信州自転車峠旅第2日目。
6:30、起床。
朝日に映える木曽山脈。
伊那谷の朝は遅いです。
伊那市駅から7:42発JR飯田線普通天竜峡行きに乗車。
今日は地図で確認出来るだけでも
三つもの峠越えが控えており、
なるべく体力を温存しておきたいので輪行します。
伊那市から飯田市に掛けては市街地で走り難いので…
あと、昨日の経験から平地より2時間近く日没が早いので
行動時間を短縮する意味もあります。
まあ、甘えですね。
木曽駒ヶ岳を望みながら走ります。
今日も良い天気です。
車内は高校生で満員状態。
そうか、今日は一応平日か…
9:47、切石駅に到着。
飯田駅でも良かったのですが、
折角だからと隣の小さな駅で降りてみました。
駅前のコンビニで朝食を済ませて出発します。
今日のお供は国道153号。
飯田線に寄り添って走っていたと思ったら
飯田で急に決別して木曽山脈に挑み始める山道です。
いきなり勾配がキツいな…
坂道の途中でまたしても見付けてしまった
本日の謎観光スポット、徳演筆馬頭観世音碑。
伊那街道を行き交う人馬の安全と
供養の為に建立されたそうですが、
明治23年に土石流で集落もろとも流されたものを
探し出して20日間もかけてここまで引き上げたのだとか。
関係無いけど、「伊那街道」と変換しようとしたら
「田舎移動」と変換されたのは草。
下り坂でブレーキが故障した際に突っ込む緊急待避所。
教習所で習ったし、らしきものは見た事があるけど、
「ここへ入れ!」なんて迫真の標識は初めてです。
この道だけでこういう緊急待避所を3回くらい見ました。
そんなにブレーキの故障する車が多いのかな…
道の脇にニホンザルが居ました。
人里に降りてきた…
訳ではなく、人間が猿山に押し入っているのです。
何とも山深い場所です。
ちなみに、この辺り一帯の阿智村は
周りを全て急峻な山に囲まれている為に、
日の出が遅く日の入りが早いので
「日本一暗い村」と呼ばれていて、
最近ではそれを逆手に取って
「日本一星空が綺麗な村」として人気を博しています。
実は中央自動車道からのアクセスは割と良いです。
ニホンザルが居たすぐ横にあった蕎麦屋で昼食。
信濃と言えば蕎麦ですね。
…でも、残念ながら僕は蕎麦の違いが良く分かりません。
昼食を終えたらいよいよ峠の核心部へ。
山から山へ、巨大な橋で登っていきます。
九十九折りの杖突峠とは違い、
隧道と橋梁を駆使した直線的な経路で、
最近の自動車の性能に合わせている為に
極めて勾配がキツいです。
10%近い勾配が延々続きます。
自動車の運転は楽になるだろうけど、
自転車にとっては堪ったものじゃないな…
山の斜面に沿って道が見えるので
旧道は地形に素直にカーブを描いていたようです。
完全に廃道化した訳ではなく
現在も村道には指定されているようですが。
何度も休憩して死にそうになりながら登ります。
本日最初の峠、寒原峠(標高1,073m)に到達!
きつかった…
でも、その分峠を越えた後の下り坂は爽快!
…だけど、この後すぐに次の峠が控えているから
出来れば余り高度を下げたくないところだ…
そんな願いも虚しく、振り出しに戻されてしまいました。
再び歯を食いしばって急坂を登ります。
寒原峠で既に大分標高を稼いでいるから
さっきよりは距離は短い筈…
峠に近付くにつれ、打ち捨てられたペンションや
スキー場が哀愁を漂わせるように。
嘗ては栄えた時期もあるんだろうか…
今もまだ営業していた峠の喫茶店で一息。
流石に蕎麦ではカロリーが足りないかったな…
という事で二つ目の峠、治部坂峠(標高1,187m)に到達!
疲れた…
もう既に終わったような気分ですが、
距離的にはまだ半分です。
峠を越えると阿智村から平谷村に。
この村は長野県で最も人口の少ない村として有名。
人口は遂に500人を切りました。
村章も困っている顔文字みたいですね(>o<)
一気に下っていきます。
これぞ自転車峠越えの真骨頂!
最高に気持ち良いです。
下り切った場所にある道の駅信州平谷。
謎のチューブが顔を覗かせていますが、
これは併設されている温水プールだそうです。
人口が県下で最少という分かり易い困窮要素があると
補助金が回ってきやすいのでしょうか。
某上小阿仁村とか。
平谷村中心部。
意外と家が多く見えます。
ちなみに、平谷村は鉄道駅が無いのは勿論の事、
鉄道駅に通じるバス路線すら無く、
阿智村行きと飯田行きの2本バスを乗り継ぐ必要があります。
鉄道駅へ着く為にバスを乗り継がねばならない自治体は
日本全国を見ても極めて珍しい存在で、
本州なのに日本屈指の鉄道空白地帯と言えます。
三遠南信はガチ秘境です。
集落は猫の額ほどの盆地にある為、
ここから抜けるのにまた峠越えです。
本日の謎観光スポットその2、赤坂稲荷社。
朽ち果てた鳥居が並んでいます。
折角だしお参りしておくか。
中は意外にも荘厳な雰囲気。
賽銭箱とかはありませんでしたが。
神社のすぐ先で本日三つ目の峠、赤坂峠(標高951m)に到達!
地図に載っていた最後の峠です。
この峠で根羽村に入ります。
日本一暗い村、長野県一人口の少ない村と来て
お次は長野県最南端の村です。
平谷村の更に先にある為、
平谷村以上の鉄道空白地帯でもあります。
「ねば」村だけに正にネバーランド、なんちゃって。
…お粗末様でした。
って本当にあるのかよ!
ノリが良く分からないな…
根羽村は阿智村や平谷村にも増して平地が少なく、
田畑は棚田や段々畑ばかりです。
根羽村中心部。
かなり密集していますね。
平地の少なさの現れでしょうか。
これだけ密集させても尚
数軒の家は已む無く斜度10%の急坂に建っています。
この根羽村、実は愛知県に接している
数少ない長野県の自治体の一つなのですが、
恐らく愛知県民の9割くらいは存在を知らないのでは…
と言うか、そもそも愛知県に接している長野県の自治体は
全て愛知県民にとって(下手すると長野県民にとっても)
馴染みの無い自治体ばかりなのですが。
(残りは売木村、阿南町、天龍村。)
根羽村の名物、月瀬の大杉。
樹齢は1,800年以上だとか。
実は何回か売却されそうになったそうですが、
住民の力によって食い止められてきたとか。
月瀬の大杉から緩い坂を下っていったところで
我等が故郷、愛知県に入りました!
峠でも何でもないところが県境とは流石は山無し愛知県。
これなら宿までは楽に着きそうだな。
…と思っていたのですが、この豊田市大野瀬町、
脇を走る車の運転の荒さ以外に
愛知県らしさを感じさせる要素は何も無く、
これまでの三村と変わらぬ山村っ振りです。
流石にガチな峠は無いけど、
そこそこの上り坂が残り少ない体力を削っていきます。
しかも、矢作川が沿っているものだから寒い!
進むも辛い、止まるも辛い。
日は容赦無く沈んでいきます。
ペダルを漕がねば…!
やったー!
最後の峠だ!
名も無き峠なんだろうけど、喜びも一入…
と思ったら、ちゃんと名前がありました。
地蔵峠だそうです。
看板の後ろに登山道にしか見えない道がありますが、
これが本来の地蔵峠の勾配だったとか。
明治時代に山を掘り下げて今の道にしたそうです。
明治時代の人は二つの意味でえらいな…
そんなこんなで何とか宿のある稲武に到着。
距離的には全然大した事無いけどとにかく疲れた…
峠越えはやはり疲れます。
が、それを鑑みて尚挑戦したくなる魅力がありますね。
夜は夏焼温泉に浸かって疲れを癒やしました。
コメント