夜行バスに揺られ、西へと走ります。
6:56、福知山駅に到着。
若干遅れたから乗る予定だった列車を逃してしまった…
行程を組み替えねばなりません。
コンビニでおにぎりを買って食べながら、
時刻表片手に頭を捻ります。
何とか繋がりそうな道が見えました。
7:32発京都丹後鉄道宮福線快速大江山1号宮津行きに乗車。
特急にも使われる丹後の海という車両ですね。
この京都丹後鉄道という名前には
馴染みがない人も居るかも知れません。
平成27年までこの路線を運行していたのは
第3セクター北近畿タンゴ鉄道。
日本屈指の観光資源を抱えていながら、
年間8億円超えという、全国の第3セクターの中で
ぶっちぎりワースト1位の赤字を垂れ流していました。
このままでは駄目だということで、
鉄道の設備自体は北近畿タンゴ鉄道が保有しながら
車両の運行は民間企業に任せるという
上下分離方式の導入が決定。
そこで白羽の矢が立ったのが異例中の異例、
鉄道の最大の宿敵とも言える高速バスの大手、
WILLERグループだったのです。
そうです、昨夜から今朝にかけて乗っていたバスです。
その高速バス会社によって生まれ変わったのが、
京都丹後鉄道なのです。
霧に烟る福知山市を抜けます。
夜行バス明けだから眠いな…
どうせ終点まで乗るんだし暫く寝よう…
…おっと、結構ぐっすり眠ってしまった。
えーと次の駅は…
8:46、福知山駅に到着。
あ…ありのまま今起こったことを話すぜ!
「おれは福知山駅から出ていたと思ったら
いつのまにか福知山駅に着いていた」
新手のスタンド攻撃…
なわけねーだろ!寝過ごして1往復したんだ!
起こしてくれないものなのか…
悔やんでいる場合ではありません。
急いで行程を再構築すると共に
遅れを取り戻さなければならないのです。
8:54発京都丹後鉄道宮福線
特急たんごリレー1号網野行きに乗り換え。
同じ車両に1往復半も乗る羽目になるとは…
ここまでの1往復はガラガラでしたが、
この特急列車は満席状態です。
中国人観光客が多め?
9:30、天橋立駅に到着。
今度こそ着きました。
日本三景の一つ、天橋立です。
実はまだ来たことがなかったので…
天橋立は俯瞰してこそなので
丘の上にある天橋立ビューランドに向かいます。
9:40発天橋立モノレールに乗車。
この写真では分かりにくいですが、
呂の字形をした2両編成(?)の斜行モノレールです。
モノレールにはリフトが並走しています。
片方で良いのでは…
冗長性を持たせているのでしょうか。
どちらを使っても料金は同じです。
そして、これが日本三景の天橋立です。
見事な砂州ですね。
ここからの景観はまるで龍が飛ぶが如くとのことで
飛龍観と呼ばれています。
また、砂浜が龍の背びれのように
ギザギザしているのがお分かりでしょうか。
実は付近の川にダムが造られたことで土砂の流入が減り、
海流の侵食作用が土砂の堆積に勝って
天橋立が痩せ細る一方になった為、
土砂の流出を防ぐ堤防が
砂州に対して垂直に何本も建設されたのです。
高校地理で頻出の話題ですね。
但し、その龍が飛ぶような景観は
普通に見るのではなく、股の下から覗いて
上下逆さまに見た時に見えるのだそうです。
言われてみればそう見える…ような。
ちなみに、反対側の公園から見る眺めは
昇龍観と呼ばれています。
飛龍と昇龍はどう違うのだろう。
天橋立ビューランドはただ天橋立を見るだけではなく、
様々な遊具で遊べるようになっています。
うら寂しさを感じるのはまだ朝早くて
単に人が少ないからだけなのか。
アトラクションのような展望台もあります。
天橋立ビューランドの主な客層は子供連れなんですかね?
展望台の上からの飛龍観。
ほぼ同じですね。
ただ、天橋立駅がよりはっきりと見えます。
日本三景の展望台にこれを併設するセンスよ。
京都のお方はええ趣味してはりますなぁ〜。
リフトを使って下ります。
折角なので天橋立本体も歩いておきましょう。
天橋立の基部にある智恩寺。
日本三文殊の一つだそうです。
明後日から始まる研究会の無事を祈っておきます。
境内の松には絵馬の代わりに扇子が吊るされています。
どうやら御籤のようですね。
僕も引いてみようか迷いましたが、
ここで大凶とか引いたら縁起でもないので止めました。
智恵の輪灯籠。
3回潜ると頭が良くなるとか。
やはり僕も潜っておくべきだろうか。
それではいよいよ天橋立へ。
阿蘇海から若狭湾への航路を確保する為に
一部は切り欠かれて可動橋が架けられています。
写真では伝わらないかも知れませんが、
かなり潮流が速いです。
阿蘇海が潮の満ち引きをする際は
全ての水がこの一点から流入出するからでしょうか。
そしてこれが天橋立本体です。
こうするとただの松並木のようにも見えますね。
砂浜はこんな感じ。
前述の堤防が写らないように撮るのは中々難しいです。
天橋立の中には何と磯清水という湧水がありました。
何故こんな細い砂州に淡水の湧水が?
というのは昔の人も疑問に思ったそうで、
この湧水を祀る神社まで建立されています。
戻ってみたら、丁度可動橋が動いていました。
貨物船がぬるりと抜けています。
一切躊躇する様子がないけど、
難しくないのかな…
船が通り過ぎたので橋が定位置に戻ります。
傍から見ていて不安になるほどスレスレですね。
っていうか、可動橋で足止めされた所為で
バスの時刻が迫っているじゃないか!
10:51発丹後海陸交通蒲入線蒲入行きに乗車。
間に合った…
天橋立を後にして宮津湾沿いを北上します。
綺麗な海ですね。
しかし、幾ら海が綺麗だからと言って
ここにリゾートマンションを建てるのは違うのでは…
何とも言えない間隔を空けて
畑の向こうに高層マンションが建っている姿は、
滑稽を通り越して異様ですらあります。
更に進むと天橋立を作る砂浜も無くなってきました。
11:49、伊根バス停に到着。
舟屋で有名な京都の秘境、伊根集落です。
穏やかな入り江に舟屋が所狭しと軒を連ねています。
舟屋とは1階部分を船着場にした住居のことで、
現代で言うところのビルトインガレージみたいなものです。
天然の良港である伊根の土地を
可能な限り有効活用しようとする工夫の賜物です。
天橋立で体力を使ってお腹が空いたので
舟屋を見下ろしながら昼食にします。
腹拵えを終えたら再び集落巡り。
現在では幾つかの舟屋は民宿になっており、
船揚場の上に泊まることが出来ます。
良く見ると、上の「大平荘」の看板は
道を挟んだ山側の家にも架けられています。
舟屋1軒で完結している家も多くありますが、
このように道の向かいに本宅を建てる例も多いようですね。
さて、ここであまり時間を費やしてもいられません。
丹後は広いのです。
12:39発丹後海陸交通経ヶ岬線宇川温泉よし野の里行きに乗車。
うおっ、バスが畑に突っ込んだ!?
と思ったら転回しただけでした。
国道からそう離れているわけでもない集落でも
ギリギリまで近付いたところにバス停が設置されています。
普通なら「○○口バス停」を設置して終わるところだけど、
えらくサービスが良いんだな…
ただ、国道から一段大きく下がった位置にあって
道も極めて細いこの蒲入集落などは、
流石に諦めたのか蒲入口バス停が置かれていました。
と思ったら道を下り出して、
どん詰まりにある漁協の前に
蒲入バス停がありました。
この執念は一体何なのか。
というか、蒲入バス停があるなら
蒲入口バス停は要らなかったのでは…
蒲入集落を過ぎると後はもう無人地帯です。
京都府にこんな場所があったとは。
13:31、経ヶ岬バス停に到着。
京都府の最北端、経ヶ岬への最寄りバス停です。
ここまで来たからにはやはり行っておきたいところです。
しかし、最寄りとは言え経ヶ岬までは1km以上あり、
そこまではかなり勾配のキツい道を歩かねばなりません。
集落は全部律儀に中心地まで行っていたのに、
経ヶ岬は最寄りの駐車場まで行ってくれないのか…
しかも、次のバスは1時間7分後。
妙に厳しい時間設定です。
12分で経ヶ岬灯台の駐車場までやって来ました。
バードウォッチャーが大勢居ます。
何か珍しい渡り鳥でも来るのかな?
しかし、この駐車場で満足していてはいけません。
より一層勾配の激しくなった道を急ぎます。
着いたー!
京都府の最北端に鎮座する経ヶ岬灯台です!
白亜の姿が日本海に良く映えます。
残念ながらのんびりしている暇は無いので
とんぼ返りします。
3月だというのに汗だくだ…
何とか間に合いました。
経ヶ岬で運行系統が分けられているので
小さな車庫が設けられています。
14:38発丹後海陸交通海岸線峰山駅行きに乗車。
伊根町に比べるとなだらかな海岸線の京丹後市。
防波堤に布団を干している人が居るけど、
潮でベッタベタになるんじゃなかろうか。
日本海を挟んで北朝鮮とロシアに面しているという地理上、
航空自衛隊のレーダー基地もあったりします。
結構外から丸見えなんですね。
15:45、網野駅に到着。
乗り鉄再開です。
16:03発京都丹後鉄道宮豊線普通豊岡行きに乗り換え。
特急用の車両を充当しているんだ
と思ったら、右の特急車両は待避中で
左の普通列車に追い抜かれていました。
留置しているのかな?
列車内は「Re:ゼロから始める異世界生活」の
ラッピングが施されていました。
丹後地域がモデルになっているのかな?
と思ったら何も関係ありませんでした。
宮豊線は京都丹後鉄道の中で唯一
兵庫県に片足を突っ込んでいる路線で、
嘗ては西舞鶴駅から通しで宮津線と呼ばれていました。
16:47、豊岡駅に到着。
JR山陰本線との接続駅です。
京都丹後鉄道は端っこに追いやられていますね。
豊岡と言えばTK(ロシア)第二の故郷です。
だからと言って僕には特に感慨は無いので
単に乗り潰しの為に来ただけですが。
17:00発京都丹後鉄道宮豊線快速京都行きに乗車。
てっきり今乗ってきた車両が折り返すものとばかり思っていましたが、
網野駅から追いかけてきていた
あの特急車両でした。
わざわざそんな回送をするくらいだったら
さっきの普通列車として充当しておけば良かったのでは…?
しかも、快速だったのは次の停車駅である久美浜駅までで、
そこから特急に種別変更していました。
だったら始めから特急にしておけば良かったのでは…?
色々と謎の尽きない列車です。
名鉄に比べたらマシか。
18:04、天橋立駅に到着。
戻ってきました。
18:14発丹後海陸交通伊根線伊根郵便局前行きに乗り換え。
もう1周する気かと思われそうですが、
流石にそこまでの物好きではありません。
18:40、府中診療所前バス停に到着。
天橋立の北岸です。
南岸と違って閑静な住宅街です。
今晩はここに宿を取ります。
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