三連休最終日。
今日は日本で一番乗りたかったあの路線に乗ります。
5:10、起床。
昨日より1時間も遅い!
眠気はそんなに変わりませんが。
丁度ラグビー日本代表がアメリカに勝ったところでした。
宿をチェックアウトし、駅へと向かいます。
早朝の会津若松駅。
会津若松に泊まったという事で
既に僕の今日の目的が分かっている人も居る事でしょう。
6:00発JR只見線普通会津川口行きに乗車。
そう、西の横綱三江線に対する
ローカル線東の横綱只見線です!
どちらも名前の由来となった川に沿って走る
極めて景色の良い風光明媚な路線。
共通点はそれだけに留まらず、
日本海側から峠を越えて反対側の街まで繋いでいたり、
峠越えの区間で難航して全通が遅かったり、
その所為で沿線が車社会化して利用客が居なかったり、
名前の由来となった川の氾濫で度々被害を受けたり、
列車本数が少ない上に途中駅での接続が悪かったりと、
まるで双子の様な存在なのです。
西若松駅までは会津鉄道と共用。
西若松駅で両者が分かれます。
会津鉄道が沿う大川を渡ります。
大川を渡って間も無くして御来光。
会津若松は盆地なので太陽が現れるのが遅いです。
朝霧の掛かる田園の中を走ります。
幻想的な風景です。
会津若松方を望む。
只見線は盆地の縁をなぞるように半周します。
会津高田に寄る為でしょうか。
気付いたらちょっと寝てしまっていて、
起きたら盆地の縁巡りは終わって塔寺駅に居ました。
一昨日の夜まではここで駅寝する覚悟でした。
見るからに寒そう。
寝袋があるから暑いよりは良いかな?
七折坂を越えていきます。
七折坂を越えたら只見線の真骨頂、
只見川沿いの旅が始まります。
と言っても、暫くは家や雑木林に阻まれて見えませんが。
スノーシェッドはちょくちょく現れます。
只見川に注ぐ支流は幾つか越えます。
水が澄んでいて綺麗。
茸みたいな形をした会津桧原駅。
雪を落とす為にこんな形の笠…
じゃなかった、屋根をしているのでしょうか。
ところでこの駅、諸々の資料には
「会津桧原」と書かれているのに
駅舎には「会津檜原」と書かれているけど、
結局のところはどちらが正しいのかな?
東京の村だと「檜原村」が正式ですが。
そんな会津桧原駅を過ぎると
遂に初めて只見川を渡ります。
第一只見川橋梁。
以降、只見線は只見川を頻繁に渡るようになります。
会津西方駅の先でまた渡ります。
第二只見川橋梁。
会津宮下駅で列車行き違いの為
8分間停車するとの事だったので、
ちょっと外に出てみました。
駅前。
まあ、当然の如く何も無いですね。
意外にも駅スタンプはありましたが。
反対列車をやり過ごして出発します。
第三只見川橋梁。
ダムがあった所為か水が濁っています。
この先は橋梁上で無くても
只見川がほぼ常時見られるようになります。
併走する国道252号線にメロディーラインがありました。
50km/hって、割と速めの速度を指定するんだな。
実は只見線、国鉄末期の時点で
既に廃止対象に挙がっていたのですが、
この国道252号線がショボかったお蔭で
生き長らえたという歴史があります。
第四只見川橋梁。
奥に見えているスノーシェッドは国道252号線です。
会津水沼駅と会津川口駅に挟まれた会津中川駅。
只見線は全通が遅かった為に
既に駅名を他の路線に取られてしまっていて、
「会津」を冠した駅名が非常に多いです。
ちなみに、この3つはそれぞれ
水沼駅(わたらせ渓谷鉄道)、
川口駅(東北本線ほか)、
中川駅(奥羽本線ほか)と被っています。
8:04、会津川口駅に到着。
会津若松駅や途中駅で乗ってきた高校生は
全員ここまで乗ってきていました。
どうやら、川口高校なる高校があるようですね。
会津若松からここに通っているのか…
運賃表。
こうして見ると、本当に「会津○○」が多いですね。
もう少しオリジナリティのある駅名は
見付からなかったのでしょうか。
8:15発JR只見線代行バス只見行きに乗り換え。
只見線はこの先、平成23年の豪雨によって
壊滅的な被害を受けており、
4年経った今も会津川口-只見間は復旧していません。
JR東日本的には絶対に復旧したくないようですが。
JR東海の名松線、JR西日本の三江線は復旧されたけど、
JR東日本の只見線とJR北海道の日高本線は果たして…
駅には只見線を応援する幟が掲げられています。
「JR只見線にみんなで手をふろう」というのが
一瞬お別れの意味かと思った僕は不謹慎でしょうか。
代行バスは国道252号線を走ります。
第五只見川橋梁。
一番右の部分が流されてしまっています。
細い裏路地に入って郵便局の手前で一時停車したから
一体何かと思ったら、本名駅の代行バス停でした。
駅の前まで行かないんだな…
第六只見川橋梁。
本名水力発電所の目と鼻の先にあり、
豪雨の際に緊急防水された所為なのか
ほんの一部を残して完全に流されています。
良く分からなかった人の為にもう1枚。
残存しているのはこれだけです。
会津越川駅代行バス停。
一瞬だけ駅が見えました。
これは一応駅前…かな?
会津横田駅代行バス停…?
駅どころかバス停の立て札も見当たらない
ただの電気屋の前に停車しています。
会津大塩駅代行バス停。
これは駅舎…かと思いきやコミュニティーセンター。
転回して再び国道252号線に…
あっ、そうか!
只見線の駅はショボ過ぎて
駅前にバスの転回出来るスペースが無いから
駅とは違う変な場所にバス停があるんだ!
謎が氷解してすっきりしました。
とすると、昨日の常磐線の代行バスが
浜吉田駅でなく亘理駅発着だったのも同じ理由かな?
会津塩沢駅代行バス停。
もう驚きません。
只見線の超有名撮影地、第八只見川橋梁。
飯田線の渡らずの撤去と同じく、
対岸に渡らないという珍しい橋梁です。
左には色付き始めた蒲生岳が見えます。
第五~七只見川橋梁の被害が甚大だというなら、
せめてこの第八只見川橋梁を含む
会津塩沢-只見だけでも先行復旧して欲しい…!
会津蒲生駅代行バス停。
向かいに蒲生岳の登山口がありました。
蒲生岳って登山道があるのか。
線路に草が生えています。
草生やすな。
街に入ってきました。
9:05、只見駅に到着。
結局、途中駅での乗降客は誰一人として居ませんでした。
実質直通バス状態だな…
ここからの接続が凶悪です。
代行バスは1日6往復あるというのに
只見-大白川間は何と1日3往復だけ。
木次線や札沼線の末端区間等と並んで、
現在日本一列車本数の少ない区間
(常磐線の代行バスを除く。)なのです。
代行バスの特性上接続に余裕があるので
ちょっと辺りを散策してみます。
小出駅からの下り列車を撮影。
その折り返し、9:30発JR只見線普通小出行きに乗り換え。
登山客らしき人や行楽客で賑わっています。
登山客は一体何処の山に登っていたのだろう…
会津朝日岳?
会津川口駅と只見駅での乗り換え時間で
自分へのお土産兼おやつを買ってみました。
お菓子はなるべく旅先の田舎で買います。
会津の雪ソフトクリーミイヨーグルトは、
北海道のソフトカツゲンみたいなものを想像していたら
敦煌の飲むヨーグルトを思い起こさせる濃厚さでした。
列車は只見駅を出ると程無くして
全長3,712mの長い田子倉トンネルに入ります。
トンネルを抜けました。
満々と水を湛えた田子倉湖の傍を走ります。
スノーシェルターに覆われた田子倉駅跡を通過。
田子倉駅は国道252号線も冬季閉鎖されるような立地で
只見線随一の秘境駅として知られていましたが、
冬季休業の臨時駅となり、
最終的には廃止されてしまいました。
列車はやけに徐行しています。
そんなに制限速度が厳しいのかな?
橋梁の上で今にも止まらんばかりの最徐行。
これはもしや…
この絶景を見せてくれているのか!
青空に映える真っ赤に紅葉した浅草岳。
綺麗だ…
JRは意外と徐行して景色を見せてくれますね。
1日10往復に満たないくらいの路線なら。
景色の為に徐行してくれる路線に悪い路線はありません。
絶景を堪能したら、全長6,359mの六十里越トンネルへ。
この六十里越が只見線最大の難所であり、
これこそが只見線の全通を遅らせた最大の原因です。
尚、すぐ近くにある八十里越は
何と車道すら通じていません。
国道289号線がこれを越えようと計画されてはいますが…
国境の長い六十里越トンネルを抜けるとそこは越後です。
新潟県って難所を越えずに入る道は無いのかな…
トンネルを越えた後も深い山の中を走ります。
只見駅から次の駅までは20.8km。
沿っている川は最早只見川では無く末沢川です。
大白川駅に到着。
こんな駅ですが、この駅始発の列車があったりします。
ここで降りている人も居ました。
一応、需要がある…のかな?
峠を抜け、田んぼが広がるようになってきました。
それもその筈。
ここは日本一の米どころ、新潟県魚沼市です。
薮神駅。
越後…藪…うっ、頭が…
女の子が手を振っています。
只見線に手を振ろう運動かな?
最後の橋梁で魚野川を渡ります。
10:43、小出駅に到着。
ここからは上越線に乗り換えます。
上越線は新潟と関東を繋ぐ幹線であり、
列車本数もそこそこあって接続も良いのですが、
折角ここまで来たのだから辺りを少し観光する事にしました。
小出公園。
雪国らしく冬はスキー場になるようです。
雪国特有のスキー特訓をする親子も居ました。
オールシーズンシャンツェ。
人工芝になっていて夏でも滑れます。
転んだら悲惨な事になりそうだけど…
小出公園の丘を越えました。
駒見山なる山が見えているので登ってみます。
リフトらしきものが設置されており
木が切り払われているので、
後ろを振り向くと小出の市街が良く見えます。
駒見山山頂らしき場所に到着。
特に立て札とかはありませんが。
と言うか、駒見山という名前自体
携帯電話の地図にしか載っておらず、
看板の類は道中一切見当たりませんでした。
景色は中々良いです。
駒見山山頂から稜線が延びていたので
もう少し歩いてみる事にしました。
分岐。
左はあいの峰、右はジブリ房ヶ沢山道と書かれています。
どちらも気になる!
ネットで調べるとかいう邪道を使わずに直感で…
左に行ってみよう!
(帰宅後ネットで調べても結局何も出てきませんでした。)
熊が出ないかと怯えながら森を抜けると
先程より踏み跡の不明瞭な稜線に出ました。
切り払われた灌木の根がごつごつしています。
こんな登山道でもちゃんと整備されているんだな。
最後の急登を登り切れば…
あいの峰山頂です!
360°遮る物の無い大展望。
ここまで開けた山頂はそうそうありません。
いやー、来て良かった!
会津川口駅で買ったカボチャ羊羹で一服。
山頂での甘味は堪らない!
景色を堪能したら、
稜線を更に進んで下山します。
稜線から。
…実は鉄道写真です。
でも、ブログへ投稿する為に解像度を下げたら
列車が全く分からなくなってしまいました。
流石にこの距離だと望遠レンズ必須か…
車道に出ました。
この右の脇道があいの峰登山口です。
一応、案内版があるにはありますが…
駐車スペースは無いので
小出駅から歩いてアプローチしましょう。
小出駅への帰り道の途中に
見晴らしの湯こまみなる温泉があったので
衝動に負けて入ってみました。
いやー、旅先で歩いた後の温泉は最高ですな!
見晴らしの湯の名の通り、露天風呂の展望は中々です。
ここはどうやら住民交流センターも兼ねているらしく、
利用客の殆どは地元の方でした。
敢えて丘の上に作って行き帰りに運動させようとは
中々考えたものですね。
温泉で疲れを癒したら、
長い帰路に就きます。
小出駅から14:24発JR上越線普通水上行きに乗車。
国境の長いトンネルを越えて新潟を抜けます。
途中の駅で登山客を拾って
いつの間にか車内は満員に。
15:46、水上駅に到着。
重いザックを背負った人達が
乗り換え列車の席を確保しようと
我先にと階段を登ります。
大垣ダッシュならぬ水上ダッシュ。
と言っても、編成が長くなるので
相席を気にしなければ割と簡単に座れるんですけどね。
15:53発JR上越線普通高崎行きに乗り換え。
高崎駅で16:59発JR高崎線普通小田原行きに乗り換え、
上野駅で18:54発JR常磐線快速取手行きに乗り換え、
19:05、北千住駅に到着しました。
という訳で、思い付きで行った南東北。
余りに急ごしらえの計画で行く前はかなり不安でしたが、
念願の只見線を最高の天気で楽しめて本当に良かったです。
ピアノの会の合宿、祖母との旅行、
FKとの登山に続いてまさかの人生4度目の会津。
行けば行く程好きになってきます。
あの現世と隔絶されたような秘境具合が堪りません。
北海道の次くらいに好きかも…
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