自転車乗りにとって聖地とされる道は幾つかあり、
その中でも日本三大名道と呼ばれる道は
全て長野県の峠道から選出されています。
長野県は登山家のみならず
サイクリストにとっても聖地なのです。
その3つというのが、乗鞍、美ヶ原、
そして渋峠。
日本の国道としての最高地点でもある渋峠。
今日はその渋峠にFA(元・理物ワンゲル部)と挑みます。
5:20、起床。
朝風呂を浴びようか迷いましたが、
体力を奪われそうなのでやめておきました。
気温が上がる前に核心部を抜けたいという
FAの希望で6時半に出発します。
温泉街からいきなり容赦なく
急勾配で攻めてくる国道292号を上ります。
が、出発して10分程度で雨が降り出してしまいました。
何という事だ…
折角昨日8時間も自転車担いで鈍行を乗り継いで
遥々湯田中までやって来たというのに、
10分で撤退なんて笑えない…
しかし、雨の中渋峠を攻めるのは危険極まりないし…
除雪ステーションの軒先で雨宿りしつつ、
強行突入するか、別の峠に変更するか、
雨男なのは僕かFAか、
喧々諤々の議論をする羽目に。
結局、午前中は小雨程度で保つんじゃなかろうかという判断で
強行突入する事にしました。
元・ワンゲル部の2人という時点で
それ以外の選択肢は最初から無かったとも言えますが。
雨も30分ほどで止みました。
FAが想像以上に速くて辛い…!
これがワンゲル部中退と完遂の差か…
三国峠で鍛えた筈なのに全く体力が付いていない。
勾配もえげつないです。
距離で言ったらたったの20kmなのですが、
その間に何と1,600m近くも標高を上げるのです。
そんな標高、登山だって滅多に稼がないぞ…
滝のように汗が流れ落ちます。
まだ10kmも走っていないのに
1L以上も水を消費してしまった…
折角標高を稼いだのに下って
上り返すような場面はほぼ無いのですが、
その分ひたすらに上り続けます。
終わりが見えません。
晴れたり曇ったりの天気ですが、
ピーカンじゃなくて却って良かったのかもな…
噴泉があったり、綺麗な池があったり、
木道の整備された湿地帯があったり、
自動車で来たらきっとここは
優雅なリゾート地なんだろうなと感じさせますが、
自転車で来るとここは修行の地以外の何物でもありません。
志賀高原で一旦落ち着きますが、
それを過ぎるとラストスパートをかけるかのように
圧倒的な九十九折が始まります。
渋峠を攻めるには荷物が重かったのか腰が痛い…
カーブの番号を書いてくれるのは嬉しいけど、
全部で幾つなのかを書いて欲しい…
三国峠の事を考えると50~60くらいなんだろうか…
それくらいであって欲しい!
横手山ドライブインまで来ました。
雰囲気からして峠は近い!
九十九折こそ終わったものの、
横手山ドライブインから峠までが思ったより遠い。
ここまでの道のりで満身創痍になっている身体には堪えます。
しかし、あともう少し…!
タルミどころでちょっと記念撮影。
流石のFAもシャリバテ気味です。
着いたぁー!
標高2,172m、日本国道最高地点、渋峠です!
辛かった…
峠にあるホテルで到達証明書を購入。
この石碑って何処にあるんだろう?
渋峠から700mほど群馬県側へ行ったところにありました。
上に挙げた標識だと標高が2,152mになっていたので、
ここが真の日本国道最高地点のようですね。
山田峠付近からは
山肌の引っ掻き傷のような国道292号を望めます。
こうして見ると、最後の区間も結構傾斜があったんだな…
さて、来た道を戻るのも芸が無いので
稜線上の国道292号を更に進みます。
風が強いです。
群馬県道466号の分岐地点。
カーブが多過ぎて意味不明な事になっています。
そして、この万座三叉路から先
国道292号は通行止めとなっています。
原因は草津白根山の噴火警戒レベル引き上げ。
去年は通れたのに…
日本有数の温泉地であると同時に
日本有数の火山地帯でもある草津を貫く国道292号は、
しょっちゅう火山活動を理由に通行止めになっています。
そして、質の悪い事に国道292号が通行止めになった場合、
高崎に抜けられる迂回路は有料道路の万座ハイウェーだけで、
自転車の場合は何と90kmも回り道して
国道144号を使う以外に道が無いのです。
こんな時くらい自転車も万座ハイウェーを通してくれ…
仕方が無いので群馬県側へ下りる事は諦めて
別の峠から長野県側へと下る事にしました。
草津温泉と双璧を成す万座温泉。
ここから万座ハイウェー経由のバスが出ているので、
徒歩の場合はそれで群馬県側へ下りる事が出来ます。
しかし、僕等は自転車なので群馬県道466号
万座道路を走り続けます。
途中、FAの希望であそこへ寄ってみる事に。
毛無峠です!
群馬県の一大観光名所ですね。
自転車で来ると感動も一入。
あれ?去年来た時に
こんな禍々しい頭蓋骨なんて置いてあったっけ…
グンマーの黒魔術でしょうか。
この先は最早ロードバイクでは進めません。
マウンテンバイクなら或いは…
と思っていたら、下から凄い勢いで
オフロードバイクが駆け上がってきました。
大前を見遣りながら柿ピーを食すFA。
いつ来てもここは絵になるなぁ…
ここからは群馬県道改め長野県道112号で下っていきます。
国道292号よりも遥かに多い
100を優に超えるカーブが存在する峠道です。
自転車なら車線の範囲内でライン取りが出来て楽しい。
ところどころ無数のタイヤ痕が付けられており、
相当数の走り屋が居る事も窺えます。
市街地まで下ってきて昼食。
下に来るとかなり暑いな…
上は風が吹くと肌寒いくらいでしたが、
下は熱中症になりそうなほどです。
列車の発車時刻ギリギリに須坂駅に到着。
雷雨もギリギリのところで避けられました。
14:35発長野電鉄特急ゆけむり長野行きに乗車。
元・小田急電鉄のロマンスカーHiSEです。
展望車からは小田急時代よりも遥かに雄大なパノラマが望めます。
ある意味天職に就いたのでは。
この後は長野駅からやはり鈍行列車を乗り継いで
関東へと帰りました。
想像以上に辛い峠でしたが、
それと同時に想像以上に素晴らしい峠でもありました。
乗鞍と美ヶ原も走ってみたいな…
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