(無題)

マレー半島旅行第3日目。
今日は初の国境超えでタイを目指します。

5:00、起床。
国境行きのバスに乗る為早起きしました。
早朝は蚊が多いな…
この時間のカンボジアは真っ暗です。
5:30に迎えに来るという事だったのですが、
時間を過ぎても中々やって来ず、
何かあったのかとバス会社に電話していたら
15分程遅れてやって来ました。
そうだ…ここは日本では無くカンボジアなんだ。


バス(ワゴン)に乗り込みます。
バスターミナルで乗り換えるのかな?


…乗り換える事は乗り換えたのですが、
やはり普通のワゴン車でした。
うーん、カンボジア。


朝焼けの荒野をひた走ります。
眠いので一眠りします。


起きたらこんな感じ。
いつの間にか線路と並走しています。
カンボジアで列車が走らなくなってから久しいですが、
路床はやけに綺麗に整備されています。
タイからの国際列車を復活させようとしているのかな?


国境は近い。


2時間半程で国境の町Poi Pet(ポイペト)に到着。
今迄の荒野が嘘のように賑わっています。


それでは、出国します。
カンボジアの国境は賄賂を請求されるとか
色々宜しくない噂を聞きますが、
至ってスムーズに出国出来ました。


さらば、カンボジア王国!


出国ゲートの先の緩衝地帯には
大型のカジノリゾートが建っています。
これ目当てにPoi Petを訪れる人も多いとか。
その為、夜間の治安は余り良くないそうです。
今は朝なので大丈夫ですが。


この橋の真ん中から向こうがタイです。
欄干に掲げられている国境も真ん中を境に変わっています。

タイ側で入国手続きをします。
が、これが長蛇の列。
しかも、窓口の手際が悪いのか何なのか
一向に列が動かない。
カンボジア国境の方がマシだったかもな…


1時間半近く待たされて漸く入国出来ました。
タイ王国です!
(以降、バンコク時間 GMT+7.0h)
カンボジアとはまた違った雰囲気。


バスの同乗者の方々と別れ、
トゥクトゥクに乗り換えて駅へ。
カンボジアは右側通行でしたが、タイは左側通行です。
あ、暑い…
今日の最高気温は39℃だと…
白滝より60℃近く暑いな…
春休みで厳冬と盛夏を両方経験してますね。
…肝心の春を経験してないけど。


Aranyaprathet駅(アランヤプラテート駅)に到着。
やはり旅と言ったら鉄道でしょう!
ここは現在のタイ国鉄東本線の終点です。


インドシナ鉄道と言えば分かる人も居るでしょうか。
そう、嘗てタイとカンボジアを結んでいた
インドシナ鉄道の残照こそがこの路線です。
バスの車窓から見えていた線路はここに通じています。


今はこの駅が終点ですが、
駅名表にはもっとカンボジア寄りの駅、
嘗ての国境駅Klongluk(クロンルーク駅)の名前が残っています。


時刻表。
1日2往復です。
時刻表からする既に列車が到着している筈ですが…
そんな気配は一切ありません。
流石はタイ。
タイ国鉄はとにかく遅延する事で悪名高いです。


駅舎は壁が無く非常に暑いので、
市街にあった喫茶店で休憩します。
あー、冷房の効いた店内で飲むジュースは堪らない!


喫茶店の人の入りが多くなってきたので
もしかしたらと思い駅に戻ってみたら、
列車が30分程遅れて到着していました。
先程は4,5人しか居なかった人も
4,50人程にまで増えています。
結構利用者が居るんだな。
しかし、その多くはタイ人やカンボジア人で
第三国の人間は極めて少ないです。
ベトナム国鉄で良く見かけた欧米人は皆無です。


列車はディーゼル機関車1両+客車6両の計7両編成。
全て3等車です。
ちなみに、タイの鉄道(日本で言うところの在来線)は
線路内とかに立ち入っても特に注意されません。
その代わり、怪我しようが死のうが自己責任です。


車内はこんな感じ。
開け放した窓に木の椅子。
北海道のノロッコ号みたいな感じです。
ちょっとの乗車なら風情がありますが、
これで何時間もというのは辛いですね。


こちらはクッション付きの椅子。
とは言え3等車なので冷房機は無く、
天井に取り付けられた扇風機と
開けっ放しの窓から吹き込む風のみが冷房です。
JR津軽線と似ていますね。
こちらは気温が10℃くらい高いですが。
停車していると死ぬ程暑い…
奥には”Reserved for monks”、即ち「僧侶専用席」があります。
流石は仏教国タイ。


13:55、定刻丁度に発車。
西へと進みます。
トゥクトゥク並みの速度です。
さてさて、何時間遅れる事やら…


列車は駅を出ると程無くして
サバンナを思い起こさせる赤土の中を走るように。
鬱蒼と木が茂ったカンボジアとは大分違うな…


そんな無人に思える荒野の中にも
時折思い出したように駅が現れます。
しかも、どの駅でも乗降客が居ます。
彼等は一体何処から来て何処へ行くのか…


大抵の駅名標には英語表記もありますが、
停車時みたいなところだとタイ語のみです。
うーん、全く読めない。
まあ、外国人がここで乗降する事は無いだろうけど。
あと、駅名標に挿してある国旗で無い方の旗の色は
紫色が有人駅、黄色が無人駅を表しているようです。


長時間停車は殆どありませんが、
定期的に物売りが来るので飲食物には困りません。


Ban Donc Banc駅(バン・ドン・バン駅)。
やけに長い事停車しているので降りてみました。
無闇矢鱈と線路に降りるなと怒るかも知れませんが、
この駅は線路に降りなければ
列車から降りられません。
右の空き地では牛と鳥が戯れています。
長閑だ…


279列車Aranyaprathet行きと行き違いしました。
あれ、向こうは客車じゃなくて気動車だな。
時間帯的に地元利用が殆どだから?
そんな観光化を考えているような
路線では無いと思うけど…


何処と無く日本を思い起こさせる色遣いの駅舎。
Prachantakam駅(プラチャンタカーム駅)にて。


この駅では下車した客が
貨物列車の中に消えていきます。


貨物列車の停まっている向こう側に
街があるようですね。
流石はマイ・ペン・ライ(気にするな)の国。


鉄道警察隊の人が写真を撮っています。
何か事件でもあったのか!?
と思いきや、ただの記念撮影でした。
長閑なものです。
やけに大勢警官が乗っていますが。


タイの大地に日が沈む…
砂が舞い上がっているのか、凄く赤いです。
カンボジアの国旗のような色合いです。


途中、貨物線が合流すると一気に線路の状態が良くなり、
トゥクトゥク並みだった速度は
100km/h程度にまで増しました。
窓が開け放しなのでかなりのスピード感です。


日が落ち、首都が近付いてきました。


昼間と同じ国とは思えないような車窓です。
地方との格差が凄まじいな…
うっ、暑さの所為かカメラの調子が…


しかし、駅はショボいのも多いです。
路面電車の停留所みたいな感じです。
駅名が分からんみたいな事を話し合っていたら、
隣に座っていたおじさんが教えてくれました。
タイの人は優しいですね。
おじさんに依ると、終点までは後20分くらい…
…20分?


本当に!?


19:58、Krungthep駅(クルンテープ駅)に到着。
まさか3分しか遅れないとは…
タイ国鉄を侮っていました。


この駅の正式名称はKrungthep駅
(Krungthepはバンコクの現地読み)ですが、
Bangkok駅(バンコク駅)やHua Lampong駅
(フア・ランポーン駅、Hua Lampongは地名?)
とも呼ばれています。
切符を買う際はどれでも通じるので大丈夫です。


Krungthep駅コンコース。
台北駅と同じく地べたに座っています。


タクシーの客引きが声を掛けてきますが、
駅で誘ってくるのに碌なやつは無いので
公共交通機関で宿へと向かいます。
Krungthepの地下鉄、MRTに乗ります。
金属探知機的なゲートがあって反応したけど、
素通りさせられたな…
上海の地下鉄でもそうでしたが、ザルです。
Bang Sue(バーン・スー)行きに乗車。


Si Lom駅(シー・ロム駅)で降り、
Sala Daeng駅(サラ・デーン駅)まで歩いて
BTS Si Lom線 Bang Wa(バーン・ワー)行きに乗り換え。


Saphan Taksin駅(サパーン・タクシン駅)で下車。
ここから歩いて宿へ。
Siem Reapを出発してから16時間弱。
今宵の宿に辿り着きました。
2日くらい経っているような気がする…
顔を拭くとタオルが黒くなります。
シャワーを浴びたら鉄っぽい土埃の臭いがしました。
東南アジアの鉄道旅行とはこういうものです。
そして、列車の振動と土埃と蒸し暑さの所為なのか
ここでカメラが遂に力尽きました。
まだまだ先は長いというのに…
ベトナムのハロン湾の時と言い、
僕のカメラは東南アジアと相性が悪いのかな…

ホテル近くの屋台で夕食を済ませ、
明日に備えて泥の様に眠りこけました。

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