厳冬旅行第6日目。
極寒のその先へ。
エクメーネ…
居住可能地域とも訳される言葉。
その果ては一体何処にあるのか…
(以降、ヤクーツク時間UTC+9.0h)
7:05、Якутск空港(ヤクーツク空港)に到着。
サハ共和国の首都、Якутск(ヤクーツク)です!
現在の外気温は-36℃だとか。
しかし、意外にもボーディングブリッジがあったので
飛行機を降りた時点ではそのヤバさがあまり分かりません。
ブリッジと機体の隙間から吹き込んでくる冷気は
冷凍庫を開けた時のそれより冷たいですが。
大混雑の荷物受取所を抜けて外に出ます。
ここはロシア共和国ではなくサハ共和国という事で
案内標識にはロシア語と英語に挟まれて
サハ語が併記されています。
ыが連続しているのがとても不思議な気分です。
Якутск空港外部。
これは…
寒い!
ヤバい、完全に装備を間違えた。
丁度3年前に上白滝(-17℃)へ行った時と同じ装備ですが、
そこから更に19℃も低くなっているので
全く別次元の寒さです。
特に脚が凍りそうなほど寒い。
これでもあったかズボンと書いてあったんだけどな…
空港からは4番のバスが出ているようですが、
バス停を降りて宿を探していると凍死しそう、
というかバスを待っている間に凍死しそうなので、
空港職員にタクシーを呼んでもらいます。
タクシーの車窓から。
見るからに寒そうですね。
市街地までは250рでした。
宿には無事チェックイン出来たものの、
正午になるまで部屋が空いていないとの事。
この極寒のЯкутскで時間を潰さねばならないのか…
宿のダイニングキッチンで紅茶を飲んでから
Якутск朝の散歩に繰り出します。
朝日に輝く樹氷が綺麗です。
Якутскの地下は永久凍土になっていて管を通せないので
上下水道は地上を走っていて、
道路と交差する部分は鳥居の様に上を跨いでいます。
工場っぽい雰囲気になりますね。
15分間外を歩いていたら
寒過ぎて脚に限界が来てしまったので、
通りにあったショッピングセンターに駆け込みました。
シベリアとは言え、一共和国の首都だけあって
品揃えは中々のものです。
スポーツ用品店で3割引になっていた防寒ズボンを購入。
6,000р超えでしたが四肢には代えられません。
TKはМегафон(メガフォン)という
ロシアの携帯通信会社のSIMカードに
1,000рチャージしていましたが、
「利用可能範囲:ロシア全土
(※但し、サハ共和国を除く)」
という注意書きを見逃していて、
使う事の出来ない13GBを手に入れていました。
ロシアであってロシアでない、
それがサハ共和国。
Москва(モスクワ)では規制されていたLINEも
Якутскでは普通に使う事が出来ます。
暖を取ったら再び極寒の街中へ。
上下水道管が地上を走っていたのと同じく、
建物も高床式倉庫のように
地表には直に接しないようになっています。
バス停。
待合室は無いのか…
こんな中バスを待っていたら
バスが来る前に凍死してしまいそうだな…
Площадь Победы(戦勝広場)。
“С новым годом!”(新年おめでとう!)とあります。
ロシアでは1ヶ月以上クリスマス
(新年)を祝うのが普通なのでしょうか。
Якутскの母なる川、Лена(レナ川)。
勿論、全面凍結しています。
Ленаの対岸にはНижний Бестях
(ニジニー・ベスチャ)という町があるのですが、
冬の間はトラックさえも走れる氷上の道、
автозимник(アフトズィームニク)が通じるとか。
道すがらの売店で暖を取りつつ宿に戻ります。
連続行動時間は15分が限界ですね。
飛行機では3時間くらいしか寝られなかったので、
宿に戻ったら仮眠します。
2時間ほど仮眠して起床。
TKはまだ寝たいと言い張っていましたが、
Якутскまで来てほぼ丸1日寝て費やすのは
あまりに勿体ない気がしてならなかったので、
TKを置いて一人で街歩きする事に。
今こそ1年間学んできたロシア語を活かす時です。
Улица Дзержинского(ジェルジンスカヴァ通り)。
Проспект Ленина(レーニン通り)に直通する
Якутскの目抜き通りです。
とは言ってもこの極寒のЯкутск、
移動は車ばかりで歩いている人なんてほぼ居ないだろう…
と思っていたのですが、想像より遥かに多いです。
何ならКиїв(キエフ)より多いくらい。
後で聞いた話によると、
Якутскはその隔絶された地理的条件から
自動車の値段が極めて高く、
ただでさえ所得水準の低いシベリアの人々にとっては
おいそれと手の出せる代物ではないというのと、
道路整備がまだ進んでいない事から
夏場は道が泥濘だらけになる事も儘あり、
こんな場所なのに徒歩移動が主要なのだそうです。
この気温で遊んでいる子供達が居るだと…
ヒトは僕等が思っているより頑丈なんですね。
しかし、僕は年に1回雪が降るかどうかという
温暖な半田市で生まれ育ったので
-36℃の屋外で遊べるような耐寒性能はありません。
本当はПлощадь Ленина
(レーニン広場)まで行こうとしていたのですが、
途中で力尽きて郵便局に駆け込みました。
折角なのでЯкутскから自宅に絵葉書を出しておきます。
頼みの綱のTKは居ないので
拙いロシア語と身振り手振りで挑戦。
葉書を買おうとしたら間違って封筒を渡され、
窓口に陳列されていた絵葉書を指差したら
それは品切れで無いと言われ、
売店で1枚だけ眠っていた絵葉書を
棚の奥から引っ張り出してもらい、
日本に出したい旨を伝えて切手を買ったものの
心配なので念の為宛名を書いてから再度見せたら
やっぱり額が違ったみたいで貼り直し、
最後にポストの位置も教えてもらって
何とか投函する事が出来ました。
滅茶苦茶親切に対応してくれた窓口のおばちゃんには感謝です。
さて、本当に日本まで届くかどうか…
郵便局に時間を掛け過ぎて暗くなってしまったので
TKの寝ている宿に戻ります。
暗くなったところで治安が悪い訳ではないのですが、
夜になって気温が下がると凍死するので。
しかし、宿に夕食は付いていないので
頑張って再び外に出ます。
とは言っても、あまり遠くまで行きたくはないので
宿に最も近かった料理屋へ。
まさかの寿司バーでした。
曲がりなりにも隣国だからなのか
ロシアには寿司バーがそこら中にあります。
Якутскって海から700kmは離れているけどな…
どのお寿司にも必ず味の無いクリームチーズが
コンポジットレジンのように詰められています。
ネタは解凍の仕方があまり宜しくないのか、
若干スポンジのようになってしまっています。
正直、そんなに美味しいとは言えませんが
食べられないほどではない…と言ったところでしょうか。
あと、僕は”Удон”(ウドン)も頼んでみました。
うどん…?
どちらかと言うと焼きそばに近いような。
中央アジアのЛагман(ラグマン)っぽい感じで
甘辛の味付けが美味しかったです。
世界で最も寒い街も案外暮らせるものですね。
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