またしても国境を越えます。
7:15、起床。
10時間も寝てしまいました。
カザフスタン行きの列車に乗ってから
何故か半田の夢ばかり見るな…
14年前にタイムスリップしているからだろうか。
近くの食堂で朝食を取ってからチェックアウトします。
露天商が並ぶ朝のАлматы(アルマティ)。
植木鉢入りの花卉とか買う人は要るのかな?
Сайранバスターミナル
(サイランバスターミナル)にやって来ました。
旧ソ連の雰囲気を色濃く残していますね。
…旧ソ連を知らないけど。
ここから乗るバスは…
Бишкек(ビシュケク)行きです!
これでも一応バス(ミニバス)です。
乗合バスみたいな感じですが。
既に殆ど座席が埋まっていて
まさかの立ち尽くしかと焦りましたが、
ギリギリ2席分空いていました。
カザフスタンでの「満員」の定義は
「座席が全て埋まる」のようですね。
東京メトロも見習って、どうぞ。
僕等で丁度満員になったので11:20、すぐに発車。
郊外のガソリンスタンドで給油して
あとは真っ直ぐな道をひたすらかっ飛ばします。
カザフスタンと言い、ロシアと言い、アルゼンチンと言い、
広大な国土を有する国では制限速度を守っていたら
いつまで経っても目的地に辿り着けません。
名古屋はそう広くないと思うんだけど。
市街を出ると一面ステップで、
道路脇と中央分離帯にだけ樹木が植えられています。
防風林かな?
川を示す標識もぽつぽつとありますが
どぶ川くらいの水量しかなく、
場合によっては水が全く無いものも。
数十kmも行くと起伏が出て来て路肩の木々も無くなり、
思い出したように現れる集落の他には
殆ど緑の無い乾いたベージュの大地をひた走ります。
TKは東京外大のモンゴル語選択の人と
言語オタク同士で楽しくお喋りをしていました。
1時間半ほど走ったところで休憩。
ステップの直中にあるドライブインで
駐車場の端ではつむじ風が砂を巻き上げています。
お昼時だし昼食休憩かと思ったのですが、
15分間しか停まらないとの事。
Бишкекまでご飯抜きか…
しかし、こうなる事は想定済み。
こんな事もあろうかとバスターミナルで買っておいた
チョコレートにかじりつきます。
鉄道の車内販売でも売っていた
カザフスタン国旗を模したチョコレートです。
カザフスタン国旗の縦横比はチョコレートにぴったり?
お茶やコーヒーに死ぬほど砂糖を入れるくらいだから
チョコレートも激甘なんだろうな…
と思いきや、意外にも甘さ控え目で、
暑い車内でも全く溶けていませんでした。
ちなみに、裏面の説明書は無駄に6ヶ国語表記です。
(カザフ語、ロシア語、キルギス語、
英語、ドイツ語、ウズベク語)
20分程で休憩を終えて発車
…したのですが、何と僕の隣の席の人が居ません。
車内は騒然となってその人を探し、
無事に見付ける事が出来ました。
ほったらかしていかない辺り、
カザフスタンの人は優しいですね。
こんなところで置いてけぼりになったら絶望しかないな…
車内にはBGMも掛かり、皆で国境に向かって爆走します。
馬の群れをやり過ごし、
パタゴニアにもあったジャンクション型の交差点を
左に折れるといきなり地形が険しくなって
ごつごつした岩肌が剥き出しの坂道を上ります。
いよいよ国境越えかと思いましたが、
一段高い高原に出ただけで再び爆走します。
段丘状になっているのかな?
峠に国境があるのかと思いきや、
何事も無かったかの如く下っていきます。
(写真は隣席の人にお願いして撮らせてもらいました。)
この先も何かのゲートや構造物がある度に
国境かと目を凝らすのですが、
そのどれも素通りして
Бишкекまでの距離ばかりが縮まっていきます。
残り10分の1(20km)になってもまだ国境が現れません。
前の方に居た女の子は吐いてしまって
国境の手前の街で降りていました。
漸く現れた国境。
カザフスタンを出国します。
一番面倒な事になり易いバスでの国境越え。
難癖を付けられないかな…
と心配しましたが、サムラーイとか何とか言って
笑いながら出国審査終了。
濁流のШу川(シュー川)を渡り、国境通過。
今度は入国審査です。
建物の前でいきなり国境警備隊に
「日本人か?パスポートを渡しなさい。」
とパスポートを取られ、
そのまま奥の部屋に持っていかれてしまいました。
これは賄賂の要求か…?
と焦りましたがこれも杞憂に終わり、
何も訊かれていないのに勝手に入国審査が終わって
入国スタンプが押されたパスポートが返ってきました。
荷物検査も何もしていないけど良かったのかな…?
道路国境越えとしては嘗てない楽さでした。
国境地帯の写真は何枚か消させられたけど。
(以降、ビシュケク時間UTC+6.0h)
という事で、キルギス共和国に入国しました!
天山山脈に抱かれた中央アジアの最貧国。
今旅行中央アジアパートのメインでもあります。
やはり、ロシアやカザフスタンと比べてしまうと
インフラの脆弱さは目に付きますね…
道路は凸凹、一部は中央線も無く、砂埃が舞っています。
15:18、Бишкекの西バスターミナルに到着。
Алматыからの所要時間は4時間でした。
窓口で4~5時間掛かると言われたから
6時間以上は掛かるだろうと身構えていたけど、
ちゃんと4時間で着いてしまうとは思わなかった。
タクシーの客引きが五月蝿いですが、宿まで歩きます。
車は頻繁にクラクションを鳴らし、辺りは砂埃が舞い、
ここはもう完全にアジアです。
ロシア語が書かれているのが奇妙に感じられるほど。
キルギス人は見た目が日本人と良く似ていて、
「キルギスに住んでいた者の内
肉が好きな者はキルギスに留まってキルギス人となり、
魚が好きな者は海を渡って日本人になった」
という話があるほどだ
…と聞いていましたが、
言うてカザフ人とそこまで変わらないような気も。
ただ、カザフスタンと違ってロシア人は見掛けません。
何とか宿に辿り着きました。
同じくАлматыからやって来たという
オーストラリア人と台湾人の夫婦に会って、
英語で色々会話して情報収集。
絶対(サマルカンド)に行くべきだ!
と強く推されたけど、そこまでの時間は無いんだよな…
無念。
宿の若主人に送ってもらって中心街にやって来ました。
キルギスの通貨ソムへの両替を済まし、
辺りを散策してみます。
Памятник Mанасу(マナス王像)。
キルギスの語り手が受け継ぐ口承文学、
英雄叙事詩「マナス王物語」の主人公だそうです。
世界最長の叙事詩だとか。
鳥が沢山止まっていて、辺りは若者が溢れています。
キルギスはこれまで行ったどの国よりも若者が多いです。
Кыргызстан Эл Аралык
Университети(キルギス国際大学)。
横国ならぬキル国です。
やけに歴史のありそうな建物ですね。
熱気むんむんの地下道。
そこはかとなく中国っぽいような?
БишкекはАлматыよりこじんまりしていて
徒歩で回ろうとする僕等のような観光客にも優しいです。
が、如何せん貧しい国なので
Алматыに比べると治安は悪く、
宿の若主人が
「Ошский Базар(オシュ・バザール)
方面には行かない方が良い。」
と言っていたり、
多くの建物が1階の窓に頑丈な鉄格子をはめていたりして
TKはガチガチに緊張していました。
とは言うものの、ブラジルに比べたら全然マシで
思ったよりは治安が良いようにも感じました。
街を歩いていたらお兄さんから急に握手を求められて
世間話が始まったのには驚きましたが。
何かのキャッチかと身構えましたが、
本当にただ話し掛けてきただけの好青年でした。
中央アジアの人はとってもフレンドリーです。
(挨拶代わりの握手は中央アジアの文化らしい。)
夕食は中央アジアらしくЧайхана(チャイハナ)で。
店の軒先ではちゃぶ台の前で絨毯に寝転がりながら
お爺さんがお茶を楽しんでいます。
虫が気になったので僕等は普通に
店内で食べてしまいましたが。
カザフスタンより更に安くて美味しい!
ただ、中華料理宜しくちょっと脂っこいから
長く食べ続けるならロシア料理の方が良いかな…
宿への帰りはタクシーを使います。
中央アジアではボラれまくると聞いて
関係無いシベリアも含めてこれまで敬遠してきましたが、
ボッてやろうという気概は感じられず、
言い値が丁度宿の人の言っていた適正運賃くらいで
何の支障も無く乗れました。
ふーむ、今のところ肩透かしばかりだな…
まあ、気は抜かない方が良いと思うけど。
宿に戻ってからは明日に備えて早めに寝ました。
中央アジアの夜は早い。
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