(無題)

薩南諸島旅行第6日目。
諏訪之瀬島に上陸します。


起きたら口之島に着いていました。
トカラ列島の入口です。
予定より遅れているから、
どうやら海が荒れているらしいな…
寝ていて全然気が付きませんでした。
目的の島に着くまでまだ時間があるので二度寝します。

二度目の起床。
うーん、どれくらい寝たんだろう。
…まさか寝過ごしていないよな!?


一瞬本気で焦りましたが、
丁度目的の島に着いたところでした。
7:52、諏訪之瀬島に上陸。
宿の人が迎えに来てくれていたので車で宿へ。
船には割と観光客が居る様に見えましたが、
諏訪之瀬島で降りたのは工事関係者ばかり。
僕は気象台の人と間違えられました。
今は港や発電所の補修工事をしているらしく
実は宿は工事関係者で満杯だったのですが、
宿の女将さんの勘違いで
幸運にも潜り込む事が出来ました。
島旅は楽ではありません。


まだ朝なので昼食まで散策する事に。


諏訪之瀬島の目抜き通り?
ちょっと道が広い分より寂寥感があります。
諏訪之瀬島の人口は竹島より更に少ない71人。
丁度理物1学年分です。
しかし、十島村の7島の中では4番目です。
実は、島の大きさでは7島中2番目なのですが…


中央部にある御岳の活発な火山活動により
火口から概ね1km以内は立入禁止。
じゃあ1kmと1m離れた場所に家を建てるかと言ったら
勿論そんな事をする訳も無く、
諏訪之瀬島の可住区域は非常に狭くなっているのです。


硫黄岳にも勝る勢いで煙を噴いています。
ただ、集落側から見るとその手前にある
根神岳(根上岳)が邪魔で
活火山らしい御岳の姿は望めません。
火山岩がゴツゴツしているのが分かるような場所は
噴火時に溶岩が流れてくる可能性が高くて
とても集落なんか作れないという事でしょうか。
1813年に起きた大噴火では民家が全滅し、
その後70年間無人島化したそうです。


平島小中学校諏訪之瀬島分校。
十島村の中で分校しかない島は
ここ諏訪之瀬島と小宝島だけです。


小中学校の傍には恐らく諏訪之瀬島唯一と思われる
申し訳程度の横断歩道がありました。
竹島でもあったし、そういう指針があるのかな?
でも、横断歩道の手前の車道に
菱形のマークは描かれていないんですね。


海岸に降りていきます。


諏訪之瀬島の裏港、元浦港。
表港の切石港で着岸出来ない時に
フェリーとしまが着岸する事もあるとか。
護岸のコンクリートから玄武岩が顔を出していて
ここが火山島である事を感じさせます。


道沿いにも避難壕があります。
ただ、御岳に向かって口が空いているけど良いのかな…


元浦港から少し上ってきたこの場所。
さて、一体何でしょうか?


正解は空港です。
正確には元・空港というべきでしょうか。
ヤマハグループがリゾート開発の一環で
諏訪之瀬島に造った空港の跡地。
廃駅ならぬ廃空港です。
現在は場外離着陸場という扱いになっています。
実は薩摩硫黄島飛行場を造ったのもヤマハグループ。
ヤマハは火山島が好きなんですかね?


諏訪之瀬島場外離着陸場の隣には
諏訪之瀬島発電所がありました。
工事中のようです。


皆既日食の絵が描かれた標識。
平成21年にトカラ列島で皆既日食が見られると
話題になった事がありましたね。
あの時はトカラ列島の映像を見て
外国かと思った覚えがあります。


切石港にもやって来ました。
ここでも工事をしています。


港の傍にはセメントのタンクがあります。
三島村の3島でも全て港にありましたね。
セメントは原料指向工業の代表例。
石灰を島外から輸入しているのでしょうか?


切石港の北にある北埠頭から
何やら道が延びているので行ってみます。


道があるような無いような。
この岩海岸の先にあるのは…


乙姫の洞窟です。
トカラ列島に伝わる乙姫伝説の地だとか。
岩が崩れてきそうで怖いな…


洞窟と言っていますが、
奥に続いている訳ではありません。
雨宿り出来る程度ですね。
カンチャナブリの洞窟が思い出されるな…


中から外を覗いた図。
やっぱりちょっと怖い。


頑張れば海沿いにもっと行けそうですが、
昼食の時間もあるのでここまで。
この先には船でしか行けないという
超秘湯、作地温泉があります。
諏訪之瀬島は色々な面で
薩摩硫黄島のワイルド互換ですね。
薩摩硫黄島でも相当ワイルドですが。


切石港から集落への道の途中に
何やら怪しい脇道があったので入ってみます。


ナハ浜。
諏訪之瀬島唯一の海水浴場です。
こんな火山岩ゴツゴツの場所で泳ぐのか…
ここまでの道は割と険しく、
しかもヤギの糞が大量に転がっているので注意。


帰り道、雲が晴れてきました。
2月頭でも日が出ると暖かいです。
流石は北緯30度線を越えた島。
今は7つの有人島で「十島」村ですが、
実は嘗てはもう3島あってちゃんと10島あり、
十島村(じっとうそん)を名乗っていました。
(今の読みは「としまむら」)

残り3つの有人島…
そう、三島村です。
日本は敗戦時に北緯30度以南を
連合国軍の占領下に置かれた為、
北緯30度以北の上三島が三島村、
北緯30度以南の下七島が十島村となったのです。
何故七島村にしなかったのかは謎。
というか、間に種子島、屋久島、口永良部島があるけど
何故そこを飛ばしていたのだろう…
あと、実は7つの有人島というのも、
嘗ては臥蛇島という有人島もあったものの
3世帯14人まで島民が減って生活が困難になり、
昭和45年に全島離島したという過去もあります。
じゃあ元は十一島村じゃないか!とも思いますが、
その頃は小宝島を宝島の一部と見做していたそうで…
中々複雑な過去のある村です。


陽光の下のトカラヤギ。
可愛い。
お昼になったので宿へと向かいます。
宿で昼食を済ませたら再び散策へ。


十島村役場諏訪之瀬島出張所。
郵便局やフェリー乗船券発売所の役割もあります。
出払っていて誰も居ませんでしたが。
施錠していないのが何とも田舎らしくて長閑。


壊れていない自動販売機だ!
値段も内地と変わりません。
竹島より都会だな…


コインランドリーまであります。
何という都会。
但し、商店はありませんが。


屋根を真っ白く塗った民家。
暑さを抑える為かな?


諏訪之瀬島地区飲料水供給淡水化施設。
諏訪之瀬島は海水を淡水化して
飲料水を確保しているようです。
この施設が出来る平成12年までは
天水のみに頼っていたのかな…?


十島村立諏訪之瀬島へき地診療所。
何だか人の気配が無いけど…


と思ったら留守でした。
6日間も留守にするのか…
あと、ちゃんとした診療は月に2回なのか…
逆に健康に気を付けるようになるのかな?


榊戸原牧場。
牧場と言っている割には牛が見当たらないな…


諏訪之瀬島の象徴、御岳へと向かいます。
本当は御岳に入る際は入山届を
役場出張所に提出しないといけないのですが…
真面目に出張所に行ったのに人が居なかったからね、
仕方無いね。


これは…洗い越し?
水量の多くない沢を越える道路を作る際
橋を造る手間を惜しんで普通に道路を敷き、
車に渡渉させるというものです。
実物は初めて見ました。
ただ、ここは降雨時のみ水が流れるようですね。


御岳へと繋がる登山道もありますが、
流石に噴火警戒レベル2の活火山に登るのは怖いので
根神岳方面に向かう事にします。
そもそも、この標識の方向に
御岳の登山口なんて見当たらなかったけどな…


これは土石流用なのか火砕流用なのか…
薩摩硫黄島にも似た設備がありましたね。


深い森の中の急な坂道を登ります。
ん?雨が降ってきたな…


あっと言う間に土砂降りに。
まるでスコールです。
標高も上がってきたからか風も強い!
とても進める状況では無いので路肩に退避。
しゃがんで折り畳み傘を差し、必死で雨を避けます。
こんなところで敗退する訳にはいかない…!


暫く待ったら雨が止んだので登山再開。
それにしても風が強い。
絶海の孤島で遮るものが何も無いからかな?


あれ?御岳登山口?
別の登山口かな?
やはり御岳には登らず
桜の巨木なるものを目指します。


気象庁の火山観測施設。
諏訪之瀬島は火山警報対象火山です。


諏訪之瀬島の共同電波受信アンテナ?
ここでテレビの電波を受信しているのでしょうか。


舗装路が遂に終わって山道に。
ビロウも生えていて南国な感じ。


山桜の大木。
南限の山桜だそうです。
標識で示されていたのは間違い無くこれだけど、
何だかまだ続いていそうな道があるな…


ちょっと進んでみたら休憩所がありました。
ここ自体はそこまで景色が良い訳でも無いし、
これは何かあるに違いない!


その先の森に分け入ってみると…
あれは…赤布!
やはり登山道が整備されているようですね。
これは元ワンゲル部員として黙ってはいられません。
登ります。


これは完全に笹が切り払われていますね。
何処に続いているのだろう…


稜線に出ました。
集落が見えます。
こう見ると本当に僅かしか民家がありませんね。


笹が切り払われた御岳のビューポイント。
山頂が見え難くなっているのは
曇りだからか、噴煙の所為なのか…


ビューポイントを越えると
いきなり道が悪くなります。
でも、整備状態こそ悪くなっているものの
一度は登山道として整備されていたのは明らかだな…
進みます。


ここまで来ると完全に藪漕ぎだ…
ワンゲル部を辞めた2年半後に
こんな離島で藪漕ぎする事になろうとは。
完全に廃道化している感がありますが、
随所に割と真新しい階段が残っていて
少なくとも嘗ての登山道である事は分かるので
もう少しだけ進んでみます。


生い茂るビロウを潜って進みます。
そろそろ引き返す地点を決めなければ…


この岩は…


おお、絶景!
集落からは絶対に見えない
諏訪之瀬島北西部です。
溶岩が流れ出て固まったのが一目瞭然ですね。
岩の上に立って撮ったのですが、
風が強くて吹き飛ばされそうです。
良し!満足したから天候が急変しない内に帰ろう!


下山するまでが登山です。


遠くから見ると結構くっきりと
登山道があるのが分かりますね。
もしかして、御岳登山道に入っていたのかな?


再び雨が降る前に下山しようとしたのですが、
まだ稜線に居る内から土砂降りに。
風も物凄く、とても傘だけでは防ぎ切れないので
脇の笹薮に分け入って風雨を凌ぎます。
島旅は厳しい…
いや、自分で勝手に厳しくしているだけですが。
あっ、傘の柄が金属疲労で折れた!


どうにかこうにか舗装路まで戻ってきました。
しかし、まだあの魔の強風ゾーンが残っている…!
傘を差すのは完全に諦めて、
雨が小康状態になったのを見計らって
一気に走り抜けました。


川上牧場。
ここまで来れば一安心だな…
雨が激しくなったり弱くなったりを繰り返しているので
激しくなった時は牧場の軒先に逃げ込み、
風雨が弱くなった時を捉えて進みました。


八幡神社。
どんな場所でも日本なら神社があります。
参拝する余裕は無いので素通りします。


集落に戻ってきました。
人が住んでいるという安心感。


良く見たら道端にJTの喫煙所がありました。
こんなところでもJTは影響力を持っているのか…

宿に戻って風呂に入り、着替えてから夕食。
同じ宿の僕以外の宿泊者は工事関係者ばかり。
でも、折角だからとどんな工事をしているのか
色々伺ってみました。
橋の測量をされている方や
地震計の基礎工事をされている方…
十島村の7つの有人島に全て行った事があるという方も。
海が荒れて島に閉じ込められたという話もあり、
旅行の参考にもなりました。
十島村では平島と小宝島が特に抜港され易いとか。
今回は行きませんが。
夕食後に、夕食の談笑で盛り上がって
楽しかったからと大量のおつまみを頂きました。
島では人と人との距離が縮まりますね。

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