富山旅行第1日目。
5:43、富山駅北口に到着。
1年半振りの富山です。
新しくなっている…
とは思うんだけど、こんなにしょぼかったっけ。
と思ったら、南口は立派でした。
青森駅の東口と西口みたいなものかな?
ここで富山大のMT(元・旭丘高)と落ち合いました。
感動の再開。
ザックを預かってもらってすぐに別れます。
涙の別れ。
富山駅の中にあった水飲み場。
富山の水道水は立山連峰の雪融け水を使っていて
日本一美味しいと謳っています。
確かに美味しいけど、もう少し冷やして欲しい…
富山地方鉄道電鉄富山駅へ。
立山黒部アルペンルートの起点です。
扇沢まで片道1万円弱はエグい。
小学生の頃に行った記憶があります。
今回は行きませんが。
7:09発富山地方鉄道本線普通立山行きに乗車。
夜行バスで睡眠不足なので暫し寝ます。
起きたら丁度こんなところに居ました。
我ながら中々のグッドタイミングです。
景色を見せる為なのか、徐行しています。
終点1つ手前の本宮駅から立山駅までが長い。
常願寺川に沿ってうねうねと走ります。
8:19、立山駅に到着。
多くの人がケーブルカーに乗り換えていきますが、
僕は立山カルデラ砂防博物館へ。
夏の間だけ、水曜日に行われる体験学習会。
これに当選したので立山までやって来た次第です。
受付を済ませ、バスに乗り込みます。
意外にも参加者は年配の人ばかりです。
もう学校は夏休みの筈だけどな…
常願寺川に沿って走る。
有峰林道に入ります。
立山での砂防工事を世界遺産に登録して
ゆくゆくは世界的観光地にしようと
富山県が目論んでいるらしく、
観光地化を狙ってか林道にしてはかなり立派な道です。
こういう狭隘区間も多々ありますが。
元々は全区間こういう道だったそうです。
有峰湖。
富山の水瓶です。
富山県は5本もの急流河川があり水力発電所も多いですが、
その大半は関西電力のもので
北陸電力のものはここ有峰ダムくらいだそうです。
ここから先の真川線は一般車通行禁止となります。
跡津川断層露頭。
地物や地環なら泣いて喜びそう(偏見)
一般車通行禁止区間にあるので訪れるのは難しいですが。
外来種の侵入を防ぐ為、バスのタイヤを洗浄します。
ただ、生態系保護の重要性が良く分かっていなかった頃は
地滑りしたところの植生を復活させる為に
繁殖力の強い外来種を植えたりしていたそうです。
立山の厳しい自然で淘汰されたみたいですが。
「キミよ 知るか! 動く山を 叫ぶ川を」
ここからは国土交通省の管轄になります。
建築学科なら泣いて喜びそう(偏見)
普通、砂防工事等はその都道府県の管轄なのですが、
常願寺川については到底富山県の手には負えない為、
国の直轄となっています。
常願寺川以外にも、黒部川やら神通川やら…
富山県成立当初の県の歳出の内、
実に8割が治水関係だったというから驚きです。
富山平野、危険過ぎませんかね…
ここから先は観光地化を目論む富山県の意向は完全無視で
純然たる工事用道路の様相を呈しています。
道端は狭く、ガードレールは無く、
それでいて大型トラックが頻繁に行き交う。
特に、立山カルデラ内の工事に使うコンクリートは
立山カルデラ内で生産したものを使っている為、
コンクリートミキサー車がひっきり無しに走っています。
六九谷展望台。
現在は谷になっていますが、
嘗て向こうに見える同じ高さの地面と
こちら側は地続きになっていました。
昭和44年(1969年)に起きた豪雨で削られ、
これだけの谷が出来たのです。
流石は地理の授業で急な日本の河川の代表として挙げられ、
外国人技師をして
「これは川では無い。滝だ。」
と言わしめた常願寺川。
実を言うとこの地面さえ元々は無く、
1858年の飛越地震の際に後ろの鳶山が大崩落を起こし、
4億m3もの土砂をカルデラ内にぶちまけて出来たものです。
正に動く山、叫ぶ川。
そして、今尚半分の2億m3という、
富山平野を2mの厚さで埋め尽くせる量の土砂があります。
これが何かの拍子に流れ出たりしたら
富山市は文字通り消滅しかねません。
そこで、数え切れない程の砂防ダムを作り、
土が露出した斜面には植物を植え、
果てし無い量の土砂を運び出し、
気の遠くなるような時間を費やして、
富山が土の底に消えるのを防いでいるのです。
上手く行けば行く程終わりの見えない工事、
それが砂防工事(Sabo construction)なのです。
立山温泉跡地。
嘗てこの場所には温泉があり、
こんな山奥ながら昭和の初期には
日に500人もの湯治客が居たとか。
しかし、前述の昭和44年の豪雨の祭に壊滅的な被害を受け、
そのまま廃業したのです。
立山温泉の遺構。
源泉は70℃近い温度の為、
2つの浴槽に交互にお湯を入れて
冷めた方に入っていたそうです。
泥鰌池。
土砂崩れによって生じた天然ダム湖で、
山の中でタンパク質を補給する為に
ドジョウが放流された事からこの名が付いたとか。
ここで釣りや舟遊びに興じていたそうです。
向かいの山腹に廃線跡のようなものが見受けられます。
話によると、林野庁の軌道跡だそうです。
森林鉄道か…
白岩砂防堰堤。
日本一高い砂防堰堤です。
水飛沫が飛び散ってとても涼しい。
確かに、これは川と言うよりも滝だな…
天涯の湯。
立山カルデラで砂防工事にあたっている人達が
せめてもの息抜きにと自分達で作った温泉です。
折角だから、ちょっと足を漬けてみよう。
…熱ー、熱っ!
熱くて3秒と入れていれていられませんでした。
良くこんな温度で入れるな…
ここまではバスで移動してきていましたが、
ここから徒歩移動になります。
暗い隧道2本。
まずは左に入ります。
このトンネルは行き止まりであり、
壁面に何やら棘のようなものが沢山生えています。
これは山体の崩壊を防ぐ為に、
鉄筋コンクリートの要領で
889本ものアンカーを岩盤に打ち込んであるのだとか。
大手ゼネコンが設計から施工までを一括して行う
日本初のプラン&ビルド方式で造られたそうです。
ここまでガッチガチに工事されまくっていると、
何だか立山カルデラがサイボーグのように思えてくる…
いや、自然の儘にしておいたら富山が滅びるのですが。
もう片方の狭いトンネルを進みます。
路面には軌道跡があります。
ここには嘗て工事用軌道が走っており、
真川線等の道路が開通するまでは
この軌道にトロッコを走らせて
全ての資材を運んでいたそうです。
現在は自動車用のトンネルになっています。
狭軌の工事用トロッコの車両限界ギリギリで
トンネルの大きさが造られている為、
普通自動車でもかなりギリギリ。
ここを走りたくは無いな…
トンネルの先にあったのは国土交通省水谷出張所。
立山の砂防工事にあたる人達はここで寝泊まりしています。
診療所等もあり、小さな町のようになっています。
さあ、いよいよフィナーレです!
全国のローカル線マニア垂涎の的、
立山砂防軌道に乗ります!
本来は水谷出張所までトロッコが来るのですが、
今年は雪が多くその手前の橋が曲がってしまったので
100m程下流から乗る事になりました。
普通なら立ち入り禁止の場所を歩いたので見えた天涯の滝。
これはこれでラッキーだったかも?
臨時のホーム(?)。
工事用トロッコなら地平で充分な気がするけど。
やって来たトロッコに乗り込みます。
いよいよだ!
狭い!
客車全体でも高さは2mくらい、
幅は3人座るのがやっとなくらいです。
親切なおばちゃんの計らいにより
最前列の席に座る事が出来ました。
立山砂防軌道は立山カルデラ砂防博物館付近の千寿ヶ原から
水谷出張所までの18.0kmを結ぶ工事専用軌道。
険しい地形で何とか建設した為、軌間は僅か610mm。
640.29mもの標高差がある為に
8ヶ所で計38段ものスイッチバックがあります。
北勢線など普通のナローゲージは軌間762mmであり、
木次線は三段式スイッチバックを売りにして
県内外から旅行客を集めている事を鑑みれば、
この立山砂防軌道が如何に型破りなのかが分かります。
それに2,000円で全線乗せてくれるとは何と太っ腹。
僅か610mmの軌間に立つ事も儘ならない小型客車ですが、
以外にも揺れは少ないです。
紀州鉄道よりずっとマシです。
保線がしっかりしているからかな?
水谷を出てすぐにビューポイントで途中下車。
砂防ダムが見えます。
後続のトロッコが迫ってきました。
いそいそと発車します。
今日は夏休み期間の為、2便体制になっています。
トンネル。
窓が開いている為冷んやり涼しく、
そして走行音がかなり五月蝿いです。
機関車が文字通り目と鼻の先にあるので
汽笛を鳴らされると耳が痛い程です。
トンネルを抜けるといよいよ
世界一の18段スイッチバックです!
列車が入線すると自動でポイントが切り替わります。
どうやっているんだろう…
下って行きます。
常願寺川側、即ち崖側の扉は閉められておらず
鎖が掛けてあるだけなので(多分サービス)、
高さが感じられて結構怖いです。
徐行の標識。
鉄道じゃなくて自動車用の標識だな…
鉄道関連の法律には基づいていないからかな?
(労働安全衛生法に準拠しているそうです。)
晴れていれば薬師岳も見えるそうですが…
午前は晴れていても
午後になると必ずと言って良い程曇るそうです。
中止にならなかっただけ幸運か。
後続のトロッコが上の段に見えます。
標識の「18」は何を表しているのだろう…
18km/h制限?
18段スイッチバックと掛けてるのかな?
山肌を引っ掻いたような軌道が見えます。
相当上手く工事しないと崩壊するんだろうな…
保線作業の現場にも出くわしました。
常に保線工事をしていないと
あっと言う間に崩れてしまうんだろうな…
足場に居たのはおばちゃんだったけど、
女性も保線作業にあたっているのかな?
スイッチバックのゴールが見えてきました。
30分程で18段スイッチバックを降り切り、樺平連絡所に到着。
ここも女性が業務にあたっています。
砂防工事の現場は男のみの世界だろうと思ったら、
意外にも多くの女性が活躍しているんですね。
18段スイッチバックで高度を下げたら
今度は崖沿いに常願寺川を下ります。
柵などは一切無いので怖いです。
スイッチバックのすぐ裏に滝が。
ちょっと増水したら水浸しになりそうだな…
後続のトロッコが見えます。
壁面が保護色になって結構見付け難い。
鬼ヶ城連絡所。
旅客営業をしている訳でも無いのに
立派な駅名標(?)があります。
工事の人達の茶目っ気かな?
切り通し。
ナムトク線を思い出すな…
桑谷連絡所。
結構な頻度で連絡所があります。
何かあった時素早く発見する為?
旧線も結構あります。
ここは有名なオーバーハング
(岩が頭上までせり出している事。
奥にちらっと見えています。)
があったのですが、
落石で怪我をしたり、蜂の巣が出来たりと
安全面に難があったので
新しくトンネルが掘られて廃線となりました。
森林鉄道みたいになってきました。
中小屋連絡所。
下っている間にも絶え間無く砂防ダムが現れます。
どうやってこんなところに造るのか…
巨岩を手彫りしたようなトンネルがありました。
スリップ注意の標識。
トロッコの機関車が描かれています。
特注したのかな?
下界が見えてきました。
残念ながらもうそろそろ終わりです。
1時間半程で終点の千寿ヶ原に到着。
これにて体験学習会が終了しました。
いやー、面白かった!
立山駅に戻ります。
17:22発富山地方鉄道立山線普通電鉄富山行きに乗車。
体験学習会の帰りというよりも
立山黒部アルペンルート帰りの人が多いです。
岩峅寺駅で17:53発富山地方鉄道上滝線
普通電鉄富山行きに乗り換え。
疲れて爆睡していたのですが、
何故か丁度ここで起きたので
上滝線にも乗ってみようと乗り換えました。
時間的にも乗り換えた方が早いです。
18:25、電鉄富山駅に到着。
MTと合流するのですが、
部活の関係で21時頃になるとの事。
それなら、暇潰ししましょう。
18:45発富山ライトレール富山港線岩瀬浜行きに乗車。
4種類の軌間(610mm、742mm、1067mm、1435mm)、
JR、私鉄、第3セクター、路面電車、専用軌道、
それに新幹線まで揃う鉄道王国富山。
暇潰しはやっぱり鉄道です。
暫くはれっきとした併用軌道。
自動車に注意してゆっくり進みます。
奥田中学校前電停から専用軌道に。
ここからは元・国鉄富山港線の区間です。
これまで2,30km/hでとろとろ走っていたのが嘘の様に
60km/h近い速度で快走します。
この辺りは完全に普通鉄道規格ですね。
19:09、岩瀬浜電停に到着。
折角なので岩瀬浜海水浴場に行ってみます。
静寂。
波の音も、風の音もしない。
遠くで微かに虫の音が聞こえ、
時折思い出したようにカモメが鳴く。
静かだ…
夏とは思えぬ静けさだ…
富山空港に向かう飛行機の音が
とても大きく聞こえます。
…暗くなったし戻るか。
19:31発富山ライトレール富山港線富山駅北行きに乗車。
19:55、富山駅北電停に到着。
富山駅でお土産を見たりして残りの時間を潰し、
人の流れが疎らになってきた21時前にMTと合流。
MTおすすめのラーメン屋へ向かいました。
かなり強く魚介の風味が利いた醤油ラーメン。
富山ブラックラーメンよりも美味しかったです。
やはり富山は魚介に限りますね。
その後はMTの下宿へ。
何て広さだ…
目の前は田んぼでカエルが飛び交っているし…
これで僕の下宿より4割近く家賃が安いとは…
ただただ羨ましい!
昔話に花を咲かせて23時過ぎに就寝しました。
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