伊豆諸島旅行第3日目。
利島に向かいます。
6:30、起床。
宿の食堂で朝食を食べていると、
宿の主人が何やら他の宿泊客に声を掛けています。
その内に僕等の方にもやってきて、
「君達は確か今日の大型船で帰るんだよね?
危ないところだったねー、
多分明日から台風で暫く船出なくなるよ」
「えっ、いや僕等は上りの大型船には乗るんですが、
竹芝ではなく利島に向かうんですよ…」
「えっ」
10:25発東海汽船さるびあ丸に乗船。
宿の主人に止めた方が良いと諭され、
更には利島で予約していた宿の女将さんにも
本当に来るつもりかと確認の電話が来ましたが、
ここまで来て撤退する訳にはいきません。
一眠りすると円錐形の利島が見えてきました。
教科書に出てきそうなほど綺麗な成層火山である利島は
入江や浜などが一切存在せず、
桟橋はやむを得ず外洋に飛び出している為、
他の島に比べて圧倒的に欠航率が高くなっています。
その隣にあるこの鏃のような形をした小さな島は鵜渡根島。
こちらは更に海が荒れやすく、
1週間に1回上陸可能な日があるかどうかというレベルだそうです。
明治時代のごく短い期間だけ定住者が居たそうですが、
今では完全なる無人島と化しています。
11:50、利島港に到着。
降りてしまいました。
何やら水色のユニフォームを着た人達が出迎えていますね。
新島の付属扱いされる式根島よりも人口が少なく、
大島支庁に属する有人島の中では最小。
東京島嶼部では青ヶ島村とここだけ観光協会が無いという
観光資源の乏しさでは伊豆諸島随一の秘境、利島です。
新島の宿の主人をして
「あそこは島を行き尽くして、
行くあての無くなった人が最後に行きつく場所だよ」
式根島の宿の主人をして
「あそこ何にもする事ないよ。
て言うか八丈とか大島で良くない?」
と言わしめるほどの島。
さて、どうなるのか…
この利島は巨大な成層火山が
海中からほんの少し飛び出た形をしているので、
平地などというものは存在しません。
九十九折の急坂を上っていきます。
暑い…
集楽への近道なる石畳の道がありました。
徒歩なのでこちらを使います。
嘗て艀として使われていた第三しらゆり丸が展示されていました。
利島は全国で最も遅い部類に入る昭和55年まで
艀取りが行われていた島でもあります。
艀取りとは、大型船が接岸できないが為に
このような小舟(艀)を用いて
船から港まで連絡することを言います。
集落に入っても急坂は終わりません。
寧ろ勾配を増している感さえあります。
斜度15%というとんでもない標識も立っていました。
こんな場所でもちゃんと営業しているのだから
やはり郵便局は偉大ですね。
しかも、土日も半日ながら営業するという。
文京根津郵便局より優秀。
そしてもう一つ、日本全国
津々浦々にあるものと言えば神社ですね。
この小さな島だけで何と8つもの神社があります。
それだけ神頼みする機会が多かったのでしょうか。
集落は急斜面にあるので
(そもそも島に平地は存在しませんが)、
振り返ると何処からでも海が見えます。
村(島)唯一の学校である利島村立利島小中学校。
生徒数が少なくて廃校寸前…
かと思いきや、近年の生徒数は右肩上がりだとか。
この利島にも移住者が居るんですね。
子供が居るので公園もあります。
漫画にでも出てきそうなザ・公園ですね。
YRは遊具に乗ってはしゃいでいました。
僕とkuniは暑いので日陰で暫し休憩です。
数少ない食堂は全て閉店していたので、
商店で買ったパンをここで食べます。
折角利島に来たのだから何かその証拠を得ようと
島唯一の土産物屋に来てみたのですが…
12:00から15:00まで昼休憩とは…
(現在時刻13:16)
南米並みですね。
仕方がないので今度は郷土資料館に来てみましたが…
ここも閉館中!?
一体何なら営業しているというんだ…
皆台風の準備に忙しいのでしょうか。
諦めきれないので、本来は開館時間のはずだと
隣にある村役場の窓口でお願いしたら開けてもらえました。
この辺りの柔軟性は流石ですね。
役場の人が付きっきりで解説してくれました。
ただでさえ淡水の得にくい離島で
これだけ急斜面しかないとなると、
飲料水確保は文字通り死活問題で、
昔はこのように竹で四手を結い、
そこに付く朝露を瓶で集めるという
涙ぐましい努力によって水を得ていたそうです。
利島の生活は想像以上に過酷ですね。
良くそれで定住したな…
利島のスタンプが貰える利島勤労福祉会館も例によってお休み。
本来は利島の中央にある、というか利島そのものとも言える
宮塚山に登ろうと考えていましたが、
台風のことを考えると今日中に利島を発たねばならないので
今回は泣く泣く諦めてこの辺で港に戻ります。
最後の最後でやっとまともに開いているものを見付けました。
JA東京島しょの売店です。
ここで極簡単なお土産も買えました。
利島港に戻ってきました。
午後の高速船は台風から逃れる人々で既に満席。
狙うのはその1本前に出るフェリーなのですが…
条件付き運航になってる…
頼むー!何とか着岸してくれー!
来たー!
14:45発神新汽船フェリーあぜりあに乗船。
利島に幽閉されずに済みました。
伊豆の名を冠しているのに東京都に属する伊豆諸島ですが、
実は2つだけ伊豆半島から運航される定期航路があり、
1つは熱海から伊東を経由して大島に向かう高速船、
そしてもう1つが下田を起点に
大島以外の大島支庁の島々を回るこの神新汽船です。
そもそも下田自体他の街から遠く離れているので、
普通の旅行者はまず使わない航路ですが。
勿論、普通の客室もあるにはありますが、
何とこのフェリーあぜりあはゴザが備えられていて、
船の好きなところに敷いて座ることができます。
実に開放的ですね。
昭和の船旅とかはこんな感じだったのでしょうか。
心地良い海風に吹かれながら伊豆諸島を後にします。
小山の多い下田に入ってきました。
16:30、下田港に到着。
本土帰着です。
下田は幕末にペリーが開港させたことで有名な港町。
同じ日米和親条約で開港させられた函館は
今でも北海道有数の都市として栄えていますが、
下田は正直なところそこまでは栄えていないように思います。
函館は津軽海峡を守る意味合いも大きかったのでしょうが。
その分、下田は古き良き街並みを残しています。
下田観光も普通に楽しそうですね。
島からは離れてしまいましたが、
そうは言ってもまだ伊豆ということで
道の駅開国下田みなとに入っていた回転寿司で夕食。
開店前から長蛇の列が出来る大人気店で、
お得に美味しいお寿司が食べられて最高でした。
それでは、今夜の宿に向かいます。
伊豆急下田駅から19:28発伊豆急行普通伊東行きに乗車。
19:31、蓮台寺駅に到着。
伊豆諸島離脱が確定してから
慌てて予約した温泉旅館でしたが、
予想以上に風情があって良いお宿です。
利島が若干不完全燃焼になってしまった感はありますが、
こうなったら伊豆半島の方も満喫してやります。
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