(無題)

鹿児島旅行第3日目。
今日は島へと渡ります。


5:45、起床。
今日は快晴です。
それでも、地平線の辺りは少し煙っているけど。
朝一番で朝食を食べてから鹿児島中央駅へ。
タクシー運転手の人に聞いた話に拠ると、
昨日一昨日の煙霧は中国からのスモッグだそうです。
傍迷惑な国だな…


7:29発JR九州新幹線つばめ314号博多行きに乗車。
今回初の鉄道。
6両編成の新幹線です。
短い。
ホームも8両分しかありません。
のぞみ号やこだま号が博多までしか乗り入れないのは
あの16両編成では九州新幹線の駅に入り切らないからです。
なら編成を短くするかこまち号とはやぶさ号みたいに
連結・切り離しすれば良いのでは?とも思いますが、
東海道新幹線を牛耳るJR東海が、
16両編成に非ずば新幹線に非ず!連結など認めん!
と頑なに拒否しているのです。


車内の内装はこんな感じ。
流石はJR九州と言ったところか。
車内放送も日本語、英語に加え、
韓国語と中国語が流されます。
ビジネスしか頭に無い東海道新幹線とは
考え方が根本的に違います。


九州新幹線はつい4年前に全線開業したばかりの
北陸新幹線の次に新しい新幹線。
そんな訳で、トンネルに次ぐトンネルで
車窓は殆ど楽しめません。
ビジネス用の東海道新幹線が
一番車窓を楽しめる新幹線というのは何たる皮肉。


街っぽくなってきました。


7:41、川内駅に到着。
川内(せんだい)と読みます。
たった12分なら在来線に乗れよ!と言われそうですが、
在来線だとバスとの接続が異常に悪いので…


7:50発甑バス川内港ターミナル行きに乗車。
港を目指します。


鏡のような川内川と川内火力発電所。
薩摩川内市は川内原子力発電所でも有名ですね。
道端には「原子力推進」という立て札もありました。


肥薩おれんじ鉄道の列車を見掛けました。
これから行く島を宣伝した
ラッピング列車になっています。
そんなに有名な島だったっけ…


8:14、川内港ターミナルに到着。
真新しいお洒落なフェリーターミナルです。
隠岐汽船のフェリーターミナルも立派だったし、
西日本の船会社は観光に力を入れていますね。
東京都港区の割にボロい竹芝埠頭とは違います。
何故そんなお金があるのか良く分かりませんが。


8:50発甑島商船高速船甑島に乗船。


九州新幹線と似たデザインの船内です。
と思ったら、ななつ星in九州のデザインも手掛けた
水戸岡鋭冶のデザインだそうですね。
まさかこんな所でお目に掛かるとは思わなかった。
離島に行くとは思えないお洒落さです。
でも、個人的には雑魚寝フェリーの方が楽で有り難い。


出航。
若干波が立っていて揺れるので
展望デッキは立ち入り禁止になっていました。


まずは里港(上甑島)に到着。
甑島列島は大きく分けて
上甑島、中甑島、下甑島の3つから成っており、
上甑島と中甑島は架橋されています。
どちらかと言うと、上甑島・中甑島の方が栄えている?
乗客も大半が上甑島で降りてしまいました。
となれば、僕は当然下甑島に向かいます。


里港を離れ、島を右手に南下します。
上甑島と中島を繋ぐ甑大明神橋、
及び中島と中甑島を繋ぐ鹿の子大橋が見えます。
これが出来る前は渡し舟で行き来していたんだろうな…


ちなみに、中甑島と下甑島も橋で結ぼうとしています。
大分距離があるので完成はまだまだ遠そうですが。


10:30、長浜港(下甑島)に到着。
まずは宿に向かい、荷物を置いてから
宿から自動車を借りて下甑島観光に繰り出します。


かなりアップダウンの激しい山道。
島とは思えないほど…と言いそうになったけど、
伊豆大島も、神津島も、父島も、母島も、
西ノ島も、知夫里島も全部アップダウンが激しかったな。
多分、島は勾配が少ないというイメージは
地元の日間賀島・篠島で作られたのでしょう。
あっちの方が寧ろ少数派なのかな?


岩を鋭利な刃物で削いだような道を走ります。


良くこんなところに道を通したものだ…
殆ど対向車と擦れ違いませんが。


下甑島北端の鳥ノ巣山展望所に到着。
下甑島と中甑島を結ぶ橋が鋭意建設中です。
青く透き通った美しい海だ…


鳥ノ巣山灯台から階段が延びる平瀬崎に降りてみます。


地層が露わになっています。
古いものは白亜紀(8000万年前)のものだそうで、
肉食恐竜の化石も出土した事があるとか。


鳥ノ巣山は下甑島の北東端でしたが、
下甑島の北西端にも行ってみました。
道のどん詰まりにあった円崎灯台。
ここは木々に囲まれて展望はありませんね。
少し戻ります。


夜萩円山公園。
風が強いです。


絶壁の鹿島断崖。
200mもの高さがあります。
ウミネコの繁殖地だそうです。
こんな場所で繁殖しているのか…


鹿島港周辺の藺牟田集落。
ネコが屯しています。
走ってきた道が開通する以前は
同じ島ながら長浜集落その他の集落とは
陸伝いでは行き来出来なかったんだろうな…
今もフェリーは長浜港だけで無く
この近くの鹿島港にも寄港しています。
高速船は寄港しませんが。
これで島の北部は粗方見て回ったので長浜に戻り、
今度は島の西部へと向かいます。


これがもう凄まじい山道。
しかも、宿の人曰くこれが最も良い道で
「これ以外にも道は幾つかあるんですが、
車酔いする人も居るのでオススメ出来ませんね…」
との事。
いや、この道でも十分車酔いしそうだけど、
これより悪い道とは一体…
長浜港とこの先にある瀬々野浦集落とを結ぶ
甑かのこゆりバスと擦れ違わないか
ヒヤヒヤしながらの運転。


下甑島西海岸の集落、瀬々野浦集落が見えてきました。
ここからあそこまで一気に下るのか…


瀬々野浦集落に達する前に
お目当ての物が見える前の平展望台がありました。
ナポレオン岩です。
名前の由来は、明治初期にこの地を訪れたフランス人が
ナポレオンにそっくりだ!
と言った事だという説があるとか。
明治初期にフランス人がこんなところに来ていたのか…


前の平展望台から見た瀬々野浦集落。
長浜港まであの山道をバスで40分以上。
こういうところでの生活ってどんな感じなんだろうな…
ちなみに、この瀬々野浦にも民宿はあります。
ナポレオン岩は見えたのでここで引き返す事に。


山道の途中にある分かれ道で
長浜集落では無く島中央部へと曲がります。
この道、何だか中央線が変だと思いませんか?
それもその筈、この道は国土交通省の管轄では無いのです。


そう、防衛省の管轄なのです。
航空自衛隊下甑島分屯基地。
朝鮮半島と中国を目の前にするその地理的条件から
日本に4基しかない高性能レーダーJ/FPS-5
通称ガメラレーダーが設置されている重要拠点です。
しかも、第一基だとか。
(残り3基は運用開始順に佐渡、大湊、与座岳。)
そんな訳で、有事の際は真っ先に狙われる場所なので、
何処から見ても鄙びたこの島の内部には
実はミサイルにも耐え得るシェルターがあるとかいう噂。
…という話を宿の人に聞きました。


そんな下甑島分屯基地は年1回の開庁記念行事以外
一般人の立ち入りは固く禁じられているので、
僕のお目当てはこちら。
甑島列島最高峰、尾岳の登山口です。
島の観光案内パンフレット等には載っていませんが、
これまた宿の人曰く30分程度で登れるとの事だったので
折角だし登ってみる事にしました。


南国っぽい森の中を歩きます。
夏は地獄の暑さだろうな…


ちょくちょく謎のガードレールがあります。
別に危険箇所とかいう訳でも無いのですが。


木々に囲まれていて位置を判断する材料が乏しいですが、
時折山頂までの距離を示す看板が立っています。
あと1kmか。
登り下りを繰り返してじりじりと山頂に近付きます。
待てよ、今の所森の途切れる気配が全く無いけど、
頂上に着いたところで展望はあるのだろうか…?


頂上はもう目前…!


尾岳山頂に到着。
おお、絶景!
ここだけ木々が切り払われています。
自衛隊の人が整備したのかな?


芦浜を俯瞰。
この位置だと木々が邪魔で
この芦浜くらいしか見えませんね。


隣に第二展望台があるという事なので行ってみます。


こちらは中甑島、上甑島も含めて
甑島列島を一望出来ます。
良い眺めだ…
こう見ると、下甑島って結構大きいんだな。
案内標識で普通に30kmとか出て来るので
道路を走っていても広さは感じられますが。


登山を終えたら最後に残された島の南部へ向かいます。


その前に最後の寄り道。
瀬尾観音三滝。
島なのにこの豊富な水量は何処から来ているのだろう…


三滝というのは三段になっているからだそうで
滝の横にある遊歩道で上二段の滝を見に行けます。


それにしてもこの水量は何処から…


南端の手打集落までやってきました。
手打というというのは斬り殺す事では無く、
平家の落人がこの地に流れ着いた際に
「ここは良い所だ」と言い、
手を打ったという伝説に由来しているそうです。
この島に来てから初めて見た畑。
あれだけ水が豊富だと農耕も普通に出来そうですね。


スーパーの駐車場に移動スーパーの車が停まっていました。
藺牟田集落や瀬々野浦集落に行くようです。


手打集落には昔から人が住んでいるようで
武家屋敷通りがあります。
今も封建制の名残があるとか。
その辺に立ち入ると闇が深そう…


まだ人が住んでいる区画もありますが、
半分くらいは無人の荒れ地になっています。
過疎化の波には逆らえないんだな…


武家屋敷通りにも宅急便はやって来ます。
何だかシュールな光景。


手打集落にあった恐らく下甑島唯一の信号機。
子供達の教育の為かな?
明らかに信号機の要る交通量では無い。


手打港。
今は寂れていますが、
島内の道路が整備されていなかった頃はフェリーも寄港し、
下甑島の中心地として栄えていました。
近くには異国船監視用の津口番所跡もあります。


そして、最後の目的地。
下甑手打診療所。
漫画「Dr.コトー診療所」のモデルとなった診療所です。
狭い坂道を上った高台にあります。
有名ですが、現役の診療所だからなのか
パンフレット等には一切載っていません。
場所もかなり分かり難いです。
まあ、観光客がやって来て
通常業務に支障を来したら堪ったものじゃないからな…
下甑島を一通り見終えたら宿へと戻ります。


夕食は下甑島産の伊勢エビ!
港には手掴みで獲れる程うじゃうじゃいるとか。
下甑島は釣りの名所でもあるそうです。
釣りが趣味だったら島巡りはもっと楽しいのかな…
この後は長浜港を望む露天風呂に入ってから寝ました。

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