(無題)

九州旅行第2日目。

7:20、起床。
朝食を済ませ、駅へと向かいます。


朝の鳥栖駅。
半田駅に似た造りですね。


8:45発鹿児島本線快速荒尾行きに乗車。
どうせ2,3両だろうと思っていたら、
まさかの9両編成でビビった。
京王線並みだな…
この辺りはまだ博多経済圏に入っているのでしょうか?


と思ったら、2駅先の荒木駅で後ろ6両を切り離し。
何だか安心しました。
切り離した6両は折り返し快速小倉行きに。
JR九州とJR西日本は特にこういう運用が多いので
列車の車内放送はきちんと聞きましょう。


暫くは九州新幹線と併走。
在来線と大して変わらない頻度で駅があるな…
九州新幹線
新鳥栖-久留米-筑後船小屋
鹿児島本線
鳥栖-(1駅)-久留米-(3駅)-筑後船小屋


瀬高駅の辺りで九州新幹線とは一旦お別れ。


代わりに、西日本鉄道天神大牟田線が沿うようになります。
西日本鉄道、通称西鉄は九州唯一の大手私鉄として有名。
名古屋の名鉄、博多の西鉄ですね。


9:31、荒尾駅に到着。
ここから熊本県です。
熊本県は阿蘇に一度来た事があるらしいのですが、
記憶が曖昧なので人生初みたいなものです。


9:41発鹿児島本線普通八代行きに乗り換え。
南荒尾駅の付近ではかなり海岸に近付くので、
有明海が見えるかもと思ったのですが、
防風林に遮られて無理でした。
うっすらと雲仙普賢岳は見えましたが。


熊本県内では割と山がちな場所を走ります。
この田原坂駅、中々雰囲気が良いな。


熊本駅。
くまモンは見当たりません。
土産物屋には犇めいているのでしょうが…
代わりに、あそぼーい!やA列車で行こうが見えます。


進行方向左手に九州山地が聳えてきました。


八代駅で11:09発肥薩線普通人吉行きに乗り換え。
今旅行初めての気動車であると共に
今旅行初めての1両編成です。
ワンマン列車って案内しているのに、
3人も乗務員が乗っているな…
ワンマン(3人)


鹿児島本線(現在は薩摩おれんじ鉄道線)と別れ、
肥薩線は山に勝負を挑んで行きます。
嘗てはこの肥薩線こそが鹿児島本線でしたが…


列車は球磨川に沿って走ります。


海路駅。
寧ろ山路だと思うのですが。
飯田線の大海駅も海要素ゼロだったな…


瀬戸石駅の付近にダムがあったので、
それより上流では波一つありません。
山々が綺麗に水面に映えています。


12:22、人吉駅に到着。


山あり谷ありの風光明媚な肥薩線を
あのJR九州が放っておく訳も無く、
肥薩線だけで何と3種類もの観光列車が走っていて、
観光列車だけで全線124.2kmを乗り通す事が可能です。
その内の一つがこのSL人吉。
熊本-人吉を結び、汽車での旅を楽しめます。
JR東日本で言うところのSLばんえつ物語ですね。


次の列車まで若干時間があるので、
少し人吉の市街を歩いてみる事にします。


青井阿蘇神社。
熊本県初の国宝指定が余程嬉しかったのか、
大量の立て札やら看板やらポスターやらがあります。
観光地はやり過ぎると逆効果たい。


13:21発快速いさぶろう3号吉松行きに乗り換え。
肥薩線観光列車その2。
人吉-吉松を結び、九州随一の峠越えを堪能出来ます。
JR西日本で言うところの奥出雲おろち号ですね。


車内はこんな感じ。
キハ40が魔改造されてノスタルジックな内装に。
元のキハ40も今となっては十分ノスタルジックですが。


ちなみに、いさぶろう・しんぺい号は
元々ただの普通列車、
それも当時1日4往復しかなかった普通列車の内の1往復を
観光列車に変えてしまったという代物です。
増やしたのではなく、「変えた」というのが凄い。


観光列車混みで1日5往復しかない過疎区間。
人吉駅を出るとすぐ峠越えにかかります。
肥薩線と山々との真剣勝負の始まりです。
現代なら無機質な長大トンネルで貫くところですが、
肥薩線が開通したのは明治42年。
近代化黎明期にあった日本にそんな技術がある筈も無く、
覚えたての技術を駆使して死闘を繰り広げています。


その最たるものがこれ。
三段式スイッチバックとループ線のコラボ。
現在の日本では恐らくここだけではないかと思います。
嘗ての日本領台湾にはもっと凄いのがありますが。


その只中にあるのが大畑駅。
勾配に極めて弱い蒸気機関車が峠越えの難所を前に
体勢を整えた駅です。


いさぶろう号は8分間ほど停車するので、
列車から降りて観光する事が出来ます。


大畑駅に名刺を貼ると出世するという言い伝えがあるそうで、
駅舎には所狭しと名刺が貼られています。


時刻表は旧字体で書かれています。
黒板に書けばもっと雰囲気が出るのに。
でも、横書きは左から右なのか…


誰にも見向きされない可哀想な湧水盆。
峠越えで煤に塗れた機関士が顔を洗ったものです。


観光タイムが終わったら発車。
いよいよ勾配に挑んでいきます。
ループ線でぐんぐん高度を上げて…


元の線路の上まで来ました。
いさぶろう号はここで一旦停車してくれます。
停車目標も無いのに上手く止まるものだな…


そこから先はもう人跡未踏の地といった様相です。
気動車のいさぶろう号でさえ、
息も絶え絶え登っていきます。
こんなところを良くぞ蒸気機関車で走ったものだな…
ここまでして走り易い海岸沿いを避け、
こんな山奥の経路を選んだのは、
海からの艦砲射撃を避ける為だったとか。
時代を感じさせますね。


峠の頂にあるのが矢岳駅。
標高は536.9mです。


車内放送で説明があったからか、
乗客は揃って人吉市SL展示館の方へ。
僕は蒸気機関車には興味が無いので行きませんが。


見向きされない可哀想な矢岳駅。


矢岳駅前の通りはこんな感じ。
割と民家があります。


矢岳駅を出るとすぐに矢岳第一トンネルに。
肥薩線最後の開通区間で、このトンネルが開通した時、
時の逓信大臣、山縣伊三郎が「天険若夷」、
鉄道院総裁、後藤新平が「引重致遠」の石額を飾ったとか。
ここが開通した事で、青森から鹿児島まで
1本の鉄路で繋がったのです。


矢岳第一トンネルを過ぎたら後はもうひたすら下るだけ。
ここはもう宮崎県。
人生初の宮崎県です。


日本三大車窓、矢岳峠。
良く見ると、うっすらと桜島も見えます。
いさぶろう号は勿論一時停止。


またスイッチバックです。


スイッチバックの中にあるのが真幸駅。
肥薩線で唯一宮崎県内にある駅です。


見るからに縁起の良さそうな名前の真幸駅。
ホームには鳴らすと幸福になるという鐘があります。
1回で少し幸せ、2回でもっと幸せ、
3回で一杯幸せになるとか。
3回鳴らしている人が誰も居なかったのは
何とも日本人らしいと言ったところでしょうか。


真幸駅は実際に運の良かった駅。
昭和47年に山津波が発生した際、
周囲の集落は飲み込まれてしまいながらも
この駅は奇跡的に軽微な損傷で済んだそうです。
ホームにはその時突き刺さった巨岩がそのまま残されています。


真幸駅を出ると終着駅までもう少しです。


14:47、吉松駅に到着。
約1時間後に発車する普通列車に乗り換え…
待てよ。
今回は青春18きっぷではなく、普通の乗車券。
それなら、特急券さえ購入すれば…


15:03、特急はやとの風3号鹿児島中央行きに乗り換え。
肥薩線観光列車その3。
吉松-鹿児島中央を結び、歴史ある名駅舎を楽しめます。
JR東海で言うところの飯田線秘境駅号ですね。
快速列車だったいさぶろう号とは違い、
これは特急列車なので青春18きっぷでは乗れません。
肥薩線だけでSL、峠越え、駅舎を全て楽しめるとは
何ともてんこ盛りな路線ですね。


15:20、大隅横川駅に到着。


大隅横川駅は明治36年の肥薩線開業当時の駅舎が
そっくりそのまま残っており、
鹿児島県で最古の駅舎となっています。
横川町のシンボルとなっているらしく、
地元の成人式はここで行われるのだとか。
ちなみに、日本最古の駅舎は半田市の亀崎駅です。


長い歴史を潜り抜けてきた大隅横川駅には
米軍による機銃掃射の痕まであります。
時代の荒波に翻弄される事無く、
1世紀以上ただ静かに鎮座し続ける大隅横川駅…


次の列車が来るまで暫し街歩き。
地元の小学生が作った観光案内に載っていた
尾田の滝まで歩いてきました。
観光案内に載せるほどの滝かな…?


16:03発肥薩線普通隼人行きに乗車。
今度は普通列車です。
霧島温泉駅で高校生が大勢乗車してきたりして、
ローカル列車だなぁ…
という気分にさせられました。


16:19、嘉例川駅に到着。
多くの高校生が下車しました。


嘉例川駅も明治36年開業当時の駅舎が残っています。


反対方向の上り列車が来たのでちょっと撮り鉄。


駅周辺を歩いていたら、こんな道標が。
この矢印の示す方向にちょっと歩いてみたのですが、
昼間でも薄暗いくらいの森の中へと道が消えていました。
この先にある小学校とは一体…


やはり、僻地校の認定を受けているようですね。
僻地校とは、交通の便などが著しく悪い小中学校が認定され、
教職員に対する給与の増額、
修学旅行に対する補助などを受ける事が出来る制度です。
愛知県では日間賀島・篠島の小中学校や
北東部山間地域の学校が認定されています。
しかし、駅から2kmしか離れていないのに認定されているとは…
肥薩線の秘境度を物語っていますね。


ちなみに、鹿児島の空の玄関口、鹿児島空港は
この嘉例川駅が最寄り駅だったりして、
空港から直通のバスも走っています。
まあ、この嘉例川駅を使う人は皆無でしょうが。


駅に戻ってきました。
人跡疎らな山間部に於いてこの重厚な駅舎は
何にも代え難い安心感がありますね。
駅というのは心の拠り所となり得る存在です。
何処からとも無く現れた観光客の人と列車待ちをしていると、
駅のスピーカーから夕焼けこやけが流れ出しました。
17時か…


17:10発肥薩線普通隼人行きに乗車。
車内で嘉例川駅の乗車証明書をゲット!
…って、これは霧島温泉駅の乗車証明書じゃないか!
おい、切り換え忘れているぞ!
結局、嘉例川駅の乗車証明書は得られず。
隼人駅で17:28発日豊本線普通鹿児島中央行きに乗り換え。
満員だな…


おお、桜島だ!
こんな天気ながらはっきりと見えます。
頂上にかかっているのは雲…
いや、噴煙?


18:06、鹿児島駅に到着。


日本一しょぼい県庁所在地の駅と言われる鹿児島駅。
まあ、事実上の中心駅は
隣の鹿児島中央駅(旧・西鹿児島駅)ですからね。


鹿児島市電に乗り換えます。
西九州の長崎、熊本、鹿児島の3県では
今も路面電車が活躍しています。


天文館通停留所で下車。
訛りの所為なのか走行音の所為なのか、
車内放送は極めて聞き取り辛く、
停留所名標も車内からはまず見えないので
隣のおじさんに助けてもらいました。
難度が高いな…
まずは宿へ。


天気予報でやっていた桜島降灰予想。
こんなのあるのか…
流石は鹿児島。
「今日はこれまでに3回爆発がありました。」って
桜島アクティブ過ぎだろ…
流石は日本一活発な火山。
一休みしたら、食事に出掛けます。


メインに黒豚丼を食べ、デザートにしろくま。
今は全国区となったしろくまですが、
発祥はここ鹿児島市の天文館通なのです。
へー、かき氷だったんだな…
濃厚な牛乳の香りが堪りません。
もう少しふわふわな氷だったらもっと良かったけどな…
ちなみに、このスタンダードなしろくまだけでなく
チョコレートやヨーグルトといった味もあります。
次来た時には食べてみたいですね。
この後は宿に戻って寝ました。

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