さて、夏休みに入りました。
しかし、始まって早々来週の火曜日から
天文・天体物理若手夏の学校という
勉強合宿のようなものがあります。
開催地は長野県で、出張扱いになるので
(最短経路で)交通費が出ます。
でも、新幹線で行ったって旅情も何も無いよなぁ…
5:21発JR常磐線普通勝田行きに乗車。
という訳で、死ぬ程遠回りして長野を目指す事にしました。
この勝田行きの始発に乗れるのが
北千住最大の利点の一つですね。
眠いので道中は爆睡します。
水戸駅で7:28発JR水郡線普通郡山行きに乗り換え。
2ヶ月半振りの水郡線です。
袋田駅から先が未乗区間になります。
4両で走ってきましたが、
常陸大子駅で後ろ2両を切り離します。
油断していると水戸に返送されるので注意。
常磐線も、磐越東線もそうでしたが、
この水郡線も中央の区間は本数が少ないです。
この常陸大子駅から先は1日9往復まで減ります。
9往復あれば多い方かも知れないけど。
この辺りから福島県です。
奥久慈の奇岩が車窓からも良く見えます。
福島県に入ると久慈川は余り見えなくなり、
水田が広がるようになります。
10:50、郡山駅に到着。
これで水郡線は乗り潰し完了です。
11:06発JR東北本線普通福島行きに乗り換え。
東北本線はどうしてこう毎度窓が汚れているんだ…
11:54、福島駅に到着。
7ヶ月振りの福島市です。
相変わらず寂れた駅前。
蒸しっとしていて暑い…
駅前の温度計は35.9℃を示しています。
懐かしい気持ちになったので、
7ヶ月前と同じ喫茶店で昼食。
座った席も全く同じな気が…
今回はパングラタンにしてみました。
素朴な味です。
12:51発JR奥羽本線普通米沢行きに乗り換え。
学生や青春18キッパーが大勢乗っていました。
東京から鈍行で来て間に合う最初の列車だし、
これを逃すと次は3時間後だから集中するんだろうな…
その所為で席には座れず、
前面展望にかぶりつく事も出来ませんでした。
しかし、通は背面展望なのだ!
何故かと言うと、トンネルのある区間や夜間は
明るい車内がフロントガラスに映り込むのを防ぐ為、
運転席の後ろにある幕が下ろされてしまうからです。
そして、奥羽本線の福島-米沢間は
特にトンネルの多い区間の為、
福島と米沢の近郊以外はほぼ前面展望を見られません。
知は力なり。
山形新幹線とすれ違いながら山を登っていきます。
赤岩駅を通過。
2年前訪れた際は冬期休業駅でしたが、
今年から通年休業、即ち休止駅となってしまいました。
誰が見ても実質的廃止です。
こんなに良い駅なのに…
まあ、平均利用者数は0人/日だったらしいので、
一民間企業にしてみれば
この駅を存続させる理由は何も無いのですが。
似た境遇の山田線大志田駅・浅岸駅は
冬期休業からすぐに廃止されてしまったし…
しかし、この県境越え区間には
他にも魅力的な秘境駅が連なっています。
赤岩駅の隣駅、山形県に入ってすぐの板谷駅も
嘗てはスイッチバック構造だった駅。
山形新幹線開業に伴ってスイッチバックは無くなりましたが。
そして、次の駅もまた元・スイッチバック駅です。
13:20、峠駅に到着。
奥羽本線では赤岩駅に次ぐ秘境駅です。
これこそが今日最大の目的。
売り子が峠の力餅を売りに来る駅としても有名です。
1分足らずの停車時間の間に器用に売り捌くもんだな…
スイッチバック駅だった頃は停車時間が長く、
しかも列車の窓が手動で開いたので
売り易かったのでしょうが。
っていうか、降車客多いな!
20人近く下車しています。
どうやら、ここから山に入っていったところにある
温泉宿の宿泊客のようです。
出迎えのマイクロバスが2台やって来ています。
マイクロバスが停まっていたこのスノーシェッドは
嘗てのスイッチバックの引込線の跡。
今では駅前駐車場として活用されています。
無骨なスノーシェッドが
まるで廃工場のような雰囲気を醸し出す峠駅。
そしてここにもあった新幹線通過注意の看板。
写真撮影に夢中になって
新幹線に撥ねられないよう注意しましょう。
駅に掲げられていた旅の小さなモデルコース。
滑川温泉コース(徒歩2時間40分)
姥湯温泉コース(徒歩5時間)
五色温泉コース(徒歩4時間30分)
滑川温泉コースはまだしも、
下二つは駅を降りて
「こんなのあるんだ!歩いてみようかな?」
となるにはガチ過ぎる気が…
峠駅外観。
本当に駅なのか不安になりますね。
駅前には廃屋が3軒と茶屋が2軒。
赤岩駅より遥かに栄えています。
まあ、赤岩駅より栄えていない駅なんて
全国にも数えるほどしかありませんが。
峠の力餅を作っている茶屋もあります。
次の列車が来るまでは3時間。
という事で、「旅の小さなモデルコース」に載っていた
亀滝を目指して散策します。
駅から延びる道はかなりの急坂。
待合室に荷物を置いてきたかったけど、
あれだけ利用者があるとなるとそうもいかないよな…
外界への道と温泉への道の分かれ道。
峠駅への矢印が二つあるのはどういう事なんだろう…
車やバイクで来ている人も結構居て、
まさかの記念撮影をお願いされたりしました。
峠駅でも温泉でもなく何故ここで…
温泉への道の方を進みます。
坂がキツいし何より暑い!
汗が滝のように流れ落ちてきます。
しまったな…何か飲み物を持ってくるべきだった。
温泉の宿泊客は当然送迎バスで行ったのですが、
後ろから何やら年配の6人組が。
中高年のハイキング?
これがかなりの速さで迫ってきたので、
追い付かれまいと歩いて更に暑くなりました。
こんな場所でも頑張る宅急便。
都市部の配達料を値上げして
こういう山間部の配達料は値下げしてあげて欲しい。
なお、峠駅の名前の由来となった板谷峠ではありませんが、
ここも萱峠という峠になっています。
ここからは割と平坦な道なので楽です。
でも、車では余り走りたくありませんが。
ガードレールも無い細い道を歩きます。
この辺りは人工林なんだな…
戻ってきた宅急便。
この細い道で5分に1台くらい車が来るという驚き。
どうやって離合しているんだろう…
大きく崩落した法面。
大雨で道路まで崩落したりなんかしたら
滑川温泉と姥湯温泉は外界から完全に隔絶されますね。
遥か眼下を見下ろすと、
大きく土砂崩れを起こした前川が。
いや、あれは土砂崩れじゃなくてスラブかな?
あそこも登攀する人とか居るのかな…
袋田の滝のような砂岩質の滝が現れました。
これが亀滝なのかな?
ここまで来たら温泉まで歩いてみます。
三方にそれぞれ温泉があるみたいですね。
ただ、五色温泉への道は崩落しているようですが。
この大きな岩は車止めとして置いたものなのか、
それとも落ちてきたのか…
分岐点からちょっと歩くと宿が現れました。
ここが滑川温泉です。
間違いなく秘湯の部類に入りますが、
今日は大勢の観光客で賑わっています。
滑川温泉から徒歩20分だという滑川大滝への吊り橋は、
老朽化の為閉鎖されていました。
代替路はこれだそうです。
赤布が打ってあるのが分かりますかね?
ここで渡渉して散策路に合流するそうです。
雲行きがそんなに宜しくなかったので、
滑川大滝へは行かずに駅へ戻る事にしました。
峠の力餅を売る峠の茶屋で一服。
山中なので割とお高めの値段設定でしたが、
正直かなり美味しかったです。
これまで食べた餅の中では五指に入るくらい。
2時間山道を歩いたからというのもありそうだけど。
ちなみに、水はセルフサービスで、
店の前にある湧水を汲みます。
「峠の力餅で人生のとうげもこえよ」
峠を越えてしまったら後は人生下り坂だけど良いのかな…
ちなみに、峠駅の傍に茶屋はもう一軒あり、
こちらはサボや駅名標等が飾られている
鉄オタ向けの店になっています。
峠駅に戻ってきました。
人が居なくなった峠駅は実に静かです。
ヒグラシとウグイスの鳴き声、風に揺れる葉の音、
それに遠くの山で轟く雷鳴しか聞こえません。
えっ、奥羽本線が大雨で運転見合わせ!?
…あ、秋田県の話か。
一瞬焦りました。
ここで足止めを喰らったら洒落にならないからな…
16:33発JR奥羽本線普通米沢行きに乗車。
米沢に向かって下っていきます。
米沢駅で17:29発JR奥羽本線普通山形行きに乗り換え。
今回米沢は素通りです。
17:47、赤湯駅に到着。
鉄道むすめのポスターが並んでいますね。
ここは山形鉄道フラワー長井線の駅でもあります。
この山形鉄道が今回の目的の一つでもあるのですが…
乗ろうとしていた列車が車両故障で運休!?
何という事だ…
乗ろうとしていた列車は終列車の2本前なのですが、
逆方向の列車の終列車が滅茶苦茶早いので、
終着駅まで行って乗り潰そうと思うとすると
乗ろうとしていた列車が実質的に終列車なのです。
どうすべきか…
仕方無いので、駅員さんの勧めで駅名の由来にもなった
赤湯温泉を巡ってみる事にします。
実は新幹線停車駅な赤湯駅。
立派な駅舎です。
山形鉄道側はこんな感じですが。
えらく人通りの少ない温泉街。
温泉街というと古い街並みを残すところが多いですが、
若干ニュータウンのように整備されています。
一本入るとこんな感じになりますが。
丹波口というのは、赤湯温泉のシンボル、
烏帽子山への入口だそうです。
どう見ても旅館の裏口にしか見えないけど…
烏帽子山八幡宮の大鳥居。
継ぎ目の無いものとしては日本一の大きさだとか。
烏帽子山から俯瞰する赤湯温泉。
烏帽子山は台地の端っこに位置するので
中々眺めが良いです。
さて、温泉街に来たからにはやる事は決まっています。
温泉に入りましょう。
こちらは元湯公衆浴場。
公衆浴場なので入浴料は200円と格安。
最近建て替えたとかでとても綺麗です。
散々歩いて疲れた脚が癒される…
温泉から上がったら夕食です。
赤湯名物だという辛味噌ラーメン。
手打ちの縮れ麺が美味しい!
正統派醤油ベースのスープに辛味噌が良く合います。
計画が狂って急に来る事になった赤湯温泉だけど、
これはこれで良かったな…
では、宿へと向かいます。
夜出歩く事をほぼ想定していない暗さですね。
赤湯駅から20:50発山形鉄道フラワー長井線荒砥行きに乗車。
終列車です。
青春18きっぷで旅…
もとい出張をしているというのに
何故第三セクターに乗るのかというと、
祖父がふるさと納税で山形鉄道の
フリー切符引換券を手に入れて僕にくれたから。
フラワー長井線を乗り通せなくなってしまった今、
温存して次の機会に取っておくべきか悩みましたが、
そう言うと結局使わず仕舞いになりそうなので使います。
21:26、南長井駅に到着。
ひたすら暗い道を歩いて宿に向かいました。
コメント