(無題)

北欧旅行第2日目。
København(コペンハーゲン)を離れます。


5:52、起床。
昨夜はお祭りで花火とかも上がっていたそうですが、
泥のように眠りこけていたので
全く気付きませんでした。
宿をチェックアウトしてKøbenhavns Hoved駅
(コペンハーゲン中央駅)へ。


駅のセブンイレブンで朝食を買います。
まるで成城石井のようなお洒落な商品が並んでいます。
お値段もかなりしますが。
まあ、北欧に日本の物価感覚を持ち込んでは駄目ですね…


7:28発Kristianstad C(クリスチャンスタッド中央)行きに乗車。
この列車は空港も通るのに、
ホームの居るスーツケースを携えた旅行客は
殆ど乗車していなかったな…


7:39、Københavns Lufthavn駅(コペンハーゲン空港駅)に到着。
デンマークの、それもKøbenhavnなんて、
お前も随分月並みな観光地に行くようになったもんだな、
と思われたかも知れませんが、
滞在17時間弱でKøbenhavnを発ちます。


9:15SK1777便に搭乗。
機内はガラ空きです。


2時間ほど海の上を飛ぶと
雲の切れ間から何やら島が見えてきました。


棘の如く切り立った島です。
想像していたより数段凄まじい地形だな…


小さな集落をかすめて空港へ。
聳え立つ断崖を避ける為なのか、
飛行機は大きく回り込んで進入します。

(以降、トースハウン時間UTC+1.0h)


10:23、Vágar空港(ヴォーアル空港)に到着。
ここは北大西洋の孤島、フェロー諸島です。
この名前をご存知の方はどれくらい居るでしょうか。
スコットランドとアイスランドの
おおよそ中間に位置する小さな小さな島で、
漁業や北大西洋航路の中継地として
細々と生計を立てています。


しかし、空港内の売店は
とても離島のそれとは思えないほど豪華です。
独立国ではなくデンマーク領という事になっていますが、
高度な自治が認められている為、
Vágar空港の制限区域内は免税エリアとなっています。


結構レアな気がするフェロー諸島の自動車ナンバー。
ノルディック・クロスです。
公共交通機関に乏しいのが全世界的な離島の定め。
という事で、今回は海外旅行としては初めて
移動にレンタカーを使う事にします。


この為に国際運転免許証を取得してきたのさ!
右側通行は違和感が尋常じゃないな…
気を抜くと右左折時に反対車線に入りそうになります。


うおっ、路側帯で乗馬してる!
フェロー諸島は乗馬も出来るとは言え、
これだけ芝生が広がっているんだから
わざわざ路側帯を歩かなくても…


Miðvágurの集落で昼食を買います。
Miðvágurの発音は…ミズヴァーグル?
デンマーク語やフェロー語は英語以上に
綴りと発音が一致していないのでさっぱり分かりません…
フェロー語が得意な方、誰か教えて下さい。
(ドイツ語版Wikipediaによると
「ミーヴォアヴー」みたいな感じだそうです。)


さて、フェロー諸島と言えば、
木が一本も生えていない青々とした芝生の大地で、
渡り鳥の鳴き声を聞きながらするトレッキングが醍醐味。
空港に置いてあったパンフレットで、
気軽に歩けそうなトレッキングコースを探してみました。
フェロー諸島最大の湖、
Sørvágsvatn(ソルヴァグスヴァテン湖)の畔を通り、
海岸沿いの断崖まで行くトレイルを歩いてみます。


屋根に草を生やした小屋。
北欧では古くから芝屋根が使われていて、
特にフェロー諸島では至るところで見られます。
日本でやったら雑草が凄い事になりそうですが。


また、辺り一面が芝生のフェロー諸島は
島全体が天然の牧場のようなものなので、
人口の倍近い数の羊が放牧されています。
その為、あちこちに羊を囲う柵が設けられており、
トレッキングもそれを越えながら進む事になります。


謎のケルン。
何故ここに作ったのだろう…


ところどころビーチのようになっている場所が。
とは言っても、水温や気温的に
湖水浴するにはちょっと冷たいですが。


羊が草を食む急斜面。
どうやら正規ルートはこの斜面の上のようなので、
無理矢理斜面を登ります。
木が生えていないとどんなルートでも歩ける反面、
正規ルートが極めて判り難いのが難点ですね。
斜面を登り切ると…


目も眩むような断崖絶壁です。
その高さは何と優に100m以上。


もう片側はちょっと傾斜がキツいとはいえ
芝の生えた斜面なのに、
どうしてこちら側だけこんなに切れ落ちているのだろう…


崖っぷちから見たSørvágsvatn全景。
細長い三日月のような形をしています。


断崖の上にある湖の水が今にも零れそう!とか、
同じ海なのに全然高さが違う!とか、
騙し絵として扱われる事の多いアングル。
日本語で「ソルヴァグスヴァテン湖」と検索して
まず真っ先に出てくるのがこの画です。
…僕は帰国してから知りましたが。


生き物を寄せ付けなさそうな断崖絶壁ですが、
鳥達にとっては天敵の来ない楽園のようで、
鳥の糞で黄色く色が付くほど
沢山の渡り鳥がここに巣を作っています。
愛らしい顔で人気のパフィンもいるとか。


Sørvágsvatnの南端。
東側ほどではないですが、
こちらも中々の断崖です。
島本体から刀で削がれたような巨岩もありますね。


良く見ると、Sørvágsvatnの水が
崖から零れ落ちています。
Bøsdalafossur(ベスダラフォッスル)という滝です。
こう見ると小さな滝のように見えてしまいますが、
これでも落差は30mもあります。
大した川らしい川も注いでいないのに
これだけドバドバ水が溢れているとは…


このお茶碗のような地形によって、
ここに周りの雨水が相当流れ込んできているのでしょうね。


この豊富な淡水もあって、
断崖だけでなく斜面の側にも
沢山の渡り鳥が翼を休めています。
近付いてもあまり逃げません。


トレッキングを終えたら宿に向かいます。
フェロー諸島の島々は大して大きくありませんが、
宿は二つ先の島にあるのでかなり遠いです。


島なので急勾配急カーブが多いのですが、
地元民っぽい車はとにかく飛ばしてきます。
愛知県を思い出すな…


空港のあるVágar(ヴォーアル島)から
フェロー諸島の中心であるStreymoy(ストレイモイ島)へ
海底トンネルで渡ります。
フェロー諸島はかなりトンネルが多く、
観光案内所で配られている地図には
主要なトンネル一覧表が載っていたりします。


結構暗いな…
あと、かなり勾配がキツいです。
最低限の予算で海を抜ける為でしょうか。
ただ、トンネルの断面積はかなり大きいです。
このトンネルは空港と中心街を結ぶ
最も重要なトンネルの一つだけあってかなり高規格な方で、
前述の一覧表によれば、
3kmにも及ぶ全長がありながら1車線しかなく、
しかも照明が付けられていないという
激ヤバトンネルもあるようです。


トンネル抜けると天気がまるで違っていました。
基本的にフェロー諸島は非常に雨が多いです。
パンフレットに使われている写真さえ
大半が曇天のものです。
そう思うと、さっきのトレッキングで晴れていたのは
非常に運が良かったと言えるかも知れません。


そこら中に滝が出来ています。
これだけ豊富な淡水があるからこそ
この隔絶された地でも定住出来たのでしょうね。


フェロー諸島の首都、Tóshavn(トースハウン)にある港。
僕がこのフェロー諸島の事を知ったきっかけは、
トーマスクック時刻表(欧州全土の時刻表)で、
デンマークのHanstholm(ハンストホルム)から
アイスランドのSeyðisfjörður
(セイジスフィヨルズル)への国際フェリーが
ここTóshavnを経由しているのを見た事。
なので、本当はフェリーで来たかったのですが、
あまりに時間が掛かるので妥協してしまいました。


港の待合所でトイレに入ったら…
覗き放題覗かれ放題の小便器が。
デザインが優れていると言われる北欧の割には
お手洗いのデザインは気にしないんだな…


灯台まで登ってみます。


潮風で錆び付いた砲台。
第二次世界大戦中は本国のデンマークが
一瞬にしてドイツに占領されてしまったので、
イギリスが慌てて軍事的に重要な
フェロー諸島を占領したという過去があります。
一応、占領とは言っても同盟国なので
血みどろの戦いがあった訳ではありませんが。


灯台のある位置から見たTóshavnの街。
人口はたったの2万人弱で、
欧州一小さな首都と言われています。
そして、今夜の宿はここにはありません。
更に小さな集落にあります。
フェリーで別の島へ渡らなければならないので
船着場へと急ぎます。


島特有の曲がりくねった細い路地だらけで
どの道を進んで良いのか分からなくなってきます。
霧深い住宅街に迷い込んで
行き止まりに突き当たったりしながら、
地図と見比べて船着場への道を探します。


正解の道を見付けました。
物凄い濃霧です。


うおっ、最早前が見えない!
羊が偶に路上に出ていたりする事もあるので
交通量が少ないからといって油断出来ません。


標高が下がって霧が晴れました。
フェロー諸島の旗が描かれた崖沿いを下ります。


Gamlarætt港(ガムラレット港)に到着。
切符売り場が全く見当たりません。
それどころか時刻表さえ見当たらず、
人の気配もありません。
ここで合っているんだよな…?


15:50発60番フェリーM/F Teistinに乗船。
切符売り場が無いので
船内で運賃を徴収されるのかと思いきや、
結局運賃は取られませんでした。
無料なのかな?


船内はこんな感じ。
マゼラン海峡のフェリーが思い出されます。
最上階には軽食を売る売店もありました。


30分ほどでSkopun港(スコープン港)に到着。
フェロー諸島で5番目に大きなSandoy(サンドイ島)です。
宿はこの港から正反対とは位置にあるので
ここから更に走ります。


Streymoyに比べると平坦?
それなのにより一層人口密度が低い印象を受けます。


集落は滝の流れる崖の直下にあります。
洪水とか落石とかで危なくないのかな?
それよりも真水を入手し易い事の方が重要なのでしょうか。


崖沿いの道を走ります。
対向車が来た時反射的に
左に避けてしまいそうで怖いな…


Streymoyの東端、Skálavík(スコーラヴィーク)に到着。
閑静な漁村です。
驚きですが、こんな場所にちゃんとしたホテルがあります。
会議室や体育館まで併設されていて
まるで学校のような雰囲気ですが。


フェロー諸島のお食事。
土壌が極めて貧弱なので農耕が殆ど出来ず、
野菜不足をポテトと缶詰めで誤魔化している感が凄いです。
というか、明らかにポテトが多過ぎる。
味は別に悪くないのですが…
北欧の人は日本人に比べて大食いなのかな?

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