台湾旅行第4日目。
3:25、起床。
時差ボケではありません。
わざわざこの時間に起きたのです。
サービスの朝食もとらずにチェックアウト。
午前4時前の高雄。
まだ眠りから覚めていません。
しまった…
セブンイレブンなら24時間営業かと思っていたら
普通に閉まっている…
朝食抜きになりそうだな…
高雄駅。
当たり前ですが、こんな時間に起きたのは
他でも無くとある列車に乗る為です。
その列車とは…
これです。
4:38発3501次區間車臺東行きに乗車。
台湾で5本の指に入る早い始発列車です。
機関車、立ち入り出来ない謎の客車合わせて
豪華9両編成で滅茶苦茶驚きました。
乗客は全部で10人ちょっと。
ロボスレイルも吃驚です。
寝静まった高雄を静かに抜け出す。
明るい時間帯の高雄を見ずに終わったな…
流石に眠いので少し寝ます。
起きたらこんな景色。
鎮安駅という駅のようです。
北回帰線を越えているだけあって完全に南国ですね。
秘境になって参りました!
と思ったら、隣の林邊駅は近代的な高架駅。
秘境はまだまだか…
佳冬駅で行き違い。
相手側の列車には大勢の学生が乗っていました。
次の東海駅ではこの列車にも学生が。
だからこんなに長い編成なのかな?
その次の枋寮駅で学生は皆下車しました。
この枋寮駅は屏東線の終点であり、
嘗ては日本最南端だった駅です。
現在は更に南廻線が続いています。
1992年に開業したばかりという新しい路線。
日本とは違い、新しい路線ほどローカルな台湾。
この南廻線は台湾で最も秘境を走る路線なのです。
山の後ろから日が出て来ました。
加祿駅。
勿論、誰も降りません。
それでも、ホームは2面4線あり、
構内も非常に広いです。
内獅駅。
海にとても近いです。
南廻線は東シナ海を横目に走ります。
6:56、枋山駅に到着。
そう、これこそが正に目的の駅。
北緯22°16′1″。
台湾最南端の駅、枋山駅です。
台鐵としては珍しく無人駅。
この駅の秘境度を物語っています。
時刻表。
南廻線を走る列車自体は日に14.5~17.5往復ありますが、
元々高雄と台東を繋ぐ事が目的の路線であり、
その殆どが特急列車。
區間車(普通列車)と
普快車(エアコン付普通列車)は
それぞれ日に1往復ずつだけしかありません。
莒光號(急行列車)や
自強號(特急列車)の停まらない
加祿、内獅、枋山、それに古莊の4駅は
日に2往復しか列車が停まらないのです。
日本で言うところの石北本線みたいなものです。
高雄発ともなると乗ってきた3501次唯1本のみ。
だからこそ、あんな時間に起きた訳です。
隣の古莊駅までは26.9km。
勿論、台鐵で最長の駅間距離です。
枋山駅外観。
とても立派な駅舎です。
駅前に車が停まっていますが、
人の気配はありません。
使われなくなって久そうな待合室。
嘗ては有人駅だったのでしょうか…
駅に通じる唯一の道。
幅は広めですが、未舗装です。
進んでみます。
辺り一面マンゴー畑。
3月上旬の朝だというのに暖かいです。
うーん、南国な香り…
沢山の鳥のさえずりが聞こえます。
近くに小学校があるようで、子供の声も聞こえます。
麓から見上げた枋山駅。
海岸段丘の中腹にあります。
大通りまでやって来ました。
枋山バス停。
ここから台湾最南端の岬、
鵝鑾鼻へ行こうと考えていたのですが、
このバス停の時刻表が分からない。
運賃も分からない。
更には所要時間も分からない。
現地に来れば分かるかと思っていたけど…
あと、手持ちに細かいお金が殆ど無く、
お札は1,000元紙幣しか無い。
台湾の路線バスは大抵お釣りが出ない為、
1,000元紙幣しかないというのは
「釣りは要らねえ、取っときな(1万円札を出す」
をリアルでやる事になるのです。
しかし、近くに売店の類は見当たらない…
どうすべきか…
…仕方無い、枋寮まで戻ろう!
急いで枋山駅に戻れば
3514次區間車高雄行きに間に合う筈だ!
これを逃すと、次の列車は5時間半後。
朝食を食べていない身体に鞭打って
駅前の上り坂をひたすら駆け上がります。
ま、間に合った…
列車発車時刻の4分前に着きました。
疲れた…
しかし、兎にも角にもこれで一安心…
…列車が来ないな。
まあ、台湾といえども遅延くらいするか。
反対方向の信号が青に変わった…?
おかしい、3501次の次に来る列車が3514次の筈…
701次莒光號臺東行き!?
これは加祿で3514次と行き違う列車の筈…
遅れたから順番を変えたのかな…
301次自強號花蓮行き!?
これは枋寮で3514次と行き違う列車の筈!
一体何がどうなっているんだ…
まさか、時刻表より早く行ってしまったとか…?
そうだ!台鐵のホームページで
列車の運行状況を確認出来るんだった!
有難い事にwifiは通じている!
晩20分…
20分遅れって事?
何だ、吃驚した…
ならもう少し待っていれば来るな。
…ところが、20分は疎か40分待ってもやって来ない。
どうする…
枋山バス停からは枋寮や高雄に向かうバスも出ている…
それに切り替えるか…?
しかし、離れた瞬間に列車がやって来ようものなら
悔やんでも悔やみきれない…
落ち着こう…
心を無にして待つんだ…
台湾の風は暖かい…
来たああぁぁぁ!
7:55発3514次區間車臺東行きに乗車。
この列車が来た時はどんなに嬉しかった事か。
48分遅れて漸くやってきました。
助かった…
ちなみに、南廻線の區間車は走行中も扉が開きます。
窓ではありません、扉です。
ちゃんと乗った時に閉めないと
開いたまま走り出すので気を付けましょう。
顔やカメラを出したりするのもやめましょう。
9:01、枋寮駅に到着。
台灣鐵道故事館!?
こんな駅にまであるのか…
店員さんがグッズを作っていました。
吹くと汽笛の音がする木彫りの笛。
紛れも無い手作りですね。
枋寮は台湾南端観光の拠点とあって
そこそこ賑わっています。
枋寮駅外観。
天白日滿地紅旗が掲げられています。
鵝鑾鼻へのバスを走らせる國光客運。
どうやら、鵝鑾鼻までは2時間以上かかる模様。
日帰りは無理があったか…
仕方無いので今回は諦めます。
徒然なるままに海まで来てみた。
…まあ、何もありません。
テトラポッドの形が日本と違いますね。
駅前のコンビニでブランチ。
握弁当。
阿里山森林鐵路奮起湖駅の駅弁を真似たようです。
台湾には日本統治時代に弁当文化が持ち込まれ、
今でも「弁当(便當)」の名で親しまれています。
駅弁も人気です。
戻ってきた枋寮駅。
ホームの端で写真を撮っている人が居ます。
あの人も海に行っていたな…
同じような事を考える人は居るものですね。
女性だというのが少し驚きですが。
10:43発371次自強號臺東行きに乗車。
南廻線を走る自強號の車内放送は
中国語、英語に加えて謎の言語でも放送されます。
東部や南部は原住民族が多いからかな?
枋山駅を過ぎると山奥へと入ります。
駅員!?
枋山駅は無人なのに、こんな山奥の信号場に…
どうやって通っているのかな?
枋野號誌駅(枋野信号場)にて。
日に2往復しか停車しない4つ目の駅、古莊駅。
古莊駅を過ぎると再び海が見え始めます。
これは最早東シナ海ではなく太平洋です。
粗いグラデーションを描いています。
バスに追い抜かれる。
決して列車が遅いのではありません、
バスが速過ぎるのです。
台湾の田舎のバスはどうしてこう飛ばすのだろう…
多良駅跡。
開業してまだ22年足らずの南廻線ですが、
当初設けられた17の駅の内、
7駅は既に信号場化または廃駅になっています。
南廻線の秘境度、推して知るべし。
石北本線も同じような道を歩んでいますが。
この多良駅はその眺めの良さから
偶に観光列車が停車する事はあるようです。
12:10、知本駅に到着。
本来はここで降りる予定ではありませんでしたが、
鵝鑾鼻行きを取り止めて時間が余ったので
結構有名な温泉地であるこの地に降りてみる事に。
嘗ては日本最南端の温泉地?
小腹が空いたので、駅の売店で買ってみました。
初鹿鮮奶饅頭。
濃厚な牛乳の風味がする饅頭です。
餡は無いのでミルクパンと言った方が近いでしょうか。
駅前のバス停。
多分ここからバスが出ているだろうと
バス停の時刻表と睨めっこしていたら、
ふいに英語で話し掛けられました。
どうやら、僕と同じく知本温泉を目指すお兄さんのよう。
運賃やバスの乗り方などを教えて下さいました。
12:35発鼎東客運8129路森林遊樂區行きに乗車。
滅茶苦茶豪華なバスだな…
料金は前払い制です。
12:51、白玉瀑布バス停に到着。
これもお兄さんが教えて下さいました。
この他、帰りのバスの時間、
白玉瀑布の場所なども教えて下さいました。
有り難や。
白玉瀑布への急坂を上ります。
坂の上から俯瞰した知本温泉街。
大きな橋が作られています。
見えてきました。
(ガサッ
!?
何だ!?
台湾に熊は居ない筈…
猿とかかな…
森の中の階段を上ります。
物音の状態はこれでした。
何故こんなところに水道管が…
白玉瀑布…?
何だこれは…
水道管から水が噴き出してるだけじゃん。
うーん、マーライオンも吃驚だ。
雨量の多い夏でないと駄目なのかな?
さて、朝の枋山での散策や
白玉瀑布までの歩きで疲れたし、
折角温泉街に来ているので温泉に入ります。
忠義堂温泉。
地元の人ばかりの個室式の公衆浴場です。
料金は寄付制。
今一仕組みが分からずに困っていたら、
地元のお婆さんが英語で教えてくれました。
浴槽は小さいけど、久々の温泉は気持ち良い!
自分で蛇口からお湯と水を出してお湯を張ります。
1:1くらいで丁度良い温度。
温泉から上がった後は
嘗て日本の旧制高等学校で学んだという
地元の88歳のお爺さんと日本語で話をしました。
70年前に教わった外国語を覚えているのか…
僕は70年後でもドイツ語を話せるだろうか…
今でも話せるか怪しいですが。
卒業したらまたおいで、と言っていたので
是非また来たいと思います。
大学なのか、大学院なのかは分かりませんが。
東遊季バス停から
16:14発鼎東客運8129路台東行きに乗車。
このバスの中では、
香港から来たという旅行者のお姉さんに
クッキーを頂きました。
皆優しいな…
16:23、知本火車站バス停に到着。
行きはあんなに豪華なバスだったのに
帰りはマイクロバスでした。
お釣りは出ましたが。
賑わう知本駅。
南廻線の中で最も活気のある駅だと思います。
17:27発245次自強號樹林行きに乗車。
知本駅の駅員さんは
TR-PASSを知らなかったみたいだな…
この列車でまたまたすっ飛ばします。
19:44、花蓮駅に到着。
花蓮は台東に次ぐ台湾東部の都市です。
台中や高雄など西部の都市に比べると田舎ですが。
道端の飲食店で夕食。
排骨麺とオイスターソースのかかった野菜。
排骨と言いつつ骨は排されていません。
(「排」は「揚げ物」の意味らしいです。)
でも、この骨に特に旨味があります。
野菜の方は炒め物かと思いきや、
おひたしみたいな感じでした。
デザートの番茄檸檬。
番茄って何だろう…
ちょっと青臭い風味があるな…
(トマトでした。)
そう言えば、海外で生ジュースって大丈夫かな?
台湾だったら大丈夫だと思うけど。
一応調べてみたところ、
台湾はA型肝炎流行地域でした。
1ヶ月後くらいに長い事大学を休んだら
そういう事だと思って下さい。
まあ、牡蠣の方が危ないそうなので今更ですね。
この後はホテルへ行って就寝しました。
今日学んだ事。
諦めるのもまた勇気。
予定を柔軟に変えられるよう
時刻表は必ず携帯しておくべき。
海外の秘境駅巡りはそれ相応の度胸が要る。
あと、コンビニで何か買った後に
中国語で何やら返されるのは
「お箸と袋をお付けしますか?」
みたいな意味のよう。
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