南太平洋旅行第4日目。
地球温暖化で話題のあの国に飛びます。
5:00、起床。
眠い目を擦って空港へと向かいます。
Nadi国際空港(ナンディ国際空港)国内線ターミナル。
まずは国内線に乗ります。
何という建物のショボさ。
国際線ターミナルとの落差が凄まじいです。
ちなみに、こちらが国際線ターミナル。
国内線ターミナルが物置小屋に見えるくらい
先進国にも引けを取らない立派なターミナルです。
まだマグネットを買っていなかったので、
国際線ターミナルの土産物屋で買いました。
6:30発FJ3便に搭乗。
ATR42-600です。
山深いViti Levu Island(ビチレブ島)。
数多くの離島から成る国の多いオセアニアでは
飛行機が主たる交通手段となっているのは普通ですが、
アイランドホッパーの経由地としてではなく
同じ島内の空港同士をそれだけで結ぶ便があるのは、
極めて珍しいことです。
Viti Levu Islandの広さが窺えます。
ちなみに、“levu”というのはフィジー語で
「大きい」という意味の単語です。
6:49、Nausori国際空港(ナウソリ国際空港)に到着。
フィジーの首都、Suva(スバ)にある
(正確には隣町のNausori(ナウソリ)ですが)空港です。
Nadi国際空港に比べると設備は非常にショボく、
発着する国際線も殆どありません。
ターンテーブルは半屋外です。
この大きさだとターンさせる意味はあるんだろうか。
荷物を受け取ったら再びチェックインします。
持ち込み手荷物の検査が思ったより厳しくて
日焼け止めクリームを没収されてしまった…
9:00発FJ281便に乗り継ぎ。
国際空港なので一応国際線があります。
非常にレアですが。
これから向かう国は、このNausori国際空港から
週にたったの3便しか出ないこの路線が
外界からのほぼ唯一のアクセス手段で、
しかもそれが頻繁に欠航するという絶海の孤島です。
さらば、フィジーよ…!
次はもっとお金を稼ぐようになってから
リゾートアイランドにでも泊まりたいものだな…
曲がりなりにも国際線なので機内食が出ます。
申し訳程度ですが。
一応ビジネスクラスも設定されているらしく、
そちらにはちゃんとした機内食が提供されていました。
この狭いATR72-600でビジネスを設定する意味とは。
何も無い太平洋を暫く飛んでいると、
あまりにも細い環礁が見えてきました。
こんな細い環礁に人が住んでいるというのです。
(以降、フナフティ時間UTC+12.0h)
11:47、Funafuti国際空港(フナフティ国際空港)に到着。
やって来ました!
地球温暖化で真っ先に沈むと噂される国、ツバルです!
国土面積はたったの25.9km2、人口は1万人未満、
面積では4番目、人口に至ってはバチカン市国に次いで
世界で2番目に少ないというミニ国家です。
ここはその首都が置かれている
Funafuti Atoll(フナフティ環礁)の
Fongafale Island(フォンガファレ島)。
それにしても暑いな!
日本の17倍とも言われる暴力的なまでの日射しです。
早く日焼け止めを入手しなくては焼け死んでしまう…
皆が木造の簡素なカウンターに並んでいるので
一体何なのだろうと思ったら、
まさかの検疫でした。
衝撃的な国際空港だな…
パスポートコントロールもほぼこんな感じです。
受託手荷物を運ぶのは乗用車です。
専用のカートは用意出来なかったのか。
到着ロビーにFunafuti(フナフティ)の
観光マップが貼ってありました。
年間の観光客数は1,600人と聞いたけど、
こんなものを作っているんだな…
良く見たら台湾人の有志作のようですが。
空港ターミナルの軒先では
おばちゃん達が手芸品を売っていました。
ツバルでは超貴重な土産物屋です。
何という長閑な国際空港。
空港の目の前にあるのが政府庁舎です。
市役所並みですね。
まずは空港から徒歩2分のホテルにチェックインします。
ツバル唯一のホテルです。
しかし、クレジットカードは使えません。
“Credit no longer available. No Exceptions”
(最早クレジットカードは使えぬ。例外は無い)
だそうなので、
嘗ては使えた時期もあったのでしょうか…
現在はこのホテルに限らず、
ツバル全土でクレジットカードは使えません。
電子マネーも無いので完全なる現金主義です。
ツバルから出る為の航空券は
ネットで購入することが出来ず、
航空会社にメールで仮押さえをお願いして
現地で支払いをするという方式だったので、
事務所で手続きをしようと思ったら
お昼休みに入ってしまっていました。
流石は南太平洋…
サイレンが鳴らされたので何事かと思ったら、
折り返しのFJ280便が離陸していくところでした。
こんなに近くで離陸を拝める国際空港なんて
そうそうお目に掛かれるものではありません。
しかも、飛行機が飛び去ると滑走路は開放されます。
とにかく狭いツバルでは滑走路も重要な道路の一つ。
島民達がバイクで走り回っています。
何はともあれ日焼け止めを探さなくては。
そこら中の人に訊いて回り、
商店の店主に尋ねては
「うちには無いけどあそこならあるかも」
と盥回しにされて、
ほぼ全ての商店を回ったものの
結局見付けることは出来ませんでした。
ツバル人だけじゃなくて華僑も居るのに、
日焼け止め無しでどうやって生きているんだ…
没収直前にありったけ塗ったから
今日はまだ耐えられるかも知れないけど、
明日以降はどうするべきかな…
ちなみに、ここFunafutiには
人口に対して多過ぎるくらい商店があり、
「スーパーマーケット」と呼ばれるものもあります。
更には大学まで。
The University of the South Pacific(南太平洋大学)の
Tuvalu Campus(ツバル・キャンパス)です。
なお、本部はフィジーのSuvaにあります。
ここで宇宙論の国際会議が開かれたりしないかな。
…日射しが強過ぎて流石にもう耐えられなくなってきた。
あまりの暑さに引き寄せられるように
最寄りの食堂に入ったら、
またしても中華料理でした。
冷えた炭酸飲料が殺人的に美味しい。
というか、料理自体も普通に美味しい。
さて、昼休みが終わった頃合いを見計らって
再び航空会社のカウンターへと向かいます。
(正確には航空会社ではなく、
委託を受けた現地旅行会社らしい。)
ツバルから出る際に使うのは週にたった1便しかない
Tarawa(タラワ)行きのキリバス航空なのですが…
「生憎、その便は欠航になってしまったの」
…は?
ええぇぇぇ!?
何だってえぇぇ!?
これはまずい、非常にまずい!
考え得る限り最悪のタイミングでの欠航だ!
幾らでも便のあるNadiならともかく、
週に片手で足りるだけの本数しかなく、
しかもクレジットカードが全く使えないFunafutiで
超貴重なフライトが欠航になるなんて…
でも、キリバス航空が代替案を提示してくれるらしいし、
取り敢えず待つしかないな…
連絡はメールで来るということなので、
Telecom Tuvaluでwifiキーを買います。
お昼休みが14時頃に終わって午後の営業を再開しても
15時には閉まってしまうので気を付けましょう。
この切れ端にIDとパスワードが記載されていて、
これを使うとFunafuti中心部に飛んでいる
「TTC_Superwifi_XXX」(XXXには英数字が入る)に
ログインしてネットに繋ぐことが出来ます。
14日間有効の700MBでA$10。
通信速度はネットワークによってかなり差があり、
Telecom Tuvaluと政府庁舎の間で拾える
「TTC_Superwifi_CSR1」が一番速かったです。
最も速い夜の時間帯で0.8Mbpsでした。
700MBも使えない気がしてきた。
夕方になって暑さも日射しも弱まってきたら、
ホテルで原付を借りて島を巡ってみます。
Fongafale Islandの面積はたったの2.8km2ですが、
とにかく細長い為に全長は12kmもあり、
そもそも暑過ぎて数百mだって歩きたくない
という島民の思惑もあって、
物凄くバイクの数が多いです。
愛知県に於ける自動車以上です。
国際運転免許証を持ってきていなかったので
運転出来ないんじゃないかと心配でしたが、
「ツバルに免許制度なんて無いよ!」
とのことだったので無免許運転します。
八丈島以来の原付です。
細長い環礁だからそこら中ビーチだらけで
いつでも何処でも海水浴が出来る…
と思いきや、ゴツゴツした海岸が多いので
泳げる場所はそんなにありません。
あと、割とゴミが多いです。
市街地の北にFunafuti国際港
(フナフティ国際港)がありました。
これまた何とも長閑な国際港。
入口に警備員(?)は居ましたが、
何一つ訊かれたり制止されたりすることなく
当然のように入れてしまいました。
ツバルにあと8つあるその他の有人島へは
ここから出る貨客船が唯一の交通手段です。
北部のNanumea Island(ナヌメア島)、
Nanumanga Island(ナヌマンガ島)、
Niutao Island(ニウタオ島)を巡る便、
中部のNukufetau Island(ヌクフェタウ島)、
Nui Island(ヌイ島)、
Vaitupu Island(バイトゥプ島)を巡る便、
そして南部のNukulaelae Island(ヌクラエラエ島)、
Niulakita Island(ニウラキタ島)を巡る便の3路線が
1週間毎に交代で就航しているそうです。
ただでさえ隔絶されているツバルの更に深部…
1ヶ月は費やす覚悟が無いと無理ですね…
環礁の中には何隻もの船が停泊しています。
船にとっては天然の休憩所ですね。
埠頭を過ぎたら沿道の生活水準が変わりました。
流石に伝統住居とまではいきませんが、
かなり簡素な造りの家ばかりです。
この辺りになると島もより一層細くなっているので、
子供達の遊び場はこの国道です。
そして、ここがツバルを表す一枚として
世界的にも有名なスポット、
Fongafale Islandで一番細い場所です。
10mあるか無いかの幅しかありません。
最狭隘点から2km弱走ったところで
車道の終点がありました。
この先はごみ捨て場になっているようです。
ただでさえ狭いツバルでごみを処理しきれるのかな…
このごみ捨て場の先のFongafale Island最北端に
太平洋戦争時の砲台跡があるそうなのですが、
ごみ捨て場に野犬が屯していたので止めておきました。
往路で素通りしてしまったけど、
この船の残骸は太平洋戦争の戦跡なのでしょうか。
ただ、例の観光マップには載っていませんでした。
涼しくなってきてバレーボールに興じる人々。
ここは若干年齢層が高めです。
帰りにスーパーマーケットに寄って買い出し。
やはりお肉と野菜は貴重なようで、
冷凍庫で厳重に保管されています。
ツバルでアクシオン探査に成功してしまった。
…物理学科にしか通じないネタですね。
買い物をしたら、お釣りで
貴重なツバル硬貨を手に入れることが出来ました。
ツバルの通貨はオーストラリアドルなのですが、
嘗て(1980年代まで?)硬貨だけは
ツバル独自のものを発行していた時期があります。
しかし、そもそもの発行量が少ない上に
旅行者が記念に持ち帰ってしまうものだから
今では物凄く貴重な存在となっているのです。
夕食はホテルで。
スイートチリソースのかかった鶏肉とポテト。
フライドポテトが湿っぽい…
まあ、離島だから贅沢は言えないのか…?
夕食の後、政府庁舎傍でwifiを使っていたら
「あら、昼間Tarawa行きの件で来た人じゃない!」
と旅行会社のお姉さんに声を掛けられました。
おっ、何か進展があったのかな?
「貴方、行程を仮押さえしただけで
航空券の代金はまだ払っていなかったの?」
いや、クレジットカード払いが出来ないから
Funafuti到着時に現金払いすれば良いと言われたし…
「キリバス航空が代替手段を用意出来るのは
航空券を購入済だった人だけだから、
悪いけど貴方は自分自身で
どうにかしてもらわないといけないわ」
えぇ…
まあ、それは尤もなことか…
それならば、Suvaに戻る航空券を
至急手配出来ないかと尋ねたら、
「次空席があるのは…確か2/18ね」
…?
…えっ?
ええぇぇぇ!?
2週間後だって!!?
待って待っていやそんなまさかいやだって
いやいやいやいやいや
落ち着け落ち着け一旦状況を整理するんだそうだ
まず、元々乗る予定だった明日のTarawa行きIK51便。
これはもう泣いても笑っても飛ばない。
そうなると、ツバルから脱出可能な唯一の手段は
週3便(火木土)のSuva行きFJ280便のみ。
しかし、自ら公式サイトで調べてみても
直近で空席があるのは本当に2週間後の2/18(火)。
今泊まっているホテルから別の安宿に移るとしても、
恐らく1泊A$70を切ることはない。
この気候で水を取らなければ死んでしまうから、
飲食費を考えると1日A$80は絶対に掛かる。
すると、13泊でA$1,000を超える。
…持ち金が足りない!
いや、それどころかその場合、
Suvaから日本までの航空券を買い直しになるから
クレジットカードの限度額的にも帰国出来ない!
…え?これは詰みなのか?
いや、何とか無い知恵を捻り出すんだ!
数多の旅行で培ってきた経験と、
物理学科で養ってきた思考力は
こういう時にこそ真価を発揮するんじゃないか!
一縷の望みに託してキャンセル待ちをするか…?
いや、2週間先まで埋まっているような状況では
他にも多くのキャンセル待ちが居るんだろうし、
今からキャンセル待ち名簿に名前を入れても
席にありつける可能性は万に一つも無いだろう…
立席でも貨物室でも良いから乗せてくれと
フィジー・エアウェイズに頼み込むか…?
いや、航空法的にそんなことは許されないだろうし…
こうなったら恥だの何だの言っていられないから、
Suva行きの航空券を持っている人に
片っ端から当たっていって
土下座して譲ってもらえないか頼んでみるか…?
うぅ、倍額でも良いから譲ってくれ!
ビジネスクラスの料金を払っても良いから!
…ビジネスクラス?
待てよ、そう言えばさっき空席を調べた時は
搭乗クラスをエコノミーに限定していたけど、
もしこれをビジネスにも広げたとしたら…!
うおおおぉぉぉぉ!!
遂に見付けたぞ!生還への糸口を!
明後日の便のビジネスクラスが
たった1席だけ残っていた!!
不安定なwifiが途切れぬよう願いながらすぐさま予約。
た、助かった…
何でビジネスクラスを設定しているんだろうとか
昼間は悪態を吐いて本当にすみません。
今ほどビジネスクラスがあって良かったと
心から思った瞬間はありません。
12泊も延泊して日本行きの航空券を買い直すより
遥かに安く済ませることが出来ました。
これが南太平洋の非リゾート国の恐ろしさ…
同行者が「居なくて」良かったと思ったのは初めてです。
何にせよ、首の皮一枚で繋がったかな…
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