三連休の中日。
天気は良くありませんが、
乗り放題切符があるのに出掛けない訳がありません。
北千住住まいだからこそ行ける場所を目指してみます。
4:05、起床。
昨日ほど眠くないな。
朝食を食べて出発します。
5:21発JR常磐線快速勝田行きに乗車。
これは昨日の地下鉄と違ってガラガラでした。
お行儀が悪いですが、横になって寝かせてもらいます。
水戸駅で7:02発JR常磐線普通いわき行きに乗り換え。
東海駅。
臨界事故で一躍有名になった東海村です。
原子力村だからもっと人が少ないのかと思ったら、
家がかなり多く建ち並んでいます。
ちょっと駅から離れると田んぼだらけになりますが。
まあ、それは茨城県内何処も似たようなものか。
大甕駅を過ぎた辺りで漸く山らしきものが見え始めます。
遂に関東平野も終わりです。
常磐線は山に押されるように海岸へと向かうので
相変わらず峠越えのとの字もありませんが。
昨日とは大違いですね。
太平洋。
東京に居ると、海がとても遠く感じられます。
山も近くないのですが。
やはり東京は糞。
勿来駅。
ここからは福島県となります。
車内には暖房が入りました。
常磐共同火力発電所。
この先の常磐線沿線は発電所がとにかく多いです。
日本一有名になってしまったあの発電所も
この常磐線の沿線にあります。
8:34、いわき駅に到着。
何かホームと列車の間にやけに段差があるな…
いわき駅前。
かなり栄えています。
反対側はこんな感じですが。
朝食を食べてから早4時間。
小腹が空いたのでおやつを買いました。
4時起きだと1日3食では辛い…
8:50発JR常磐線普通竜田行きに乗り換え。
四ツ倉駅を過ぎると遂に単線になります。
いよいよ鄙びて参りました。
途中、こんな車が横を通りました。
「双葉町原子力防災車」…
あっ…
山陰本線の如く小さな入江と入江を
トンネルで結ぶようになってきました。
広野駅。
駅より海側はだだっ広い更地になっています。
この辺りも東日本大震災の津波で被害を受けました。
9:23、竜田駅に到着。
現在復旧しているのはここまでです。
竜田駅より先の線路は草に覆われています。
そう、ここから先は福島第一原発事故による不通区間。
ただの長期運転見合わせ区間とは違い、
代行バスさえ走らせる事が困難なのです。
いつか常磐線が全線復旧する日は来るのでしょうか…
しかし、鉄路では無いにしても
取り敢えず交通の道としては
常磐線は再び東京と仙台を結びました。
国道6号線の帰還困難区域内の区間が
自動車での通過に限り認められた事によって、
今年1月31日から代行バスが運行されるようになったのです。
それがこちらのバス。
但し、「通過」しか認められていないので
途中駅には一切停車しません。
代行バス時刻表。
1日2往復。
代行バスを鉄道に含めるなら、
現在の日本の鉄道で最も本数の少ない区間です。
この内の午前便に乗るには
あの朝一番の勝田行き快速列車に乗らねばならない為、
都内でその日の内に来られるのは
常磐線沿線及び千代田線と日比谷線の一部の駅だけ。
正に北千住住まいだからこそ来られた訳です。
9:35発JR常磐線代行バス原ノ町行きに乗り換え。
代行バスなのにワンマン運転では無く添乗員さんが居ます。
バスも高速バスと同じ立派な車両。
乗客は18人だそうです。
乗り鉄とは少し違う雰囲気…
何だか重苦しいです。
バスが走り始めるとモニターが下りてきて
現在地での車内の空間線量率を表示するようになります。
見ていると随時計測している訳では無く、
地図上のグリッド毎にある観測データを
バスの位置に合わせて表示しているだけのようですが。
竜田駅を出て程無くして
福島第二原子力発電所への曲がり道がありました。
こちらは炉心溶融していないので
線量率はそんなに高くありません。
街に入ってきました。
パッと見、今も普通に人が居るように見えるのですが、
良く見るとカーテンが閉ざされ、人の気配はありません。
建物自体は綺麗なだけに変な気分になります。
そして、ここから帰還困難区域に入ります。
起点である富岡消防署の前には警備員が立っており、
バイクや自転車、それに歩行者の侵入を阻止しています。
オープンカーはどうなのだろう…
帰還困難区域に入ると車内の空間線量率が1.00μSv/hを超えます。
どうやら、1.00μSv/hが基準になっているようですね。
福島第一原子力発電所の所在地である大熊町に入ります。
反対車線をひっきり無しに警察車両が通り過ぎます。
停車する車両がいないか見回りしているのでしょうか。
写真はぶれぶれですが、
福島第一原子力発電所の看板がありました。
線量率はぐんぐん上がっていきます。
表示された最高値は6.11μSv/h。
良く比較対象に挙げられる数値として
東京-ニューヨークを飛行機で1往復した時の被爆線量が
200μSvというものがありますが、
6.11μSv/hなら丸1日過ごしても150μSv足らずですね。
勿論、滅多に乗らない国際線の飛行機と
日常的に乗るローカル線のバスを同様には扱えませんが。
ちなみに、このバスに1回乗車した時の被爆線量は1.2μSvです。
福島第一原子力発電所へ続く道。
至極普通の田舎道です。
普通は道路情報を表示する電光掲示板に
空間線量率が表示されています。
バスのモニターに表示されている値より幾分大きいけど、
これは車外での値という事なのかな?
辺りは更地ばかり。
草茫々です。
大熊町市街地。
信号は黄色点滅のまま、歩道は閉鎖、
完全なゴーストタウンです。
ここも建物は綺麗なので見た目には分かり難いですが。
浪江町に入って帰還困難区域から抜けました。
浪江町は深刻な過疎化対策として
昭和40年代から自ら何度も原発を誘致していましたが、
南の双葉町、大熊町に福島第一原子力発電所を、
富岡町、楢葉町に福島第二原子力発電所を、
更には女川町に女川原子力発電所を取られ、
やっとこさ浪江小高原子力発電所を誘致したと思ったら、
あれほど欲しがっていた原発による事故で
町内全域避難させられるという悲劇の自治体です。
南相馬市に入り、駅が近付いてきました。
10:30、原ノ町駅に到着。
どういう訳か列車との接続が異常に悪く、
ここで1時間半以上待たされる事になります。
しかし、お昼時にこの接続の悪さは寧ろ好都合。
昼食がてら街を歩いてみます。
屋台広場がありました。
村と言っても4軒ですが。
良し、ここで食べてみよう!
11時開店だそうなので暫く時間を潰します。
南相馬市立原町図書館。
田舎らしからぬとてもお洒落な図書館です。
建て替えたのかな?
図書館で時間を潰したら屋台に戻って昼食。
伊達鶏の親子丼。
卵の白身が透明さを保っており、
親子丼と卵かけご飯の合いの子のようになっています。
鶏肉もぷりぷりしていて美味しい!
そして何より店主さんがとても優しくて良い方です。
身も心も温まりました。
やはり田舎は良い。
お腹を満たして駅に戻ってきました。
原ノ町-相馬間は鉄道が復旧しているので列車です。
駅には原ノ町-相馬のみの時刻表も置かれていました。
実は、相馬より先は津波による被害が甚大で
今も不通区間になっています。
つまり、原ノ町-相馬は
ネットワークが売りの鉄道にあるまじき
他の路線から孤立した区間となっているのです。
その為、列車を整備基地に回送する事も出来ず、
原ノ町駅構内に留置された列車は
見るも無惨な姿を晒しています。
今使用している列車は陸送したそうです。
12:02発JR常磐線普通相馬行きに乗車。
不通区間に挟まれて孤立しているから
ここも徐行運転するのかと思いきや、
100km/h近い速度で快調に飛ばします。
1つ目の停車駅、鹿島駅。
2つ目の停車駅、日立木駅。
そして…
12:19、終点の相馬駅に到着。
僅か17分間の乗車でした。
乗り継ぐ相馬-亘理の代行バスは列車以上の本数があり、
快速なんてものまであります。
こちらは原発事故が関係無く
純粋に津波による被害だけだからでしょうか。
12:30発JR常磐線代行バス亘理行きに乗り換え。
接続も良いです。
途中駅にも停まります。
いや、竜田-原ノ町の代行バスが特殊なだけで
これが本来の代行バスなのですが。
この駒ヶ嶺駅は駅前に停留所がありますが…
新地駅はこのように駅に程近い
町役場前に停留所があります。
浜吉田駅に至っては最早浜吉田でさえ無く、
駅から2km近く離れた中原という場所に停留所があります。
国道6号線上に置きたかったからでしょうか。
しかし、不思議でならないのは
この浜吉田駅までは既に鉄道が復旧している事。
つまり、この浜吉田-亘理間は
列車と代行バスの両方が走っているのです。
何故代行バスを浜吉田駅までにしないのだろう…
13:26、亘理駅に到着。
駅の後ろに何やら立派なお城があります。
列車まで少し時間があるので見てみる事にしました。
どうやら、図書館兼郷土資料館のようですね。
悠里館という名前だそうです。
13:50発JR常磐線普通仙台行きに乗り換え。
阿武隈川を渡ります。
岩沼駅で東北本線と合流し、
常磐線は遂に終わりを迎えます。
起点日暮里駅から343.1km。
お疲れ様でした。
仙台駅で14:30発JR東北本線普通福島行きに乗り換え。
流石は東北の雄、仙台というべきか
車内はかなり混んでいます。
これで仙台に来るのは5回目くらいなのですが、
一度たりとも駅の外に出た事がありません。
仙台は都会だからね、仕方無いね。
東北本線は誰もが認める大幹線なので
そんなに面白くはありません。
三大乗り通しが辛い路線は
東海道本線、山陽本線、東北本線だと思います。
常磐線もああいう出来事が無かったら良い勝負ですが。
15:50、福島駅に到着。
ちょっと時間があったので駅前を見てみました。
鳥取駅を思い起こしたのは僕だけでしょうか…
16:04発JR奥羽本線普通米沢行きに乗り換え。
今日最大の目的地へと向かいます。
どうやらこの列車は新人運転手の卒検(?)らしく、
「見極め運転操縦チェックリスト」を持った人が居ます。
自動車学校を思い出すな…
試験官はチェックリストを持った1人だけでは無いのか、
5人も運転室に入っています。
まさかのファイブマン運転。
ところで、このレールを見て何か違和感を感じませんか?
感じない貴方はさては近鉄沿線に住んでいますね?
これは軌間1,435mmの標準軌なのです。
在来線なのに新幹線と同じ標準軌。
奥羽本線は別名を山形新幹線とも言います。
そう、奥羽本線は日本で2つしか無い
在来線と新幹線がレールを共有している路線なのです。
(もう一つは奥羽本線・田沢湖線と秋田新幹線。)
そんな路線があるの!?と驚くかも知れませんが、
全く新しい専用線を造るよりも
建設費が格段に抑えられるので、
TGVなど諸外国の高速鉄道は殆どこの方式です。
ただ、東海道新幹線とかでそんな事をしたら
ダイヤが凄まじい事になるので、
列車本数の少ない路線でしか使えませんが。
福島市街の笹木野駅、庭坂駅を過ぎると
列車は峠越えに挑み始めます。
つい数分前まで福島市中心部に居た事が嘘のよう。
木々の色付き始めた峡谷に入ってきました。
16:20、赤岩駅に到着。
携帯電話の電波も通じぬ深い山の中。
ここは福島から米沢への峠。
昔の非力な機関車が険しい板谷峠を越える為に
この赤岩駅を始め、板谷、峠、大沢と
スイッチバック構造を備えた駅が4つも置かれました。
山形新幹線開業の為の改良によって
スイッチバックは全て取り払われてしまい、
周辺の集落も廃村と化し、
最早存在意義の見出せない秘境駅となってしまったのです。
端から客を乗せる目的で作られていないので
辺りには一切人の気配が感じられません。
しかし、れっきとした新幹線が通る駅でもあります。
説得力ゼロの案内ですね。
駅舎。
糠南駅よりは大きいです。
時刻表。
1日6往復です。
しかも、時間が何ともいやらしい。
15~30分でとんぼ返りするか、
2,3時間待つかのどちらかしかありません。
朝なら1時間というのもありますが…
こんな立地でこんな時刻表の為、
冬季(12/1~3/25)は列車が1本も停まりません。
平成24年に臨時駅化されたのです。
理由は「間違って降りた乗客が凍死しかねないから」だとか。
笑えないけどワロタ。
これで福島駅から3駅なんだもんな…
赤岩駅から延びる唯一の道を歩いてみます。
草に埋もれたホーム跡がありました。
スイッチバックの遺構のようです。
流石は天下の奥羽本線というべきか、
ホームは非常に長いです。
ホームの端から駅方面を望む。
傍の谷を流れる松川のせせらぎだけが聞こえます。
道は続きます。
スイッチバック跡のトンネルが口を開けていました。
草が繁茂していて近付けません。
近付けるとしても近付きたくはありませんが。
新幹線が通過していきました。
かなり低速で走っているように見えます。
道はまだ続いていますが…
連れが居るならまだ話が違うかも知れないとしても、
一人でこの時間にこの道を歩いていく程の度胸は
残念ながら僕にはありません。
というか、ここに立っているだけでも結構怖い。
時刻的にそろそろ上りの新幹線が来る頃だと思ったのですが、
福島駅到着予定時刻を過ぎてもやって来ず、
圏外なので運行状況を調べる事も出来ず…
辺りが急速に暗くなってきたので
諦めて駅に戻る事にしました。
良く見たら、駅舎にも新幹線通過の注意書きがありますね。
コラージュじゃないですよ。
本当に通過します。
踏切が閉まってから列車が来るまでが早いので注意。
20分くらい遅延しているようですね。
何故だろう?
と思ったら、ホームの電光掲示板に出ていました。
カモシカ衝突の影響…
それは納得だ。
シカが衝突し得る日本の新幹線は
山形新幹線と秋田新幹線くらいです。
暗くなってきたので駅舎内に避難します。
えっ、電灯は点かないの!?
マジか…
真っ暗闇の中、川の音と鈴虫の音を聞きつつ座ります。
今、半径数km圏内に人間は僕一人…
不思議と寂しくはありません。
駅に居るからでしょうか。
やはり小さくても駅舎の安心感は絶大です。
そろそろホームに出ておくか…
うーん、クマでも出てきそうで怖いな…
今更気付きましたが、
ホームの端っこに夜間照明用のスイッチがありました。
点いたんかいな!
18:15発JR奥羽本線普通福島行きに乗車。
乗車したら驚いたような目で見られました。
まさかこの駅で乗客が居るとは思わなかったんだろうな…
福島駅で18:50発JR東北本線普通黒磯行きに乗り換え。
郡山駅で19:42発JR磐越西線快速会津若松行きに乗り換え。
20:45、会津若松駅に到着。
3度目の会津若松です。
まさかこんなに何度も来る事になろうとは。
駅の傍の食堂で夕食。
会津若松はソースカツ丼が有名だけど、
喜多方が近いからラーメンも捨て難い…
と悩んでいたら、店側に読まれていたのか
ミニソースカツ丼セットなるものがあったので頼みました。
栄養バランスは凄い事になっていそうですね…
でも、美味しかったです。
…突然ですがこの旅行、昨日以上にガバガバで
実は昨夜まで宿が取れていませんでした。
三連休に気付いて1週間前に空室照会した際、
既に会津若松の宿は裏磐梯の高級リゾートを除いて
全て満室となっていた為、
駅寝を覚悟していたのですが、
昨日の21時にふともう一度調べてみたら
キャンセルでも出たのか1室だけ空室が出ていたので、
滑り込みで宿を確保する事に成功したのです。
神様、感謝します。
駅やら空港やら山小屋やらで寝た今では
宿の有難味が身に染みて良く分かります。
温かいベッドで寝られるというのは素晴らしい…
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