越後・南東北旅行第5日目。
今日は陸前を巡ります。
起床。
…何だろう、この妙な感覚は。
まだ目覚ましは鳴っていない筈なんだけど…
今の時刻は…
8時半!?
大寝坊じゃないか!
目覚ましがちゃんとセットされていなかったのか!?
いや、無意識の内に止めてしまっていたのか!
カプセルホテルだからとマナーモードで設定したばかりに…
昨夜の時点で異常に眠くて既に兆候はあったんだよな…
ここまで歩き詰めで疲労が限界に来ていたのか…
何故よりによって最も代替の効かない今日に…
って、過ぎた事を悔やんでいる場合じゃない!
早く行程を組み直さないと!
急いで着替えて仙台駅へと走ります。
9:24発JR仙石東北ライン特別快速石巻行きに乗車。
良かった、こっちには何とか間に合った…
1日1往復しか走っていない貴重な特別快速です。
仙台-石巻間で停車するのはたったの3駅(快速は12駅)。
伊達に特別快速を名乗っていません。
最初は東北本線を走ります。
懐かしの松島を望みながら走ります。
仙石線も見えますね。
この辺りは仙石線と東北本線が殆ど併走している区間。
ちょっと手を伸ばせば届きそうな距離まで近付きます。
なら手を伸ばしちゃおうぜ、という事で作られたのが
この仙石東北ライン。
東北本線塩釜駅と仙石線高城町駅の間に
300m程の連絡線が建設され、
直通運転が出来るようになったのです。
仙石線・東北本線接続線ほぼ全景。
これを見て何か気付いた事はありませんか?
そう、東北本線も仙石線も電化されているのに
この接続線だけは電化されていません。
何故そんな事をしているのかと言うと、
東北本線は交流電化、仙石線は直流電化と
電化方式が二つの路線で異なっている為、
架線をそのまま繋ぐ事は出来ないからなのです。
七尾線みたいにデッドセクションを設けても良いのですが、
それが出来るのはその区間を惰性走行出来る場合だけで、
ここのようにカーブがキツかったりすると
不可能になってしまうのです。
というか、そもそもこいつ信号待ちで停車していますしね。
折角の特別快速なんだからダイヤを調節して
こちら側をノンストップで走らせれば良いのに…
電車なのに非電化区間(電気が得られない)で
停車してしまっていますが、大丈夫でしょうか?
勿論、大丈夫です。
この列車は最近人気のハイブリッド車で、
非電化区間もディーゼルエンジンで走れるのです。
科学の力ってすげー!
高校の卒業旅行でも乗った仙石線ですが、
あの時は矢本-高城町がまだ代行バスだったので
鉄道としては初めての区間です。
防波堤が新設されていますね。
というか、これ防波堤が無かったら
津波でなくともちょっとした高波で水が被るのでは…
陸前大塚駅を過ぎると高台へと駆け上がっていきます。
陸前大塚-陸前小野間は津波の被害が特に甚大だった為、
高台移転されての復旧となりました。
高台移転された東名、野蒜駅前には
ちらほらと新築された住宅がありますが、
大多数は低地に残っているように見受けられました。
そういう人達にとっては滅茶苦茶不便になったんだろうな…
野蒜駅を出ると高台から降ります。
さながらジェットコースターです。
この辺りはまだ更地ですね。
一部田んぼになっているところもありますが。
ただ、これは津波の所為なのか
元々そんな感じだったのかは微妙です。
新潟とか富山とか、素でこんな感じの場所があるからな…
遠くの方では工場がもくもくと煙を上げていました。
工場は再開しているんですね。
10:16、石巻駅に到着。
さて、ここで選択を迫られます。
本来ならばここで石巻線に乗り換えて女川へ向かい、
女川港から船に乗って陸前江島へと向かう予定でした。
しかし、寝坊した所為で1日3本しかないフェリーを逃し、
今から女川へと向かっても陸前江島へは渡れません。
女川自体行った事が無いので
素直に女川を観光という手もあるのですが、
僕は街歩きがそんなに好きではないので
恐らくかなり時間が余ってしまう事でしょう。
どうしたものか…
悩んだ結果、石巻に留まる事にしました。
4年振りの石巻です。
石巻ってこんな街だったっけ…
如何にも復興途上だった4年前の面影は無く、
普通に栄えた一地方都市になっています。
交通量もかなり多いです。
復興したんだなぁ…
あっ、この坂道は見覚えがあるぞ!
確かここを登ると…
日和山公園だ!
懐かしい…
石巻を俯瞰出来る丘の上にある公園です。
4年前と同じ構図で海側を望む。
あれ?こっちは4年前から大して変わっていないような…
どうやら、この一帯は災害危険区域に指定されたらしく、
普通に民家を建てる事が出来なくなったのだそうです。
それでなのか。
ちなみに、4年前の写真はこれです。
4年前は上から見下ろしただけで帰ってしまいましたが、
今回は降りてみました。
信号も点いておらず、復興はまだ遠そうです。
砂埃の舞う路面と相俟って
何となくロシアを思い起こさせるような…
さて、街歩きが好きではないと言ったのに
石巻市街を歩くだけで今日を費やす訳がありません。
陸前江島は叶いませんでしたが、島には行きます。
12:00発網地島ライン マーメイド号に乗船。
石巻港を出ます。
そこそこ時間が掛かるので一眠り…
起きたらお目当ての島が目の前になっていました。
この大泊港は復旧工事中なので寄港出来ないそうです。
13:01、仁斗田港に到着。
牡鹿半島の沖合いに浮かぶ島、田代島です。
その名を聞いた事のある人も多いのではないでしょうか。
そう、ここ田代島は「猫の島」として
一躍有名になった島なのです。
田代島では猫は豊漁をもたらす縁起の良い生き物として
昔から大切に飼われてきた為、
今でも島の至る所で猫が見られるようになったのです。
近年はそれをアピールして観光地化もしており、
仮設の柵まで猫仕様になっています。
だからこそ余り来る気はしなかったのですが、
真冬の平日という今日なら
観光客の居ない本来の田代島の姿を見られるのでは、
という事でやって来た次第です。
港から出るか出ないかのところにいきなり猫が居ました。
大きな魚にかぶりついています。
漁師の人があげたのでしょうか。
そんな魚、僕だって滅多に食べられないのに…
集落。
良くある小島の集落です。
ただ、震災で島を離れた人も多いのか
荒れ放題になっている空き家も多いです。
思ったほど沢山猫は居ないな…
島唯一と思われる商店。
お婆ちゃんが一人で切り盛りしていました。
ここのところ時化が続いていたとかで
商品は殆ど無くなっていましたが。
お婆ちゃんによると、冬の間は寒いので
多くの猫が屋内で暖を取っているとの事。
それで猫が少なかったのか…
しかし、坂を登った場所にある
マンガアイランドという施設には猫の溜まり場がある
…と言っていたように思います。
かなり訛りがキツくて正直良く聞き取れませんでした。
お婆ちゃんの言う通りに坂を登っていったら、
マンガアイランドに着く前に既に溜まり場がありました。
犬は尻尾を振って近寄ってきても
猫には逃げられる事に定評のある僕ですが、
田代島の猫は人を見掛けると近寄ってきます。
人に馴れていますね。
犬と違って積極的に撫でてくれという感じではないですが。
2匹でうたた寝する猫達。
寒いから寄り添っているのでしょうか。
軽トラの荷台で撮ってくれとばかりに近付いてきた猫。
被写体としての意識ばっちり?
猫達に見られながら細い山道を歩きます。
マンガアイランドに着きました。
高台にあるロッジです。
何故マンガなのかというと、
石巻市自体が石ノ森章太郎ゆかりの地という事で
漫画を全面に押し出した街づくりをしているからです。
実は石ノ森章太郎の出身地は隣の登米市なのですが。
おっ、お婆ちゃんの言っていた通り猫だらけだ!
皆こっちに駆け寄ってきます。
ただ、辺りはちょっと糞尿の臭いがしますね…
何故かビニール傘に興味津々です。
田代島ではビニール傘は珍しいのかな?
僕が移動すると猫達も大移動。
これだけついて来るって事は
餌をやる観光客も居るという事なのだろうか…
暫し戯れタイム。
このロッジ、夏季は予約すると宿泊する事が可能で
太平洋に沈む夕陽を独り占めする事が出来ます。
11~3月は冬季閉鎖中ですが。
奥に見えていた砥石のような形のこの島は
その名も砥面島という名前で、
嘗ては野ウサギが多く棲む兎島で
田代島の人が手漕ぎ舟で出掛けては
布海苔なんかをやっていたそうですが、
高齢化で出向く人が居なくなり、
餌を得られなくなったウサギは姿を消したとか。
マンガアイランドとは違う方面へ坂を登ると
田代浜ポンプ場という施設があり、
ここも猫の溜まり場になっていました。
更にその先には小中学校跡地に作られた島の駅なる施設が。
田代島にゃんこ共和国という
震災復興を目的とした社団法人が運営しているようです。
田代島で何か土産を買うとすればここでしょうか。
その少し先にあった猫神社。
その昔、石を砕いて碇を作っていた際に
飛び散った石が猫に当たって死んでしまい、
それを悼んだ島民達が追悼の意を込めて建立したとか。
猫の置物が大量に備えられています。
が、集落から離れているからか
この辺りには猫は居ません。
猫神社から集落へ戻る途中で会った猫。
猫も腹を向けて寝転がるんだな…
仁斗田港とは反対側にある海岸。
田代島唯一の海水浴場だそうです。
その傍にあった稲荷神社。
猫神社よりもこちらの方がずっと立派ですね。
長閑な島だなぁ…
しかし、小中学校も廃校になり、島に残るのは老人ばかり。
田代島はいつまで有人島であり続けられるのか。
猫と人が共生するこの島も
いつか歴史の中のみの存在になってしまうのでしょうか…
15:33発網地島ライン マーメイド号に乗船。
田代島を離れます。
16:35、石巻港に到着。
定刻より11分早く着きました。
これは…頑張れば1本前の列車に乗れるのでは!?
疲れた身体に鞭打って今日も駅へと駆けます。
うおおぉっ!
石巻駅16:54発JR仙石東北ライン快速仙台行きに乗車。
何とか間に合った…
もうへとへとです。
列車内では爆睡していました。
仙台駅で18:05発JR東北本線福島行きに乗り換え。
げっ、この列車こんなに混んでいるのか…
仙台を舐めていたな…
40分ほど立つ破目になりました。
宮城県から福島県へ。
19:28、福島駅に到着。
仙台からの落差が凄いです。
人が少ない…
駅前もこんな感じ。
何だこの寂れ具合は…
この福島駅を以て東北6県の県庁所在地駅の
全てに降り立った事になりますが、
これはその中でも最低ランクの発展度です。
しかも、名物のある青森(海鮮)、盛岡(冷麺)、
秋田(きりたんぽ)、仙台(牛タン)と違い
この福島と山形は名物らしい名物もありません。
会津若松や米沢はあるんだけどな…
夕食はどうしようかな…
迷った結果、地元の喫茶店で食べる事にしました。
ふくしまブルブルとかいう名物っぽい名前の料理。
焼いた豚の薄切り肉を醤油、酢、
それに大量の黒胡椒で味付けしたスパイシーな料理です。
とうふラーメンに並んでこれも自炊出来そう。
自炊のアイデアが増えますね。
喫茶店らしくコーヒーとデザートも付けてみました。
シロノワールっぽい見た目の珈琲ババロアが中々美味しい。
この後はコンビニで明日の朝食を買ってから
宿に戻って寝ました。
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