5:40、起床。
昨日は演奏会でしたが、
その後皆とご飯に行くこともなく今日は早い朝です。
5:48、彦根駅に到着。
そうです、実は昨日演奏会の後に
下宿に戻ってスーツから着替えたら、
そのまま東京駅に向かって夜行バスに乗っていました。
明日から神戸大で国際学会。
そして、今の時期は秋の関西1デイパスという
近畿のJRや一部の私鉄が
乗り放題となる切符が発売されています。
となれば、寄り道しないわけにはいかないでしょう。
6:24発近江鉄道本線米原行きに乗車。
関西1デイパスは春夏秋冬発売されていますが、
この近江鉄道も乗り放題になるのは秋だけ。
この機会に乗り潰しておきます。
何だか西武っぽい車両だなぁ
と思ったそこの貴方は中々勘が鋭くて、
実はこの近江鉄道は西武鉄道の完全子会社です。
車両も西武のお古を使っています。
JR西日本広島支社は無関係です。
フジテック前駅から見たフジテック。
前って言うほど近くないような…
米原駅で折り返し6:41発近江鉄道本線
近江八幡行きに乗り換え。
彦根-米原を乗り潰す為だけの乗車です。
夜行バスが米原駅に着いてくれれば
一番スムーズだったのですが、
残念ながらそういう便は見付かりませんでした。
高宮駅で7:06発近江鉄道多賀線多賀大社前行きに乗り換え。
スクリーンという謎の駅名…
と言うつもりでしたが、
駅名の由来は火を見るよりも明らかですね。
SCREENホールディングスが通勤用に駅が欲しいと言って
1億円を拠出して平成20年に造った駅です。
7:13、多賀大社前駅に到着。
駅を出るとすぐに大鳥居がお出迎えをする、
その名の通り多賀大社の最寄駅です。
これが多賀大社。
伊邪那岐命と伊邪那美命の2柱を祀っており、
創建時期は余りに古過ぎて良く分かっていません。
関西にはそういう神社がそこそこあるようですが。
最早渡らせる気があるのか
甚だ怪しいレベルに反っている太鼓橋。
羽柴秀吉が祈願の際に奉納した
米一万石を元に造られたことから、
太閤橋とも呼ばれています。
丸太を足掛かりにして渡れましたが、
上る時はまだしも下りる時が怖いです。
多賀大社拝殿。
まだ朝早いので殆ど人が居ません。
多賀大社には杓子を供える風習があり、
この「お多賀杓子」が訛って
「オタマジャクシ」の語源になったと言われています。
まだ社務所も開いていないようだったので
お供えすることは出来ませんでしたが。
多賀大社前駅に戻って
7:50発近江鉄道多賀線高宮行きに乗車し、
高宮駅で7:59発近江鉄道本線近江八幡行きに乗り換え。
8:57、近江八幡駅に到着。
今年3月の京都大での国際学会の折に、
散策の時間に一人京都を抜け出して
島へ渡りに来た思い出の地です。
今回は乗り潰しの為だけなので蜻蛉返りしますが。
9:14発近江鉄道八日市線彦根行きに乗り換え。
9:33、八日市駅に到着。
別にここを観光するつもりはなかったのですが、
乗り継ぎの関係上ちょっと時間が空いてしまったので
駅の周りを見てみます。
何だか神社仏閣でもありそうな土地。
八日市最古にしてミシュランの星も得た老舗、
招福楼の本店が奥にあるそうです。
この地には嘗て県内随一の賑わいを見せた「料亭街」、
延命新地が存在していました。
端的に言えば風俗街です。
一時は大津や彦根さえも凌いだそうですが、
昭和33年の売春防止法施行により解体され、
現在ではスナックが細々と残るのみになっています。
延命新地の名前の由来となった延命公園。
野生の猿が出るそうです。
…そんなに見所は無いですね。
10:18発近江鉄道本線貴生川行きに乗車。
琵琶湖沿いを走る東海道本線に対して
内陸部を補完する近江鉄道は、
意外にもトンネルや切り通しが多いです。
それが原因かは分かりませんが、
ご多分に漏れず万年赤字経営で、
今月頭には沿線自治体との協議も行われました。
上下分離方式での存続を目指すとしていますが、
県知事は「存続ありきではない」としており、
予断を許さない状況が続いています。
11:04、貴生川駅に到着。
これにて近江鉄道は完全乗車です。
貴生川駅は甲賀市の入口ということもあり、
忍者アピールがそこかしこに見受けられます。
また、狸の置物で有名な信楽焼の信楽もあり、
忍者ポーズをした狸の置物も置かれています。
その信楽へ向かう第3セクター鉄道、
信楽高原鐵道はこの貴生川駅から分岐しています。
ホームが一切分けられていない為、
ホームのど真ん中に出入場用の
改札機が置かれています。
信楽高原鐵道の列車がやって来ました。
今年下半期の朝ドラの舞台が信楽になるそうで、
意外にもかなり多くの乗客が居ました。
僕も乗りたいところですが、
残念ながら関西1デイパスの有効範囲外です。
11:21発JR草津線普通草津行きに乗り換え。
宇宙線研の某氏の実家のある地域を抜けます。
草津駅で11:52発JR東海道本線新快速姫路行きに乗り換え。
関西民にとっても、関東民にとっても
混乱の種である草津です。
ここに温泉はありません。
京都を素通りして大阪駅までやって来ました。
大阪もほぼ素通りするつもりですが。
12:48発JR大阪環状線普通内回りに乗り換え。
13:05、新今宮駅に到着。
南海電鉄との乗り換え駅です。
実は秋の関西1デイパスはJRと近江鉄道だけでなく、
京阪電車の比叡山チケット、近鉄の飛鳥チケット、
または南海電鉄の高野山チケットのどれか1枚に
引き換えることが出来ます。
そこで、今回は高野山チケットに引き換えて
前々から行ってみたかった高野山を目指します。
と、その南海電鉄の改札の脇にあった案内が…
あいりん労働公共職業安定所…
あいりん地区ってここにあったのか。
乗り換える列車まで時間があったので
あいりん労働公共職業安定所に来てみましたが…
あれ?何だか小綺麗だし小さいな。
こんなものなのか?
しかし、大阪は期待を裏切りません。
新今宮駅を出てあびこ筋を渡った目の前にある
この強烈な存在感(と悪臭)を放つこの建物こそ、
今年春に老朽化を理由に閉鎖された
旧・あいりん労働公共職業安定所なのです。
シャッターの前を陣取る何十人ものホームレス、
ガードレールに括り付けられた
青いプラスチック製の小便器、
センター(職安)の廃止に対する反対や
待遇改善を訴えるオレンジ色のやけに綺麗な幟、
そして、何より言いようもなく淀んだ臭い空気。
日本の色んな闇を凝縮したような場所です。
大きなカメラを担いでうろうろしているのは
恐らく望ましいことではなさそうなので、
乗り潰しがてら難波でも行っておきます。
13:22発南海電鉄高野線急行難波行きに乗車。
難波駅で13:30発南海電鉄高野線急行橋本行きに乗り換え。
大阪市を抜け、大阪府南部の山地へと向かいます。
創業は明治18年と、現存する日本の私鉄として
最も長い歴史を有する南海電鉄は、
柄の悪い地区を多分に通りながら
大阪と和歌山を結んでいます。
和歌山県に入ってきました。
橋本駅で14:30発南海高野線普通極楽橋行きに乗り換え。
南海高野線の橋本から先は日本有数の山岳路線。
関東で言うところの箱根登山鉄道みたいな感じです。
箱根登山鉄道はレーティッシュ鉄道と姉妹鉄道協定を結んでいますが、
こちらはモントルー=オーベルラン・ベルノワ鉄道と
姉妹鉄道協定を結んでいるそうです。
紀ノ川を渡るとぐんぐん標高を上げ始め、
高野下駅から先は民家すらあまり無いような山奥を走ります。
岩肌が荒々しい不動谷川に沿って走ります。
良くここに鉄道を通そうと思ったな…
中古沢橋梁。
日本の鉄道橋としては珍しいトレッスル橋です。
脚立のような形の橋脚を多数使用する、
陸上に建てられることの多い種類の橋です。
例としては京都府の旧・余部鉄橋が有名ですね。
まあ、橋脚が特徴なので上から見ても良く分かりませんが…
南海高野線の最急勾配である50‰が現れました。
関西では神戸電鉄有馬線や叡山電鉄鞍馬線と並んで1位タイです。
列車はレールを軋ませてゆっくりと登っていきます。
山間に佇む紀伊神谷駅。
辺りには民家など一切見当たらない秘境駅です。
平成29年度の利用者数は10人/日で
南海電鉄の中では最も利用者数の少ない駅ですが、
何と駅員が配置されています。
15:15、極楽橋駅に到着。
15:21発南海鋼索線高野山行きに乗り換え。
普通鉄道で頑張って登ってきましたが、
ここで遂に力尽きてケーブルカーにバトンタッチします。
鬱蒼とした森の中で路盤が苔生しています。
標高634m地点を通過しました。
東京スカイツリーと同じだけの高さを
鉄道で登ってきたことに感動すべきか、
これだけの高さの建造物である
東京スカイツリーそのものに感動すべきかどっちなのだろう。
勾配は山頂に向かって単調増加しており、
最大勾配は568.2‰です。
15:26、高野山駅に到着。
登りに登って標高867mにまで到達しました。
ここが鉄道としての終着点です。
ここからはバス接続となります。
15:31発南海りんかんバス21系統奥の院前行きに乗り換え。
この道は南海りんかんバスの専用道路となっています。
全然勾配も無いから普通鉄道も敷けそうなのに…
まあ、ケーブルカーを挟んでいる時点で
他の鉄道路線からは事実上分断されているので
普通鉄道を敷くメリットはあまりありませんが。
15:52、奥の院前バス停に到着。
弘法大師が1200年もの長きに渡って
未だに修行を続けているとされる地です。
弘法大師の居られる御廟へは
広大な墓地を抜けていく必要があります。
1200年前から今まで続いている為、
この豊臣秀吉の墓のように
戦国武将の墓もありますが…
このように企業の慰霊碑も数多く存在しています。
見たところ、殉職した人を弔う慰霊碑が多いようです。
このUCC上島珈琲やヤクルトのように
自社製品を模した墓石なんかもあって若干ポップな雰囲気です。
更に変わり種ではシロアリの供養塔なんてものも。
ある種の広告みたいな意味があるのでしょうか。
命を懸けて主君に奉公した戦国武士と
終身雇用で会社に使える企業戦士を重ねる見方もあるとか。
そして、この先(写真の画面外左)に弘法大師御廟があります。
高野山真言宗にとって聖地中の聖地である為、
写真撮影は堅く禁じられています。
是非自分の目でその内部を確かめてみてください。
中は結構綺麗でした。
日が暮れてしまうと真っ暗な墓地を800mも歩かねばならないので
急いでバス停へと戻ります。
何とか真っ暗になる前に国道まで戻って来られました。
バスが来るまで若干あるので
茶屋に入って時間を潰します。
17:08発南海りんかんバス51系統大門南駐車場行きに乗車。
17:15、金剛峯寺前バス停に到着。
高野山金剛峯寺です。
高野山駅行きのバスが来るまで暇があったので寄ってみました。
もう閉門していましたが…
17:21発南海りんかんバス31系統高野山駅前行きに乗車。
この後は大阪まで戻って梅田でST(大阪大)と夕食を食べ、
三宮へと向かいました。
…一応、当初の目的地は神戸です。
脚注
※「紀伊神谷駅利用者数」
cf. 平成29年度和歌山県公共交通機関等資料集
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