机の片隅に置いてあった一通の封筒。
これが初恋の相手からの恋文だったりしたら、
ショパンがロマンスのピアノ協奏曲を
もう5,6曲作っちゃうくらい
浪漫に溢れていて宜しいのですが、
存在しないものが見付かる訳も無く、
しかしながら、ハイゼンベルクの不等式によれば
真空の揺らぎから恋文が対生成する確率もゼロでは無く、
恋文がある特定の人間に集中するという
恋文のボーズ粒子的性質を鑑みれば、
同時に生成する反粒子からなる反恋文は
何処ぞのリア充の机に瞬時に飛んでいって、
山積みになっている恋文の一つと対消滅して
全宇宙のエネルギー収支の帳尻を合わせると共に、
リア充もついでに爆発させてくれるという
一石二鳥の美味しい話になる事間違い無し
という淡い期待は「東京ガス株式会社」という
ロマンスのrの字も感じられない、
寧ろリアリティのrの字を犇々と感じさせる
シリカゲルの様に無味乾燥な差出人名によって、
リソソームを遠心分離する時の細胞の如く
完膚無きまでに絶望とホモジナイズされ、
ラフマニノフのピアノ三重奏曲第2番を脳内BGMに
悲嘆に暮れながら封を開けると
「支払い期限5月20日」と書かれた振込用紙が顔を出し、
即座にショパンのエチュードOp.10-4へと変わった
脳内BGMに気を取られる間も無く
誘蛾灯の如く煌々と灯りの灯るコンビニへと走り、
延滞利息発生ギリギリのところで支払いを済ませ
心と共に軽くなった財布を片手に歩く調布の街は
初夏の涼しげな風が吹き渡っていた―
そんな5月末の日常の一コマ。
…財布の残金が684円になった危機的状況で
少しでも気を紛らわせようと
こんな支離滅裂な文章を書きなぐってみました。
まぁ、ワンゲルの装備に10万円近く使った訳ですから、
困窮しない方が不思議ですね。
(無題)

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