今日はこの旅行最大の目的、
Озеро Байкал(バイカル湖)を観光します。
6:00、起床。
眠い目を擦りながらシャワーを浴び、
宿をチェックアウトします。
トラムに乗って駅に向かいます。
今朝は霧が無いですね。
Ангара川(アンガラ川)を渡る。
こんな風になっていたのか…
一昨日はまるで雲上の橋だったけど。
Иркутск Пасс.駅
(イルクーツク・パス駅)に到着。
今日は列車のツアーで
Озеро Байкалを巡るので
僕等の乗る列車を探します。
おー、Пекин(北京)行きの20列車が来てる。
で、肝心の乗る列車は…
ТУРИСТ(ツーリスト)と書かれているやつかな?
1番線らしいけど、1番線への入口が無いな…
1番線への入口は見付かりませんが、
代わりにこんなものを見付けました。
造花の自動販売機です。
駅で花を買う機会ってそんなにあるのかな?
この自販機に限らず、ロシアは花屋が多い印象を受けます。
でも、今は花を買っている場合じゃないな。
無愛想な警官に訊いたところ、
駅舎の横のこの入口を案内されました。
検札も何もあったものじゃないですね。
これが僕等の乗る列車。
客車2両、機関車2両の4両編成で
シベリア鉄道としては破格の短さです。
早速乗り込もう!
と、添乗員らしき人に声を掛けたのですが…
…え?
乗客名簿に名前が無い?
違う列車じゃないかって?
そんな馬鹿な!
しかし、これに乗れなかったら
何の為に遠路遥々やって来たか分からない!
予約確認メールを見せて粘ったら
何やら電話を掛けて確認を取り、
この列車に乗せてくれました。
向こうの手違いだったのか、
それとも実は上手く予約出来ていなかったのか…
Иркутскではトラブル続きです。
乗客は中国人団体だらけだったので
こっそり乗ってもバレなさそうでしたが。
8:01発936列車に乗車。
霧の沸き立つИркут川(イルクート川)に沿って走る。
Иркутскは朝から快晴でしたが、
やはり川沿いは霧に包まれていますね。
霧の中の秘境駅。
降りてシベリアの紅葉狩りしたいなぁ…
美しい紅葉の丘陵地帯
(ロシア的には山岳地帯)を下る。
只見線並みに綺麗ですね。
アメリカやカナダの紅葉は山がベタ塗りの如く
一気に紅葉してしまって趣が無いと言いますが、
シベリアの紅葉は和を感じさせます。
Озеро Байкалが見えてきました!
断層湖で非常に細長いので容易に対岸が見えます。
昨日よりも遥かに霧が薄いですね。
湖畔まで降りてきました。
これはОзеро Байкалとは
線路の反対側にある謎の湖沼ですが。
という事は、この辺りで撮り鉄したら
湖の中を走るような画が撮れるのかな?
10:33、Слюдянка駅
(スリュジャンカ駅)に到着。
ここまでは普通のシベリア鉄道です。
向こうから蒸気機関車がやって来て…
連結!
ここからは蒸気機関車に引かれて
Озеро Байкалの湖畔を通る路線、
Кругобайкальская Железная Дорога
(バイカル湖岸鉄道)を走ります!
シベリア鉄道最後の開通区間として知られる
Озеро Байкал沿岸の
Слюдянка – Порт Байкал
(ポート・バイカル)間は
1956年、Река Ангараにダムが建設されると
Порт Байкал – Иркутск間が水没し、
Слюдянка – Иркутскに
山越えの新線が建設された事によって
幹線から一支線へと成り下がりました。
しかし、当時の建設技術を結集して作られた路線は
貴重な産業遺産であると共に
ロシアで一二を争う名勝路線でもあった為、
「バイカル湖岸鉄道」として
観光鉄道化されたのです。
崖沿いを進みます。
暫くすると民家が幾つか見えてきました。
逆に言うと、ここまで地形が険し過ぎて
民家は一切ありませんでした。
11:55、о.п. 149км(149km地点停車場)に到着。
この列車は見所で停車して
散策の時間を設けてくれます。
駅の周りはこんな感じ。
民家が5、6軒しかない小さな集落です。
わざわざ停まったという事は
何かしらの見所があるのかな?
もしかすると、ロシア式別荘の
дача(ダーチャ)が見学出来るのかと思いましたが、
入ろうとしたら住人のおばさんに止められました。
どうやら、本当にただの集落のようです。
なるほど、気軽にシベリアの秘境駅探訪をさせてくれているのか!
ロシア国鉄も中々粋な事をしますね。
湖岸に降りる事も出来ます。
今日もОзеро Байкалは澄んでいます。
山側も綺麗です。
ここも紅葉が始まっていますね。
紅葉狩りもしてみたいところだけど…
30分程の散策の後、列車は再び走り始めます。
断層湖のОзеро Байкалだけあって
列車の進行方向左側は常に荒々しい岩肌です。
そんな岩肌に落書きが。
どうやってここまで辿り着いたのだろう…
停車せず通り過ぎる駅も数多くあります。
このо.п. 139км(139km地点停車場)なんかは
糠南駅以下の待合室(?)ですね。
13:44、Тоннель No.18 Киркирей
(第18隧道キルキリェイ)に到着。
ここではトンネルを見学するようです。
2本のトンネルが口を開けていますが、
現役で使われているのは右の1本のみ。
では、左の方は何故使われていないのかというと…
崖崩れで出口が埋まってしまったからです。
この辺りはКругобайкальская
Железная Дорогаの中でも特に急峻な地形で、
新たにトンネルを掘るのも大変な難工事だったそうです。
ちなみに、現役のトンネルがこちら。
旧トンネルよりこっちの方が怖いですね。
ん?
湖に面した崖に何やら踏み跡があるような…
柵も倒れているし、もしかして行けるのでは…
明らかに道がありますね。
この草の禿げようを見るに
結構な数の人が歩いていそうだけど…
僕の他には誰も立ち入ってきません。
シベリアだから再生力が弱いだけかな?
急斜面を登っていきます。
左側は崖なのでそこそこ怖いです。
隧道の上に出ました。
おお、絶景!
登った者のみが見られる景色です。
降りるのも結構大変ですが。
断崖は煉瓦で補強されています。
旧トンネルが崖崩れで使用不可能になった後も
暫くは旧線のルートで復旧させようとしたそうですが、
余りに法面崩落が頻発した為に打ち捨てられたそうです。
この崖にもちょっと登ってみます。
ここについては最初に登ったのはOSですよ!
が、ここは先程よりも勾配がきつくて極めて滑り易く、
大して登る事は出来ませんでした。
こういう事をしても自己責任で
許してくれるのがロシアの良いところ。
取り残されないよう、列車に戻ります。
えらく長い事停車してから発車。
お腹が空いてきたな…
どうやら予定よりかなり遅れているらしいし…
Слюдянка駅で何か買っておくべきだったか…
15:14、Маритуй駅(マリトゥイ駅)に到着。
ここはо.п. 149кмよりは大きな集落ですが、
それでも高が知れています。
しかし、有難い事にОзеро Байкал名物の
Омуль(オームリ)が売っていました。
松の実もあったので合わせて買っておきました。
駅の傍の小さな郵便局に居た猫。
ネコの郵便局員。
駅舎に時刻表が掲げられていました。
シベリア鉄道本線時代の名残なのか
Порт Байкал行きがна запад(西行き)になっているけど、
地理的には東にあるんだよな…
列車は未明と昼の1日1往復
と見せ掛けて、Порт Байкал行きが月・木・金・日、
Слюдянка行きが月・火・金・土の1週間に4往復です。
1日1往復未満。
これがシベリアのローカル線です。
再び走り始めた車内で間食。
空腹だからかも知れないけど、Омульが滅茶苦茶美味しい!
Омульに齧り付くTK。
幸せそうです。
16:04、о.п. 110км(110km地点停車場)に到着。
も、もうお腹ぺこぺこで倒れそう…
ん?あそこのテントに置いてあるのは…
やったー!
遂に昼食だー!
と喜び勇んで机に向かったら、
「連絡を受けていないから君達の分の昼食は無い」
との事。
えっ?
…えっ?
いや、でもメールには確かに昼食込みと書かれていて
料金も昼食込みのものを支払ったのに!
しかし、無いものを食べる事は出来ず、
Озеро Байкалの畔で
松の実をひもじく食べる事に。
朝の乗客名簿の件といい何か変だ…
旅行会社に抗議せねば!
そう思ってガイドさんに掛け合ってみましたが、
連絡を取っていた旅行会社とは
違う会社の所属だそうで、
この人に文句を言うのはお門違いのよう…
何でも、僕等が今回使っていた
Baikal Railという会社は日本人観光客に対して
頻繁に同様の問題を起こしているらしく、
詐欺なのではないかとの事。
何ィ!?
Baikal Railは悪徳旅行会社だったのか!
くそー、そうとは知らずに代金を払ってしまった…
取り敢えず、食い物の怨みは恐ろしいという事を
嫌というほど思い知らせてやる為に、
帰国後に法的な手段を講じられるよう、
正当なサービスを受けられなかったという
証明書をガイドさんに書いてもらいました。
また、ガイドさんが僕等の事を憐れんで
Иркутскまでの足も確保してくれました。
ガイドさん様々です。
その後も、列車は見所で停車しながら進みます。
腹ペコの僕等としては
早くИркутскに帰りたいけど…
辺りを霞ませながら太陽が沈む。
僕等を牽引する蒸気機関車は
往時を思い出すようにゆっくりゆっくりと進んでいきます。
19:33、Порт Байкал駅に到着。
84kmの道程で所要は6時間半でした。
隣の線路には一般旅客列車と思われる
新型気動車が鎮座していました。
1週間に4往復の支線でもこんな立派な車両を使うんですね。
ロシア語が理解出来ないので人の流れについていきます。
立派な駅舎やホームもちゃんとあるのですが、
誰一人としてそちらから出ていません。
まあ、1週間に4往復だから絶対に轢かれないしな…
ここからは船に乗り換えます。
Порт Байкалを出航。
薄暮のОзеро Байкалを進みます。
半田出発時は三日月だった月が今では満月に。
月が綺麗ですね。
騙されてはしまったけど、鉄道そのものは楽しかった。
対岸のЛиствянка(リストヴャンカ)に到着。
ここが昨日見過ごしていた桟橋です。
案内板を立てて欲しい。
バスに乗ってИркутскに戻ります。
僕等の分の席が無くて
闇夜のОзеро Байкалに置いてけぼり…
なんて事にならないか心配でしたが、
何とか座れました。
また、ガイドさんが運転手に話を付けてくれて
駅まで送っていってくれる事になりました。
本当に忝い…
中国人観光客が高級そうなホテルで降りる中、
僕等は一番最後までバスに残って駅に向かいます。
21:30、Иркутск Пасс.駅に到着。
何とか戻って来られた…
駅前の食堂で夕食。
嗚呼、久し振りの食事だ…
食事を終えたら、寂しいですが
ここで日本に戻るMT、
別行動を始めるOSとはお別れです。
ここまで本当にありがとうございました。
しかし、この旅はまだまだ道半ば。
ここからはTKと2人切りで更に先を目指します。
TKと2人取り残されて
待合室で1:46発の列車を待ちます。
尋常じゃないほど眠いです。
ちょっと気を抜くと10秒で寝てしまいそうです。
ここで乗り逃したら洒落にならない…
耐えるんだ…
1:46発43Э列車に乗車。
漸く寝られる…
それでは、おやすみなさい。
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