北海道縦断旅行第6日目。
7:00、起床。
朝食を食べて出発です。
北海道道120号で名寄盆地を目指します。
民家の「み」の字も見当たらない無人地帯が何十kmも続く道。
嘗てはこれに沿って鉄道を敷こうとしていたというのだから
狂気の沙汰と言う他ありません。
その計画の名は国鉄美幸線。
美しく幸せな線とは何とも縁起が良さそうですが、
その実はド田舎とド田舎を
無人地帯を走って結ぶ路線で、
開業したところで黒字化など望めるはずもなく、
粗方完成していた路盤は放棄されるか、
この天の川トンネルのように車道に転用されました。
しかし、何をトチ狂ったのか
ただでさえ収益の見込めそうにない計画線の中で
更に収益の見込めない一部区間だけを先行開業しており、
その遺構が今もトロッコ王国美深として残されています。
先行開業区間の終点だったこの仁宇布駅は
当時でも60戸程度しか民家が無く、
炭鉱どころか観光地すら無いという虚無で、
営業係数は昭和49年に3,859を記録。
士幌線末端区間と比べると霞んでしまいますが、
全線を通した営業係数としては日本最悪。
「日本一の赤字線」としてその名を轟かせました。
そのお蔭で却って人々の記憶に残った面もありますが。
名寄盆地に出ました。
ただひたすらに真っ平らな農地が広がっています。
名寄駐屯地が近いからか
自衛隊の車両とも偶にすれ違います。
北海道は沖縄県と違って
自衛隊歓迎の看板を良く見ます。
道の駅びふかに到着。
森林公園びふかアイランドの中にあります。
海まで直線距離でも悠に40kmはあるのに
何処がアイランドなのだろう。
陸の孤島ということ?
チョウザメ館なる施設があるということだったので、
気になって道の駅本体そっちのけで来てみました。
おお、本当にチョウザメがいる!
嘗ては天然のチョウザメも
天塩川に遡上していたことがあるそうです。
今では養殖だけですが。
びふかアイランド内の温泉施設に泊まると
チョウザメ料理を食べることも出来るそうですが、
残念ながら道の駅のお土産には売っていませんでした。
まあ、売っていたところでキャビアなんて
YYさんくらいしか買えないけど…
チョウザメの剥製をTTと比較。
あつ森のチョウザメも丁度こんな大きさですね。
うーん、ここのところ魚と虫の知識を
あつ森に頼り過ぎているな…
チョウザメを見ていたら
いつの間にか時間がギリギリになってしまったので、
キツネ注意の名寄美深道路で急いで南下します。
何とか間に合いました。
この掘っ立て小屋が目的地です。
何故こんなものが目的なのかって?
それはここが駅だからです。
…とホームも一緒に写してみたのですが、
これでもまだ信じてもらえなさそうですね。
小屋(駅舎)の中を見せれば分かって頂けるでしょうか。
ここは正真正銘、れっきとしたJR宗谷本線の駅、
北剣淵駅です。
列車本数は上り3本/日、下り4本/日。
典型的な秘境駅ですが、
道央自動車道士別剣淵IC(日本最北の有料IC)からすぐなので、
自動車でのアクセスはかなり良いです。
しかし、自動車交通の便が良いということは
それだけ鉄道の意義が薄れるということ。
近年JR北海道に吹き荒れる廃駅ラッシュに巻き込まれ、
来春のダイヤ改正で廃止されることが決まってしまいました。
だからこそ今回多少無理をしてでも乗りに来たわけです。
同行者3人は鉄道に対する興味が
皆無と言っても良いくらいですが、
TTだけはついてきたので、
YYさんとHTに車を任せて2人で列車に乗ります。
北海道らしい板張りのホーム。
周囲は一面農地なのですが、
防風林に囲まれているので
森の中のような印象を受けます。
11:35発JR宗谷本線普通旭川行きに乗車。
そこそこの乗車率です。
11:45、東六線駅に到着。
僅か2駅分しか乗っていませんが、
ここもまた来春廃止予定の秘境駅なので
こちらにも訪問しておきます。
東六線駅は仮乗降場上がりの駅である為か、
今でも駅舎の看板には東六線「乗降場」と書かれています。
時刻表で初めてその名を見た時から、
東六線(基線から東に6本目の道路の意)という
如何にも北海道らしい駅名が
自分の中では強く印象に残っています。
中はこんな感じ。
北剣淵駅よりも広い代わりに床板はありませんね。
なお、停車する列車の本数は
北剣淵駅より1本(夜の旭川行き)だけ多いです。
東六線駅でYYさん、HTペアに合流して
車で旭川市までやって来ました。
久し振りの都会です。
折角車があるのだから
幌加内とかに行こうかとも思ったのですが、
幌加内産の蕎麦を食べて我慢します。
揚げそばなる料理もあったので頼んでみました。
海苔を噛み切ると中から蕎麦と鮭が溢れ出す
新食感の料理です。
お品書きに伝統の料理と書かれていたので
旭川の郷土料理なのかと思いましたが、
調べてもこのお店しか出て来ないので
単にこの店の伝統なのかも知れません。
旭川は道北随一の都会ということで
文化施設も充実しています。
TTが意外にも民俗に興味があるということで、
川村カ子トアイヌ記念館に来てみました。
先週国立のウポポイに行ったばかりですが、
こちらは川村カ子トというアイヌの人が
個人で設立したアイヌ資料館です。
その為、かなり小ぢんまりとした資料館ですが、
これはこれで生の様子が見られる気がして良いです。
また、鉄オタとしては一介のアイヌというだけでなく、
旭川に通った鉄道を見て一目惚れした鉄オタにして、
現・JR飯田線の最も山深い区間を測量した
伝説の測量技師としても見逃せません。
この記念館にもさり気無く
鉄道グッズが置かれていました。
外にはアイヌの住居であるチセもあります。
ウポポイにもありましたね。
但し、こちらは全面土間になっており、
伝統的な姿により近いものと思われます。
関係無いですが、部屋の片隅に佇んでいたおじさんが
館長(川村カ子トの孫)で驚きました。
お次は上川アイヌの聖地である神居古潭。
直訳すると「神の住まう場所」です。
この場所は上川盆地と石狩平野の間で
石狩川が狭窄部を成しており、
水運を利用していたアイヌにとって難所でした。
アイヌはこれをニッネカムイ(魔神)の仕業だと考え、
英雄神サマイクルによって
この地で討たれて岩になったのだという伝承が残されています。
嘗ては国鉄函館本線も石狩川の流路を
忠実に沿って走っており、
この神居古潭にも駅が設けられていたのですが、
昭和44年に神居トンネルで短絡する新線が開通して
この旧線は廃止されてしまいました。
その後サイクリングロードとして整備されましたが、
平成22年から多くの区間が通行止めとなっています。
今もなお難所ですね…
SLが三重連していそうなオブジェクトが見えますが、
冬期に入ったからかビニールシートが被されています。
日が落ちたので旭川市街に戻って来ました。
しかし、北海道の日没は早いのでまだ16時過ぎです。
というわけで、もう一つ旭川市博物館に来てみました。
ここもアイヌ関連の展示が充実しています。
市営とは思えない力の入りようです。
ただ、ここはアイヌ専門というわけではないので、
屯田兵屋や上川盆地の動植物など
旭川市に纏わる博物について展示してあります。
TTが殊に楽しそうでした。
閉館まで時間があまり無かったので
少し急足での見学だったのが残念ですが…
夜は久々に海鮮フリーでジンギスカン。
ジンギスカンというとドーム状の鉄板で
肉と野菜を焼きつつタレをどんどん掛けていって、
最終的には縁で煮るような感じになるもの
かと認識していましたが、
このお店ではタレは普通の焼肉と同じく
焼き終わった後に漬けるだけでした。
普通のジンギスカンとは違って
香ばしさがあってこれも美味しいですね。
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