国境を越えます。
6時半頃、起床。
どうやら、ロシア側の国境の
Локоть駅(ロコチ駅)のようです。
ここでロシアの出国審査が行われるのでしょう。
寒い中窓口に並ばされて
荷物のX線検査とか受けるんだろうな…
と思ったら、国境警備隊が車両に乗り込んできて
コンパートメントで出国審査が行われました。
日本のパスポートが物珍しいのか何なのか、
10分近くまじまじと見られました。
宿で滞在登録をしてくれていたか怪しいので
滞在登録の不備を突かれないか内心びくびくでしたが、
特に何も言われず出国カードだけ取られて終了。
荷物検査も荷台を開けて懐中電灯で照らしただけで終了。
想像より遥かに簡略化されていました。
まあ、ロシアとカザフスタンは今でも関係が深いし、
そんなに神経質にはなっていないのかな?
それでも、2時間近く停車するけど。
あと、カザフスタンの入国カードは
車掌のおばちゃんが来て代わりに書いてくれました。
さらば、ロシアよ!
一つの国に2週間も留まったのは初めてだけど、
まだ居たいと思わせる良い国であった…
Локоть駅を発って牧草地帯を走る事約10分。
列車は長い警笛の後に小さな水路を越えました。
これがロシア-カザフスタン国境?
という訳で、カザフスタン共和国に入りました!
(以降、アスタナ時間UTC+6.0h)
カザフスタンに入ってからはひたすらに草原。
森林は全く見当たりません。
シベリア鉄道とはえらい違いだな…
7:30、Аул駅(アウル駅)に到着。
ここでカザフスタンの入国審査が行われます。
今度は流石に降ろされるのかな?
と思っていたのですが、
今度もコンパートメントに国境警備隊がやって来て、
寝台に腰掛けながら入国審査が行われました。
またしても具に観察されるパスポート。
ブラジルビザがあったので
「お前はオリンピックに出たのか?」
と訊かれました。
あれはもしかしてボケだったのだろうか。
あと、今はカザフスタンのテストプロジェクトで、
15日間以内の観光目的での入国に限り
日本国籍者はビザが免除されている筈なのですが、
「ビザが無いのはどういう事だ?」
と訊かれて焦りました。
今はビザが要らない筈だと答えたら
携帯電話で連絡を取り始めて
確認が取れたのか許してくれました。
ちゃんと情報が行き渡っていないんだな…
荷物検査は一切無し。
そんなこんなで晴れてカザフスタンに入国しました。
ちなみに、陸路入国ではしてくれないという話だった
滞在登録もついでにやってくれたようです。
まあ、でも何だかんだで割とスムーズな国境越えだった。
やはり陸路国境越えでは鉄道が一番オススメです。
時刻表が決まっている以上、所定の時間には終わるので。
正式にカザフスタンに入国してからは
両替商や物売りが車内を歩き回り、
車内の何処かから子ヤギの鳴き声が聞こえるように。
いきなり中央アジア感満点ですね。
但し、両替商や物売りについては
同室のおばちゃんが即座に追い返してくれるので
しつこく粘られたりはしません。
10:34、Семей駅(セメイ駅)に到着。
別名、Семипалатинск駅
(セミパラチンスク駅)。
この名を聞いた事がある人も居るのではないでしょうか。
米ソが己の軍事力を誇示し合っていた冷戦時代、
このСемипалатинскの郊外には
ソ連の核実験場が存在していました。
そこで行われた核実験は450回以上。
放射能の影響と思われる癌や奇形児が散見され、
Семипалатинскは世界で最も
放射能に汚染された町とまで言われたのです。
但し、実際に実験場があったのはここから西に160km離れた
Курчатов(クルチャトフ)ですが。
(嘗てはソ連最高機密とされた秘密都市で
Семипалатинск-16の名で呼ばれた。)
余り大っぴらに写真を撮るのは憚られるので
車内から隠し撮りのように撮影。
とは言っても、駅は核実験場からかなり離れていますが。
28分間停車するのでホームに降りてみましたが、
物売りが屯する普通の駅でした。
Семейの町。
旧ソ連っぽさはありますが、やはり普通の町です。
町を離れるともうひたすらに大草原。
そう、ここは地理の授業で習う
あのステップ気候(BS)の名前の由来となった
「ステップ」なのです。
極稀に民家や鉱山露天掘りが現れたりする以外は
地平の果てまで何もありません。
あと、カザフスタンの鉄道は殆どが単線なので
行き違いで頻繁に停車します。
こちらは国際列車ですが特に優先される訳でもなく、
貨物列車の通過待ちをしたりもします。
カザフスタン国鉄のディーゼル機関車。
何故か水色と金色のカザフカラーではなく、
見慣れた白青赤のロシアンカラーです。
13:31、Шар駅(シャール駅)に到着。
肉を焼く煙が上っていて何ともアジアな感じ。
二晩も走る国際列車なのに食堂車がついていないので
ここで昼ご飯を買い込みます。
とは言うものの、今持っているのは
ロシアルーブル、日本円、米ドルだけで
カザフスタンのテンゲは無いけど、
露天商からルーブルで買えるのかな…
と心配しましたが、普通に買えました。
レートも車
内の1Р≒4Тгより良い1Р=5Тг。
本場のШашлык(シャシリク)は美味しい!
町外れにぽつんとあった謎の構造物。
同室のおばちゃんに訊いてみたところ、
カザフスタンのお墓だそうです。
こんなに離れているとお墓参りが大変だな…
線路は続くよ何処までも…
見るからに廃墟ばかりの町が現れました。
人は住んでいるのかな…
と思ったら、これがまさかの長時間停車駅、
Жангиз-Тобе駅(ジャンギズ・トベ駅)でした。
カザフスタンでは主要な街でこれなのか…
Жангиз-Тобе駅を過ぎると
山がちな地形に。
山がちと言っても、日本のそれとは全く違いますが。
故郷とは似ても似つかぬ風景の筈なのに、
この懐かしさというか安心感は一体何なのだろう…
いつまでも見ていられそうな気がします。
窓から吹き込む乾いた風が心地良い。
Жарма(ジャルマ)で列車に寄ってきた
人懐こそうな犬達。
ロシアでは殆ど見掛けませんでしたが、
放牧で使うのかカザフスタンでは犬を良く見ます。
但し、中央アジアでは狂犬病が蔓延しているので
迂闊に近付かないようにしましょう。
金ピカのロシア正教会とは違い、
水色のドームが乗った聖堂。
カザフカラーでしょうか。
Жармаを過ぎると少し地形が険しくなり、
いよいよ人跡未踏の様相を呈してきました。
カザフスタンの人口密度はたったの6人/km2。
日本の7倍以上の国土を有するこの国の殆どは荒野です。
17:42、Аягоз駅(アヤゴズ駅)に到着。
駅舎の周りに屋台が立ち並んでいます。
カザフスタンでは公認みたいですね。
ここでМороженое(アイスクリーム)と
Перожки(ピロシキ)を購入。
列車が10分程遅れているからか、早めに
「おーい、日本人!」
と車掌のおばちゃんに呼び戻されました。
ステップに陽が沈む…
ちなみに、時折聞こえていた子ヤギの鳴き声の正体は
やはり子ヤギでした。
車掌がミルクや餌をやったりしていたので
車掌が運んでいるのでしょうか…?
19:59、Актогай駅(アクトガイ駅)に到着。
ここはホームより一段下がった場所に屋台がありました。
ここで水を購入。
夕食を食べ、明日に備えて寝ました。
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