リーディング大学院の奨励金を受給しているなら
休みを取る時は有休と同じ扱い。
横山さんの言葉です。
ということは、夏休みとか冬休みとかいう
時期にとらわれずに申請して良いということか!
というわけで、研究室のホワイトボードに
休暇取得の旨を書き込んで、
同じく有休を取得したIT(元・旭丘高)と共に
日本の全登山者が憧れる岩と雪の殿堂、
剱岳を目指すことにしました
…のですが…
昨夜新宿駅西口から23:15発の夜行バスに乗り、
5:18、扇沢駅に到着。
うーん、霧雨か…
まあ、これくらいで保ってくれれば…
今の時期は立山黒部アルペンルートの始発が遅いので
もそもそと朝食を食べながら待ちます。
7:30発関電トンネル電気バス黒部ダム行きに乗り換え。
昨年一杯でトロリーバスが廃止され、
今年からは電気バスが運行されるようになりました。
日本の歴史に残る難工事となった
破砕帯の区間は青い照明になっています。
破砕帯とは地殻変動によって岩盤が砕けた層のことで、
地下水脈の通り道になっていることが多く、
ここの破砕帯は最大で毎秒660トンという
凄まじい量の地下水が噴出した為、
80mを掘り進むのに7ヶ月もの月日を要したそうです。
7:42、黒部ダム駅に到着。
ここはもう富山県です。
立山黒部アルペンルートの中で黒部ダムの堤体だけは
交通機関を通せないので徒歩連絡となっています。
雨だとちょっと怠い。
いや、これから登山をする人間が
そんなことを言っていては駄目か…
しかし、良くぞまあこんな山奥に
こんな巨大なダムを築いたものです。
黒部湖駅から8:10発黒部ケーブルカー黒部平行きに乗り換え。
全線地下なので展望は全くありません。
黒部平駅で8:30発立山ロープウェイ大観峰行きに乗り換え。
案内放送では「晴れれば素晴らしい景色が(ry」
とか言っていますが、
天気が悪過ぎてさっきの黒部ケーブルカーと
大して変わらない展望です。
大観峰駅で8:45発立山黒部貫光無軌条電車線
室堂行きに乗り換え。
関電トンネルのトロリーバスが
電気バスに置き換わった今、
日本で唯一の現役トロリーバスです。
ただでさえ運賃の高い立山黒部アルペンルートに於いて
断トツで運賃の高い交通機関であり、
この1区間10分だけで何と2,160円もします。
日本一初乗り運賃の高い鉄道になっています。
しかも、全線地下区間で眺望は皆無です。
まあ、途方も無く険しい北アルプスを
たったの10分で越えられるのですから、
2,160円分の価値は十二分にありますが。
法律上は鉄道扱いになっており、
信号設備等は鉄道のものになっています。
信号場は立山直下です。
8:55、室堂駅に到着。
標高2,450m、日本一高所にある「鉄道駅」です。
立山連峰の玄関口としてその名を知られています。
装備を身に着け、いざ入山!
何という天気…
100m先も見えません。
下界でこんな天気だったら
確実に家から出ないであろう大雨です。
しかし、ここまで来てやっぱり止めますとはいかない…
今日は4時間歩いて山小屋に向かうだけ!
サクッと歩いて明日に備えて温かい布団で眠るんだ!
雨が強過ぎて前が良く見えない…
大学1年の春に買い、
ワンゲル部の藪漕ぎでボロボロになった
6年物のレインジャケットは、
GORE-TEXの筈なのに親水性になっており、
水分が容赦無く浸透してきます。
不快なことこの上ありません。
どんどんテンションが下がっていきます。
…というか、テンションとかいう以前の問題で
この天気の中で雷鳥坂の急登や
剣沢の雪渓を越えられるのか…?
これが下界だったとしても
一日外出を見合わせるような大雨で…
しかし、この山行の為にITを説得し、
決して安くはないお金を費やしてここまで来たのも事実…
悩み抜いた末、
今日は雷鳥沢ヒュッテに泊まり、
明日は剱岳ではなく立山三山縦走を目指すことに。
撤退の判断もまた登山の技術…
残念ですが自然には勝てません。
立山三山縦走にしても可能かは微妙な状況だけど。
やっとの思いで雷鳥沢ヒュッテに到着し、
部屋に空きがあることを確認してチェックイン。
1時間しか歩いていないのに今日の行程が終わってしまった…
あまりに時間が有り余ってしまったので、
一旦室堂駅まで戻って昼食。
食堂のおばちゃんに訊いてみても、
明日も天気は悪いだろうとのこと。
ホテル立山の売店に登山用品が売っていたので、
防水性皆無となっているレインジャケットを捨て、
已む無く新しいレインジャケットを購入しました。
剱岳を目指すとか言っておいて
レインジャケットを現地調達とか
お笑いも良いところですね。
ペットボトル飲料みたいに下界の1.5倍とかではなく
普通に定価だったから
まだ良かった…?
昼食と買い出しを終えて再びヒュッテに向かおうとしたら、
先程よりも天候が悪化して横殴りの雨。
新しいレインジャケットの防水性は抜群とは言え、
これはもう外を出歩いて良い天気とは言えません。
それでもめげずに歩いていたら
不意に辺りが暗くなり、
北陸という土地柄、嫌でも落雷が頭を過ります。
命からがら雷鳥沢ヒュッテまで戻ってきました。
こういう悪天候時の山小屋は本当に偉大です。
宿の受付の人はチェックイン時と服装の違う僕を見て
一体何を思ったのだろうか。
この雷鳥沢ヒュッテは山小屋ながら
非常に天井も高く広々としており、
何と源泉掛け流しの温泉露天風呂や
暖房便座まで完備されています。
そんじょそこらのビジネスホテルより快適ですね。
天気が悪過ぎるからか大部屋は僕等で貸切状態でした。
これもまた登山。
夜は明日に備えて早めに寝ました。
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