RESCEUサマースクール第0日目。
秋田に上陸します。
6:32、船内放送で起床。
身支度をしてロビーに行ってみると
姉妹船のゆうかりと擦れ違っていました。
22.7kt(42.0km/h)の航海速力は
新日本海フェリーの中では最も遅いのですが、
それでもかなりの速度に見えます。
港はもうすぐそこですね。
7:35、秋田港に到着。
愛知県や千葉県に比べたら勿論涼しいのですが、
北海道から来ると蒸すような暑さです。
徒歩客は秋田駅へのシャトルバスを利用できますが、
例によって最寄駅まで歩きます。
港は大型トラックだらけでちょっと危ないな…
フェリーターミナルを出てすぐのところに
秋田港駅なる駅がありました。
駅名標も立っているし、造りはどう見ても旅客駅なのに、
停まっているのは貨物列車で
駅の入口は堅く閉ざされています。
この秋田港駅はクルーズ船の乗客を対象にした
クルーズ列車専用の臨時駅であり、
クルーズ船に乗れない貧乏人は利用できないという
新十津川駅とはまた違ったタイプの乗り鉄泣かせな駅です。
クルーズ船に乗れないプロレタリアートには、
秋田港でイベントが開催される時に運行される
臨時列車を利用するという手もありますが。
新日本海フェリーだって船なんだから
利用させてくれても良いのに…
鉄道連絡船という言葉があるくらい
本来鉄道と船はお互いを補完し合う関係だった筈なのに、
現代日本のフェリーターミナルは
その多くが旅客駅から離れた場所に位置しています。
秋田港駅は何も無いところに新線を引いたのではなく、
元々あったJR奥羽本線の貨物支線を旅客化したもので、
秋田港にはそれ以外にも秋田臨海鉄道が走っています。
鉄道駅ではないですが、道の駅ならすぐ側にあります。
秋田県で最も高い建物であるセリオン
(秋田市ポートタワー)が聳える様は圧倒的です。
こんな高いタワーを建てて一体何の役に立つんだ
というお叱りの声が聞こえて来そうですが、
津波が来た時には避難所として…
使えないのかよ!
こんな高いタワーを建てて一体何の役に立つんだ。
秋田県民には失礼ながら、
「田舎」と言われて真っ先に思い浮かぶ都道府県は
個人的に秋田県をおいて他に無いのですが、
あの衝撃の苫小牧東港から来ると
秋田市も大都会に見えてきますね。
北海道や和歌山県は田舎を通り越して
秘境のイメージですが。
高齢化率が4割、平均年齢が50歳に迫り、
日本一の高齢県の名を欲しいがままにしている秋田県。
だからなのかは分かりませんが、
そこかしこに病院があります。
愛知県とは真逆ですね。
土崎神明社。
土崎神明社祭の曳山行事は半田の山車祭等と一緒に
ユネスコの世界無形文化遺産に登録されました。
のんびり30分ほど掛けて秋田港最寄りの土崎駅に到着。
苫小牧東港から浜厚真駅と大体同じくらいです。
8:59発JR男鹿線普通男鹿行きに乗車。
なまはげが有名な男鹿らしく、
1両目が赤鬼、2両目が青鬼仕様になっています。
このEV-E801系は最新式の蓄電池車で、
電化されている奥羽本線を走る時は
パンタグラフを上げて集電しながら走り、
非電化の男鹿線に入るとバッテリー走行に移ります。
烏山線なんかでも使われていましたね。
ただ、男鹿線を走る列車全てがEV-E801系ではなく、
まだ並走しているというのに
奥羽本線との保線の格差が酷い。
男鹿線の方だけ草茫々じゃないか…
男鹿線は駅名標もなまはげ仕様になっています。
駅毎に違ったなまはげなのかと思いましたが、
この図柄は男鹿線で共通しているようです。
八郎潟防潮水門。
日本最大の干拓地の一つである八郎潟ですが、
諫早湾と違って水門はそんなに長くありません。
男鹿半島のシンボルの一つ、寒風山。
頂上からの展望は「世界三景」を名乗っているとか。
他の2つはアメリカのグランドキャニオンと
ノルウェーのフィヨルドだそうです。
まずは秋田三景くらいから始めた方が…
9:49、男鹿駅に到着。
現在の男鹿線はここで終わりですが、
駅前には意味深な幅の赤い歩道が延びています。
そうです、廃線跡です。
嘗て男鹿線は男鹿駅から船川港駅まで
ちょっとだけ貨物線が延びていました。
踏切も残されています。
平成13年まで列車が走っていたとあって
遺構はかなり多いです。
但し、上の写真に映っている線路や踏切は
元々あった位置から移設されたもので、
本来操車場のあった位置には
道の駅おが・オガーレが建っています。
なるほど、「オガーレ」というのは
フランス語で駅を意味する”gare”を文字ったんだな
とドヤ顔で納得したのですが、
実際の由来は秋田弁の「おがる」(成長する)だそうです。
移設されていない廃線跡が無いか探したところ、
道の駅の建物の南にある小さな水路に
線路と信号機が残されていました。
こちらには何の案内もありませんが。
道の駅から先、船川港駅までの線路跡は
草木に覆われていてバラストさえ見えません。
が、もう少し進むと何故か線路分の幅だけ
綺麗に除草されてバラストが顕になっていました。
何故ここだけ…
ちょっと岸の方へ向かってみると、
「土木学会推奨土木遺産 船川港第一・二船入場防波堤」
なる看板が。
そんなに凄いものがあるのかな?
どう見ても普通の埠頭にしか見えないけど…
というか、遺産になるほど古いものが
こんなしっかりしたコンクリート造りなのか?
あ、新しい埠頭に飲み込まれつつあるこれのことか。
こちらは石垣造りで遺産っぽいですね。
でも、何故こんな中途半端に埋めたんだろう。
さて、廃線跡巡りを楽しんだところで
男鹿半島と言えば外せないあそこを目指します。
郵便局前バス停から11:06発
秋田中央交通男鹿北線湯本駐在所前行きに乗車。
とても年季を感じさせるバスです。
男鹿半島の背骨を越えて北海岸へと向かいます。
運賃は社会実験中の為一律200円と超お得です。
湯本駐在所前バス停で12:05発
男鹿市単独運行バス入道崎線入道崎行きに乗り換え。
嘗ては秋田中央交通が男鹿駅から
通しで運行していましたが、
利用者僅少の為末端部はデマンドバス化されました。
結構な快走路なのに時間調整の為なのか
30km/hでノロノロ運転です。
どういうダイヤの組み方をしているのだろう…
12:15、入道崎バス停に到着。
男鹿半島の端、入道崎です!
秋田県最西端の地でもありますが、
丁度北緯40°の緯線が通っているということで
「北緯40度の地」を主に推しています。
スリットの入った石が並んでおり、
このスリットが北緯40°を示しているようです。
そして岬と言えば灯台です。
このお通夜みたいな外観をした入道埼灯台は
東北に3基しかない登れる灯台の一つ。
勿論、登らないわけにはいきません。
たおやかな芝生の丘陵と荒々しい磯の対比。
但し、この芝生は後になって整備されたもので、
戦後まで入道埼灯台へは船か
獣道でしか辿り着けなかったのだとか。
入道崎の更に北には水島という島(磯)があり、
そちらにも小さな灯台が建てられています。
この磯の多さは難所らしいですね。
実際、入道埼灯台が出来る前は
秋田県近海での海難事故の6割以上が
この入道崎付近に集中していたとか。
今では土産物屋が建ち並び、
(ちょっと昭和な)観光地となっています。
大音量BGMとか、UFOで集客とか、
一昔前の観光地にはありがちだけど
岬という最果て感を感じる場所には合っていないのでは…
その点に於いては尻屋崎の右に出るものはありませんね。
とは言え、お腹が空いた身にとっては
飲食店があるのはとても有難いです。
男鹿の郷土料理である石焼料理を食べてみました。
水を張った桶に魚や海藻等を入れ、
赤熱した石を放り込んで一気に煮立てるという、
粟島のわっぱ煮と良く似た料理です。
お魚は男鹿の名産であるタイ。
ご飯にかけて鯛出汁茶漬けにするのも最高です。
お腹を満たしたら再び岬へ。
岬周辺は海岸段丘となっており
かなりの急斜面が続いているのですが、
石が階段のように積み重なって
下りられそうな場所を見付けたので海岸に下りてみます。
入道崎の波打ち際。
荒々しい景色ですが、磯のお蔭で波は穏やかです。
ん?あの岩陰にあるのは…
番屋じゃないか!
こんなところから出漁していたのでしょうか。
幾ら波が穏やかとはいえ、
これだけ岩礁だらけだと沖に出られないのでは…
でも、船着場の跡もちゃんと残っているな…
今が干潮の時間帯だからそう見えるだけで
満潮になったら余裕で出られるのでしょうか。
波打ち際に座ってみたら
ヤドカリやらカニやらエビやらを見付けて、
それらを眺めていたら時間が溶けてしまいました。
そろそろ段丘上に戻らなければ!
14:42発男鹿市単独運行バス入道崎線
湯本駐在所前行きに乗車し、
湯本駐在所前バス停で
14:54発秋田中央交通男鹿北線
みなと市民病院行きに乗り換え。
15:37、羽立駅で下車。
往路はJR男鹿線の乗り潰しの為に
男鹿駅で乗り継ぎましたが、
実は基本的には一つ手前の羽立駅での接続になっています。
15:42発JR男鹿線普通秋田行きに乗り換え。
大勢の高校生が乗っていますが、
美人率の高さは流石秋田県といったところでしょうか。
この点でも愛知県とは真逆ですね。
追分駅で16:21発JR奥羽本線普通八郎潟行きに乗り換え。
16:35、井川さくら駅に到着。
吉川美南駅などと並び、人の名前のように聞こえる
「人名駅」として知られています。
八郎潟駅まで行ったところで何も無いので、
ネタとして下車してみました。
ただひたすらに田んぼです。
ここは戦後に食糧増産と農家の働き口確保の為に
琵琶湖に次ぐ大きさを誇っていた八郎潟を
9割方干拓して造られた水田の一部。
遮る物が一切ありません。
冬とか風が凄まじそうだな…
ここの地名が「さくら」なんですね
…と納得しかけたのですが、
地図で幾ら調べてみても
「井川町浜井川新堰」という住所しか出て来ません。
この標識は一体何なんだ…
井川さくら駅の駅舎。
申し訳程度の桜の花びらの飾り付けがされています。
16:54発JR奥羽本線普通青森行きに乗車。
綴子大太鼓を模した糠沢駅舎。
上越国境の避難小屋みたいですね。
18:10、大館駅に到着。
大館駅と言えば東大にも縁があります。
忠犬ハチ公の故郷なのです。
生後間も無いハチが米俵に入れられて
上野行きの列車に乗せられたのがこの大館駅。
駅のホームにはハチ公神社まであります。
みどりの窓口にも秋田犬のぬいぐるみが。
全力で乗っかっていますね。
駅のロータリーにもハチ公の銅像が…
と思いきや、これは一般的な秋田犬の銅像のようです。
駅前には秋田犬と交流出来る施設もありましたが、
残念ながらこの時間は既に閉館していました。
19:03発JR花輪線普通盛岡行きに乗り換え。
大館駅で乗り換え待ちしている間に
大館銘菓だという煉屋バナナを買ってみました。
弘前のバナナ最中を彷彿とさせます。
しかし、こちらは流石にバナナを用いている筈…
が……駄目っ……!
理外のバナナ含有率0%……!
名前は違えどバナナ最中そのものなのでしょうか。
バナナエッセンスをふんだんに使っているので
本物のバナナを食べるよりも
「バナナの匂い」を強く感じます。
普通に美味しい。
十和田南駅でスイッチバックして盛岡を目指します。
辺りは一面真っ暗ですが、
闇夜に響くスキール音が、
ここがかなりの山岳路線であることを知らせます。
因縁の鹿角花輪駅。
大学に入って初めての泊まり掛けの鉄道旅行で
青森を目指した時に、
JR花輪線が大雨でここ止まりになっていました。
今度は無事にJR花輪線を乗り通しました。
21:57、盛岡駅に到着。
やっとこさ遅い夕食です。
サマースクールは明日から。
夕食を終えたら英気を養うべく寝ます。
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