(無題)

環近畿旅行第2日目。
南紀を巡ります。

6:00、起床。
朝食を済ませて新宮駅へと向かいます。


朝の新宮駅。
列車の発車時刻までは後3分くらいか。
ん?列車の走る音がする…
回送列車かな?
あっ!僕の乗る列車だ!
しまった、6:56発を6:59発と勘違いしていた!
やってしまった…
紀勢本線でこれは痛い…
しかし、最早後の祭です。
次の列車は7:54発か…


過ぎた事は仕方が無い。
こうなったら新宮を観光します。
転んでもただでは起きません。


熊野速玉大社。
新宮に来たのならこれを見ておかないと。


まだ朝早いので参拝客は誰も居ません。
神主さんが一人掃き掃除をしています。
朝露混じりのひんやりした空気も相俟って
市街地とは思えぬとても厳かな雰囲気です。
列車を逃してしまって当初の計画は崩れたけど、
これを見られたから寧ろ良かったのかも知れない。
神様のお導き?


熊野の象徴、八咫烏も祀られています。
熊野本宮大社と違ってゆるキャラは居ませんが。
熊野速玉大社は余り観光地化されていない印象を受けます。


三重県と和歌山県を分ける新宮川。
長い事この川が越えられなかったんだよな…


工事でもしているのか、
大型バスが文字通り危ない橋を渡っています。
新宮川もまた良く氾濫する川です。
さて、今度こそ列車を逃さないよう早めに駅に行くか。


7:54発JR紀勢本線普通紀伊勝浦行きに乗車。
ここからはJR西日本。
東海デザインの気動車からベタ塗りの電車になります。


扉に津波発生時の避難法が描かれています。
流石は紀伊半島の海岸線をなぞるように走る紀勢本線。
東南海地震が発生したら
間違い無く壊滅的な被害を受けるでしょう。


新宮駅を出るとすぐに雄大な太平洋が車窓に広がります。
こんなに海岸線が近いとは!
リアス式海岸なので中々海に近付けず
山の中をトンネルで貫いていた紀勢東線とは大違いです。


パイナップルのような巨岩も。
パイナップル岩と名付けよう(提案)


8:17、紀伊勝浦駅に到着。
名古屋からの特急列車はここが終点です。
この先は完全に関西だと言えるでしょう。


8:25発熊野交通バス那智山行きに乗り換え。
結構欧米人観光客も多いです。
世界遺産効果かな?


熊野大社を模した那智駅。
ここから往復した方がバスの運賃は安く済みますが、
新宮駅で列車を逃した関係で
止むを得ず紀伊勝浦駅からの往復にしました。


那智川に沿って山を登ります。


8:44、大門坂バス停に到着。


現存する熊野古道の一部、大門坂です。
バスは山の上まで直通していますが、
折角なので少しだけ熊野古道を歩いてみます。


鳥居を越えた少し先から石畳が始まります。
春先だからか苔むしてはいませんでした。
それとも、観光客が増えたからなのかな?
ちなみに、近くで何やら工事をしているようで
割と工事の音が五月蝿いです。


まだ3月の朝だし、森の中だと肌寒いかな…
なんて思っていましたがそんな事は全く無く、
石段を上っていると汗ばむくらいです。
流石は本州の南の端。


大門坂を登り切ったところで桜が満開になっていました。
半田はまだ漸く開花したかどうかというところですが、
やはりこちらは春の訪れが早いですね。


という訳で着きました、熊野那智大社です!
これで熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社の
熊野三山を制覇しました。


そして、熊野那智大社と言ったらやはり那智の滝。
本殿の近くから三重の塔と合わせて望めます。
中国人観光客がここぞとばかりに自撮りしています。
名松線にさえ居たんだから、ここなら絶対に居るか。


歩いて喉が渇いたので、
売店で買った梅酒を飲みます。
梅ジュースにしようかとも思いましたが、
値段が同じだったので梅酒にしました。
滝を肴に朝から飲む梅酒は旨い!


とは言え、遠くから眺めているだけでは物足りないので
もっと近くに寄って見てみます。
那智の滝は飛瀧神社の境内にあります。


見上げる那智の滝。
かなりの落差です。
それもその筈、落差133mは日本一です。
入場料300円の滝見台もありましたが、
見たところ誰も入っていませんでした。


10:11発熊野交通バス勝浦駅行きに乗車。
紀伊勝浦駅に戻ります。
そろそろ遅れを挽回せねばなりません。


紀伊勝浦駅時刻表。
田舎を走る幹線に良くある事ですが、
特急列車が優先される為に普通列車の本数が少なく、
9:47の後は12:02まで普通列車がありません。
元々乗る予定だったのが9:47発の列車であり、
2時間15分も遅れるとなると
次の目的地は完全に諦めて
今日はここからひたすら帰るのみになってしまいます。
幾らなんでもそれは寂し過ぎる…
では、どうするのか?


普通列車が無いなら特急列車に乗れば良いじゃない。
10:45発JR紀勢本線特急くろしお18号新大阪行きに乗車。
青春18キッパーにあるまじき行為ではありますが、
費用対効果はどう考えてもこれが最善なので
プライドをかなぐり捨てて乗ります。
まあ、大した距離じゃないしな…


線形が悪いのか、特急列車と言っても
普通列車と大して速度が変わりません。
その分、美しい景色を堪能出来ると言えますが。


イルカ猟で世界的に有名となった太地町。
ごく普通の田舎町です。
階段にはイルカの絵が描かれていました。
一度イルカも食べてみたいな。


マグロの完全養殖で世界的に有名となった
近畿大の養殖施設がありました。
和歌山県は海産物に恵まれていますね。


11:19、串本駅に到着。
本州最南端の駅です。


駅の裏の山腹に看板が立てられていました。
何故こんな分かり難い場所に…
ホームには串本駅が本州最南端である事では無く
串本町が本州最南端の自治体である事しか
看板になっていません。


串本駅外観。
3月だというのに初夏のような陽気です。
手前にある船の銅像はあのエルトゥールル号。
明治23年にここ串本に漂着したトルコの船で、
その際に串本の住民が総出で救助活動を行った事から
日本とトルコとの友好が深まり、
昭和60年にイラン・イラク戦争が勃発した際には
ターキッシュエアラインズが自国民より
日本国民を優先して救助したという話があります。
美談として語られる事が多いですが、
その裏には自衛隊の海外派遣を禁じた日本政府と
自国民を見捨てた日本航空が居る事を忘れてはなりません。


それは置いといて目的地に向かいます。
11:35発串本町コミュニティバス潮岬線
潮岬観光タワー行きに乗り換え。


バスはコミュニティバスらしく
陸繋島の台地部分にある集落内の細い道を進みます。
観光客ばかりかと思いきや大半は地元の人で
途中のバス停でどんどん下車していきます。


集落を抜けました。
いよいよです。


11:50、潮岬灯台前バス停に到着。


本州最南端にの灯台、潮岬灯台です!
航路標識が極めて貧弱で
日本近海が「暗黒の海」と呼ばれていた江戸末期に
諸外国との条約で造らされた所謂「条約灯台」の一つ。
実はこれ、上れる灯台です。
となれば上らない手はありません。


灯台の上からの景色。
野島崎灯台角島灯台観音崎灯台大王崎灯台
御前崎灯台に続く6本目の灯台登頂です。
暖かく、風も穏やかです。


あんな岩礁に釣り人が…
どうやってあそこに辿り着いたのだろう…
渡し船にしても水面から結構な高さがあるし…


串本の市街側。


空にはトンビが舞っています。
長閑だ…
…お腹が減ってきたから昼食にするか。


潮岬灯台から少し歩いたところにある
潮岬観光タワーで近大本マグロ丼を注文。
赤身のようでいて中トロのような脂の乗り具合。
これは美味しいです。
東大も対抗してウナギの完全養殖とかして欲しい。


腹拵えを終えたら本州最南端の地を目指します。
潮岬観光タワーの前に広がるのは望楼の芝。


本州最南端を示す碑がありました。
でも、柵があって岬の先の方には行けないな…
段丘状になっていて20mくらいの落差があるから
下りる事は出来ないのかな…


そう思いつつ望楼の芝を歩き回っていたところ、
何やら意味ありげに柵の途切れた場所が。
案内は一切無いけど、踏み跡もあるし
これは岬に通じているに違いない!


という訳で下りていきます。
どうも磯釣りをする釣り人が使っているようですね。


ん?向こうの岩の上に何やら鳥居が見えるぞ。
これは行くしかない。
でも、向こうの岩に行くには
まず今居る岩から下りないといけないけど…


ここしか無さそうだな。
まあ、スラブじゃないし行けるか。


取り敢えず下りる事には成功。
でも、帰りは登るのか…


下りた入江には黄色い花が咲き乱れていました。
嵐の時とか波が被りそうだけど
良くこんなところで咲いているな…


望遠レンズで咲き乱れている感を出してみた。
…おっと、そろそろ時間が迫ってきたから
早いところ鳥居に登るルートを見付けないと。


ここから登れそうですね。


登れました。
鳥居の先に道が続いています。
でも、この鳥居の建て方からして
本殿はこの陸側というよりは…


この海側にあるに違いない。
あ、目を凝らすと祠が見えますね。
どうやら裏ルートから入ってしまったようです。


(多分)本州最南端の祠。


その更に先で釣り人が磯釣りをしていました。
しかも、結構大勢。
あんなところまで行って釣果をどう持ち帰るのだろう…
僕もそろそろ帰るか。


13:52発串本町コミュニティバスくしもと町立病院行きに乗車。


串本駅で14:34発JR紀勢本線普通紀伊田辺行きに乗り換え。
この先の紀伊半島西部は
11ヶ月前に巡っているので、
ここからは6時間以上掛けて一気に北上します。


この辺りが本州最南端の鉄道ポイント。
串本駅から和歌山駅方面に200m程の場所です。
特に何かがある訳ではありませんが。


太平洋を望む素晴らしい立地の駅が幾つも現れて
途中下車欲をそそります。
しかし、ここで降りると宿に辿り着けない…


珍駅名、朝来駅。
これで「あっそ」駅と読みます。
尚、武田城址のある兵庫県朝来市は「あさご」市です。


16:06、紀伊田辺駅に到着。
まあ、寂れた地方都市ですね。
紀勢本線の沿線は基本寂れた地方都市ばかりですが。
武蔵坊弁慶と何か関係があるのか、
駅前に大きな弁慶の銅像がありました。


16:36発JR紀勢本線普通御坊行きに乗り換え。
食パン電車か…


白良浜の近く。
残念ながら白良浜は半島の先の方にあり、
紀勢本線は半島の根元を走るので全く見えません。


17:21、御坊駅に到着。
懐かしの紀州鉄道
前乗った時よりは新しそうな車両ですね。
今回は乗りませんが。


17:35発JR紀勢本線普通和歌山行きに乗り換え。
車両の激変っ振りからも分かる通り、
ここからは和歌山市の都市圏に入ります。


初島駅付近のコンビナート。
東燃ゼネラル石油のものだそうです。
工業地帯になって来ましたね。


和歌山マリーナシティが見えてきました。
そろそろ終点です。

18:37、終点の和歌山駅に到着。
和歌山県最大の交通の要衝であり
ここから阪和線や和歌山線にバトンタッチするのですが、
実はまだほんのちょっとだけ紀勢本線は残っています。
起点の亀山駅から遥々ここまでやって来たのだから、
ここは乗り潰しておきましょう。


18:41発JR紀勢本線普通和歌山市行きに乗り換え。
ここから先は支線的な扱いになっています。


紀和駅。
開業当初は「和歌山駅」を名乗る
和歌山市の玄関口的ターミナル駅でしたが、
南海電鉄の和歌山市駅や
阪和線との乗換駅である東和歌山駅(現・和歌山駅)に
完全に乗客を取られて、
名前も取られて単なる一中間駅となった悲境駅です。


18:48、和歌山市駅に到着。
紀勢本線384.2kmの終点です。


ここから更に和歌山港駅まで延びる南海電鉄も通っており、
余り終着駅という感じはしません。
JR参宮線の鳥羽駅みたいな感じです。
ここは駅や線路まで南海電鉄の所有で
JRは完全に間借りしている形ですが。
何にせよこれで紀勢本線完乗です!
18:53発JR紀勢本線普通和歌山行きに乗り換え。


和歌山駅で19:13発JR阪和線紀州路快速
大阪方面行きに乗り換え。
大阪方面というぼやけた表現になっているのは
天王寺駅から大阪環状線に入り
大阪環状線を丁度一周して天王寺駅が終点になるので、
素直に天王寺行きとしてしまうと
大阪環状線を一周する事が分からないからだと思われます。
思った程キツくない関西弁の会話を聞きつつ大阪へ。
大阪よりも寧ろ三重の方が関西弁が若年層にも浸透しているのでは…


20:43、大阪駅に到着。


西日本の圧倒的ターミナル駅。
北京西駅を思い起こさせます。
ここで大阪大のST、WLと再会。
以前大阪に来た時もこの2人と会っていましたね。
STは南米旅行を共にしたので
そんなに久し振りという感じでもありません。


阪急梅田駅の迷宮を抜けて夕食。
僕等3人でラストになっていました。
ギリギリセーフ!
新学期の事とか、色々と話しました。


22:01発阪急宝塚本線普通雲雀丘花屋敷行きに乗車。
外国人観光客の急増もあって
大阪は極めて宿が取り難い上に高いので、
今夜はSTの下宿で寝かせてもらいます。


石橋駅で下車して阪大を抜け、
閑静な住宅街にあるSTの下宿へ。
南米の思い出を語ったりしてから寝ました。

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