南米旅行第11日目。
いざ、世界最南端の街へ。
6:30、起床。
手早く朝食を済ませ、
タクシーを呼んでもらってバスターミナルへ。
8:30発TECNI AUSTRALバス
Ushuaia(ウシュアイア)行きに乗車。
Uyuni(ウユニ)行きの夜行バスを含めても
今回の旅行で最長の乗車時間を誇るバス。
ここから11時間の長丁場です。
観光客ばかりかと思いきや、大半は地元客です。
まあ、普通の観光客は飛行機を使うんだろうな…
辺り一面何も無いRuta 3(国道3号線)を行きます。
このRuta 3は最南端へ通じる道とあって
Ruta 40に並ぶ人気のある道です。
Río Gallegos(リオ・ガジェゴス)の
土産物屋ではワッペンが売っていました。
出発して1時間程経つとアルゼンチン-チリ国境の町、
Monte Aymond(モンテ・アイモンド)に到着。
日本に暮らしているとまず気が付きませんが、
世界地図を良ーく見てみると
アルゼンチンは南端がチリによって分断されており、
陸路で最南端へ向かうには
一度チリに入国せねばならないのです。
何故こんな嫌らしい形の国土をしているのだろう…
しかも、これまでのようなゆる国境なら良いのですが、
チリ税関は厳しい事で有名。
特に農産物に対しては異常なまでな厳しさで、
お菓子の梅干しに種が入っていただけでも処罰対象、
その場で捨てても1万円以上の罰金を取られるという。
それを見越して野菜やバターは捨ててきたけど、
写真用カメラが1個までというところは盲点だったな…
予備のカメラを持って来てしまった…
引っ掛かったら片方はビデオカメラだと言い張ろう。
と思ったら、案外ゆる国境で何も言われませんでした。
何だ、これならバターとかも
ポケットに入れれば持ち込めたな。
(以降、チリ時間UTC -3.0h)
という訳で南米4ヵ国目、チリ共和国に入国です。
バスで通過するだけですが。
チリに入国して走る事およそ40分。
11時頃に海が見えてきました。
Strait of Magellan(マゼラン海峡)です。
南米大陸はここで終了。
この先は最早南米大陸ではありません。
乗客はバスから降りて船に乗り換えます。
風が強くて結構寒いです。
船内はこんな感じ。
この細長い旅客用スペースに
アルゼンチンペソ-チリペソの両替所や
軽食を売る売店があったりします。
外に出る事も出来ます。
風が強い為に波が高く、
高確率でずぶ濡れになるのでオススメしませんが。
車が乗ったら出港です。
対岸を目指します。
STは外に出ていてずぶ濡れになり、
同じくずぶ濡れになったおばちゃんと
仲良くなっていました。
ものの30分で対岸に到着。
バスも塩まみれになっていました。
という訳で、Tierra del Fuego(フエゴ島)上陸!
世界の果てとの呼び名が高いTierra del Fuego。
直訳するなら「炎の大地」で、
マゼランが先住民の松明を見て名付けたそうです。
辺境の地らしく道は未舗装に。
かなり揺れます。
こんな場所ではありますが、
ちょくちょく羊の牧場が現れます。
実はパタゴニアは羊が名産だったりします。
何も無い大地で突然おじいさんが現れました。
何処から来たの!?
地元の乗客も驚いていたので
良くある事という訳では無さそうです。
集落が現れました。
San Sebastian(サン・セバスティアン)という名だそうです。
バスが停車して乗客は外へ。
トイレ休憩かな?
と思ったら、「こっちへ来い!」と言われました。
何だ何だ。
あ、国境だったのか!
こんな場所で国境も何も無い気がしますが。
5時間程でチリ滞在は終了しました。
が、チリを出国したは良いものの、
アルゼンチンの入国審査がありません。
この地帯は一体何処の国なのか。
無政府状態?
緩衝地帯かな?
あれ、アルゼンチンの看板がある。
入国審査無しで入国していた…?
チリ税関が検査しているだろうし、
辺境の飛び地だからちょっとくらい良いや
という事なのでしょうか。
と思いきや、2,3km走った所に入国審査の建物が。
何故こんなに離しているのだろう…
結局、間の地帯はどの国に属するのだろう…
兎にも角にもProvincia de Tierra del Fuego
(ティエラ・デル・フエゴ州)に入りました。
(以降、アルゼンチン時間UTC -3.0h)
町が見えて来ました。
Río Grande(リオ・グランデ)、
Provincia de Tierra del Fuegoの州都です。
地元客の殆どはここで降りて行きます。
ってあれ?僕等の荷物まで降ろされてる。
ここで降りろって?
降ろされてしまいました。
こんな場所で降ろされても困るんだけど…
と思っていたら、小さなミニバスがやって来ました。
Ushuaiaって書いてあるから
これに乗り換えるのかな?
違うのか…
まさか間違えて降ろされたなんて事は…
15分待って漸く乗り換えるバスが来ました。
さっきまで乗っていたバスとは
比べ物にならないようなオンボロバスです。
車内が何だか小便臭いし。
まあ、何にせよこれでUshuaiaに行ける…
そう安心したのも束の間、
何とバスターミナルを出たすぐの場所で
バスがエンストして動かなくなってしまいました。
ええ!?
どうするのこれ!?
何度も再発進しようとしていますが、
その度にエンストして全く動きません。
終いには乗客と運転手が口論を始める始末。
無人の荒野でエンストしたんじゃないだけ良いけど、
このまま発進しなかったらどうなるんだ…
何故さっきのバスに
そのまま乗せておいてくれなかったんだ!
どうしようも無いので車内で待っていると、
30分の格闘の末、遂にバスが発進しました。
動いて嬉しいような、
こんな状態で出発されても怖いような…
Río Grandeの名前の由来になった
Río Grande(グランデ川、大川)を渡ります。
賽は投げられたのです。
進むしかありません。
こんな荒野でバスが壊れたら間違い無く死ぬな…
交通量はそこそこあるのがせめてもの救いか。
世界最南端の都市と言ったって
バスに乗っていれば寝ていても着くでしょ、
とか思っていたけど、
南米はそんなに甘くは無かったな…
進行方向左側には大西洋が広がります。
海があると安心感がありますね。
港町…?
写真に写っているこれで全部という
限界集落がありました。
Punta Maria(プンタ・マリア)という名だそうです。
不思議な形をした木々が立ち並んでいます。
これが南極ブナでしょうか。
路肩を走るバギー。
何処から来ているのだろう…
というか、このバスよりバギーの方が速いのか。
Ushuaia前最後のまともな町Tolhuin(トルィン)。
意外と大きな町です。
Tolhuinの傍に広がる
Lago Fagnano(ファグナーノ湖)。
綺麗です。
不毛の大地が広がるパタゴニアですが、
このLago Fagnanoの周囲は森になっています。
大きな町はTolhuinが最後ですが、
小さな集落ならまだ幾つかあります。
家がロッジのようになっていて割とお洒落です。
最後の難関である峠越えに挑みます。
実はこれ、アンデス山脈です。
最南端のアンデス山脈越え。
頼む、エンストしないでくれよ…
道の右側は断崖絶壁になっていて怖いです。
しかし、その景色は最高です。
Paso Garibaldi(ガリバルディ峠)を越えました!
初めてアンデス山脈西麓に出ます。
美しい森の中を下って行きます。
行き違いの為なのか
一度停車してかなり焦りましたが、
無事再出発しました。
日没のアンデス山脈。
遂にUshuaia市に入りました!
見えてきた…
見えてきたぞー!
20:23、世界最南端の街Ushuaiaに到着。
長かった…
最南端への道のりは楽では無かった。
感慨も一入です。
タクシーを捕まえて宿へと向かいます。
街を見下ろす高台に宿がありました。
さあ、中に入って休もう。
…あれ?鍵が開いてない。
人の気配も無いし…
どういう事だ!?
どうやら、家の離れを丸ごと貸し出す
シャレータイプの宿のようなのですが、
鍵を渡してくれる筈の管理人が来ていない。
住所も外観もここで間違い無いし、
メールでバス到着する旨も伝えたし、
料金もクレジットカード決済してあるのに…
もしかして、隣の家に管理人が住んでいるかも…?
と、右に2軒離れた家や左隣の家の人に
この宿について訊いてみたのですが、
どちらの人も答は「ここは宿じゃないよ」。
サイトに載っていた電話番号に
電話もして下さったのですが通じず。
そんな馬鹿な…
そうこうしている内に完全に夜になり、
完全に途方に暮れていたところ、
右隣の家の2階に灯りが。
もしかして管理人かも!?
大声で呼び掛けると中から老夫婦が出て来ました。
が、どうやら管理人では無い様子。
嗚呼…
しかし、ここの管理人は知っているようで
電話して下さいました。
でも、どうせまた不通…
…え、通じた?
すぐにやって来るって!?
¡¡Muchas gracias!!
九死に一生を得て宿に入る事が出来ました。
助かった…
どうやら、予約の日付を1日間違えていたとか。
世界最南端と言ったって
普段の旅行とそう変わらないだろうと思っていたけど、
全くそんな事は無かった。
やはり南米は一筋縄ではいきませんね。
兎にも角にも、近隣住民の皆さんには本当に感謝です。
お騒がせして申し訳ありませんでした…
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