(無題)

RESCEUサマースクール第-1日目。

6:00、起床。
泊めてくれたKKにお礼を言って札幌駅に向かいます。


正に今これから行こうとしている新十津川町が
札幌駅に広告を出していて驚きました。
しかし、広告を見て興味を抱いたからといって
鉄道ではおいそれと行けない場所だったりもします。


6:58発JR札沼線普通北海道医療大学行きに乗車。
北海道では最長級の6両編成です。


石狩当別駅で7:45発JR札沼線普通新十津川行きに乗り換え。
北海道では一般的な1両編成です。


満席じゃないか!
夏休み期間とは言え水曜日だし、
そもそもが超の付く閑散路線だから
そんなには混まないだろうと高を括っていましたが…
列車本数があまりにも減り過ぎると
有名になって逆に乗客が増える現象が生じています。
いや、もしかしたら地元利用者という可能性も…


…無いか。
石狩月形駅で列車交換の為に23分間停車した際、
乗客全員が車外に出て写真を撮り始めたのを見て
この列車には鉄オタしか居ないことを悟りました。


実はこの石狩月形駅は有人駅で、
窓口で切符を買うことが出来ます。
窓口に並んでいる鉄オタのお目当ては…


このご当地入場券です。
石狩月形駅ではなく、あの懐かしの豊ヶ岡駅ですが。
もしや、鉄オタにこのご当地入場券を買わせる為に
わざとこの列車の停車時間を長くしているのでは…


浦臼駅からやって来た反対列車からは
高校生4人とお婆さん2人が降りてきました。
これくらいが本来の利用者数なのでしょう。


懐かしの豊ヶ岡駅。
実はその気になれば1本前の列車で来て
1時間ばかり滞在することも出来たのですが、
眠過ぎてその気にならなかったので
今回は素通りするだけです。
それと引き換えに入場券は手に入りましたが。


浦臼駅。
さあ、ここからが札沼線の真骨頂、
現在の日本で最も列車本数の少ない超閑散区間です。
前回の訪問時でも既に1日3往復しかなくて
日本最少の列車本数を誇っていましたが、
4年の時を経て札沼線は更なる高みへと昇りました。


日本で2番目に発着列車の少ない鶴沼駅。
前回は夜だったので良く見えませんでしたが、
今日ははっきりとその姿を望めます。


日本で2番目(タイ)に発着列車の少ない於札内駅。
列車本数が極端に少ない割には
これと言って秘境駅というわけでもないので、
鉄オタにさえ殆ど見向きもされない可哀想な駅です。


日本で2番目(タイ)に発着列車の少ない南下徳富駅。
ここは駅舎すら無く、所謂朝礼台ホームがあるのみです。
秘境駅に数えられることもあるからか
1人だけここで下車した人が居ました。


日本で2番目(タイ)に発着列車の少ない下徳富駅。
次がいよいよ終点です。


9:28、新十津川駅に到着。
日本で最も発着列車の少ない駅です。
今日はそうとは思えないほど賑わっていますが。


降りたところで記念下車印をもらうことが出来ました。
捺している人は制服を来ていないので
JR北海道公式の下車印ではないのかも知れませんが。


新十津川駅舎。
陽光の下で見ると全く印象が変わりますね。


良く見たら、北海道の駅名標に必ず付いている
「本場の味 サッポロビール」
の宣伝が
「ようこそ 札沼線終着駅」になっています。
観光地化していますね。


駅舎内でも鉄道グッズの販売が行われています。
33年も前に無人駅化された新十津川駅ですが、
前述の極端な列車本数削減により全国的に有名となり、
棚ぼた的に「観光資源」を得た新十津川町観光協会が
去年から窓口を間借りして営業しているのだとか。
全国からこれだけの数の鉄オタを引き寄せ、
地元の観光協会まで動かしたその驚きのダイヤとは…!


見よ!
1日1本ぽっきりです。
10:00発の普通石狩当別行き。
これがこの新十津川駅から出る列車の全てなのです。
「まだ廃止していませんよ」という
ポーズを取る為だけの究極の省力ダイヤ。
現在のみならず史上最も少ない列車本数…
と言いたいところですが、
実は同じJR北海道に1日1本日曜運休の
楓駅という伝説の駅があったので、
残念ながらそれよりは1本/週だけ多いです。
ここまで来たら寧ろ1日1本で
土日祝日のみ運行とかにしてみて欲しい。


当然のことながら、あまりにも本数が少ないので
最早公共交通としては機能しておらず、
地域の移動手段はバスが担っています。
駅舎内でも、本来は競合相手であるはずの
バスの時刻表が掲載されて利用を進める始末。
JR鶴見線大川駅もこんな感じでしたね。


新十津川駅外観。
架線や盛土が無いから、
何だか廃止されてもいない今の時点で既に駅っぽく見えないな…


コスモスで線路やホームが隠されているのも一因でしょうか。


脇を見ると、何と駅舎の外にまで
仮設の土産物屋が開かれていました。
全力で乗っかっていますね。


ちょっと歩いたところに更にもう一つ。
この情熱を少しでも乗車に向けてあげれば
もしかしたら延命出来たかも知れないのに…


中はこんな感じ。
札沼線だけではなく全道の鉄道グッズが揃っています。
こういうのって何処から仕入れるんですかね?


この後の行程上札沼線で札幌に戻ってしまうと
大幅に時間をロスしてしまうので、
駅舎に公式案内されていた代替路を使います。
新十津川役場バス停で9:56発北海道中央バス
ふるさと公園線滝川駅前行きに乗り換え。


10:07、滝川駅に到着。
こんなグライダー、前来た時にあったっけ?


どうやら、新十津川町と滝川市の間に流れる石狩川の河川敷に、
グライダーの離発着場があることを
記念して展示されているようです。


以前とは随分変わってしまった路線図。
今や留萌本線そのものが存亡の危機に瀕していますが。


時刻表も随分変わってしまいました。
嘗ては日本最長鈍行で名を馳せた根室本線も、
平成28年の台風10号によって甚大な被害を蒙ったことにより
今や東鹿越が(臨時の)終点です。
何なら滝川から富良野までの区間は
丸々無くなるとすら噂されています。


10:38発JR函館本線普通岩見沢行きに乗り換え。


10:44、砂川駅に到着。
ここで乗り換えます。
現在、鉄道路線は函館本線以外通っていませんが…


砂川市立病院バス停で11:00発北海道中央バス
歌志内線赤平昭和行きに乗り換え。


沿道に客車が静置されています。
そう、このバス路線は旧・国鉄歌志内線の代替バス。


あの歌志内市へと繋がる路線なのです。
地理の授業で資料集を読み込んだ人なら
きっと記憶に残っているはず、
日本で最小の人口を有する市です。
その人口たるや先月末の時点で3,189人。
「人口5万人以上」という市制以降の要件の
15分の1にも満たないという数字です。


11:40、歌志内市街バス停に到着。


これが日本一人口の少ない市の目抜き通りです。
当然のことながら歩行者など一人として見掛けません。


上の写真で左に見切れていたメルヘンな建物は
歌志内市郷土館「ゆめつむぎ」です。
歌志内の栄枯盛衰を見てみましょう。


歌志内はそもそも炭鉱の為に拓かれた街。
展示物も炭鉱関連が多いです。


産出した石炭を運搬する為に
国鉄歌市内線も敷設されていました。
日に8往復もあるなんて大盤振る舞いですね。


まだ1万人ほど人が住んでいた昭和56年当時の写真。
歌志内にもこんな時代があったんですね…


何故か展示されているスバル360。
半分くらい歌志内市についての展示というよりは
歌志内市が栄華を窮めていた昭和時代についての展示になっています。


当時のパチンコってこんな感じだったのか…
山の男達が偶の休日に熱狂したのでしょうか。


地下には坑内まっくら体験室なるものが。
これは歌志内っぽいですね。


中はただただ真っ暗です。
ただ、中だけじゃなくてこの体験室の周囲も暗いのは
雰囲気を出す為なのか単なる電気代の節約なのか。
色んな意味で歌志内っぽい展示です。


住友歌志内砿の求人ポスター。
ブラック企業を彷彿とさせる文言が並んでいますね。
写真に映る建物の多さにも驚かされます。
中々面白い郷土館でした。


帰りのバスまではまだ少し時間があるので、
歌志内市街をちょっと散策してみます。
こちらは歌志内市役所。


併設されているのは歌志内市立図書館…
と読み取れるのですが、完全に廃墟です。
図書館が廃止されてしまったのか…
(と思ったら、コミュニティセンター内に移転して
細々と続けられているようです。)


歌志内市役所前バス停から12:30発北海道中央バス
歌志内線滝川駅前行きに乗車。
そろそろサマースクールの会場に向かって動き始めましょう。


砂川駅で13:44発JR函館本線普通岩見沢行きに乗り換え。


岩見沢駅で15:06発JR室蘭本線普通苫小牧行きに乗り換え。
道央のJR線で唯一乗っていなかった
札幌を迂回する室蘭本線のバイパス区間です。
何故北海道最大の都市を通らないかと言えば、
この区間が元々北海道炭礦鉄道によって造られており、
旅客を運ぶことなどこれっぽっちも頭に無かったからです。


嘗てはここからも炭鉱に向かって
旧・国鉄万字線が延びていました。


栗沢、栗丘、栗山という怒涛の栗尽くし。
そんなに栗が採れるのでしょうか。


石勝線と交わる追分駅。
そもそも石勝線(旧・夕張線)も
夕張炭鉱の石炭目当てで敷かれた路線です。
この辺りはとにかく炭鉱業と共に生まれて
炭鉱業と共に死んでいます。


16:36、苫小牧駅に到着。


16:56発JR日高本線普通様似行きに…
様似!?
鵡川駅より先はもう4年も前からバス代行のはず…
どうやら、鵡川駅で様似行きの
代行バスに接続していることを示しているようです。
東鹿越止まりになった根室本線は
サボまで新しく作ったというのに…


16:56発JR日高本線普通鵡川行きに乗り換え。
苫小牧から帰る高校生達で賑わっています。


日高本線に乗り換えるなんて
まさか今から襟裳岬を目指すつもりか?
と思われるかも知れませんが、違います。
これは寄り道ではなくちゃんと目的地に向かう経路です。


17:17、浜厚真駅に到着。


湿地帯の中にポツンと佇む秘境駅。
やっぱり寄り道じゃないかと言われそうですが、
ここで降りるのは必要に迫られてのことです。


やけに広い駅前広場。
何本か轍が見えるので
一応利用者が居るのでしょうか…?


この浜厚真駅にもご当地入場券があるそうです。
当然のことながら浜厚真駅は無人駅なので
委託を受けたお店で販売しているのですが、
発売箇所であるセイコーマート厚真店は
何とここから17kmも内陸に入ったところです。
浜厚真からのバスは平日のみで1日1本。
入場券なのに鉄道利用者に買わせる気ゼロですね…


湿原を貫く北海道道287号を歩きます。


鵡川駅で折り返してきた列車を撮ったりしつつ、
向かう先は…


苫小牧東港フェリーターミナルです!
そう、サマースクールの会場へ向かう交通機関は
何を隠そうフェリーなのです!
苫小牧発着のフェリーの殆どは市街地に近い
苫小牧西港に着くのですが、
1本だけこの東港に着くものがあり、
いつの日か浜厚真駅から歩いて利用したいと夢見ていました。
この機会を逃すわけにはいきません。


19:30発新日本海フェリーらいらっく号に乗船。
便によっては遥か敦賀まで行くこともあるので
かなりの大型船です。


船内はこんな感じ。
中々華やかです。
大浴場まであるのは流石大型客船ですね。


僕が乗るのは例によって下層の2段ベッドですが。
本当は一番安い雑魚寝タイプにしようと思っていましたが、
満席だと言われたので1つ上のランクになっています。
荷物を置いたら船内を散策してみます。


ビデオシアターなんてあるのか…
ギパニス号が思い出されますね。


大型客船あるあるのゲームコーナーも完備です。
飴を落とすゲームって
船が大波で揺れたらドバドバ落ちたりするのかな?


では、苫小牧の灯に別れを告げて
一路本州を目指します。

脚注
※「歌志内市の人口」
   cf. 人口と世帯数の推移 | 北海道歌志内市

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