(無題)

北国旅行第6日目。
今日は北の秘境を探検します。

5:15、起床。
手早く支度を済ませて旭川駅に向かいます。


6:05発JR宗谷本線普通稚内行きに乗車。


日本最北の路線、宗谷本線。
その全線259.4kmを走破する最北鈍行です。


旭川市街を抜けます。
この先には最早都市と呼べる都市は存在しません。


田園地帯の中を駆けます。
車内はガラガラ…という訳でも無く、
永山駅でそこそこ高校生が乗ってきたりしました。
良く考えたら今日は9月の月曜日か。


比布駅。
ピップエレキバンのCMで使われたりしていました。


峠の塩狩駅で列車交換。
ひんやりとした山の空気が流れています。
ん?あの赤いのは…紅葉!?
もう紅葉が始まっているのか…


車内にこんなものを見付けました。
沿線7市町村の市町村便りが置かれています。
地元の人にきちんと利用されているんですね。


永山駅から乗っていた高校生は多くが剣淵駅で降り、
運転手がもっと奥に詰めろと言うくらい
入れ替わりでより多くの高校生が乗ってきました。


剣淵駅で乗ってきた高校生は士別駅で降り、
入れ替わりで更に多くの高校生が乗ってきました。
この列車は沿線にある幾つもの高校の
通学列車になっているようですね。


車内は大混雑。
こんな途中駅でもちょこちょこ高校生が乗ってきます。
東風連駅にて。
この高校生の通学需要は
宗谷本線の収入のどれほどを占めているのだろう…


高校生以外も含めて名寄駅で地元民はほぼ全員が下車。
これで通学需要も終わり…
かと思いきや、また入れ替わりで10人程乗ってきました。


名寄駅は嘗て名寄本線と深名線も乗り入れていた
道北の一大ターミナル駅でしたが、
名寄本線が平成元年、深名線が平成7年に廃止され、
現在は宗谷本線1本だけが広い構内を貫くのみ。
道北の鉄道は昭和50年代と比べると
半分未満しか残っていないという凄まじい衰退っ振りです。


名寄駅から先は宗谷北線という扱いになるようです。
距離的には宗谷南線の2倍以上あるけど、乗客は…
まさしく最果ての路線です。


日進駅。
KRやMT(元・旭丘高)の最寄り駅です
…というのは嘘で、同名の駅です。
愛知県の日進駅からの乗り換えを調べようとすると
偶にこっちの日進駅からになって凄い経路が表示されたり。


北星駅。
隣の日進駅と並んで北海道のオーソドックスな秘境駅です。


名寄駅から乗ってきた高校生は美深駅で全員下車。
遂に通学需要が終わりました。
結局、永山→剣淵、剣淵→士別、士別→名寄、
名寄→美深の計4区間の通学を担っていた事になります。
旭川駅6:05発は朝早過ぎだろ…とか思っていましたが、
これだけ長区間の通学需要をこれ1本で担うなら納得です。
最後の美深駅(8:16着)に合わせていたんですね。
ちなみに、この美深駅は
嘗て日本一の赤字線として名を馳せた
美幸線の起点として鉄には有名な駅だったりします。
運賃収入の30倍以上の赤字があったとか。
(現在ワーストの留萌本線でも3倍程度。)


目的地が見えてきました。


8:43、手塩川温泉駅に到着。


何とも可愛らしい駅舎です。
板張りのホームは列車ギリギリ1両分。


そして、時刻表がこちら。
1日4往復。
今乗ってきたのが下りの一番列車、
次に乗る下り列車がやって来るのは4時間45分後です。


流石に4時間45分も駅でぼーっとしていられないので
駅名の由来になった手塩川温泉を目指します。


道端に大量のジャガイモが置かれていました。
北海道らしい…?
でも、こんなところに放置して発芽しないのかな?
それとも、発芽させようとしているのかな?


ソバ畑。
ここ音威子府村はソバが特産です。


駅前の丁字路を左に曲がると手塩川に辿り着きます。
茶色く濁っているのは雨の影響かな?


手塩川温泉唯一の入浴施設、住民保養センターに到着。
が、日帰り入浴は10:00からなので
時間を潰す為に周辺を散策します。


「天仰の松 2km→」なる看板があったので行ってみます。


真っ直ぐな農道を歩きます。
9月中旬とは思えぬ涼しさです。
北国のこの凛とした空気が大好きです。


意味深な松が1本ありました。
まさかこれが天仰の松?
いや、流石にこれで看板を置いたりはしないだろう…
と信じて歩き続けます。


残り1kmという看板が現れました。
あの看板からまだ1km…?
もう25分経っているのに…
北海道の1kmは本州の1kmより長いのかな?


山道になってきました。


長いな…
1北海道キロは何本州キロなんだろうか。


遂に開けた場所が見えてきた…!


着いた!
看板が立っているので今度こそ本物のようです。


あれか!
嘗ては違う場所にあったそうですが
その大樹は倒れてしまったそうで、
この樹を新たに村の守り樹にしたのだそうです。


天仰の松に続いていると思われる登山道があったので
登っていってみる事にしました。


天仰の松。
威厳があります。
実は松では無くイチイだそうですが。


天仰の松(イチイ)の位置からは
咲来集落が一望出来ます。
良い景色だ…


温泉へと戻ります。
空も晴れてきました。


途中、農業用トラクターと擦れ違い。
ソバ収穫カーかな?


偽天仰の松。
こちらの方が絵になり易いですが。


温泉に戻ってきました。
早速入ります。
周りに人が全然居ないからか、
山奥でも無いのに露天風呂の塀の高さは50cm足らず。
駐車場や橋から風呂が丸見えという。
この上無い開放感で気持ち良くお湯に浸かります。
あぁー…


お湯から上がったら昼食。
ここ音威子府村は黒い蕎麦が有名です。


僕が頼んだのは天塩川の山女魚天丼ですが。
美味しい!


すっきりしたら天塩川温泉駅へと戻ります。


駅に着きました。
今回は10分以上余裕があります。
…それが当然であるべきなのですが。


13:28発JR宗谷本線普通稚内行きに乗車。
4時間45分を長く感じさせない良い温泉だった。


夏空の下を北に向かってひた走ります。


音威子府駅で長時間停車。
「おといねっぷ」と読みます。


折角なので、ちょっと降りてみます。


音威子府駅名物の立ち食い蕎麦屋。
18分間の停車時間中に食べようと挑戦する人も居ます。


音威子府駅には嘗て宗谷本線の他に
天北線(初代宗谷本線)が通っていましたが、平成元年に廃止。
音威子府駅の中には天北線の展示があります。


天北線は廃止後に宗谷バス天北線に転換されました。
音威子府-中頓別間の峠越え区間は利用客が少な過ぎ、
このバスさえ来年10月に廃止される事が決まっています。


展示室には道北の廃線の硬券切符ガチャガチャがありました。
これはやるしかない!
悩みましたが、名寄本線・興浜南線・美幸線のガチャに挑戦。
美幸線出ろー、美幸線出ろー…
仁宇布(美幸線の終着駅)出たー!
やったぜ!


一通り楽しんだら、
置いてけぼりにならないよう列車に戻ります。
カメラバッグに成岩駅のキーホルダーを付けていたら、
布袋在住の人に話し掛けられました。
何でも、妻が出産して有給を取ったので
それを利用して道北に来たのだという事。
いや、そこは流石に一緒に居た方が良いんじゃないですかね…


天塩川に忠実に沿って走る宗谷本線。
最高の車窓です。


白樺の林の中も走ります。


本日2つ目の目的地が見えてきました。


14:45、糠南駅に到着。


糠南駅全景。
この朝礼台みたいなのが紛れも無い糠南駅です。
右の倉庫は一体何なのかって?


駅舎です。


…本当です。
驚きの狭さ。
これまで見た駅舎の中で最小です。
駅舎があるだけ良しとすべきか。
駅ノートにはこの駅で駅寝したという記述がありました。
どういう体勢で寝たのだろう…
どう見ても農機具を置く物置…


と思ったら、本当に物置でした。
何だか愛らしくて憎めません。


糠南駅時刻表。
天塩川温泉駅よりも更に少ない1日5本です。


こんな駅ですが、そこは天下の宗谷本線。
特急列車も通過するので気を付けましょう。


駅前通り。
砂利道と言うか、道と言えるのか…


辺りは牧場だらけでとても開放感があります。
遮るものが何も無い素晴らしさ。
…あれ、雨が降ってきたな。
結構激しい通り雨だ!
まずい、遮るものが何も無い!


という訳で、糠南駅に避難。
4人+大荷物を何とか押し込んで
雨が過ぎるのを待ちます。


まさかこの駅舎に助けられるとは…
糠南駅様様です。


糠南駅の良さを痛感したら、
次の列車に乗るべく隣駅まで歩きます。
如何せん糠南駅は普通列車さえ半数が通過する為
行き帰り共列車にするのは困難なので、
約3km離れた隣の問寒別駅まで歩くのが定石となっています。


途中に真っ白な鳥居がありました。
一体これは…


草茫々の道を掻き分けて進んだら、
一応本殿らしき建物がありました。
しかし、名前等は一切書いてありません。
謎だ…


問寒別川を渡る普通列車。
糠南駅に停まる旭川方面の最終列車です。


問寒別の市街に出てきました。
保育園から子供達の元気な声が聞こえてきます。
保育園の名前はずばり「問寒別へき地保育所」。
成長して僻地の意味を知った時、子供達は何を思うのか…


駅が見えてきました。


問寒別駅です。
最近改築したらしく、真新しいです。
ちなみに、上の写真で左に見えていた茶色い建物は民家です。


中はこんな感じ。
元貨車である事が良く分かります。
この狭さが何とも温かい。


17:17発JR宗谷本線普通稚内行きに乗車。


夕陽に向かって走る。
運転手さんはかなり眩しそうです。


日本海に沈む夕陽に照らされて
利尻富士のシルエットも浮かび上がっていました。
綺麗だな…


17:41、幌延駅に到着。


おつかれさまでした。
ぬおっ!蚊が多い!


幌延町は北緯45度線が通っているという事で
北半球のど真ん中を自称しています。
北半球のど真ん中は寧ろ北極点では…


夕暮れの幌延。
宿に荷物を置いてから夕食がてら街を歩きます。


幌延神社。
北海道は開拓の際、町の中心にまず神社が造られている為、
どの神社も皆の心の拠り所足り得る威厳があります。


幌延町役場。
やけに立派です。
糠南駅の携帯クリーナーが売っているというので
やって来てみましたが…
もう18時を回っているし、どう考えても閉まっているよなぁ…


と思ったら、残業中の職員の方が売ってくれました。
何と有難い!
他の市町村の役所もちょっと見習って欲しいですね。
ちなみに、幌延町は日本一秘境駅の多い自治体なんだそうで、
糠南駅携帯クリーナーの他にも
様々なグッズが考案されていたり、
秘境駅巡りのツアーを開いたりもしているのだそうです。
秘境駅で町興しをする時代か…
良い時代ですね。


夕食。
幌延町はトナカイ肉が特産という事で
トナカイ丼を食べたかったのですが、
生憎の品切れで合鴨鍋にしました。
残念だけど、美味しかったから良いか。
この後はスーパーで買い出しをしてから
宿に戻って寝ました。

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