(無題)

いつでも行けるような場所というのは、
いつでも行けるからこそ
逆にいつまで経っても行かないものです。
関東にはそんな場所が山程あるのですが、
あまりにも放置していると
今後どうなるか分からない場所があることを
昨日取手図書館で本を読んでいてふと思い出したので、
天気も良くて予定も無い今日行ってみることにしました。

9:18発JR常磐線各駅停車向ヶ丘遊園行きに乗車。
座れたので暫く寝ます。


明治神宮前駅で10:13発東京メトロ副都心線
急行Fライナー森林公園行きに乗り換え。
5社間で相互直通運転する直通運転の権化みたいな列車です。


10:58、川越市駅に到着。


やって来たのは小江戸川越です。
西武鉄道が秩父と並んで良く宣伝しているからか、
かなりの人の入りです。
ただ、歩行者天国の区間は非常に短く、
その歩行者天国も今一つ旧宿場町然としていないというか、
奈良井宿等と比べてどうも中途半端な印象を受けます。
特急列車を使ってまで来るほどかな…?


川越城本丸御殿。
この裏手には埼玉県立川越高校があります。
福江島の長崎県立五島高校みたいですね。


但し、本丸御殿は再建されたもので、
当時の姿を残しているのはこの中ノ門堀だけだそうです。
お堀ギリギリまで民家が迫っていて
まるで民家のお堀のようになっています。


どう足掻いても川越。
昼食は川越駅前のラーメン屋で済ませました。


さて、おまけの川越はこの程度にして
真の目的地に向かいます。
西武鉄道本川越駅へ。


13:18発西武新宿線急行西武新宿行きに乗車。


JRと東武の高架橋の橋脚に挟まれて単線になっています。
他の鉄道会社に阻まれて終点付近だけ単線というのは
名鉄の専売特許かと思いきや西武もなんですね。


13:21、南大塚駅に到着。
ここが今回の最大の目的地です。
皆さんは西武鉄道の路線で
つい一昨年ひっそりと廃止されたばかりの路線が
存在していることをご存知でしょうか?


北海道のド田舎でさえ鉄道を廃止するとなれば
すったもんだの大騒動が起きるというのに、
この川越でひっそりと廃止なんて有り得るわけがない!
そのご意見は至極尤もなのですが、
しかし、確かに南大塚駅からは誰の目に見ても明らかな
廃線跡が北西方向へと延びているのが分かります。


その摩訶不思議な路線の名は西武安比奈線。
名前を聞いたことがなくても無理はありません。
実はとうの昔、昭和38年には既に休止されており、
平成29年に正式廃止されるまで
54年間唯の1本たりとも列車が走っていなかったのです。
なので、実質的には廃止から54年経っているようなものです。
しかも、現役当時も貨物線だったので
駅の時刻表で紹介されるような存在ではありませんでした。


もしかしたら車両基地とかに転用できるかも…と
50年以上も存続していた安比奈線には
今もなおかなりの数の遺構が残されています。
とは言え、最早書類上でも正式に廃線となった以上、
いつまでもこれらの遺構が残されているとは限りません。
そういうわけで今日来てみました。
本当は仙川時代の方が遥かに近かったのですが…


踏切部分も残っています。
自動車が通過する際に揺れないよう
アスファルトで埋められてしまっていますが。


国道16号から外れた田園地帯には
築堤がはっきりと残っており、
細い水路を跨ぐガーター橋も健在です。
廃線跡をそのまま歩いていきたいところですが、
西武鉄道によって立ち入りが禁止されているので
大回りして廃線跡を辿ります。


雑木林を走る安比奈線。
この辺りは安比奈線の中でも
特に風光明媚(?)な場所として有名です。
廃線跡を探して畦道に入ったりしていたら、
農作業をしていたおじさんから
国土交通省の職員と間違えられたのは草生える。


そして、八瀬大橋南交差点の少し北東にある
この一際立派なガーター橋は、
NHKの連続テレビ小説「つばさ」のロケ地となったことで
一躍脚光を浴びた場所です。
その際には半年間だけ遊歩道として整備され、
一般公開されていました。
何故かその後再び立入禁止に戻されてしまいましたが。
というか、休止線を正式廃止せずに遊歩道化するって
法律的には大丈夫だったんだろうか…
併用軌道の扱いだったのかな?


終点の安比奈駅があったと思われる地点に来ました。
が、入間川の河川敷となっているこの地域は
モトクロスのサーキット場になっており、
申し訳程度の鉄道要素は倉庫として使われているJR貨物のコンテナだけです。
何か少しくらい残っていないかな…


探してみたら子供用練習コースの脇に
ひょろひょろのレールが延びているのを見付けることができました。


木の根っこがレールを持ち上げています。
これぞ本当の枕木?
嘗てはこの一帯で入間川の砂利を採取しており、
安比奈線はそれを運搬する砂利鉄道として敷設されました。
しかし、昭和30年代には入間川の砂利採掘が禁止され、
安比奈線もその役目を終えることとなったのです。


一通り見られて満足したので次に向かいます。
15:10発西武新宿線各停国分寺行きに乗車。
1時間に1本しかない西武国分寺線への直通列車です。


国分寺駅で15:55発西武多摩湖線各停西武遊園地行きに乗り換え。
この付近の西武鉄道はごちゃごちゃに入り組んでいますが、
この機会にちょっと乗り潰しておきます。
西武国分寺線と並走していて、
今後来る機会が無さそうな国分寺-萩山間を往復しておきました。
国分寺駅に戻ったら16:29発JR中央本線快速東京行きに乗り換え。


16:36、武蔵境駅に到着。


いつでも来られるから結局行かなかった場所その2。
西武鉄道の孤立路線、西武多摩川線です。
素直に国分寺へ繋げれば良さそうなものを、
武蔵境という中途半端な駅から
是政という何処とも繋がっていない場所へと延びる
意味不明な路線のように見えてしまいますが、
これは元々多摩鉄道という無関係の会社が
多摩川河川敷で採掘された砂利の運搬を目的とした
砂利鉄道として敷設した過去があるからです。
本日2本目の砂利鉄道ですね。


乗りこそしなかったものの、
仙川時代にはちょくちょくその姿を見掛けて
えらくカラフルだと思っていた記憶がありますが、
昔の車両や関連会社の車両の色に塗られているようです。
車種は全て101系電車で統一されていますが。


16:42発西武多摩川線各停是政行きに乗り換え。
これは近江鉄道カラーですね。


輝く富士山に向かって走ります。


懐かしの甲州街道を潜ります。
府中市立中央図書館へ行く時に良く通ったなぁ…


16:54、是政駅に到着。
戦国武将みたいな名前の駅です。
多摩川での砂利採掘もとっくの昔に全面禁止されているので、
今はもう一切の貨物輸送を行っていません。


この是政橋もまた懐かしな…
帰りは運賃を浮かせるために京王線まで歩きます。


途中にあったかなしい坂という名前の謎の坂。
何でも、玉川上水の工事を行なった際、
通水してみたらこの地で水が関東ローム層に吸収されてしまい、
責任を問われた役人が「かなしい」と言い遺して処刑されたことに由来しているそうです。
多磨霊園に程近いという立地がまた不気味だな…

この後は多磨霊園駅から17:15発京王線各停新宿行きに乗って新宿へ。
偶々大阪から来ていたアオコが連絡してきたので、
東京住みのkuniも交えて歌舞伎町で焼肉を食べました。
歌舞伎町も来たのは初めてだな…

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