五連休だというのに
本当に何処にも行かずに過ごすというのは、
流石に耐えることが出来ません。
況してや最もお出掛けに適した季節です。
自転車で超の付くド田舎を走るくらいなら良いのでは…
ということで、久し振りにロードバイクで
ガチな峠越えをしてみることにしました。
西春駅から7:20発名鉄犬山線急行犬山経由岐阜行きに乗車。
昨夜は西春に泊まったとはいえ、
西春からそこそこの山までは距離があるので
まずは輪行して山中を目指します。
ついでに名鉄各務原線を乗り潰します。
車内では熟睡していましたが。
大垣駅で9:11発樽見鉄道普通樽見行きに乗り換え。
この樽見鉄道に乗るというのも
大きな目的の一つだったりします。
これまた久し振りの気動車。
どうせガラ空きだろうと高を括っていたら、
中高生が多くて満員になるほどの盛況振りでした。
8割方はモレラ岐阜駅で降りたものの、
それでも席は大凡埋まっています。
本巣駅を過ぎるといよいよ山に分け入っていきます。
樽見鉄道は美しい根尾川に沿って
北へ北へと走ります。
今乗っているのはワンマン運転の普通列車ですが、
根尾川が綺麗に見える場所では案内がありました。
日当駅付近ではトンネルと橋梁で
蛇行する根尾川を串刺しにしています。
如何にも鉄道建設公団っぽい線形ですね。
あの根尾谷断層の際にある水鳥駅。
車内からちょっと見えたりしないかと思いましたが、
残念ながら良く分かりませんでした。
10:12、樽見駅に到着。
ロードバイクを組み立てていざ峠越え開始です。
とその前にちょっと寄り道。
樽見駅は実はあの淡墨桜の最寄り駅なのです。
まあ、この時期に見ても当然葉桜なのですが、
葉桜でも威厳がありますね。
樽見は南以外どちらに行っても峠という
峠ファンの聖地のような場所。
そして、国道157号は全国でも指折りの酷道であり、
福井県との県境にある温見峠は
酷道ファンの聖地でもあります。
が、遠目に見てもはっきり分かる通り、
今はまだ積雪していて冬期通行止め中なので、
今回は国道157号ではなく岐阜県道270号を走ります。
深い深い山奥を一人走るこの感じ…
久し振りですが実に良いですね。
勿論、交通量は皆無
かと思っていたのですが、
意外にも数分に1台くらいは通ります。
暫くは峠道らしからぬ緩い坂が続いていましたが、
最後の民家を過ぎると露骨に勾配がキツくなりました。
九十九折りで標高を稼いでいきます。
勾配も然ることながら、
洗い越しもどきが次から次に現れるのが辛い。
この急勾配でロードバイクの細いタイヤでは
スリップしそうになります。
水が豊富な地域なんですね。
距離自体は大したことないので峠に到着。
馬坂峠です!
馬坂トンネルが貫いています。
「天井より湧水あり 通行注意」
とかいう不吉過ぎる看板が…
幸い、殆ど直線で距離もそんなに無いので
入口から出口まで見通せますが、
トンネル内から怒濤の勢いで冷風が吹き出しています。
超巨大な業務用エアコンのようです。
向かい風に阻まれるトンネルなんてあるのか…
そして、肝心の湧水はというと…
湧き過ぎだろ!
坑口にスノーシェッドを取り付けるにしても
もう少し排水に気を遣えなかったのか。
この水深だと徒歩では靴下が濡れてしまうので、
恐る恐る自転車に乗って抜けました。
何とか馬坂トンネルを抜けました。
ここは根尾川ではなく揖斐川の集水域です。
根尾川も最終的に揖斐川と合流しますが。
こちら側も水の豊富さは相変わらずです。
年間降水量は3,200mmにも達するとか。
最早洗い越しどころか洗い越せずに沢になっている。
突如として超立派な橋が現れました。
そして、こんな山奥にしてはあまりにも広い川幅。
これはダム建設に伴う付替道路です。
この橋には五平能舞橋という
ちょっと変わった名前が付けられています。
付替道路に設けられた橋やトンネルには
ダム湖に沈んだ村の伝承などに因んだ
名前が付けられているということです。
旭丘高で僕の同期または前後だった方、
何か思い当たることはないでしょうか。
あるとちょっと嬉しいのですが。
しかし、この道路橋とトンネルしかないな!
これは誇張でも何でもなく、
この付替道路の総延長の約2割は橋梁、
約7割はトンネルが占めているので、
普通に地面の上を走る区間は1/10程度しかありません。
交差点すら橋の上にあります。
ここからは国道417号です。
右折するとこれまたマニアには堪らない
冠山峠があったりするのですが、
例によって冬期通行止め中です。
一際立派なエクストラドーズド橋。
伊勢湾岸自動車道のトゥインクルと同じ形式の橋です。
その名を徳之山八徳橋と言います。
もうお分かりですね?
そう、ここは徳山ダムによって生じた徳山湖です。
村が丸々一つ水没するということで
全国的な議論を巻き起こしたダム。
旭丘高の討論会でも中山間地域の農業として
この徳山村を例に挙げました。
あれだけ水が豊富だからこそ
この地にダムを造るという話になったんだな…
10年越しの再訪です。
徳山ダムのダムサイトは想像以上に賑わっています。
資料館は閉館中だし、ダムカードも貰えないのに…
岐阜ナンバーの車ばかりなので、
県外に出掛けられない岐阜県民が
丁度良い小旅行先に選んでいるのでしょうか。
岐阜なら飛騨高山とか下呂とかもあるのに徳山へ…?
10年前はガラケーのカメラしかなくて
思いっ切り見切れた写真しか撮れなかった放水口。
広角レンズできちんと収めるとこんな感じです。
比較対象になるものが無いので
サイズ感が湧きにくいですね…
徳山ダムを後にして下っていきます。
徳山ダムから下の道路は堤体分余計に標高があるので
橋がとても高くて空を飛んでいるようです。
しかし、トンネルの側壁に突き刺さった
スバルWRXなんかもいたので安全運転で下ります。
藤橋城まで下ってきました。
このお城、実は昔からあるものではなく、
ダム建設に伴う補償金に沸いた当時の藤橋村が
舞い上がって造っちゃったものだそうです。
こち亀の両さんみたいな使い方をしていますね。
このご時世にそこそこ人が来ているので
案外成功しているのかも知れませんが。
お城に隣接した食堂で昼食。
あまごの塩焼き定食です。
峠越えで汗をかいた後の塩焼きは反則的だ…
さっきまであんなに良い天気だったのに
昼食を取っている間に通り雨が降っていたので、
本格的に降られる前に急いで平地まで下ります。
流石は年間降水量3,200mmの地。
しかし、またしてもダム湖で中々標高が下がりません。
こちらは藤橋城の資金源となったダムの貯水湖です。
元凶の横山ダムが現れました。
この横山ダムも建設時に地元交渉が難航し、
それを見ていた上流の徳山村でも不信感が募って
徳山ダムの建設が長期化したという面があります。
ダムカードの配布が中止されている代わりに、
セルフでダムカードを撮れるフォトフレームがありました。
またまた現れたダム。
勢い良く水を吐き出す久瀬ダムです。
藤の花も綺麗ですね。
普通、山道というのは麓の都市部に近付くほど
道路状況が良くなって走りやすくなるのですが、
殊国道417号に限って言えば、
下流部から順番にダムが建設されるのに伴って
逐次付替道路が造られていった為、
「下流部ほど古い=細くて走り難い」という
逆転現象が生じています。
トンネルは特にその傾向が顕著で、
この2km超えの久瀬トンネルは車道の幅員が狭く、
ナトリウムランプで見えづらいことも相俟って
かなりヒヤヒヤさせられました。
トンネルは三国峠の悪しき思い出が…
間髪を容れず現れる長大トンネル。
この長さ1,378mの新北山トンネルが最後の関門です。
自転車通行禁止の標識があるけど、
「自転車に注意!!」ってことは
通っても良いんだよね…?
どうにか転倒することもなく濃尾平野に出ました。
ふう、これで一安心…
…しまった、電車の時刻が迫っている!
ギリギリ5分前に揖斐駅に到着しました。
急いでロードバイクを分解して袋に詰めます。
15:55発養老鉄道普通大垣行きに乗車。
何とか間に合った…
乗ってから気が付きましたが
サイクルトレインだったんですね。
まあ、乗り換えを考えると結局輪行になるし…
16:20、大垣駅に到着。
線路に葦を生やすなんて風流過ぎでは。
16:29発養老鉄道普通桑名行きに乗り換え。
桑名方面のホームは風流じゃなかったので
写真は揖斐方面の回送列車です。
この養老鉄道も目的の一つなので乗り通します。
鈴鹿山脈の麓を走ります。
4ヶ月半前はここで温泉に入りましたね。
岐阜県最南端の駅美濃松山駅を過ぎて三重県へ。
桑名駅で17:45発JR関西本線普通名古屋行きに乗り換え。
今日常に一緒に走っていたあの揖斐川水系が
こんな大河となるんだなぁ…
この後は西春へ寄って荷物を回収してから
半田へと帰りました。
コメント