(無題)

厳冬旅行第7日目。
極寒の街、Якутск(ヤクーツク)を巡ります。

9:48、起床。
飛行機移動の疲れか、寒中行軍の疲れか、時差ボケか、
11時間以上寝てしまいました。
まあ、朝早く出たところで
冬のЯкутскは動いていないからな…
室内では暑くて汗が出てくるほど
ガッチガチに防寒着を着込んで出発します。


ネット上にある冬のЯкутскの旅行記を読むと、
ほぼ例外無くツアーに参加するか、
個人旅行だとしてもタクシー移動していますが、
僕等は金欠学生なのでバス移動に挑戦します。
しかし、どこの国でもバスの情報というのは
鉄道の情報に比べて中々出てこないのが普通で、
殊にロシアの一地方の路線バスともなると
バスの系統番号を調べるのが精一杯で、
時刻表や運行経路は一切分かりませんでした。
どちら方面のバスに乗るべきかも分かりません。
取り敢えず、地元の人と同じ場所で待ちます。
これで1時間とか待たされたら凍死するしかないな…


5分もしない内にバスがやって来ました。
7番の路線バスに乗車。
方角的にはこっちな気がするけど…
あっ、交差点を曲がらずに通り過ぎた!


2分の1の賭けに負けました。
今度は確実に目的地へ行けるよう、
交差点の少し先のバス停で待ちます。
Якутскでのバスの乗り継ぎは
HPがガリガリ削られますね…


バス停の近くに木造の平屋建てがあったのですが、
このЯкутскをあれで凌げるのでしょうか…
5分ほどで正しい方向の7番バスがやって来たので乗車。
目的地のバス停で乗り過ごさないか不安で
バスのフロントガラスをチラチラ見ていたら
(横のガラスは霜が張り付いていて外が見えない)、
運転手さんが
「一体何処に行きたいんだい?」
と訊いてきたので答えたら、
周りのおばちゃん達も一緒になって
降りるバス停を教えてくれました。
やはり田舎は人が優しいですね。


Чочур Муранバス停
(チョチュル・ムラン バス停)で下車。
ここからは歩きます。


人っ子一人居ない冬のシベリアを歩く…
まさかこんな経験をする日が来ようとは…
とは言え、この道は幹線道路なので
トラックはバンバン通ります。


この脇道に入るのかな?
轍こそあれ足跡はありません。
冬に歩いてこんな場所に来ようとする物好きは居ないか…


あれっ、目指していたものと違う。
レストランに着いてしまいました。
丁度お昼時なのでこれも何かの思し召しと
入って昼食を食べる事に。
行動限界の15分間も近付いていたので。


漸くЯкутск料理にありつけました。
メニューのロシア語も英語も分からずに頼んだら
僕の料理は鹿肉でした。
TKは馬肉。
若干癖はありますが、食べ応えがあって美味。
観光客向けっぽい店なのでお値段はそこそこしますが。
何やら本格的な機材で
記念撮影しているグループも居ました。


腹拵えを済ませたら
今度こそ目指す博物館に向かいます。


着きました!
Царство Вечной Мерзлоты
(永久凍土王国)です!
Якутскの地下に広がる永久凍土を見られる施設。
バスでのアクセスが見付からなかったので載せておくと、
Площадь Ленина(レーニン広場)などから
7番の路線バス(運賃一律25р)に乗り、
Чочур Муран(チョチュル・ムラン)で下車して、
バスが走ってきたのと同じ幹線道路をそのまま
Якутская ГРЭС-2と書かれた
工場のような建物に向かって400mほど歩き、
岩にЧочур Муранと書かれた目印のある脇道の
次の脇道を左折すると着きます。
参考までに。


ヘルメットを被って永久凍土の中に入ります。
永久に凍り続けるだけあって凍えるように寒い…
のかも知れませんが、
真冬の今は外の方が20℃以上寒いので
寧ろ暖を取っているような気分です。
睫毛も凍りません。
しかし、この温度は一年を通して変わらないので、
夏にЯкутскを訪れた人にとっては
「世界で最も寒い町」を垣間見るスポットになっています。


てっきり、永久凍土についての科学的展示がある
博物館なのかと思っていたのですが、
実際には氷像を展示した美術館でした。


しかし、氷像よりも美しいのが天井に張り付いたこの霜。
まるで水晶の鉱脈のようです。


氷の彫刻の方はというと、氷の部屋があったり…


玉座があったり…


古代のヤクート人の暮らしを模していたり…
何と言うか、あまりロシア芸術っぽくはありません。
寧ろ何処となくアジア感が漂っています。


氷の滑り台もありました。
つるつるなのでかなりスピードが出ます。


ちなみに、肝心の永久凍土というのはこれ。
土壌に含まれている水分が
土ごとカチコチに凍っています。


サハ共和国の永久凍土は天然の冷凍庫とも言うべき存在で、
以前マンモスの遺体が完全な状態で発掘されて
世界的に大きな話題となりました。
愛・地球博でも展示されていたあれです。
その関連なのか、マンモスの化石も
(申し訳程度に)置かれていました。
こんな無造作に置いていて盗られないんだろうか。
もっと本格的にマンモスを見たければ
マンモス博物館があるのでそちらに行きましょう。


地元産の魚の展示…ではないんだろうな。
やっぱりこのセンスは東南アジアに近い気がする。
まあ、Якутскは地理的にも人種的にもアジアですしね。


ちょっと不思議なコンセプトの美術館(?)でした。


街に戻ります。
トラックに乗せてもらいたい…


Чочур Муранバス停でバスを待ちます。
ここは流石に街の外れで本数が少ないのか
中々やって来ません。
早く来てくれないと凍ってしまう…


来た!
7番の路線バスに乗って
Площадь Ленинаへ。

個人の力でЯкутскを観光するのには
限界があるのをまざまざと見せ付けられてしまったので、
明日は現地ツアーに参加すべく旅行会社を探します。
Google Mapで出て来たショッピングモールへ行ってみるも、
それらしきオフィスは扉が固く閉ざされ、
別の旅行会社は航空券手配のみ。
どうすれば良いのか…
航空券手配を扱う会社の窓口に居た人に
TKが訊いてみたところ、
Polar Starというホテルの1階に
幾つか旅行会社が入っているから
行って訊いてみたらどうかと教えてくれました。
教えられた通り行ってみると確かにツアーデスクがあったので、
色々交渉して無事予約する事が出来ました。
やはり最後に頼りになるのは
Googleよりも地元民の意見ですね。


ついでにオススメのレストランも教えてもらいました。
この凍った馬肉Строганина
(ストロガニーナ)を始めとして
様々なヤクート料理を食べる事が出来ます。


Рена(レナ川)の畔なので魚料理もあります。
デカい!
想像していたより3倍くらいデカい。
これがアメリカンサイズならぬヤクーチアサイズ…
ただ、タンパク質はこれでもかと言うほど出て来ますが、
野菜はタマネギしか出て来ません。
寒過ぎて育たないのでしょうか。


レストランからは路線バスで宿に帰ります。
レストランからの帰りのバスの車内で、
向かいの席に座ったヤクート人の女子中学生達が
こちらを見て何やら話し合っていたかと思ったら、
「ニイハオ」と声を掛けてきたので、
「中国人じゃなくて日本人だよ。」と返したら、
Google翻訳でも使ったのか今度は日本語で話し掛けてきて、
それに日本語で答えたら爆笑していました。
そんなに日本語の響きが面白いんだろうか…?
僕がグリーンランド語を見て笑っていたような感覚かな?


永久凍土を見て明日のツアーを予約しただけとは思えない、
中々に体力を削られた1日でした。
こんな中暮らしているヤクート人は凄いな…

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