(無題)

中米旅行第13日目。
キューバの地方都市に向かいます。

4:30、起床。
眠い…
この起床時刻からも分かる通り、
今日はバスに乗ります。


流石のキューバ人民もこの時間はまだ寝ているのか、
通りには殆ど人が居ません。
Parque Central(中央公園)まで出てタクシーを拾います。
宿のおばちゃんはCUC15が相場だと言っていたな…
タクシーの客引きがふっかけてくる値段は…
え?CUC10?
相場以下?
そんな事ある?
もしかして、安い料金で釣って
何処かに連れ込むタクシー強盗では…
白タクだし…


かなり身構えていましたが、
普通にバスターミナルまで連れていってくれて、
普通にCUC10しか取りませんでした。
単に良い人だったのか、
宿のおばちゃんの言った相場が間違っていたのか。

鉄道が壊滅状態にあるキューバに於いて、
都市間を縦横無尽に結んでいるのが
Viazul(ビアスール)と呼ばれるバス会社。
中米にしては珍しくネット予約も出来るハイテクっぷりで、
強過ぎる冷房も完備しています。
ネット予約出来ると言っても、
キューバではそもそもネットが殆ど使えないので
キューバ入国前に予約しておきましょう。
飛行機に乗る時のようにeチケットを印刷し、
発車時刻の1時間前までにカウンターへ行って
乗車証と引き換えなければなりません
…と書かれていましたが、
実際に引き換えが始まったのは45分前でした。


7:00発ViazulバスTrinidad(トリニダー)行きに乗車。
乗車証には「4A・4B」という
席番号らしきものが印字されていましたが、
実際のところ「4」は一つしかなく、
実質的に自由席状態でした。
ガンガンの冷房を堪えながら寝ます。


2時間程走ると朝食休憩。
ステンドグラスが美しい喫茶店です。
中米のバスの発車時刻が異様に早いのは
ドライブインと癒着していて、
自分の息のかかった店で朝食を買わせる為だった…?
ISが便所に行った間に
置いていかれそうになっていました。


キューバの車窓。
ひたすらこの景色が続きます。
変わり映えしないな…


Playa Larga(プラヤ・ラルガ)から
進行方向右手に海が見えるようになりました。
カリブ海です。
ぽつんぽつんとリゾートらしきものもあります。
また泳ぎたいなぁ…


“POR LA REVOLUCIÓN Y EL SOCIALISMO”
(革命と社会主義の為に)
おお、社会主義国らしい看板。
まだこんなのが残っているんですね。


12:03、Cienfuegos(シエンフエゴス)に到着。
「百の炎」を意味する名を冠した世界文化遺産の街です。
バスターミナルで次の街への乗合タクシーを予約してから
街歩きに出掛けます。


Habana(ハバナ)と比べて更に長閑で、
そして南国感の漂う町です。
ちょっとLos Mochis(ロスモチス)を思い出します。


新古典主義様式の教会の前にクラシックカーが停まっていて、
その横に新型のセダンが駐車されています。
一体今が何時代なのか分からなくなってきますね。


日陰には大勢の人民…いや観光客が。
キューバでは観光客すらこのゆったりした時の流れに乗って…
と言いたいところですが、
彼等はwifiスポットに群がっているだけです。
(ETECSAでカードを買っても特定のスポットでしかネットに繋げない。)
キューバに居る間くらい我慢出来ないのだろうか…


一方でこちらにも大勢の人集りが。
ここに並んでいるのは観光客ではなくキューバ人民で、
看板から察するにどうやらパンの配給所のようです。


同じく人民の並ぶピザ屋で昼食を買います。
キューバの地方都市の人民価格とあって激安で、
ジュースに至ってはCUP2(10円未満)です。


CUP7のPizza de queso(チーズピザ)を購入。
ピザと言いつつ折り畳まれて
トルティーヤのような見た目になっています。
なお、包んでいるのは画用紙です。


腹拵えが済んだらタクシーに乗って海岸を目指します。
おお、これはクライスラーのデソートじゃないか!
残念ながらロケットみたいな羽根は無いモデルですが。


それでも、往年のクラシックカーで風を感じながら
海岸沿いを走るというのは何とも贅沢なものです。
座面が低過ぎて外は見えにくいですが。


Punta Gorda(ゴルダ岬)の突き当たりまでやって来ました。
タクシーには少し待ってもらって周囲を観光します。


ロータリーのすぐ側には
テーマパークにでもありそうなラ・豪邸が建っています。


これこそがこの海岸沿いにやって来た目的である
Palacio de Valle(パラシオ・デ・バジェ)。
直訳すれば「谷の豪邸」です。
辺りの地形には谷要素が何一つ見当たりませんが、
谷というのは元の所有者の名前(Acisclo del Valle)だそうです。


外装だけでなく内装も豪華絢爛そのものです。
1913年から4年を費やして造られ、
建設費には当時の金額で150万ペソを要したとか。
現在の日本円に換算すると幾らになるのだろう…
現在ではレストランになっています。
この見た目にしては意外とリーズナブルな値段なので、
少しお金に余裕のある人は20世紀初頭の貴族のような
優雅な食事を楽しんでみても良いかも知れません。
僕等にそんな余裕はありませんが。


屋上にも上れます。
バーらしきものがあり、立ち飲みも出来るようです。


中庭ではおじさんが豚の丸焼きを作っていました。
アメリカンっぽいワイルドさ。
あれがレストランで供されるんだろうか。


あまり長いこと運転手を待たせるのも悪いので
そろそろ切り上げて市街地に戻ります。


やって来たのはこの建物。
ここまでキューバで見てきた建物に比べると大分ショボいですが、
一体何か分かるでしょうか?


僕がわざわざ来たという時点でバレバレですかね、
Cienfuegos駅(シエンフエゴス駅)です。


留置されている車両はきちんと整備されています。
勿論、現役の駅です。
Habanaからの列車もある…という噂なのですが、
運行ダイヤの情報が全然得られず、
たとえ得られたとしても全く当てにならないとの事なので、
鉄道で来るのは諦めました。


駅の壁に掲示されていた時刻表らしき何か。
何故Cienfuegos駅に掲示されているのに
70km離れたSanta Clara駅(サンタ・クララ駅)の
発車時刻しか書かれていないのだろう…
あと、1~31の数字は運行日なんですかね?


“POR TODO CUBA”(キューバ全土へ)
「JRになっても廃線は増えません」並みの大嘘止めろ。


駅の裏側からもっと良く見てみます。


ここは整備場でしょうか。
「シエンフエゴス鉄道技術部」と書かれています。


そしてこちらは職員の詰め処?
身元不詳の外国人がこんなところまで自由に立ち入り出来て
何も言われないって、
キューバ国鉄のセキュリティは大丈夫なんだろうか…


炎天下を歩き回って喉が渇いたので、
駅前の売店でコーラを買ってみました。
コカコーラならぬTukola(トゥコーラ)。
アメリカから禁輸措置を受けたキューバの人民コーラです。
味は普通のコカコーラと殆ど変わりませんね。


時間が来たのでバスターミナルに戻り、
乗合タクシーに乗り込んで次の街に向かいます。
乗合タクシーは人民向けなのでクラシックカーではありませんが、
それでも年季物の中古車なので
速度計はスマホで代用しています。
GPSとかちゃんと使えるのかな…?


道は全線舗装されていて、
思ったよりも道路状況が良いです。
少なくともグアテマラとは大違い。
タクシーも快調に飛ばします。


海沿いの道。
キューバのビーチも満喫してみたかったなぁ…


目的のTrinidad(トリニダー)に入りました。


ここは街全体が世界文化遺産になっていて、
まるで中世にタイムスリップしてしまったかのようです。
そもそもキューバ全体が20世紀中頃みたいな雰囲気ですが。
石畳は自動車で走るのには向かないな…


宿の位置が分からなかったらしく、
適当なところで降ろしてもらってあとは歩きます。
この標識、馬車専用道ってことなんだろうか…?


おう、本当に馬車が走ってる。
キューバは一体何時代を生きているんだ…


宿に荷物を置いたら街歩きに繰り出します。
スペイン語で「三位一体」を意味するTrinidad。
その名の通り、スペイン植民地時代の名残である協会が
そこかしこに残っています。


そして一見何の変哲も無いこの風景、
キューバで最も有名な風景の一つなのですが、
一体どういう風景か分かりますか?


正解はCUC25¢硬貨の図柄になっている風景です。
日本で言う所の平等院鳳凰堂ですね。
ただ、硬貨の図柄にするほど素晴らしい風景かな…?


通りには土産物屋の屋台が犇めいています。
客引きはそんなに激しくないです。


露天のバーで一休み。
Trinidadのご当地カクテルだという
Canchanchara(カンチャンチャラ)を頂きます。
ラム酒をレモンと蜂蜜で割ったもので、
大人のレモネードといった味。
飲み易くて非常に美味しいです。
ただ、結構アルコール度数が高いので
調子に乗って飲み過ぎると潰れます。


通りで野球に興じる子供達。
ご存知の通り、キューバは野球大国です。


さて、ほろ酔い状態で街外れまで歩いてきました。
お目当ては勿論鉄道駅です。
踏切は見付けたから、
この線路沿いに駅がある筈だけど…


これ?
このバス停みたいなのがTrinidad(トリニダー駅)なの?
まあ、キューバの鉄道事業を考えたらこんなものなのかな…
Trinidad駅のある路線は他の路線網から孤立しており、
観光列車が1日1往復走るのみです。
乗ってみたかったのですが、
明日乗るバスの時刻的に無理なので
せめて駅だけでも見ようと来てみました。


Trinidad駅の操車場。
どの車両も現役なのか廃車なのか
判断が付き兼ねるくらいボロボロです。


馬が闊歩しているけど、まさか機関車代わりに…?


いや、流石にディーゼル機関車がありますね。
とは言え、今も動くのかどうかは分からないけど。
操車場に置かれた車両を眺めていたら、
何処からかおじさんが現れて声を掛けてくるではありませんか。
しまった、警備員か!?


と思ったら、
「日本から来たのか?説明してやるよ!」
と案内を始めるではありませんか。


車両にも乗せてくれました。
これは観光用の客車だそうです。


ウルグアイ製なのか。
っていうか、この見た目で1994年製なのか…


こちらは普通列車用の車両。
レールバスです。


車内はバスそのもの。
誰か上着を忘れていませんかね?


こちらは運転席。
シフトレバーまで付いています。
酔った一介の外国人観光客2人がここまで立ち入ってしまえるって、
やはりキューバ国鉄の警備体制はやはりガバガバでは。
そもそも、案内してくれているおじさんが
国鉄の関係者なのかどうかも良く分からないし。


こちらは観光列車用の蒸気機関車。
キューバとはいえ流石に観光列車以外は無煙化されています。


「折角来たんだから運転席に乗って
記念写真でも撮ったらどうだい?」
と勧められて、
お金をせびられないか不安になりながらも
無碍には出来ないので乗ってみました。

その後、世間話をしていたら、
「鉄道が好きなのか?
明日の正午にこの列車でサトウキビ畑へ行けるぞ!」
「明日は14時のバスに乗らないといけないんだよ…」
「ハバナ行きか、なんてこった!
…良し、そんなら明朝5時に来い!
そうしたら8時までに行って戻って来られるぞ!」
えっ?
そんな情報は何処にも載ってなかったぞ!
列車を特別に動かしてやるから金を出せ、とか…?
最後まで警戒心は解けませんでしたが、
結局お金は一切求めてきませんでした。
普通に人の良いおじさんだった。
疑ってすみません。
キューバの人達はおもてなし精神に溢れているなぁ…


今一つ状況は理解しきれていませんが、
取り敢えず日が暮れてしまうから戻ります。


夕刻のTrinidad。
絵になりますねー。


生演奏をしているお洒落なレストランで夕食。
Pollo al Jigüe(ポジョ・アル・ヒグエ)です。
グラタン皿にスパゲッティが入れられ、
その上に鶏肉とチーズが乗せられてオーブンで焼かれています。
焼きうどんならぬ焼きパスタみたいな?
そこはかとないファミレス感。
料理も美味しかったのですが、生演奏の質が素晴らしく、
CDを売っていたのでつい買ってしまいました。
さあ、明日も早いから急いで寝るか…

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