大井川旅行第2日目。
6:30、起床。
朝風呂を浴びて朝食を済ませてから宿を出ます。
朝の寸又峡温泉郷。
背景の山だけ朝日に照らされていて何だか不思議な感じ。
8:45発大井川鐵道寸又峡線バス千頭駅行きに乗車。
奥泉駅まで戻ってきました。
ちなみに、奥泉駅で列車とバスを乗り換えていますが、
これは僕が鉄道好きだからこうしているのであって、
千頭駅で乗り換えた方が時間的には遥かに早いです。
(奥泉-千頭は鉄道で30分なのに対し、バスだと10分。)
今回は逆方面なので奥泉駅で降りるのが最善ですが。
9:41発大井川鐵道井川線普通接岨峡温泉行きに乗り換え。
大井川鐵道の真骨頂は何と言ってもここからです。
橋を見せる為に徐行。
井川線には最早生活路線としての側面はこれっぽっちも無く
純然たる観光鉄道なので、
全列車見所を車内放送で案内しつつ徐行します。
かなり細くなった大井川に沿って走ります。
アプトいちしろ駅に到着。
何だか変な名前だなあ、って?
アプトというのは鉄道の種類の名前です。
アプト式鉄道とは、普通の鉄道では
車輪が滑ってしまって登れないような急勾配を、
レールの間に付けられた歯車を使って登るというもの。
このアプトいちしろ駅は
専用のアプト式機関車を連結する為の駅なのです。
アプト式機関車を連結したら出発!
ここからが大井川鐵道のハイライト、
普通鉄道としては日本で最も急な勾配、
90‰の坂をアプト式で攀じ登っていきます。
ここが90‰の急勾配区間。
写真では中々伝わり難いですが結構な勾配です。
井川線の建設当初はこんな急勾配では無かったのですが
ダム建設によって旧線が水没する事になり、
水没しないダムの上まで一気に登るよう
こんな急勾配の新線が造られたのです。
ちなみに、この区間だけは電化されています。
辺りは水力発電所だらけだし、
そもそも井川線は中部電力の所有物なので
電気は使いたい放題ですね。
この急勾配で客車との連結が外れたら大惨事なので、
機関車は牽引では無く後ろから押す形になっています。
登山鉄道の常識です。
こちらが旧線水没の原因となった長島ダム。
高さ109mの巨大な重力式コンクリートダムです。
この右岸に長島ダム駅があります。
長島ダム駅でアプト式機関車を切り離し。
アプト式区間はアプトいちしろ-長島ダムの1区間だけです。
高価なアプト式機関車をなるべく長持ちさせるよう
この区間のみ連結して走行距離を減らしています。
ターコイズブルーに妖しく煌めく接岨湖畔を走ります。
トルコ石を溶かしているのでは無かろうかというレベル。
温泉が混ざっているのかな?
ひらんだ駅。
周辺に民家等は一切見当たらず、
かと言って雰囲気が良いという訳でも無いので
秘境駅として大々的に紹介される事も無いという駅です。
接岨湖でカヌーをする人が利用する事があるとか。
ひらんだ駅を発つとすぐに
井川線最長の平田トンネル(全長673m)に入ります。
トンネルの壁面には井川線の写真が飾られており、
列車はやはり徐行運転をします。
観光化を欠かさない観光鉄道の鑑。
そして、平田トンネルを抜けると―
―そこには駅があった。
10:17、奥大井湖上駅に到着。
接岨湖に突き出た半島の猫の額程の突端に作られた
正に「湖上」の名を称するに相応しい駅。
記憶も定かで無い程の昔に一度訪れた事があり、
余りに衝撃的な立地から夢にまで現れ、
いつか再訪したいと思っていた場所。
この快晴の日にその願いを叶える事が出来ました。
静かだ…
湖畔には接岨湖から顔を出した旧線が見えます。
奥大井レインボーブリッジを渡る。
これは現実なのか、はたまた幻想なのか。
橋を渡った先にはトンネルの上へと登る階段があります。
ここだけは夢と違うな。
登った先の獣道。
ここは夢の通りです。
夢ではここで引き返していましたが、
今回は更に先へと進みます。
奥大井湖上駅を望むビューポイント。
良くぞここに駅を作るという発想を実現したものだ…
11:04発の折り返し列車が接岨湖を渡る。
短い汽笛と共に深い山の中へと消えていった―
もう少し散策してみます。
遊歩道から分岐していた謎の獣道。
もしかすると、旧線の場所まで続いているのでは…
…ちょっと厳しいな。
無理に行って滑落するのも嫌なので正規ルートに戻ります。
断崖の獣道で苦戦していたらやってきた次の列車。
乗りませんが。
隣の接岨峡温泉駅まで歩きます。
道中にあった若宮神社。
太鼓を打ち鳴らして何やらやっていました。
何をやっているのだろう…
南アルプス接岨大吊橋を渡って八橋小道(やっぱしこみち)へ。
平成20年に完成したばかりの
吊り橋8つを含んだ遊歩道です。
この宮沢橋は階段吊橋としては日本最長の62mだとか。
まず階段吊橋というジャンルを今初めて知りました。
八橋小道を抜けて接岨峡温泉郷に到着。
想像していたより遥かにショボい。
駅近なのに何故寸又峡温泉より寂れているんだ…
列車の時刻まではまだ1時間弱あるので
もう少し散策を続ける事に。
大井川に沿った林道を登ります。
落石にも怯まず登ります。
着いた!
展望台です。
何を展望するのかと言うと…
関の沢橋梁です。
井川線の尾盛-井川間にある鉄橋で
川底からの高さは70.8mにもなり、
現役の鉄道橋としては日本で最も高いです。
しかし、残念な事に現在この関の沢橋梁を含む
接岨峡温泉-井川間は運休中。
復旧するかどうか未定という状況です。
この区間は日本の鉄道技術の到達点の一つでもあるから
何とかして残して欲しいものだけど…
そうこうしていたら列車の時刻が迫っていたので
急いで駅へと向かいます。
13:09発大井川鐵道井川線普通千頭行きに乗車。
駅員さんに列車を少し止めてもらってギリギリ乗れました。
忝い…
14:21、千頭駅に到着。
小腹を満たす為に駅前で川根茶ソフトを買ってみました。
うーん、茶葉の良い香りが漂って何とも美味しい!
14:35発大井川鐵道大井川本線普通金谷行きに乗り換え。
今度は元・南海電鉄のズームカーでした。
15:46、金谷駅に到着。
15:53発JR東海道本線普通浜松行きに乗り換え。
某乗り換え案内ではこの乗り換えが出て来ませんでした。
東京駅とかだと鬼の様な超高速乗り換えを指示する癖に
田舎の駅だと乗り換え時間を異常に長く取るんだな…
お土産でも買おうというメッセージなのかも知れませんが。
その後、浜松駅で16:39発JR東海道本線普通岐阜行きに乗り換え、
17:21発JR東海道本線特別快速大垣行きに乗り換え、
1週間振りの実家へと帰りました。
脚注
※「アプト式鉄道」
アプトとは発明した人の名前(Carl R. Abt)の事。
ちなみに、現在は日本で大井川鐵道にしか無いアプト式だが、
嘗てはあの信越本線の碓氷峠でも活躍していた。
碓氷峠は勾配66.7‰。
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