(無題)

ポーランド出張第5日目。

6:58、起床。
昨夜は帰ってくるのが遅くて朝食を食べそびれたので、
今日は朝食抜きを覚悟して大学に向かいます。
朝一で宇宙論業界の大物、
Линде(リンデ)の講演がありました。
現在主流となっているインフレーションである
スローロール・インフレーションを提唱した人です。
Старобинский(スタロビンスキー)と言い、
この業界の大物はロシア人ばかりですね。
Линдеは渡米して結構長いからか
英語は流暢でジョークも飛ばしていました。
講演内容はCMB観測の逆問題としての
インフレーション理論について。
PLANCKの論文で出てきている
ヒルトップ・インフレーションが何なのか
恥ずかしながら良く知らなかったけど、
V(φ)=V0(1-φn/mn)という形のポテンシャルで、
m→∞の極限でV∝φをアトラクタとして持つ模型なのか。
それ以外もαアトラクタとかKKLTとか、
アトラクタを持つ模型の話ばかりでした。
まあ、上手い位置にアトラクタがあれば
制限がキツくなっても対処できるからな…

さて、今日はひたすら発表を聴くだけなのですが、
実はWarszawa(ワルシャワ)で行っておきたいところを
一つ逃してしまっていることに気が付きました。
頑張れば昼食休憩の間に行けるかも…?
ということで、午前の発表が終わったら
Och-Teatr電停(オホ=テアトル電停)へダッシュ。
市電1系統Żerań Wschodni(ジェラニ東)行きに乗車。
Plac Zawiszy電停(ザヴィシィ広場電停)へ。


やってきたのはStacja Muzeum、
即ち鉄道博物館です!
そりゃもう来るしかないですよね。
建物に掲げられている”Warszawa Główna”の標は
嘗てこの地に存在したWarszawa Główna駅(ワルシャワ本駅)のもの。
Warszawa Centralna駅(ワルシャワ中央駅)開業に伴って
廃止された同駅の跡地に造られた博物館です。


入場券は硬券を模していて中々気合が入っています。
勿論、入場の際には入鋏されます。


屋内展示はこんな感じ。
鉄道模型と鉄道用品が展示されています。


解説が殆どポーランド語しかない…
まあ、模型を見ればどんな車両かは大体分かるし、
何処かの国のヤード・○ン○法みたいな
糞単位系も使っていないのでそんなに困りませんが。


南海ラピートみたいな見た目のPm36-1型蒸気機関車。
140km/hまで出せたそうです。


こちらはボンネットバスみたいな見た目の気動車、
その名もLUX TORPEDA(豪華魚雷号)。
最高時速は115km/hで、
Kraków(クラクフ)-Zakopane(ザコパネ)間を
2時間18分で結んだそうです。
きっと200kmくらいの距離なんだろうなぁ
と思って地図を開いたら、
100km足らずしかありませんでした。
最高性能の3分の1くらいしか出せていないじゃないか…


こちらはポーランドにあった狭軌鉄道の路線図。
嘗ては昨日行ったNasielsk(ナスィエルスク)や
Płońsk(プウォニスク)からも
狭軌鉄道が延びていたようです。


旧ソ連を感じさせる武装列車。
第二次世界大戦中の1942年にドイツ軍によって製造され、
1944年にソ連軍に鹵獲された後ポーランド軍に譲渡、
その後は1960年代まで使われたとか。


昔の硬券切符のコレクション。
入場券はかなり忠実に再現していたんですね。
今ではペラッペラの紙になってしまいましたが。


ディーゼル機関車の運転台。
日本のものよりかなり大きいですね。
標準軌(軌間1,435mm)にしても大きいような…?


Санкт-Петербург(サンクト・ペテルブルク)と
Warszawaを結ぶ鉄道の1871年下半期の時刻表。
一番速いКурьерскій(特急)で
С.-Петербургを13:00に出発し、
翌日18:05にWarszawaに到着するというダイヤです。
距離は1,049kmなので表定速度は36km/hですね。
この鉄道、現在は4回も国境を跨ぐようになったこと、
そして何よりポーランド国鉄とロシア国鉄の軌間が
それぞれ異なっていることから、
現在では両都市を直通する旅客列車は存在しません。


こちらは面白枠の写真。
馴染みのある鉄道橋とは違って
橋桁の下のアーチが下に凸になっています。
これは上路ボウストリングトラス橋という珍しいタイプの橋。
これで支えになっているの?
と一瞬戸惑ってしまいますが、
アーチ状になってはいてもアーチ橋ではなくトラス橋なので
これでも何ら問題はありません。
日本でも徳島県の青雲橋や静岡県の潮騒橋などは
これと似た構造をしています。
が、鉄道橋としては結構珍しいのではないでしょうか。


こちらは鉄道黎明期の蒸気機関車。
中々シュール、悪く言えば不格好です。
上の白黒写真の蒸気機関車も
良く見ると顔から何か飛び出していますね。


さて、屋内には車両そのものは展示されていませんが、
この博物館には屋外展示もあって
そちらには数々の車両が展示されています。


武装列車もありますね。
小突いてみると物凄く分厚い装甲であることが分かります。


屋外展示は今のところ2線分しかないのですが、
すぐ側では工事が行われており、
もしかしたらその内拡張するのかも知れません。
いや、単に脇を走る国鉄線の操車場かな。
駆け足で博物館を見終えたら急いでワル大に戻ります。


午後の部も終わったら再びOch-Teatr電停へ。
今夜はWarszawa最後の夜。
5日目にして未だに旧市街を見ていないので、
今日こそ見ておかねばなりません。
市電9系統Wiatraczna(ヴィアトラチュナ)行きに乗り、
Krucza電停(クルチャ電停)で降りて
Chmielnaバス停(フミエルナ バス停)から
市バス503系統Konwiktorska(コンヴィクトルスカ)行きに乗り換え、
Plac Krasińskichバス停(クラシンスキ広場バス停)で下車。


Rynek Starego Miasta Warszawa(ワルシャワ旧市街広場)に来ました。
20時過ぎですが、まだまだ明るいからか
子供達も結構居ます。
旧市街にしては建物が新しく見えるのは
実際に建物がそんなに古くないからで、
第二次世界大戦中にドイツ軍とソ連軍から挟み撃ちされ
文字通りの焦土と化したWarszawaには、
残念ながら戦前から残る建物は殆ど存在しません。


最後の夜に食べるのは勿論Pierogi(ピエロギ)。
初日に食べたお店とは違い、
ここのお店のPierogiは炒めたタマネギと
ミニトマトが添えられています。
Pierogiは十店十味ですね。


闇に包まれつつあるZamek Królewski w Warszawie(ワルシャワ王宮)。
学会があるからという
若干受動的な理由で訪れたポーランドでしたが、
食事も美味しいし、良い感じで鄙びていて中々良いところですね。

コメント