(無題)

日本物理学会2019年度秋季大会第4+1日目。

7:12、起床。
酒田と言えば北前船で栄えた港町。
港へと向かいます。


定期船とびしまフェリーターミナル。
あまり島のイメージが無い山形県ですが、
実はこの酒田市にたった一つだけ有人島があります。
となれば、これはもう行くしかないでしょう。
しかし、9月の船の本数は3連休で1日2往復、
それ以外の日ともなると1日1往復だけで、
その上しょっちゅう欠航しています。
昨日も強風が吹いているわけでもないのに欠航していました。
さて、今日は如何に…


出たッ!
9:00発飛島汽船に乗船。
あれ?羽幌?
何で北海道の地名が船に書かれているんだ?
北前船のオマージュ?
と思いきや、これは本来の船がドック入りしている為
北海道の羽幌沿海フェリーから借りてきている
さんらいなぁ2という高速船なんだとか。
もっと遥かに近い粟島汽船とか
佐渡汽船から借りた方がずっと楽な気がするけど…


庄内のシンボル、鳥海山を背に沖を目指します。


10:10、勝浦港に到着。
山形県唯一かつ本州最北端の有人離島、飛島です!


残暑の長閑な離島。
良いですねぇ…


1周10kmほどあるので自転車を借りて回ります。
何と飛島には無料の貸し出し自転車があるのです。
ただ、こんな台数を用意するほど人は来るのか…?
大半は整備不良で使い物にならなくなっていましたが。


まずは港の傍にある舘岩に登って
集落を見渡してみます。


俯瞰した飛島の集落。
海岸線ギリギリまで迫った森に
追いやられるように家々が軒を連ねていますね。


こちらは集落とは逆側にある飛島海水浴場。
沖縄県の珊瑚礁由来の島ならともかく、
本土から距離のある離島に砂の海水浴場があるのは珍しいです。
と言っても、酒田から人工的に運んできた砂だそうですが。


鳥海山のシルエットも見えます。
出羽富士の異名を取るように綺麗な円錐形をしていますね。


飛島海水浴場から海岸線を歩いてみます。


ゴツゴツの流紋岩が林立しています。
これが本来の飛島の海岸の姿ですね。
飛島は海面上に出ている部分こそ小さいものの、
実は北海道沖まで続く巨大海底山脈の一部です。


賽の河原を過ぎると明神の社という神社がありました。


やけに頑丈な石垣で囲まれており、
参道も細く曲がりくねっています。
如何にも耐風性を意識した造りですが、
そんなにも冬の風が厳しいのでしょうか。
と思って気象庁の統計資料を調べてみたら
1月の平均風速が9.1m/sもありました。
参考までに、南知多は2.7m/s、あの襟裳岬でも9.9m/sです。
船って就航するんですかね…?


えらく可愛らしい飛島南灯台。
荒れ狂う日本海の只中にある孤島なのに、
こんなちっぽけな灯台で大丈夫なのかな?


島の南西部を見た後は集落へ。
そろそろお昼時なので昼食を摂りたいところです。
地図によれば食堂があるらしいけど、
それらしき建物が見当たらないような…


何度地図を見返しても、
食堂の印がこの民宿を差しています。
民宿に泊まれということ?


あっ、ラーメンの幟がある!
幟って普通軒先に掲げて通行人にアピールする為のものでは…


営業していました。
メニューはラーメンの中と大のみ。
潔いですね。


本当に作ってくれるのかちょっと心配でしたが、
ちゃんと作ってくれました。
物凄く素朴なラーメンです。
ラーメン消費量日本一の山形県なだけあって
離島でもラーメン屋はきっちりあるんですね。


腹拵えを済ませたら北東へと歩きます。


道端にテキ穴洞窟という穴がありました。
海蝕で出来た洞穴で、古代には人が住んでいたそうです。
でも、これってどう見てもコンクリートの擁壁に開けた穴では…?


と思って覗き込んでみたら…


5m程もある分厚いコンクリート壁の奥に
件のテキ穴洞窟が口を開けていました。
銀行の金庫室みたいな頑丈さで保護しているんですね。


中はこんな感じ。
冬の暴風雪に見舞われた古代の人々が
ここに身を隠していたのでしょうか。


集落の端、島の北東端にある鼻戸崎展望台まで来ました。
寺島という離小島のの背後に鳥海山が見えます。
それにしても海が綺麗ですね。


お次は島の北西側、
森に覆われた無人地帯へ行ってみます。
斜度10%の急坂を手押し車のお婆さんが登っていますね…
しかも速い。
錆だらけのママチャリでは追い付けない…


島の北西部の森は観光スポット的なものが点在しているので、
ママチャリを森の入口に置いて
まずは渚の鐘というものを目指してみます。


これが渚の鐘のようですね。
こういう鐘ってどうして大抵海沿いにあるのだろう。
山にあるものも一応存在していますが。


鐘を抜きにしても中々眺望が綺麗で良いところです。


それに引き換え、隣にあるこの八幡崎展望台は
展望台を名乗っているにも関わらず…


眺望はこの有様です。
もう少しどうにかならなかったのだろうか。
ただ、どうにかなったところで
こちらの方角に見えるのは、既に小さく見えている
二俣島とオカミ島くらいなのですが。


飛島の最高峰である高森山(標高69.0m)の近くに
飛島灯台を発見しました。
こちらは立派ですね。
どうやら午前に見た飛島南灯台は
島民用のサブ灯台のようです。


日本の渚百選に選ばれたという荒崎。
遠浅の浜に拳大の石がぽつぽつと転がっています。
条件が揃えば鏡張りになりそうですね。


再び森の中を走ります。
「グランド・法木」とかいう
魔法でも伝授してくれそうな謎の地名が書かれていますが、
何を差しているのかすら分かりませんでした。
見付けられないようでは魔法使いの資格は無いということか…?


こちらは誰かのお宅を差す標識。
飛島出身の著名人なのかと思いきや、
どうやら本当にただの個人のお宅のようです。
(同名の郷土史家は居るようだが佐渡島出身。)


しかも、標識の差す方向に行ってみても
ダムしか見当たらないという謎。
本間さんはダムの主とかなんですかね…


東北大の地震・地殻変動観測所なるものもありました。
東北大の地惑に入ればここに来られるのかな?
いや、これは流石に無人観測所か。


飛島の水瓶、四谷ダム。
渇水でダム穴ことグローリーホールが顕になっていますね。
渡鳥が淡水を求めて飛来することもあるとか。


そろそろ帰りの船の時間なので、
ママチャリを回収してギイギイ言わせながら港へ急ぎます。


16:15発飛島汽船に乗船。


17:30、酒田港に到着。
フェリーターミナルに併設されている海鮮市場で
夕食を食べてから宿に戻ります。


木造の旧・酒田灯台。
明日は滅茶苦茶朝が早いので
夜の酒田観光も程々に宿に戻って寝ました。
まあ、そもそも夜の酒田でまともに観光出来る場所は
この旧・酒田灯台くらいしか無いのですが。

脚注
※「飛島の平均風速」
   cf. 気象庁 | 過去のデータ検索

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