(無題)

冬休みの予定その3、
つくばサイエンスキャンプ3日目。
早くも最終日です。

6:23
起床。
目覚ましの設定時刻の2分前に目が覚めました。
目覚ましが鳴り続けるのが嫌という意識からなのか、
結構良く目覚ましの設定時刻の数分前に起きます。
体内時計…?

8:26
筑波研修センターを出発。
最後の研修施設、筑波大学へ向かう。

8:46
棟には12UDペレトロンタンデム加速器が入っている。
筑波大学に到着。
早速、研究基盤総合センター応用加速器部門へ。
今となっては外の方が放射線量が高いらしい。
放射能標識×4。
禍々しいです。
ただ、今回の加速器は小型(約5m)なので、
大した放射線量ではありません。
形式上貼ってある程度ですね。
ブラウン管も電子銃の一種だから、
ブラウン管テレビのある部屋には
このステッカーを貼っておきましょう!

真空ポンプがうるさい。
研究室内部。
KEKを見た後だと物凄く小さく感じます。

でも、普通に触れる位置にある。
高電圧注意。
手前はイオン源で20kV、奥が加速器本体で
0.9MVもの高電圧がかかっています。
この加速器はタンデム型と言って
1機で2回加速出来るお得なものなので、
全体として陽子に与えられるエネルギーは、
20kV+0.9MV*2=1.82MeV
で、ピカチュウ18.2匹分に相当します。
比較として挙げておくと、
KEKBは8.0GeV(ピカチュウ8万匹分)、
LHCは7.0TeV(ピカチュウ0.7億匹分)です。
見ろ!ピカチュウがゴミのようだ!

収束具合を調節している所。
今回は加速器を操作しても良いとの事で、
実際に陽子ビームを動かしてみました。
初の加速器操作!
と言っても、撮みを回すだけですが…
そして、実際に実験をやってみる事に。
ラザフォード散乱の実験をやりました。
ラザフォード散乱というのは、
陽子線やα線が原子核によって弾き返される現象の事。
ここでは弾き返された陽子のエネルギーを測定しました。

かなり大雑把な計算。
白板に書いてある計算式は、
E0が入射粒子のエネルギー、
E1が散乱粒子のエネルギー、
M1が入射粒子の質量、
M2が標的粒子の質量、
θが散乱角を表しています。
検出器はθ=160°の位置に設置してあるので、
sin2θ=0.116…~0、cosθ=-0.939…~-1と近似すると、
散乱粒子のエネルギーは
入射粒子の(M2-M1)/(M2+M1)倍となります。
今回の標的は炭素(原子量12)と金(原子量197)。
計算すると、散乱粒子のエネルギーは
炭素の場合約0.85倍、金の場合約1倍になります。即ち、炭素の場合は金の場合に比べて、
測定される散乱粒子のエネルギーが
約0.85倍になる筈です。
では、実際に測定してみましょう。

結構ノイズが…
炭素の場合、エネルギーのピークは320ch辺りにあり、
金の場合は365ch辺りです。
比は約0.88倍となり、計算と良く合っています。
これで計算の正しさが確かめられました!
滅茶苦茶お粗末な実験ですが、
それでもこれだけの精度が得られるのは驚きです。
…正直、実験よりも事前の計算の方が楽しいですね。
やっぱり僕は理論物理学者を目指します。

10:41
筑波大学を後にして帰路に就く。
あー、首都高が渋滞してる…

19:51
予定より遅れる事2時間弱、JR大曽根駅に到着。

20:37
帰宅。
あっと言う間の3日間が終了しました。
今回の研修では生の研究現場を見る事が出来て、
本当に価値あるものであったと思います。
今までの人生で5本の指に入るくらい充実した3日間でした。
ただ、敢えて不満な点を挙げるとするならば、
もう少し深入りして欲しかったかな…
事前研修とかで皆に基礎知識を付けておけば
より意義のある研修になると思うのです。
何にせよ、この研修で僕は決心しました。

素粒子理論物理学者に、僕はなる!

脚注
※「~」
   近似するという意味の記号。
   ≒よりも精度が低く、桁があっている程度。
※「ch」
   チャンネルの事。
   ここでは0~8Vまでを1024チャンネルに分け、
   0Vを0ch、4Vを512chというように表している。

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