく、
アメリカンスポーツカーの頂点とか言っても
GTカーだからどちらかと言えばセダンだな…
とか勘違いしていましたが、
2,000rpmを超えると急に「スポーツカー」になり、
3,000rpmだと自然吸気とは思えぬ加速を見せます。
見ての通り車体はかなり大きいですが、
鈍重さを感じさせる場面は一切ありません。
この辺りはきっちりスポーツカーですね。
ただ、馬力が馬力なのでちょっと調子に乗ると
いとも簡単にテールスライドしそうなので、
とにかく安全運転します。
峠を越えて多治見市のケーキ屋までやって来ました。
明らかに場違い過ぎる。
この酷暑にコルベットで走るともう汗だくなので、
かき氷で身体を冷やします。
かき氷一つの為に峠を越えてくるという
このシチュエーションが最高ですね。
その内環境保護団体から刺されそう。
帰りは中央自動車道で高速走行性を見ます。
加速車線で踏み込んでみると…
うおおぅ!
3,000rpmの時点でも相当凄かったのですが、
4,000rpm超ともなるとブォオオア!と
炎でも噴いたのかと思うような轟音を響かせます。
もう笑うしかありません。
これがV8サウンド…
アメ車に対抗意識を燃やしているのか、
何故かドイツ車がやけに煽ってくるのですが、
ちょっとflooringしてやれば簡単にぶっちぎれます。
(可能性の話をしているだけで
本当にやったわけじゃないです。)
どっしりしている、という雰囲気ではないですが、
路面に吸い付くような安定性も流石ですね。
というわけで、あっと言う間に戻って来ました。
カーシェアリングということで
満タン貸し満タン返却ではないのですが、
1/3くらいしか減っていなかったので
まあ満タンにしておくかと給油したら、
27.4Lも呑み込まれました。
嘘でしょ…
返却時にもオーナーの方とアメ車トークをしました。
ぶっちゃけ維持費はどうなのかも訊いてみましたが、
C4以降のコルベットは致命的な故障も少なく、
アメリカ人にとって思い入れのある車だけに
安価な社外パーツも未だに多く生産されているので、
故障してもそこまでの費用は掛からないとか。
そんなこんなで、人生初のアメ車ドライブでした。
日本に居ながらにして米国を感じる刺激的な時間だった…
良い車ですね。
さて、アメ車となれば皆さんの興味関心は
やっぱり燃費に向くのではないかと思いますが、
上述の通り満タン貸しではないので満タン法が使えません。
実はこんな見た目ながら燃費計も付いていたりしますが、
そこに表示される平均燃費というのが
どれだけの期間の平均か分からないので、
僕の運転単体での燃費は正直なところ謎です。
ただ、借りる時には4.81km/Lだった平均燃費が
返す時には5.21km/Lになっていたので、
下限値が5.21km/Lだということだけは明らかです。
高速道路では瞬間燃費が15~20km/Lくらいを示していたので、
オーナーの方も仰っていましたが、
下道で6〜8km/L、高速で14〜16km/Lというところでしょう。
ある程度の速度で普通に走る分には案外悪くない
…と個人的には思うのですが、如何でしょう。
寧ろ、半分未満の大きさのエンジンで
同等以下の燃費を叩き出していた
日産スカイラインGT-Rの方がヤバい気がします。
逆に凶悪なのはアイドリングです。
アメリカンサイズのV8エンジンが
停車中だろうが容赦無く燃料を燃やし続けているので、
出発時の30分間ほどの説明を聞いている間に
燃料計の針が目に見えて動くほどです。
つまり、日本の都会での街乗りなんていうのは
考え得る限り最悪の条件と言えます。
とは言え、アメ車のオーナーなんていうのは、
孫を寿司屋に連れて行く祖父母宜しく
「今日も沢山飲むなぁ、HAHAHA!」
と、極悪燃費であるほど愛おしくなるくらいの
精神の持ち主であるべきかも知れませんが。
纏めると、予想外の出費は意外と少ないというのが
維持管理の面でのコルベットの評価でしょう。
予想内の出費さえ賄えればどうにかなると。
予想内の出費…
この巨大エンジンを持っているだけで課される
年額12万円の自動車税+自動車重量税さえどうにかなれば…
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