これまで、福島県、茨城県、山形県と
鉄道路線を乗り潰して来ましたが、
居住地の千葉県はあとちょっとのところで
まだ完全乗車出来ていません。
丁度今サンキュー♡ちばフリーパスという
千葉県内のJR全線と一部の私鉄、バスが
乗り放題になる企画切符が売られているので、
前々から行ってみたいと思っていた場所と合わせて
一気に乗り潰してしまうことにしました。
3:45、起床。
眠いですが、房総半島は大きいのです。
しかも、関東屈指の交通の便の悪さとあっては
3つ4つ目的地を回る為に早起きは避けられません。
北松戸駅から4:29発JR常磐線各停我孫子行きに乗車。
北松戸駅の始発電車です。
松戸駅に車両基地がある関係で、
北松戸駅は始発が下り、終電が上りという
住宅街としてはちょっと珍しいダイヤになっています。
柏駅で5:02発東武野田線普通船橋行きに乗り換え。
東武野田線はフリーパスのエリア外なのですが、
これを使わないと後の行程が
どうしても上手くいかなかったので…
2日連続で東武野田線に乗ることになろうとは。
船橋駅で5:44発JR総武本線快速君津行きに乗り換え、
君津駅で6:48発JR内房線普通館山行きに乗り換え。
この辺はひたすら寝ていたので何も覚えていません。
7:55、館山駅に到着。
内房線沿線は今年の台風で甚大な被害を受けており、
館山駅の電光掲示板も復興仕様になっています。
更に先へと進みます。
8:08発JR内房線普通安房鴨川行きに乗り換え。
8:46、太海駅に到着。
千葉県が未曾有の災害を経験することになろうとは
夢にも思っていなかった2ヶ月半前、
自転車で訪れていた仁右衛門島への最寄り駅です。
渡船の就航状況が駅に掲示されているんですね。
あの時は日が暮れていたので渡れませんでしたが、
今日こそは千葉県唯一のこの有人離島に渡ります。
船着き場はここのようだけど…
誰も居ないな…
立て札には8:30から絶えず運航と書いてあるけど…
困惑しながら船着き場でうろうろしていたら、
島の方から小型のモーターボートがやってきました。
どうやら、船着き場の様子を監視していて
利用者が来ると随時舟でやって来るようです。
6人乗りの小さな舟で島へと向かいます。
ものの2分で仁右衛門島に到着。
港のターミナル的な建物で往復分の渡船料
(実質的な上陸料)を支払います。
小さな小さな島ですが、お土産も売っていました。
記念写真用のベンチ?
もうちょっと頑張れなかったのだろうか。
島内には遊歩道が整備されていて、
順路も示されているのでそれに沿って歩きます。
この島は平野仁右衛門を名乗る島主が
代々受け継いできた個人所有の島で、
住民もその一族の3人だけです。
島の最西端。
やはり近いですね。
夏なら泳いで渡ってみたいところです。
航路は遊泳禁止だそうですが。
島主の邸宅も公開されています。
立派な平屋建てです。
ここも台風で被害を受けたのか
屋根の一部にブルーシートが被せられています。
中はこんな感じ。
3人で暮らすには持て余しそうですね。
今度は邸宅の裏手から島の東部へ。
これは日蓮聖人が朝日を拝んだとされている
神楽岩という名前の岩だそうです。
石橋山の戦いで落ち延びた源頼朝が隠れたとされる隠れ穴。
初代平野仁右衛門がこの島を得たのも、
源頼朝を匿ったことに対する報酬だとか
…と、島主は主張していますが、
平野仁右衛門がこの地にやって来たのは
江戸時代だという説もあり、
真偽の程は定かではありません。
太平洋を望むベンチ。
良いですねぇ。
ここから朝日を拝めたら…
しかし、仁右衛門島に宿泊することは出来ないので、
ここから朝日を見られるのは島主だけです。
中高年観光客5人組も見掛けましたが、
この仁右衛門島を訪れる人の多くは
岩礁での磯釣りを目的としているようで、
今日も朝から多くの人が釣り糸を垂らしていました。
20分しか滞在していませんが、
この後の行程がキツキツなので戻ります。
のんびり回ったとしても30分あれば
十分事足りる程度の大きさではありますが。
帰りはまさかの手漕ぎ舟でした。
風情があっていとをかし…
なのですが、時間に追われている今は
気が気ではありません。
岸に着いたら駅までダッシュです。
な、何とか間に合った…
太海駅から9:39発JR内房線普通安房鴨川行きに乗車。
安房鴨川駅で9:47発JR外房線普通千葉行きに乗り換え。
10:11、鵜原駅に到着。
外房の地図を見ていたら
その名も「理想郷」なる観光地を見付けてしまったので、
気になって来てみました。
確かに、「理想郷」という場所があるようですね。
おお、これは確かに美しい…
自分の住む千葉県にこんな綺麗な海岸があったなんて…
恥ずかしながら全く知りませんでした。
松戸からだとここまで来るのに
名古屋へ行くのと大差ないくらい時間が掛かるので、
知らないのも当然と言えば当然ですが。
しかし、理想はもっと高いようで、
この美しい海岸でも理想郷ではないそうです。
漁港の裏の細い細いトンネルを抜けると…
着きました!
鵜原理想郷です。
鵜原の中でも特に海岸線の入り組んだこの一帯が、
鵜原理想郷として整備されているようです。
高台にある黄昏の丘から見た先程の入り江。
海の色が本当に綺麗ですね。
ただ、鵜原理想郷の素晴らしさは
海そのものも然ることながら、
最大の見所はこの海蝕崖です。
まるで古代遺跡のような芸術性で、
荒々しさと同時にたおやかさも感じさせます。
白鳳岬から何やら下るような獣道があります。
海蝕崖をもっと間近に眺められるのでしょうか。
最後の部分は崖が地層に沿って階段状に削られており、
鎖場ならぬ紐場になっていました。
磯釣り用の道とかなのでしょうか。
ただ、このロープの括り付けられていた杭は
潮風の所為でかなり風化していたので、
これより下りるのは止めておきました。
しかし、読み通り海蝕崖は間近に見られました。
再び遊歩道に戻ります。
順路が多過ぎでは。
毛戸岬から見た白鳳岬。
石切場の跡らしきものがありますね。
江戸城築城にでも用いたのでしょうか。
その毛戸岬には何と民家が。
理想郷に住んでいるのか…
車道が通じていないので
暮らすには難儀しそうな土地柄ですが。
波のように岩が露出した手弱女平。
この先にあるのが…
鐘のモニュメントです。
ありがちな「恋人の聖地」かと思いましたが、
そのようなことは特に明記されていません。
東にはかつうら海中公園の海中展望塔が見えます。
海中公園も気にはなりますが、
時間が絶対的に足りないので今回はパスです。
何やらゴウゴウと音がすると思ったら
沖合いに戦闘機が2機飛んでいました。
理想郷と言えど防衛と無縁ではないんですね。
遊歩道でもう一つの出口へと向かいます。
海面際の岩に道を渡していたかのような
掘削と杭の跡が見えるな…
またしても細い細いトンネルを抜けると…
現世に戻ってきてしまいました。
この薄暗い道が理想郷に続いているとは思うまい。
トンネルを出てすぐのところに温泉宿があり、
トンネル風呂という気になる文言もありましたが、
残念ながらやはり時間がありません。
想像よりずっと良い場所だったから
今度はもっとゆっくり訪れたいな…
まだまだトンネルは続きます。
連続トンネルの途中に
「鵜原温泉一の湯」と書かれた小さな小屋が。
これがトンネル風呂?
それとも、源泉でしょうか。
鵜原駅まで戻ってきました。
今度は列車到着まで2分くらいある余裕の帰着です。
11:22発JR外房線普通千葉行きに乗車。
11:41、大原駅に到着。
さあ、いよいよ乗り潰しの本番です。
いすみ市の太平洋岸にある大原駅から
房総半島のど真ん中までを貫くローカル線、
いすみ鉄道に乗ります。
いすみ鉄道はいち早く観光化に取り組んだローカル線で、
大原駅の売店でも多くのグッズが売られています。
何気にフリーパスの有効範囲内でもあるので、
週末観光にはもってこいです。
11:48発いすみ鉄道普通上総中野行きに乗り換え。
ロングシートが凡そ埋まる程度の乗客は居ます。
海の印象が強い房総半島ですが、
いすみ鉄道は半島を横断する形を取っている為、
そこそこ山深い地形の中を走ります。
と言っても、山無し県なので高が知れていますが。
何とも味のある駅名標。
黄色いのはラインカラーなのか日焼けなのか。
国吉駅で反対列車と行き違い。
嘗ての急行そと房のヘッドマークを掲げていますね。
大多喜駅で長時間停車。
いすみ鉄道では大原駅に次いで大きな駅です。
房総の小江戸を称する城下町だそうで、
ホームにも武士のパネルなどが置かれています。
駅舎もお城チック。
「デンタルサポート大多喜駅」と書かれていますが、
駅構内に歯医者が入っているわけではなく、
単なる命名権販売による結果です。
大多喜駅を出てすぐの橋から大多喜城が見えました。
この列車は観光列車というわけでもないのですが、
案内放送をして最大限徐行してくれます。
そんな城下町も抜け、
いよいよ田舎になってきたところで現れたのが…
12:36、久我原駅に到着。
久我原の名の上に書かれている「三育学院大学」は
やはりこの駅の命名権を買った大学です。
雑木林の中にポツンと立っている久我原駅。
千葉県下一の秘境駅とされています。
駅に通じる道はこれ唯一本のみ。
勿論、車で乗り入れることは出来ません。
とは言え、すぐそこに県道が通じているので、
他の秘境駅に比べたらアクセスは格段にマシです。
駅前の車道から見た久我原駅。
ちゃんと駅舎は全部見えていますよ。
久我原駅の命名権をまさかの大学が買っていて、
売名の為に縁も所縁も無い
秘境駅の命名権を買ったのだろうと思ったら、
本当にこの久我原駅が最寄駅のようです。
いすみ鉄道で通学している学生が居るのかは謎ですが…
次の列車まで時間があるので、
隣駅まで歩いてみます。
えらく立派な切り通しですね。
隣駅まで歩いていると
地図に面白そうなものを見付けてしまいました。
この道、ただ川で行き止まりになっているだけのどん詰まり…
に一見見えますが、
良く見ていると何か見えてきませんか?
実はこれ、道です。
橋を架けずに川を渡る洗い越しです。
大戸の洗い越しという名前のようで、
30m近い非常に大規模な洗い越しです。
こんな長さの洗い越しは本でも見たことがありません。
ただ、流石に公道ではないようで
一般車は通行禁止です。
通行可だとしてもあまり通行したくはありませんが。
渡った先に何があるのか気になるところではありますが、
渡渉用の装備が無いので大人しく引き返します。
隣駅が見えてきました。
この写真で既に全景が写っていますよ。
東総元駅に到着。
桜の木が立派な駅です。
駐輪場には三輪車が。
この地区の高齢化率の高さが垣間見える。
ここは命名権が買われていないのか
えらく古ぼけた駅名標です。
国鉄どころか戦前とかのレベルの作りでは。
ただ、こんな小さな駅ながら待合室は結構立派です。
長椅子は畳敷きになっています。
カビているのであまり座りたくはありませんが。
お神籤まで備え付けられていました。
列車待ちの間に占うのでしょうか。
ちなみに、小吉、中吉、大吉しかありません。
13:30発いすみ鉄道普通上総中野行きに乗車。
国吉駅で行き違ったあの国鉄風車両です。
この列車、実はレストラン・キハという観光列車で、
いすみ鉄道を往復しながらイタリアンのフルコースを楽しめるという
今流行りのレストラン列車になっています。
美味しそうだな…
型番もキハ(気動車+普通車)ではなく、
ちゃんとキハシ(上記+食堂車)になっています。
この辺りの細部にこだわるところは好感が持てますね。
観光列車とは言いましたが、
その為に列車本数を1本純増させられるほどの
体力の余裕はいすみ鉄道には無いので、
このレストランキハは日曜の普通列車を1本置き換える形で運行されており、
その為一番前の車両は一般客も乗れる一般車になっています。
こちらもキハ28系なので実に風情があります。
良く見たら中吊り広告も国鉄時代のものですね。
今の列車ではお目に掛かれない栓抜きも。
そもそも、栓の付いた飲み物自体ほぼ見掛けないからな…
この一般車でもさり気無くグッズ販売していました。
13:46、上総中野駅に到着。
房総半島のほぼど真ん中に位置する上総中野駅。
いすみ鉄道と小湊鐵道が結節する乗り換え駅です。
小湊鐵道は上総中野-養老渓谷の1駅間だけが
長いこと未乗のまま残されているので、
これを乗れば千葉県完全乗車はもう目前…
だというのに、豪雨災害で運転見合わせ中!?
そんな情報乗換案内で出て来なかったし、
公式サイトにも載っていなかったぞ!
…いや、良ーく見たら載っているな。
運休の情報は一番目立つように書くべきだろ!
しかも、ただでさえ千葉県下で
最も列車本数の少ない区間だというのに、
代行バスは更に本数が減っています。
これでは乗り継ぎが全く上手くいかない!
さて、どうするべきか…
代行バスでも小湊鐵道の運行には変わりないから
これに乗って完乗としてしまうか…
いや、ここはやはり鉄道で締めておきたい…
苦渋の決断ではありますが、
今回は千葉県完全乗車を諦めて
素直に観光にシフトします。
14:10発房総さとやまGO
歴史発見ルート久留里駅行きに乗り換え。
このバスもフリーパスの有効範囲内です。
14:25、弘文洞入口バス停に到着。
意外にもそこそこ人が居ます。
バス停はその名の通り、
弘文洞という観光名所への最寄りになっています。
で、その弘文洞へはこのトンネルを通って行くのですが…
実はこのトンネル自体も観光名所です。
断面が凸字形になっている上に
上半分は途中で外に出てしまっています。
何故こんな奇妙な形状になっているのでしょうか?
実はこの向山トンネル、
戦前に掘られたトンネルを昭和45年に改良する際、
出口付近にあった急カーブを解消する為に
入口はそのままに出口だけをより低い位置に変え、
更に古いトンネルを埋め戻さなかった為、
このように2階建てのトンネルが誕生したのです。
実は千葉県は全国の都道府県の中で
大分県に次いでトンネルの数が多く、
しかもその大半が市町村道にあるので、
こんな珍トンネルが眠っているんですね。
2階建てのトンネルを抜けると
地層が美しい養老川に出ました。
この養老川沿いに歩いていくと…
ありました!弘文洞です。
丁度夕陽が射し込んでいます。
え?あまり「洞」っぽくないって?
正確には弘文洞跡と呼ぶべきかも知れません。
車道のトンネルの多さも然ることながら、
それ以上に農業用水路用のトンネルが多い千葉県。
この弘文洞も元々は耕地開拓の為に
川の流路を変えるべく掘られたトンネル。
しかし、昭和54年に崩落してしまい、
今の切り通しのような形になったそうです。
水を通す為にしては断面が大き過ぎたのでは…
覆工がちゃんとしていなくて
少しずつ崩れていったのでしょうか。
弘文洞跡に気を取られていたら
足元にアオダイショウが迫っていて焦った。
外国人観光客が喜んで写真を撮っていました。
バスまで時間があったので、
もう少し歩いて出世観音まで来てみました。
YR(常滑)と5年半前に来た思い出の地です。
これで道としては繋がったけど、
鉄道としては未だに空白のままか…
弘文洞入口バス停から15:21発房総さとやまGO
歴史発見ルート久留里駅行きに乗車。
養老渓谷駅も通ります。
バスでも繋いだことは繋いだけど…
またの機会に鉄道でしっかり乗ってやる!
16:10、久留里駅に到着。
房総さとやまGOはいすみ鉄道、小湊鐵道とJR久留里線という
房総半島横断3路線を繋ぐ
とってもニッチな需要に対応しています。
乗り継ぐ列車までそんなに時間はありませんが、
昼食をここまで食べそびれていたので、
駅からちょっと歩いて食堂に入ります。
何ともボロい味のある食堂のカレーうどん。
普通、カレーうどんと言ったら
汁がカレー味になっているものを想像しますが、
これは濃い目のかけうどんに
カレールーが掛けられていました。
何処か安心感のある味ですね。
16:44発JR久留里線普通久留里行きに乗車。
木更津駅で17:30発JR内房線各停千葉行きに乗り換え、
蘇我駅で18:17発JR京葉線各停東京行きに乗り換え。
このまま直帰すると見せ掛けて
最後の最後に一つ寄り道。
市川塩浜駅で18:56発JR武蔵野線各停府中本町行きに乗り換え。
以前説明した通り、この区間は京葉線と武蔵野線が絡み合って
路線が三角形を成しているのですが、
その内の一辺である市川塩浜-西船橋はまだ未乗でした。
というわけで乗り潰します。
この後は新松戸駅で19:23発JR常磐線
各停代々木上原行きに乗り換え、
北松戸へと帰りました。
小湊鐵道の末端区間は乗れなかったけど、
乗れていたら船橋のデルタ線とかいう
とんでもなく華の無い区間が最後になっていたわけだし、
これも何かの運命だと思って
ラストはお楽しみに取っておくか…
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