今日も清々しい秋晴れ。
折角半田に帰ってきたというのに
家に籠もっているのは余りに勿体無い!
という訳で、東海地方の紅葉狩りに出掛ける事にしました。
8:00、出発。
半田中央ICから知多半島道路に乗り、
大府西ICで降りて大府ICから伊勢湾岸自動車道に乗り、
豊田東JCTで東海環状自動車道に移り、
土岐JCTで中央自動車道に移り、中津川ICで下道へ。
国道19号で北上します。
上松まで来たところで西へ。
林道を上っていきます。
国道19号の道沿いはまだまだ色付き始めでしたが、
ちょっと上っただけで綺麗に紅葉していますね。
赤沢自然休養林に到着。
嘗ては尾張藩が厳しく管理する留山で、
明治以降は皇室の財産となった由緒正しい森です。
現在は森林セラピー発祥の地も売りにしているようです。
しかし、僕は森林セラピーが目的で来たのではありません。
ここには昭和50年まで木曽森林鉄道という
安房森林鉄道を除くと国内最後の森林鉄道が運行されており、
今も尚観光鉄道として2kmの軌道が残されているのです。
今年の運行は明日が最後。
という訳で紅葉狩りがてら乗りに来てみました。
運行は30分に1本で、次の列車まで少し時間があるので
それまで駅舎に併設された資料館を覗いてみます。
全盛期は実に400kmにも上る路線を有した木曽森林鉄道。
「生命の保証はしない」事を条件に
観光客や通学客の輸送も行っていたそうです。
通学するだけで命懸けか…
それでは、その命懸けの列車に乗り込みます。
勿論、今は命懸けではありませんが。
列車は自転車ほどの速度でゆっくりと走ります。
この場所だと紅葉はもう終わりかけですね。
少しすると浅い渓流沿いを走るように。
ひんやりとした冷気が漂ってきます。
10分程で終点の丸山渡停車場に到着。
切符は往復でしか販売されず、
この丸山渡停車場から片道乗車する事は出来ません。
何故こんな制度になっているのかと言うと、
片道での切符を販売してしまうと「旅客運送」に当たり
鉄道事業法第二条によって「鉄道事業」と見做される為、
同法第三条より第五条第二項の基準に則って
国交大臣の許可を受ける必要が出て来るのですが、
往復切符しか売らない場合は普通の「旅客運送」とはならないので
同法第六条の二の「特定の目的を有する旅客の運送」になり、
第五条第一項第一、四号の基準が免除されて
経営・財源面での審査がされなくなる為に
圧倒的に許可が下り易くなるからなのです。
観光鉄道に環状運転や往復運転が多いのは
法律上の問題だったのです。
アルゼンチンの世界の果て鉄道も
往復切符しか売られていなかったけど、
アルゼンチンにも似た様な法律があるのかな?
しかし、往復で切符を買ったからといって
必ず往復乗らなければならない訳では無く、
旅客が勝手に降りる事は禁じていないようです。
この辺りも世界の果て鉄道と同じですね。
急いで先回りして撮り鉄。
うーん、焦ったから微妙な画になってしまったな…
線路脇にチェーンソー導入の碑なるものが。
ここ赤沢は日本で初めて
チェーンソーが導入された場所なんだとか。
併記されているアルファベットが英訳かと思ったら
まさかのローマ字表記で大草原。
昭和60年に行われた伊勢神宮の第61回神宮式年遷宮の際、
御用材として伐り出された木の切り株。
実は、この御用材の運搬の為に
一時的ながら森林鉄道が復活し、
その様子が全国に報道されて話題となった事で
観光鉄道としての整備が決定したという過去があります。
伊勢神宮の力は大きい。
そんな神聖な材木をチェーンソーで伐る訳はなく、
三方向から斧で切り込む
三ツ紐伐りという特殊な伐り方をするそうです。
内宮用、外宮用の順番で伐るのですが、
その時、倒れた2本の梢が交差しなければならない為
倒れる方向が正確に決められるこの伐り方をするのだとか。
そうこうしていたらやって来た下り列車を撮影。
もう少し時期が早ければ紅葉が綺麗だったろうな…
赤沢森林鉄道は嘗ての森林鉄道と
同じ経路を走っているとはいえ、
流石に生命の保証はしないといけないからか
橋脚などは頑丈なものに作り替えられています。
でも、往年の森林鉄道の雰囲気は味わえました。
それでは、山を下ります。
下っている最中に廃線跡を見付けました。
これは明らかに森林鉄道現役時代そのままの橋脚ですね。
上の写真と見比べるとその頼りなさが分かります。
橋の上はこんな感じ。
ここに線路を敷いて列車を走らせていたのか…
そりゃあ生命の保証も出来ないよな…
尚、現在は立ち入り禁止です。
下る途中に神社を見付けたので参拝。
赤沢自然保養林では散歩禁止だった愛犬も
ここでは散歩出来て楽しそうです。
中々に良き紅葉であった。
昼食を食べるべくやって来た
上松駅で見付けたマンホールの蓋。
森林鉄道が描かれています。
上松町にとっては貴重な観光資源だからな…
…でも、上松町にはもっと有名な
寝覚めの床があるのにわざわざ森林鉄道にしたのか。
上松駅付近には驚くほど飲食店が無かったので
国道19号で少し南下します。
中央本線と並走しているので
少し撮り鉄でもしようかと思いましたが、
JR東海のクソダサ車両しか来ないので止めました。
蕎麦屋で蕎麦を食べてから
次にやって来たのは阿寺渓谷。
飛騨山脈に刻まれた深い渓谷で、
15時前だというのに既に薄暗いです。
ここにも森林鉄道の廃線跡がありました。
人が歩くだけでも心許無い細さ。
やけに真新しい柵が付けられているけど、
今も歩道として使う事があるのかな?
但し、やはりここも一般人は立ち入り禁止です。
何処まで道が続いているのか分からなかったので、
この犬帰りの淵で引き返す事に。
愛犬が居ますからね。
狐ヶ淵。
美しい翡翠色に染まっています。
愛犬も水遊びしています。
…川に石を投げこんだら
餌と勘違いして取ろうとしているようですが。
そんな感じで中々に良い紅葉狩りでした。
帰りは土岐JCTで思いっ切り渋滞に巻き込まれましたが…
脚注
※「鉄道事業法」
cf. 鉄道事業法施行規則
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