立山登山第2日目。
5:45、起床。
山上にしては非常に遅い朝です。
この雷鳥沢ヒュッテの朝食が6:00開始なので
これ以上早く起きても仕方無いのです。
室堂駅から1時間という立地を鑑みるに、
ガチ登山をする人向けではないんだろうな…
7時前に出発します。
今朝の天気は霧雨。
昨日のことを思えば笑みが溢れるほど良い天気です。
称名川を越えて雷鳥坂に挑みます。
橋が濡れていてちょっと怖い。
ふと後ろを振り向くと雲が晴れていました。
こんな景色だったのか!
この機会を逃すまいと足を止めて写真を撮ります。
この調子で天気が回復してくれれば…
…無理か。
残念ながら稜線は雲の中。
雷鳥坂を登りきったところにある
剱御前小舎で英気を養います。
何故東邦航空の吹き流しがここに…
伊豆諸島のヘリコミューター路線の会社では。
後に調べてみたところによると、
嘗ては山小屋への物資輸送や
山岳救助も手掛けていたそうです。
剱岳へと続く道。
今回は無理だったけど、次こそは…!
いよいよ雲中の稜線に挑みます。
雨がぱらついてきました。
9:29、別山山頂(標高2,874m)に到着。
眺望は皆無です。
晴れていれば剱岳が綺麗に見えるんだろうな…
雲中の稜線を進みます。
不思議なことに、この狭い稜線でも
岩場になっている室堂側は風雨が吹き付けているのに、
ハイマツの茂る剣沢側は無風状態です。
ほんの5mでここまで違うのか…
しかし、富士ノ折立への急登では
無風地帯など一切ありません。
台風かと思うほどの暴風雨の中を無心で登ります。
標高が上がったからか息も上がります。
正に修験道…
いつの間にか富士ノ折立は過ぎていたらしく、
気付いたら大汝休憩所に着いていました。
それくらい必死だったんです…
急いで小屋に駆け込みます。
立山曼荼羅が掲げられ、
エスニックな音楽の流れる大汝休憩所は
まるでネパールの山小屋のような雰囲気。
丁度お昼時だったので大汝うどんを注文してみました。
白菜や人参など具沢山なうどんです。
麺は短め。
悪天候の中を登ってきた身に沁みる…
のんびりと休憩している内に
外が段々明るくなってきたので出てみたら、
先程までの暴風雨が嘘のように
晴れているではありませんか。
富山湾や能登半島まで綺麗に見える!
ここまで耐えて登ってきた甲斐があったなぁ…
いつまでもこの天候が続く保証はありません。
今の内に立山を討ちます。
この岩場を登れば…
12:37、立山大汝山山頂(標高3,015m)に到着!
剱岳より16m高い立山連峰の最高峰です!
僕にとっては初の北アルプスにして初の3,000m峰です。
3,000m峰の中ではかなりお手軽な部類に入りますが、
今回は天気の所為で中々に辛かったので喜びも一入です。
今も天気は10秒単位で刻々と変わっていきます。
とは言え、横殴りの雨を耐え抜いてきた僕等にとっては
こんな天気は快晴も同然です。
険しい稜線の向こうに祠が見えました。
かなり登山者も増えてきています。
13:20、立山雄山山頂(標高3,003m)に到着。
正確にはあの祠のある位置が山頂なのですが、
あそこへ行くには登拝料500円を払わなければならないし、
既により標高の高い大汝山を登っていたので止めました。
立山は昔から信仰の対象となってきた霊山。
雄山山頂には雄山神社があり、
立派な社務所(写真左手前)も建っています。
社務所の中はこんな感じ。
御朱印も貰えます。
流行りの御朱印ガールも来るんだろうか。
祈祷は基本祠のある山頂でしてもらえるそうですが、
天候が悪化してくると社務所に変更されるそうです。
僕等が着いて10分後くらいに放送していました。
一等三角点立山。
御朱印の次は三角点がブームになったりしないだろうか。
深遠なる穂高連峰へと連なる山域。
長らく人跡未踏の地であった…
と思いたくなりますが、
加賀、信濃、飛騨の三国境であることから
加賀藩の奥山廻りによって
江戸時代から詳細な地図が得られていたそうです。
人間の領土に対する執念は凄いですね。
それでは、下山します。
雷鳥坂ほどではないですが、
ここも中々の急坂です。
一の越山荘まで下りてきました。
ここまで来れば後はもうハイキングみたいなものです。
とは言え、初夏なので雪渓なんかも残っていますが。
下にあるであろう石畳の道は
1年間に一体何ヶ月完全に使用できるんだろうか。
山肌に引っ掻き傷のような雷鳥坂を見付けました。
今朝はあそこを登っていたんだな…
こちらは歩いてきた稜線のほぼ全景。
こう見ると結構な距離ですね。
最上部はまたしても雲に隠れています。
現存する日本最古の山小屋、室堂小屋。
その建立は何と1726年にまで遡るとか。
しかも、驚くべきことに昭和60年まで現役だったそうで、
だからこそ念入りに手入れされて
この超豪雪地帯で今まで残っていたとも言えます。
建立当時のままだったのは一部の建材だけだったそうですが。
みくりが池。
立山で検索すると良く出てくる
あの「みくりが池に映る逆さ立山」は、
果たして年間何日くらい見られるのでしょうか。
あんなに晴れることってあるのかな…
逆に天気の悪い時しか
見られないものでもあれば良いんだけど。
いや、待てよ…
あった!
否、居た!
天敵を避ける為曇天や霧の時にしか現れないライチョウです!
しかも、子育ての時期だからか子連れです。
鳴き声が可愛い。
可憐なチングルマ。
この見た目で樹木です。
このチングルマも立山の厳しい自然を耐えているんだな…
室堂駅が見えてきました。
今回は若干不完全燃焼になってしまったけど、
近い内に剱岳も討つ!
その時まで待っていろ、立山連峰よ!
16:20発立山高原バス美女平行きに乗車。
雪の大谷。
この量でも中々のものですが、
最盛期には20m近い積雪があるそうです。
あっ!あれは剱岳!
何と魅惑的な姿…
毎年幾人もの登山者が吸い込まれていくのも分かります。
弥陀ヶ原の湿原を下っていきます。
途中、称名滝展望台などで観光停車してくれます。
停止目標無しで上手く停まるものだな…
弥陀ヶ原が見たい場合は進行方向左側、
称名滝が見たい場合は進行方向右側に乗ると良いです。
美女平駅で17:20発立山ケーブルカー立山行きに乗り換え。
客車の前に貨車があり、
更にその前に小さな運転席が付いています。
建設資材等の運搬にも使われるのでしょう。
貨車への積み下ろし用と思われる線路が
立山砂防軌道から延びていました。
懐かしいですね。
17:27、立山駅に到着。
下界に帰ってきました。
シャトルバスに乗ってホテルに向かいます。
登山後だからちょっと良さ目の温泉に泊まろうと、
一番安かったお部屋お任せプランで予約。
デカいザックを背負って汗臭い僕等を見てか見ずしてか
屋外にある別館だと言うではありませんか。
古い旧館にでも隔離されるのか…
…ん?
別館というか別邸というか…
まさかの専用掛け流し温泉付き一棟貸切。
正規料金なら1人3万円を超える部屋です。
およそ20代の山野郎2人で泊まる部屋ではない。
しかしまあ、折角なので思い切り満喫します。
今回の山行は運が良いのか悪いのか。
まあ、まだ僕等に剱岳は早いという
立山の神のお告げだったと考えて、
この経験を元に成長したいですね。
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