昨夜は暑かったわけでもないのに
滝のように汗をかいて何度もうなされて目が覚め、
マジでDC2やら論文やらのストレスの所為で
自律神経失調症にでもなったんじゃないかと思いました。
身体の限界が近い…
こんな時!
休日にすべきことは唯一つ!
山に登るぞーッ!
てなわけで、実は前夜泊していました。
埼玉県の果ての果て、小鹿野町です。
実は今日、偶々宇宙論研春の遠足の日程が被って、
しかも目的地まで秩父になったそうなのですが、
彼等は外界でうろちょろしているだけなので、
向上心に溢れる僕はそんな遠足には目もくれず
もっと物理的に上を目指します。
…念押ししておきますが、被ったのは本当に偶然です。
あと、言い出しっぺは僕じゃなくて
相方のFK(東大P会)です。
利尻山で登山に目覚めたようです。
嬉しいですね。
と、一通り弁明しておく。
目指すのは埼玉県の日本百名山、両神山です。
旧・両神村の中心部にある
両神神社の村社に参拝して登山の無事を祈ります。
6:46発小鹿野町営バス日向大谷行きに乗車。
小鹿野町内なら何処まで乗っても200円均一という、
登山口へのアクセスバスにあるまじき安値です。
乗用車でも幅一杯になりそうな隘路を走ります。
こんな山道の先にもちょくちょく集落があるという。
7:19、日向大谷口バス停に到着。
正にどん詰まりと言う他ない埼玉県の果てです。
バスの乗客は僕等2人だけでしたが、
予想以上に乗用車が停まっていて、
かなり人気の山であることが窺えます。
両神山荘の裏手から登山道に入ります。
両神山荘は登山口の目の前にある
前夜泊に最適な立地の民宿なのですが、
今回は温泉に浸かりたかったので
麓の両神荘に宿泊してしまいました。
鳥居を潜り、いざ入山です。
そんなに知名度の高い山だとは思っていませんでしたが、
都心からも近い日本百名山とあってか
割と登山客は多いらしく、
道はしっかりと踏み固められています。
滑落注意の看板も立ってはいますが、
正直言ってここで滑落する要素は見当たりません。
その油断が命取り…なのでしょうか。
また、両神山と言えば鎖場が有名。
歩き始めて10分で最初の鎖があります。
とは言え、これはお試しのようなもので
鎖が無くても何ら支障を来さないような箇所ですが。
苔生した薄川沿いを登っていきます。
この日向大谷ルートは開始から1時間近く
登りらしい登りが無かったのですが、
数回薄川を渡渉したところから
いきなり九十九折が始まります。
両神山は古くから信仰の山とされており、
石像や石碑が今も数多く残されています。
こういうのってその場にあった石を彫るんだろうか。
それとも、下で彫ってから持ってくるんだろうか。
いずれにしても凄い労力だな…
弘法井戸。
500mLペットボトル1本しか
水分を持ってきていなかったので、
ここで思いきり汲んでおきます。
清滝避難小屋に到着。
今でこそ無人の避難小屋になっていますが、
嘗ては山小屋として営業していたので
炊事場などの設備も整っており、快適そうです。
布団も置いてあります。
清滝避難小屋を発ち、鈴ヶ坂を過ぎると
いよいよ鎖場が増えてきます。
しかし、高度感は無く、
岩自体も鎖無しで十分登れる程度の難度なので
登山にちょっとしたスパイスを加える程度です。
鎖場(階段)。
実は両神山には八丁峠コースという、
関東屈指の鎖場天国ルートがあるのですが、
今回は初心者のFKと一緒なので自重しました。
両神神社本社に到着。
山頂ではなく、山頂手前の尾根の平坦部にあります。
やけに凛々しい狛犬。
それもそのはず、ここ秩父地方にはオオカミ信仰があり、
この狛犬も実は犬ではなくて狛狼なんだとか。
両神神社本社からは暫く非常に歩きやすい道が続いた後、
山頂に向かって最後の登りが始まります。
鎖場も連続するようになりますが、
やはりきちんと整備されていて
危険を感じるような場面はほぼありません。
お隣の群馬県とは大分違うな…
最後の鎖場を登りつめれば…
11:02、日本百名山、両神山(1723.5m)登頂です!
日本百名山としてはかなりお手軽感がありますね。
山頂は狭く、登山者は思い思いの岩に腰掛けて休んでいます。
そんなに標高が高くないこともあって
山頂直下まで展望は殆ど無いのですが、
山頂ではいきなり360°近い展望が開けます。
この方角は天気さえ良ければ八ヶ岳が見えるとか。
遥か下方に秩父の市街地も見えます。
研究室の人々はあの辺で蠢いているのでしょうか。
山頂で一頻り休憩したら下山します。
往路は地面ばかり見ていて気付きませんでしたが、
アカヤシオが咲いています。
白井差コースへの分岐。
「廃道」と書かれていますが、
これは登山道部分の土地を所有する地権者と
行政の折り合いが付かなかったことから、
行政としては「廃道」の立場を取っているそうで、
一応道自体は今も通行可能な状態にあるそうです。
地権者に連絡すれば登らせてもらえるとか。
僕等は普通に日向大谷コースを下ります。
この時間から登ってくる人がかなり居るけど、
今日中に下山できるんだろうか…
それとも、清滝避難小屋に泊まる予定なのかな?
さて、実は一番オーソドックスな日向大谷コースにも
七滝沢コースというバリエーションルートがあります。
国土地理院の地図には載っていないような
中・上級者向きのコースなのですが、
行きと同じ経路で下ると
帰りのバスまでえらく待たされることになってしまいそうなのと、
鎖場を求めて来たのにまだまだ刺激が足りなかったことから、
全会一致で七滝沢コースを選ぶことに決めました。
整備のされ具合がメインルートとは段違いですね…
登山者もかなり少ないのか
去年積もった落ち葉がまだふかふかの状態で残っています。
七滝沢コースはこの沢沿いに下りていきます。
かなり勾配がキツく、
道中では滝が幾つも見られます。
だから「七滝沢」なのかな?
これはその中でも最大の落差を誇る
養老の滝と霧降の滝です。
スラブなど鎖場らしい鎖場も現れます。
しかし、最も危険だと思われるのは…
ザレた斜面でしょう。
非常に滑りやすく、下りだと特に体勢に気を使います。
なら登りに用いた方が良いのかというと、
コースタイムが下り1時間20分に対して
上り2時間20分という急勾配なので、
どっちもどっちという感じはします。
ただ、登山としての面白さは
メインルートよりもこちらの方が圧倒的に上です。
幽玄の渓谷沿いに、時に危険を感じながら歩くのは
これぞ山登りの神髄でしょう。
滝を幾つも見られるところもポイントが高いですね。
これは赤滝。
鉄分が多いのでしょうか。
石垣を組んであったところに
土砂崩れが起きて高巻きしているのが一目瞭然な現場。
こうした立派な石垣はそこかしこに見受けられ、
現在のメインルート開通以前は
こちらが本来のメインルートであったことが窺えます。
しかし、それにしても崩落が多くて歩きにくい…
メインルートとの分岐点である会所まで辿り着きました。
左のメインルートとの整備具合の差が一目瞭然ですね。
町営バスの中に置かれていた登山地図には
日向大谷コースのメインルートからの分岐・合流地点である
鈴ヶ坂から会所まで下り1時間20分と書かれていましたが、
滝に寄ったり休憩したりした時間も含めると
たっぷり2時間弱も掛かってしまいました。
コースタイム厳し過ぎでは。
熟達者向きコースだからコースタイムも熟達者仕様なのかな…
予想外に時間が掛かってバスに間に合うか不安でしたが、
14:41、何とか日向大谷まで帰って来ました。
山間部では珍しく「日向」と名付けるだけあって
燦々と陽光が降り注いでいますね。
両神山荘で一休み。
この看板犬ポンは今でこそこんなにおっとりしていますが、
その昔はシカやクマを追って山中を駆け回っていたとか。
サイダーを買ってささやかな祝杯を上げていたら、
女将さんがキュウリの浅漬けをくださいました。
汗をかいた後の漬物は最高!
15:10発小鹿野町営バス三峰口駅行きに乗車。
行きは貸切状態でしたが帰りは結構人が乗っていて、
1人立っている人も居ました。
直帰するのも味気ないので、
道の駅両神温泉薬師の湯で温泉に浸かり、
風呂上がりに早めの夕食を食べてから帰ります。
秩父だからとわらじカツ丼と味噌ポテトを両方頼んだら
味噌ポテトが想像以上に多くて焦った。
薬師の湯バス停18:15発小鹿野町営バス
西武秩父駅行きの終バスに乗って帰ります。
西武鉄道の新型特急Laviewが停まっていました。
1950年代の万博に出展していそうな見た目ですね。
僕等は学生なので普通にお隣の19:15発西武秩父線各停飯能行きに乗車。
研究室の遠足勢とまさかの鉢合わせをしましたが、
何とかバレずに乗れました。
登山の後なのに積極的に研究室の輩と関わりたくはないからな…
何にせよ、実に良い登山でした。
生きる活力が湧いてきたぞ!
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