(無題)

晴天の日曜日。
しかも、今日は昨日と違って風が弱く、
天候も安定しています。
そして、4月だというのに夏日になりそうな陽気。
こんなのもう出掛けない訳にはいかないでしょう。
という訳で、4ヶ月振りにサイクリングする事にしました。

今回は以前の続きというつもりなので往復輪行します。
北千住駅から9:15発東京メトロ千代田線
各停代々木上原行きに乗車し、
西日暮里駅で9:27発JR山手線内回りに乗り換え、
池袋駅で9:50発西武池袋線急行飯能行きに乗り換え、
飯能駅で10:48発西武池袋線各停西武秩父行きに乗り換え、
11:33、西武秩父駅に到着。


そんな訳で、今回は1年4ヶ月前からの続きです。
北千住-西武秩父間は既に自転車で走破したので
今日はその先を走ります。
羊山公園で芝桜が見頃とかで混んでいますね。


国道140号沿いも桜が咲き乱れています。
秩父は少し気温が低いので丁度桜吹雪が始まった頃ですね。


山道が始まりました。
西武秩父駅からここまでも終始緩い上り坂なので
見た目より体力を奪われますが。


山道開始を宣言しただけあって
トンネルやら切り通しやらが頻繁に現れるように。
良いですねー。
これでこそサイクリング。


三峰神社の鳥居がありました。
秩父鉄道建設の目的でもあった由緒正しい神社。
但し、三峰神社は山の上の方にある為、
この鳥居からは登山道を2時間ほど歩く必要があります。


道の駅大滝温泉。
埼玉県内では最西端に位置する道の駅です。
ここで昼食を取る事に。


二瀬ダムカレー。
ご飯が堂々たる重力式アーチダムを、
カレールーが満々と水を湛える秩父湖を、
レタスが緑溢れる森林を、
ジャガイモが荒々しい山肌の岩を、
福神漬けが怒涛の勢いで噴き出す放流水を、
ニンジンが燃えるように染まった紅葉を、
特産のしゃくし菜がダム管理所を表しているとか。
ダムを表現するならもっと大きくして欲しかった。
ちなみに、お隣の滝沢ダム版もあります。


腹拵えを済ませたらサイクリング再開。
何やら沿道に「バイク弁当」なるものがありました。
カレールーが夜を、ご飯が闇を切り裂くバイクの車体を…
みたいな弁当かと思いましたが、
どうやらバイクの燃料タンクを模した弁当箱に
豚の唐揚げ丼が入ったものだそうです。
ちょっと気にはなったけど、
別にバイクはそんなに好きじゃないからな…
乗ってみたら案外面白いんだろうか。


今度は温泉スタンドなるものがありました。
大滝温泉のお湯をポリタンクに汲めるようです。
汲んだとしてどうやって使うのかな?


道路情報…かと思いきや滝沢ダムの宣伝。
「Let’s滝沢!ダム内部見学9~17時」
何、ダムの内部が見学出来るだと!
それは聞き捨てならない。
でも、時間が足りるかが微妙なんだよな…


更に進むと、突如として巨大な建造物が現れました。


滝沢ダムと雷電廿六木橋です。
滝沢ダムは上述の通りやけに推されているダムで、
雷電廿六木橋はその堤体の上まで国道140号を上げるべく
120mの標高差を稼ぐ為に造られたループ橋です。


滝沢ダムから見た雷電廿六木橋。
見事です。
国道140号にはこれを含めて2本のループ橋があります。
実はもう1本の方は既に見た事があって…


一方こちらは滝沢ダム。
どうしようかな…
先を急いだ方が良いかな…


しかし、堤体内部を通るエレベーターに乗れると聞いて
居ても立ってもいられなくなり、
見学する事を決めました。
ちなみに、見学の手続き等は特に必要無く、
エレベーター前の見学届に記入すれば
エレベーターには勝手に乗る事が出来ます。


高低差121mをゆっくりと下ります。
閉所恐怖症の人には結構辛いかも。


1分程で堤体下部の監査廊に到着。
空気がひんやりしています。
ダムの変形量を測定するプラムラインという装置や、
地下水圧を測定する装置なんかが置かれています。


監査廊にはダム建設時の写真や
ダム周囲の動植物の写真がずらり。
ちょっとしたギャラリーですね。


建設中の雷電廿六木橋の写真もありました。
カンチレバーという工法だそうです。
巨大な橋ってこんな風に造っていたのか…
でも、最初に橋脚を建てる時の大型クレーンは
一体どうやってここまで持ってきたのかな?


滝沢ダムの下部に出ました。
121mもの高さがあるだけあって
見上げるとかなりの威圧感がありますね。


エレベーターではなく階段で上り下りする事も出来ます。
僕はやりたくありませんが。


滝沢ダムも満喫出来たところで再び走り始めます。
滝沢ダムのダム湖、奥秩父もみじ湖に沿って西へ。


全長2,200mの大峰トンネルを抜けます。
山道を自転車で走るのは楽しいんだけど、
トンネルだけは怖いんだよな…
ぶりぶり爆音を鳴らして走っていくバイクは
ダム湖に沈んで欲しい。


大峰トンネルを抜けました。
ここで、滝沢ダム経由と二瀬ダム経由、
更に二瀬ダム経由は旧道と新道の
計3本に分かれていた国道140号が再び一つに纏まります。


通行止めゲートと急勾配を告げる看板…
さあ、いよいよ峠道の核心部に入って参りました。
ここからは己との闘いです。
ここまでもそこそこキツかったんですが。


この峠は中々辛い…!
流石は長年開かずの国道や
点線国道の名を欲しいがままにしていた国道140号。
10%を超える勾配が随所に現れます。
ここまでで疲労の溜まった身体には堪える…
10分と連続して漕いでいられません。
行き帰りの電車内で読むだろうと
ムカノフの宇宙論を持ってきたのは阿呆だったな…


東京大学秩父演習林?
こんな崖だらけの場所にも持っていたのか。
急傾斜地の森林の性質でも調べるのかな?


東京大学(一部)。


ゴボゴボ水なる湧き水。
余り美味しくなさそうな響きですね…
喉が渇いていたので飲もうか迷いましたが、
飲用可という表示が何処にも無かったので止めました。


猿注意の道路標識。
実際に猿の大群が道を挟んで現れているので、
余りのろのろしていると襲われるかも知れません。
歯を食いしばりながら登ります。


来た!


深い深い渓谷に架かる豆焼橋です。
目も眩むような高さ。


その奥にももう一本橋が見えていますね。
奥秩父トンネルを抜けて向かいます。


雁坂大橋に到着!
そして、その雁坂大橋を渡り切れば…


着いたー!
雁坂峠を越える雁坂トンネルです!
全長6,625mでアクアトンネル(同9,610m)に次いで
全一般国道の中で2番目に長いトンネル。
事故予防とかで自転車や歩行者は立入禁止になっています。
迂回路は登山道しかありません。
さもなくば100km以上遠回りして
大弛峠(冬季通行止め、長野県側未舗装)を通るか、
150km近く遠回りして奥秩父山塊を避けるしかありません。
しかも、峠を越える公共交通機関は一切存在していないので
自転車にとっては未だに開かずの国道のままだと言えるでしょう。
それくらい通してくれれば良いのに…


この国道140号の愛称である
「彩甲斐街道」のマークも雁坂トンネルになっています。
甲斐、そうこのトンネルが通じているのは山梨県。
何を隠そう、トンネルの山梨県側の入口はあの西沢渓谷なのです!
これで全てが一つに繋がりましたね。


雁坂大橋から見た豆焼橋。
さて、自転車では峠を越え切る事も出来ないのに
何故大変な思いをしてまでこんな場所までやって来たのか?


初心忘るべからず。
雁坂峠は荒川と富士川の分水嶺であり、
ここは荒川の源流部にあたるのです。
仙川から北千住に移ってからずっと走り続けてきた荒川を
漸く源流まで遡る事が出来ました。
長かったなぁ…


多摩川の源流よりも遥かに荒々しい様相です。
流石は荒川という名を冠しているだけの事はある。
この沢を更に遡上していくと、
平成になるまでその存在すら知られていなかったという
瀧谷洞なる関東最大規模の鍾乳洞もあったりします。
余りの立地に未だ全容は解明されていません。
21世紀になって尚、人を寄せ付けない山域。
そんなに山のイメージが無い埼玉県ですが、
ここまで来ると畏怖の念すら覚えますね。


感動している場合じゃなかった、
トンネルを抜けられない以上
ここから秩父の街まで戻らないといけないんだ!
まあ、仮にトンネルを抜けられたとしても
その先にあるのは30km離れた塩山駅なので、
帰るのが余計に面倒臭くなりますが。
既に日が大分傾いているので急いで下ります。


その前に、豆焼橋のすぐ傍にある
出会いの丘なる施設が気になったので寄ってみました。
出会いの丘(無人)
彩甲斐(さいかい)→再開という事なんだろうか…


ここは東大秩父演習林についての展示があったり、
甲武信ヶ岳への登山拠点になったりしているようです。
山岳救助用と思われるヘリポートもあり、
過去には埼玉県防災航空隊の墜落事故が起こっているそうです。


それはそうと急がないと!
行きは急勾配をぜいぜい言いながら上った分、
帰りはひたすら下りなので快速です。
車と同程度の速度は出ます。
ロードバイクは普通の自転車にもまして華奢なので、
常に死と隣り合わせだという感覚はありますが。


復路は往路の半分未満の時間で走り抜けて
19:15発西武池袋線各停飯能行きに何とか乗れました。
北千住に着いたのは22時前。
かなり遅くなってしまったな…
でも、長年の課題だった
荒川を源流まで遡行する事が出来て良かったです。
次なる目標は…
国道6号か4号だろうか…

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