冬休みの予定その3、
つくばサイエンスキャンプ2日目。
6:25
起床。
何か夜中に物凄く小さな地震があったような…
一度起きてしまったので非常に眠いです。
8:02
高エネルギー加速器研究機構(KEK)へ向け出発。
さぁ、お待ちかねのKEKだ!
9:34
KEKに到着。
中学の修学旅行以来だから2年半振りか…
最初に見学したのが先端加速器試験施設(ATF)。
「加速器の為の加速器」として、
次世代加速器の為の技術開発を目標に
世界でも例を見ない規模の実験を行っています。
出たな、放射能標識…
厳めしいです。
おー、リニアック(線形加速器)だ!
加速器は相当な精度が要求される為、
土台の凹凸は1μm以外にまで抑えてあり、
鏡のように輝いています。
ただ、最後の方は予算が枯渇したそうで…
凹凸の精度が5μmまで下げられたそうです。
ほんの数μmの差ですが、くすんでしまい、
町工場でも良くある色になってしまっています。
某事業仕分けの影響でしょうか…
ここでシンクロトロン(円形加速器)に移ります。
中央左上にあるブロックが少しずれていますが、
これは先の東日本大震災によるものだそうです。
そう言えば、ここも震度6弱だっけ…
寧ろ良く耐えたものだよなぁ。
おぉ…
THE・研究施設という雰囲気だな…
テンプレートでありそうなくらいです。
男心が擽られますね。
放射線遮蔽用の鉛ブロックが重々しいです。
ただ、今は停止中なので放射線は出ていません。
放射線量は銀座レベル、担当者の被曝上限は
国際線のキャビンアテンダントと同じだとか。
デーモンコアの頃とは時代が違います。
あれ?結束バンド?
やけにローテクな代物が…
ちょっと親しみが湧く…だろうか。
実験装置は日本、アメリカ、イギリス、中国など
世界各国が共同で製作しているそうです。
次に向かったのは日本最大の規模を誇るKEKB加速器、
その測定器棟の一つ筑波実験棟。
KEK(日本)最大のBelle測定器。
寸法は8m四方。
滅茶苦茶大きいです。
世界最高のルミノシティ
(粒子の衝突回数)を誇るKEKB加速器ですが、
現在その性能を更に40倍にすべく改造中との事で、
シンチレーターとかは全て外されています。
研究者の飽くなき向上心は凄いです。
次に向かったのが富士実験棟。
KEKB加速器のリング。
LHCの9分の1(1周3km)とは言え、大きいです。
基礎物理学の実験は何もかもが桁違いです。
案内の方、普通に偏向電磁石に乗っていたけど、
大丈夫なのかな?
数μmという精度が要求されるって自ら言っていたのに。
KEKB加速器の次は放射光科学研究施設(PF)。
結構乱雑です。
物理学っぽくエントロピーが高いと言うべきか。
ここでは旭丘のOBの方(17つ上)にお話を伺いました。
生物方面の方で、タンパク質の構造とかを
放射光を使って研究されているそうです。
X線回折を使っての分子構造の解明。
解析ソフトも自作だそうです。
プログラミングの技術も要るんだな…
ここで昼食。
KEKの研究者は普段こういうものを食べているのです。
中々美味しい。
そして安い。
他にも、自動販売機のペットボトルが130円だったりと、
KEKは何故か物価が低いです。
昼食後に売店でラグランジュ方程式ストラップを購入。
午後は霧箱製作から入りました。
~君にも出来る!霧箱の作り方~
用意するもの
・アクリルの筒
・↑と同じ大きさの黒いアクリル板
・同じく透明なアクリル板
・アルミ板
・アルミテープ
・発泡スチロール
・スポンジ
・消毒用エタノール
・ドライアイス
・線源(あれば)
1.丸く穴を開けた発泡スチロールと
板状の発泡スチロールを貼り付ける。
2.アクリル板の大きさに合わせてアルミ板を切る。
3.アルミ板を下にして、アルミ板と黒いアクリル板を
アクリルの筒にアルミテープで貼る。
4.アクリルの筒の内側の上端にスポンジを貼り付ける。
5.スポンジをエタノールで湿らせる。
6.中に線源を入れる。(写真はマントル)
7.1にドライアイスを詰める。
8.7の上に6を乗せ、透明なアクリル板で蓋をして完成!
驚く程簡単に作れます。
何でも、KEKの方が改良を重ねたのだとか。
こんな所でも常に向上心を…
では、部屋を暗くして懐中電灯で照らしてみましょう。
おー、見える見える。
ちなみに、この太いのは全てα線です。
この写真には写っていませんが、
ひょろひょろした細いβ線も見えますし、
線源を取り出すと、細くて長い軌跡を残す
宇宙線の一種μ粒子が見えます。
見ていて楽しいです。
その後は講義。
放射光の研究についてと加速器全般の研究について。
非常に分かり易かったです。
予備知識って大切ですね。
面白い話を色々聞けました。
ただ、贅沢を言うとするなら、
素粒子物理学専門の人の話も聞きたかった…
そんな訳で、今日はとても楽しい一日でした。
とにかく、ありとあらゆる所で
「世界最高」という形容詞が付いていて、
日本は基礎物理学で強いんだな、と感じられました。
こういう実利と直接的には何も関係しない分野、
そこにどれだけ本気になれるかで
その国の真の力が自ずと明らかになると思うのです。
フェルミの言葉だったっけ…忘れたけど。
あと、研究者は本当に向上心あってなんぼですね。
2位なんぞ論外です。
1位であって初めて価値があるのです。
ついでに、ふと気付いた超どうでも良い豆知識。
研究者は意外と既婚者が多い。
何処で出会うのだろう…
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